プルルルルル
( ^ω^)】「はい、こちら全日本ヒーロー派遣です…はい、はい…その節はどうも」
プルルルルル
( ^ω^)】「はい、こちら…あ、内藤です。はい…ええ、それでお願いします」
プルルルルル
( ^ω^)】「はい…その件は書類を送りましたので、そちらを見ていただけますか?」
プルルルルル
( ^ω^)】「…うちは蕎麦屋ではありません」
(‘_L’)「…内藤さん、忙しそうですね」
_、_
( ,_ノ` )「ただでさえ事後処理があるってのに、俺が与えた仕事までこなしてやがるからな」
(‘_L’)「(やっぱりすごい人なんだよな…でも…)」
(‘_L’)「(内藤さんは…負けた…)」
_、_
( ,_ノ` )「さて…俺もちょっと出てくる。そこの段ボール、内藤に渡しといてくれ」
(‘_L’)「なんなんですかこれ?」
_、_
( ,_ノ` )「ファンレターだよ」
(;‘_L’)「うへぇ…段ボール三箱分も…」
_、_
( ,_ノ` )「じゃ、頼んだぜ」
スタスタスタ…
(‘_L’)「…こんなに人気があるのに…引退なんて…」
( ^ω^)「あ、フィレンクトさん…って、これは?」
(‘_L’)「内藤さんへのファンレターだそうです」
( ^ω^)「そうですか…」
(‘_L’)「やっぱり、納得いきません。こんなに人気があるのに引退なんて」
( ^ω^)「…引退で三箱分しか来ないようじゃ、ダメなんですよ」
(‘_L’)「そんな…」
( ^ω^)「嬉しくないってわけじゃないですけどね。絶好のタイミングで引退しても、この程度なんです」
(‘_L’)「……」
( ^ω^)「何年かしないうちに、きっとジャスティスカイザーは忘れられます」
( ^ω^)「結局、たくさんいたヒーローの中の一人に過ぎないんですよ…私は」
(‘_L’)「…そんなこと、言わないでくださいよ…」
(‘_L’)「僕は…内藤さんとジャスティスカイザーのこと、忘れませんよ…」
( ^ω^)「…ありがとうございます」
( ^ω^)「っと、そうだ…フィレンクトさんに頼みがあって」
(‘_L’)「最後の挨拶の撮影、ですよね」
( ^ω^)「ええ。ちょうど今暇な時間があるんで、撮ってもらえるとありがたいんですけど」
(‘_L’)「え…今からですか?急ですね」
( ^ω^)「事後処理が忙しくて、なかなか時間が取れないんですよ」
(‘_L’)「大変ですね…」
( ^ω^)「グッズもさばかないといけませんしね。それに、忙しいほうが気が紛れますから」
(‘_L’)「……」
( ^ω^)「それで、どうですか?」
(‘_L’)「内藤さんの頼み、断るわけないじゃないですか」
( ^ω^)「よかった。それじゃ、お願いします」
〜都内某所〜
( ^ω^)「…これを使うのも最後か…」
(‘_L’)「カメラオッケーでーす!準備お願いします!」
( ^ω^)「……」
サッ
( ^ω^)つφ「変身」
フォワワワワ…
( =☆=)「……」
(‘_L’)「カメラ回しまーす」
( =☆=)「…はい」
( =☆=)「やぁ!ジャスティスカイザーだ!元気にしてたかな?」
( =☆=)「もうみんなは知ってるかもしれないけど…」
( =☆=)「実は僕、ジャスティスカイザーは…ヒーローの星に帰らなきゃいけないんだ」
( =☆=)「隠していたけど…地球での激しい戦いで、僕の体はもうボロボロになっていて…」
( =☆=)「故郷で安静にしないと、怪我が治らないんだ…」
( =☆=)「みんなとのお別れは寂しいけど、地球で出会ったみんなのことは忘れないよ!」
( =☆=)「だからみんなも、僕のことを忘れないでくれよな!」
( =☆=)「それじゃあ最後に、みんなで行くよ!せーの!」
( =☆=)「いつも心にジャスティスを!」
(‘_L’)「…はい、オッケーです」
( =☆=)「……」
シュン
( ^ω^)「ありがとうございました」
(‘_L’)「いえ…こんなに短くていいんですか?」
( ^ω^)「ええ。放送はしませんし、これ」
(‘_L’)「そうなんですか?」
( ^ω^)「ネットにアップロードするんです。このほうがコストも安くて済みますし」
( ^ω^)「別れの挨拶を一回しか放送しないんじゃ、もったいないでしょう?」
(‘_L’)「……」
( ^ω^)「まぁ、本音を言えば…放送も、一回はしたかったですけどね」
( ^ω^)「逆に吹っ切れましたよ。すぱっと終わった感じがして」
