13-bルート.ロイホにいく


革張りのイス。整理されたテーブル。
洗練されたメニュー。安価ながらも高級感溢れる店内。
しかし庶民に入りにくいイメージを与えない外観。
完全に別れた分煙。
俺の行き着けのレストラン。


('、`*川「……」

('A`)「さ、なんでも頼んでください」


ロイホだ。


('A`)「このステーキセット。ご飯大盛で」

('、`*川「……コーヒーで」

「かしこまりました」


店員にオーダーを伝える。
伊藤さんはなんだか少食だ。


('A`)「いいんですか?」

('、`*川「……ええ」

('A`)「ならいいですけど」


俺はステーキセット(大盛)を食べながらドリンクバーのコーラをがぶ飲みした。
伊藤さんはコーヒーを飲んでいた。
俺は伊藤さんに野球の話をした。途中でげっぷが出た。


('、`*川「……」

('A`)「じゃあ出ましょうか。俺が金出しますよ」

('、`*川「……はい」


俺は伝票を持っていき代金(1,440円)を払った。
伊藤さんは外で待っていてくれていた。


('A`)「ふふ……ここからが詰めの段階やで……」


('A`)「もう一軒行きます?」


俺独自の調べによるとこのキラーワードで大抵の女性は落ちる。(an・an調べ)
さあ、伊藤さん! 落ちろ!


('、`*川「……うーん」

('A`)

('、`*川

('A`)

('、`*川

('A`)(なんだそりゃー!!)


俺は脳内のan・anを破り捨て、独自の方法で落としにかかる。


('A`)「いやいや、あわよくば終電なくなるとかそんなんじゃなくてですね」

('、`*川「……」

('A`)「ちょっとお酒でもどうかなーって。あ、あは、あはは」

('、`*川「……」

('A`)「あはは……」

('、`*川「……」

('A`)「……」

('、`*川「……」

('A`)(なんだ……? 何が悪かった……?)


('、`*川「……明日早いので、帰ります」

('A`)「あ、そうですか。なら、仕方ないですね。はは、あはは」


腕時計をチラリと見る。
午後8時。なるほど、これは明日に響くじかn


(゚A゚)(8時!?)