(‘_L’)「今からでも、放送するようにかけあえないんですか?」
( ^ω^)「ネット放送は僕から言ったことですから」
(‘_L’)「……」
( ^ω^)「おかしいですかね。最後までこんな調子で」
(‘_L’)「…いえ。内藤さんらしいと思います」
( ^ω^)「褒め言葉として受け取っておきます」
(‘_L’)「それじゃ…僕、帰ります。内藤さんはどうしますか?」
( ^ω^)「…少し、ゆっくりしていきますよ。戻ったら休めませんしね」
(‘_L’)「そうですね。そのほうがいいです、絶対。それじゃ、お疲れ様でした」
( ^ω^)「はい。また後で」
ブロロロロロ…
( ^ω^)「…さて…何か、用ですか?」
川 ゚ -゚)「…いや。そこでバスを見かけたんで、また何か良からぬことを企んでいるのかと気になってな…それだけだ」
( ^ω^)「それはまた…テレビみたいなタイミングですね」
川 ゚ -゚)「私もそう思うよ」
( ^ω^)「…立ち話もなんですし、そこのベンチでも座りませんか?」
川 ゚ -゚)「ヒーローと馴れ合う気はないとわかっているだろう」
( ^ω^)「もう、ヒーローじゃありませんから」
川 ゚ -゚)「…そうだったな」
( ^ω^)「コーヒーぐらいなら、奢りますよ?」
川 ゚ -゚)「いらん。自分で買う」
( ^ω^)「そうですか」
プシュ
( ^ω^)「…ふぅ…」
川 ゚ -゚)「…しかし…本当に引退するんだな」
( ^ω^)「負けてしまいましたから」
川 ゚ -゚)「私を恨んでいるか?」
( ^ω^)「いえ。言い訳がましいですが、ここのところ番組制作にかかりっきりで訓練を怠っていたんですよ」
川 ゚ -゚)「そうか…できれば、絶好調のジャスティスカイザーと戦いたかったがな…」
( ^ω^)「それでも勝てたかどうか…あなたは私の予想以上に強かった」
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「…そういえば、一つ。聞きたかったことを思い出した」
( ^ω^)「なんですか?」
川 ゚ -゚)「私は今まで、ヒーローの手段しか見ていなかった」
川 ゚ -゚)「だが…一度負けてから、思い直したんだよ」
川 ゚ -゚)「そこまで人気にこだわるのには、何か理由があるんじゃないか…と」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「実力だけだって、そこそこの地位は得られただろうに…」
( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「答えたくない理由か?」
( ^ω^)「…いえ。もう引退しましたし…話してもいいですかね。クーさんは口が固そうですし」
川 ゚ -゚)「まぁな」
( ^ω^)「理由は、父親です」
川 ゚ -゚)「父親…?」
( ^ω^)「ええ。私の親父もヒーローだったんですけどね」
川 ゚ -゚)「(…二世ヒーローだったのか…)」
( ^ω^)「父親は、私と違って『真っ当なヒーロー』でした」
( ^ω^)「世界のために悪と戦い、その正体は誰も知らない…」
川 ゚ -゚)「一度会ってみたいものだな」
( ^ω^)「…もう会えませんよ」
川 ゚ -゚)「…亡くなったのか」
( ^ω^)「親父は」
( ^ω^)「世界を救って死にました…たった一人で」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「もう、十年以上前です。『流転魔王』と名乗る一人の怪人が地球に現れました」
川 ゚ -゚)「…名前は聞いたことがある。伝説の怪人だと」
( ^ω^)「その怪人は、とにかく強かった。それでいて、したたかで」
( ^ω^)「決して表の世界に顔を出すことなく、世界征服を行っていったんです」
川 ゚ -゚)「馬鹿げた話だな」
( ^ω^)「そうですね…確かに、馬鹿げた話です。でも、世界征服は行われていた」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
_
( ゚∀゚)「…この世界も雑魚ばっかりだな。歯応えがねぇ」
_
( ゚∀゚)
流転魔王ジョルジュ
_
( ゚∀゚)「ああ、いや…一人だけ、まともなやつがいたっけな…」
ドンッ!!