全然宵の口だ。
ヤバいヤバいこれはヤバい。


('、`*川「……」


テクテクと駅に向けて帰る伊藤さん。
ダメだ。ここで逃がしてはGAME OVERだ。


('A`)「お、送りますよ!」

('、`*川「……そうですか」

('A`)「ヨッシャー!」

('、`*川「?」

('A`)「あ、すいません心の声が」


なんとか首の皮一枚つながった。


('、`*川「……」

('A`)「……」

('、`*川「……」

('A`)「……」

('、`*川「……着きましたね」

('A`)「そうですね、あはは」

('、`*川「……じゃあ、さようなら」


そう言って改札をくぐる伊藤さん。
俺は背中に向けて言葉を放つ。


('A`)「また、連絡しましゅから!」


噛んだ。


('、`*川「……」


伊藤さんは返事をせずに、ホームに消えた。


('∀`)「よっしゃ……期待大やで……」


寮に帰って早速携帯を開く。
伊藤さんからの着信は来ていない。
きっと明日の用意をしているのだろう。


('A`)「ま、明日早いって言ってたし連絡するのは悪いな。明日にしよう」


いつまでもチャンスをつぶす男ではないのだ。
いわゆる待球戦法。できる男の作戦だ。


――次の日


('A`)「よし、メール送ろう」


起きてすぐ、メール作戦場面に入る。
何を言うものか迷う。


('A`)「んー……『昨日は楽しかったです。また遊びましょう』……こんなんでいいか」

('A`)「送信」


携帯をベッドの脇に置く。
とりあえずシャワーを浴びることにする。


('A`)「ふー、さっぱりした」


頭をタオルでゴシゴシしながら部屋に戻る。
携帯がチカチカと点滅している。
着信の合図だ。


('A`)「やべっ、すぐ返信しなきゃ」


パカッと携帯を開ける。
差出人を確認する。
『mailer-daemon』


――1月某日

(K‘ー`)「内藤さーん!!」

( ^ω^)「おう慶三。あけおめだお」

(K‘ー`)「ことよろです!!」

( ^ω^)「しかしドクオも人使いが荒いお。いきなり引っ越し手伝えなんて」

(K‘ー`)「全くですよ」


そうブツクサ文句を言いながらも寮に向かう2人。
今日はドクオの引っ越しのため、手伝ってくれと言われたのだ。


( ^ω^)「ドクオー、開いてるのかお―?」


ドクオの寮の部屋のドアをノックする。
中からドクオの声がする。


「お待ちしておりました。どうぞ中へ」


( ^ω^)「!?」

(K‘ー`)「!?」


( ^ω^)「今のドクオだよね」ヒソヒソ

(K‘ー`)「……たぶん」ヒソヒソ

( ^ω^)「なんかあったのかお?」ヒソヒソ

(K‘ー`)「わかりません」ヒソヒソ

( ^ω^)「とりあえず入るお」ヒソヒソ

(K‘ー`)「了解です」ヒソヒソ


内藤はドクオの部屋のドアを開ける。
そこで2人がみた者は――


('A`)「ああ、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく」


1人の、菩薩のような顔をした男だった。


( ^ω^)「……」

(K‘ー`)「……」

('A`)「今日はわざわざ私のためにすいません」

( ^ω^)「いや……」

(K‘ー`)「こちらこそ……」

('A`)「すいません、折角来て下さったのになにもおもてなしできずに」

( ^ω^)「いえ……」

(K‘ー`)「お気遣いなく……」


('A`)「……」

(K‘ー`)「……」

( ^ω^)「……」

('A`)「なんてな、冗談だよ冗談。お前ら引きすぎだよ」

( ^ω^)「……ですよねーwwwwww」

(K‘ー`)「わかりにくいですよwwwwww」

('A`)「ごめんごめんwwwwww」

( ^ω^)「んだらば早速荷造り始めるお!」

('∀`)「イェッサー!!」

(K‘ー`)「あ、毒田さん糸取ってください」

(゚A゚)「いと……いとう……?」

(K;‘ー`)「!?」


(゚A゚)

(K;‘ー`)

('A`)「ごめん、何でもない。はい」

(K;‘ー`)「ありがとうございます」

( ^ω^)「なんか音楽かけるお」

('∀`)「お、いいね! スキマスイッチとかある?」

( ^ω^)「あるおー。……あ、これいい曲だお。『糸の意図』」

(゚A゚)「いとうの……いとう……?」

(;^ω^)「ひっ」

(゚A゚)

(;^ω^)

('A`)「ごめん。何でもない。いい曲だよな、それ」

(;^ω^)「うん……」


('A`)


これが、全てだ。
だがしかし、俺は何かを捨てて何かを確実に掴んだ。
俺のあだ名が『独男』から『純潔』になって、最強の1番バッターとして君臨するのは、


('A`)ウボァー


そんなに遠くない、未来の話だ。



――BAD END――










620 名前: ◆5Ws6J0OZQE :2009/05/20(水) 02:28:07.72 ID:lPllbJT6O
ありがとうございました。
多分みんなが望んでいた物はこれじゃないような気がしますが。
風呂で2分ぐらい考えて、この2人はこの結末しか思いつきませんでした。
純愛を期待した方、俺にそんなん期待するのが間違ってます。
ありがとうございました。

621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:28:35.90 ID:DTGWc82S0
マ、マジかよ……



え? 嘘だろ? え? え?

622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:28:44.15 ID:NZmPJyyK0
('A`)ウボァー

623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:28:52.55 ID:mxn5m3ti0
ちくしょおおおお!!

624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:29:40.49 ID:lETyZPKnO
なん…だと…!?

625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:29:46.66 ID:HbQRCtaY0
うわあああああああああああああああああああああああああ

626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:30:41.02 ID:eM7DSVmkO
グッ、グッドエンドは!?
グッドエンドはないの!?

627 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/20(水) 02:33:27.58 ID:HbQRCtaY0
諸本とは別の涙が…


さっきのは夢だ。イタリアンに行こう
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