(::::::::::::)「…ようやく追い詰めたぞ…ジョルジュ…!!」
_
( ゚∀゚)「よぉ。ここまで来るたぁ、やるじゃねぇか」
_
( ゚∀゚)「やっぱり俺の相手が勤まるのはてめぇしかいねぇみてぇだな…」
( =☆=)
「なぁ、名前もしらねぇヒーローさんよ?」
( =☆=)「……」
_
( ゚∀゚)「いい加減名前ぐらい教えてくれてもいいんじゃねぇのか?結構長い付き合いだしよ」
( =☆=)「……」
_
( ゚∀゚)「けっ。まーただんまりか」
( =☆=)「俺の戦いは、決して世に知れることのない戦いだ…名前など、何の意味も持たない」
_
( ゚∀゚)「耳タコなんだよ、正義ボケが」
( =☆=)「ならば何度も聞かないでもらいたいな」
_
( ゚∀゚)「自分が殺す相手の名前ぐらい知っときてぇだろ?」
( =☆=)「ならば尚更聞く意味はないな。俺は貴様ごときには負けん」
_
( ゚∀゚)「…くく」
( =☆=)「何が面白い」
_
( ゚∀゚)「いや…俺にそんな口をきくやつはほかにいねぇからよ」
_
( ゚∀゚)「愉快で仕方ねぇのさ。俺を笑わせてくれるのはてめぇだけだ」
( =☆=)「……」
_
( ゚∀゚)「さて…お喋りはこのへんでいいか」
( =☆=)「ああ…全て終わらせよう」
_
(# ゚∀゚)「いくぜオラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
( =☆=)「来い!!!」
……………………
ドスッ!!!
(;=☆=)「が…っぐ…!!」
_
(# ゚∀゚)「はぁ…はぁ…クソが!!!いい加減死にやがれ!!!」
(;=☆=)「ヒーローが死ねるか…阿呆が…!!!」
_
(# ゚∀゚)「死ぬに決まってんだろうがよォッ!!!」
ドスッ!!!
(;=☆=)「う…ご…」
_
(# ゚∀゚)「俺をここまで追い詰めたのは褒めてやるよ…だが…」
_
(# ゚∀゚)「それでもなお、俺のほうが上だ…!!!」
(;=☆=)「……」
_
( ゚∀゚)「てめぇとの戦いは面白かったぜ…『こっちの世界』じゃ間違いなく最高の相手だった…」
( =☆=)「……」
_
( ゚∀゚)「だがよぉ…ここがお前の限界だ…」
( =☆=)「…どう…かな…」
_
( ゚∀゚)「…んだと…?」
( =☆=)「お前は…知らないだろうがな…俺のようなヒーローは…」
( =☆=)「…敗北は許されないんだよ…!!!」
ゴゴゴゴゴ…
_
(; ゚∀゚)「…!!!…てめぇ…まさか…!!!」
(# =☆=)「おおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ガシィッ!!!
_
(; ゚∀゚)「…俺ごと自爆するつもりか…!!!」
(# =☆=)「…俺の持論じゃあ…相討ちなら許されるんでな…」
_
(# ゚∀゚)「ふざけやがって!!!」
(# =☆=)「形振り構ってられないんだよ…」
_
(# ゚∀゚)「離しやがれ!!!」
(# =☆=)「離すか阿呆!!!」
_
(# ゚∀゚)「離せクソッ!!!最後の最後に汚ぇ手使いやがって!!!」
(# =☆=)「汚くて結構…これで世界が救えるなら安いもんだ…!!!」
『3』
( =☆=)「(…すまん…ホライゾン…)」
『2』
( =☆=)「(俺は…親父としては…失格だった…)」
『1』
( =☆=)「(だがせめて…お前の住む世界を守って死のう…)」
『0』
( =☆=)「…自爆…!!!」
_
(# ゚∀゚)「クソがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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( ^ω^)「……」
川 ゚ -゚)「自爆…」
( ^ω^)「噂ですから、はっきりしませんけどね…ただ、親父が地球を守ったことは間違いないと思っています」
( ^ω^)「そして、残ったのは…この変身装置だけ…」
つφと
川 ゚ -゚)「形見、というわけか」
( ^ω^)「ええ」
川 ゚ -゚)「…お前の父親のことはわかった。だが」
( ^ω^)「私の行動にどうつながるのかわからない、と」
川 ゚ -゚)「…ああ」
( ^ω^)「…さっきも言いましたよね。親父は表に出ることのないヒーローだったと」
川 ゚ -゚)「ああ」
( ^ω^)「だから…誰も知らないんですよ。親父のことを」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「たった一人で命を張って…世界を守ったのに…」
( ^ω^)「世界の誰も、その男のことを知らない…」
( ω )「…そんなの…納得いかないじゃないかお…」
川 ゚ -゚)「……」
( ω )「……」
( ω )「だから、僕は…いや…」
( ^ω^)「私は、ヒーローになったんです…親父と同じ姿のヒーローに」
川 ゚ -゚)「そして、父親の姿を世に広めたかった、と…」
( ^ω^)「ええ。そしていつか…公共の電波に乗せて、親父の話をしようと思っていました」
( ^ω^)「ただ…こんな話、ただ話すだけでは信じてもらえませんからね」
( ^ω^)「信頼を得るためにも、絶対的な人気が必要だったんです」
川 ゚ -゚)「…色々抱えていたんだな」
( ^ω^)「何も抱えてない人なんていませんよ。あなただって、何か抱えているものがあるでしょう?」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「聞くつもりはありませんけどね…」
( ^ω^)「…さて、と。話が長くてすみませんでした」
川 ゚ -゚)「いや」
( ^ω^)「私は会社に戻ります。仕事が残っているので」
川 ゚ -゚)「そうか…またな」
( ^ω^)「…もう、現場で会う機会はないと思いますけどね。では」
川 ゚ -゚)「……」
スタスタスタ…
川 ゚ -゚)「…私も、行くか…」
スタスタスタ…
………………
「…いやぁ…だいぶ時間がかかっちまったなぁ…」
「懐かしい感じだぜ…『この世界』…」
「あいつに殺されかけてから、もう何年経つんだろうなぁ…」
「…まぁ、なんでもいいや…あいつは死んだし…」
_
( ゚∀゚)「今度こそぶち壊させてもらうぜ」
第十四回登場ヒーロー&怪人
( =☆=)
内藤の父親。世界を守るため、ジョルジュと心中自爆した。
_
流転魔王ジョルジュ ( ゚∀゚)
伝説の怪人。世界征服を目論むも、内藤の父親の自爆によって死亡。
した、はずだった。
( ^ω^)は現実的ヒーローのようです
第十四回 「無題」
おわり
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