ξ゚听)ξはHIMEGAMIのようです
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150 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 17:34:44.60 ID:4SlWwHr70
ξ゚听)ξ「あー、ダルイ……」
昼休み。
私はいつものように、屋上でご飯を食べる。
ξ゚听)ξ「なんでこんな高校にきちゃったんだろ……」
親に無理やり受験させられ、仕方なく入ったこのヴィッパー高校。
付属式で、中学から大学までエスカレーターのあるこの学校。
入学時には、すでに付属上がりの仲良しグループができており、入る隙間すらなかった。
ξ゚听)ξ「あー、もういや! 今日はサボろ!」
六間目は、確か世界史の授業だ。
荒巻先生なら、別に怒られる心配もないだろう。
私は鞄を持ち、屋上の出口へ視線を向けた。
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154 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 17:39:26.77 ID:4SlWwHr70
( ^Д^) 「……見つけたぞ。HIME」
ξ゚听)ξ「へ?」
声を掛けられた。
出入り口から現れたのは、見たこともない男子生徒。
知り合いに、こんな人いたっけ……?
ξ゚听)ξ「あの、どこかでお会い――――」
( ^Д^) 「その器、いただくぞ」
瞬間。
銀色に光る、鋭利な何かが、男の手に現れた。
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158 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 17:47:47.25 ID:4SlWwHr70
ξ;゚听)ξ「っ!?」
男の手にあるのは、刀だ。
どこに隠し持っていたのか、時代劇に出てくるような、日本刀である。
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと何それ。あんた、演劇部?」
( ^Д^) 「……」
何も言わず、男は刀を振り上げる。
まさか……切るつもり……?
状況が、よくわからない。
新手の嫌がらせか何かだろうか。
それとも、これは夢なんだろうか。
( ^Д^) 「破ッ」
ξ;゚听)ξ「――――!!」
そこまで考えた所で、私の思考は停止した。
高く掲げられた刀が、自分目掛けて振り下ろされたのだ。
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160 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 17:54:24.78 ID:4SlWwHr70
迫りくる刀に、私は目を瞑り、この状況を思考する。
恐らく、これはイジメというものなんだろう。
女子の誰かが、いつも一人ぼっちの私に、面白半分でこんないたずらを仕掛けたんだ。
どうせ、刀も作り物で、怯えてる私を陰で笑うのだろう。
ξ;゚听)ξ「……あれ?」
痛みが来ない。
衝撃もない。
私は不思議に思い、目を開ける。
( ^Д^) 「やはり居たか、SAMURAI」
('A`)「やっと姿を現したか、NINZYA」
目前で、やせ細った男が、私目掛けて振り下ろされた刀を、刀で防いでいる。
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161 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:01:07.93 ID:4SlWwHr70
('A`)「易々と、HIMEをお前らに渡すわけにはいかないんでね」
( ^Д^) 「ならば押し通るまで」
('A`)「やってみな」
火花が、弾けた。
キン、という音を立て、重なった刃が離れる。
ξ;゚听)ξ「え、な、何なの?」
('A`)「初めましてだな、HIME。俺はドクオ……って、自己紹介は後でいいか。
悪いけど、危ないから離れててくれ」
ξ゚听)ξ「姫……?」
姫って、私の事だろうか。
( ^Д^) 『壱ノ太刀 螺旋(らせん)』
ξ゚听)ξ「きゃっ!」
男が何かを呟いた瞬間、その手に持った刀に青白い光が走る。
('A`)「ふん、壱の太刀か」
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162 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:06:11.46 ID:4SlWwHr70
( ^Д^) 「逃げ場はないぞ。どう避ける? SAMURAI」
ξ;゚听)ξ「な、何……!? 発光ダイオードでも入れてるの?」
( ^Д^) 「発光ダイオード……? ははは、違うな。これは壱の太刀 螺旋。
己の中にある気孔力を、螺旋状に刀へ付属した、絶対必中の太刀だ」
ξ;゚听)ξ「言ってることがわからないわよ! 何なの、あんた達は!?」
('A`)「HIME、下がっていろ」
ドクオという男が、私より前に一歩出る。
ξ゚听)ξ「ちょっと……」
('A`)「俺があんたを護る。武士の誇りにかけてな」
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164 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:09:17.17 ID:4SlWwHr70
男が薄ら笑いを浮かべ、刀で円を描く。
そして、
( ^Д^) 『螺旋』
刀に纏われた青白い光が
時を、破壊した。
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167 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:13:57.38 ID:4SlWwHr70
ξ;゚听)ξ「きゃああああっ!!」
頭の中に、直接手を入れられたような不快感が襲い掛かる。
青白い光の中で、16年間蓄えた、あらゆる記憶が引き出される。
( ^Д^) 「螺旋は、対象の『時』を破壊する。
貴様の脳内にある、全ての時をな」
ξ;゚听)ξ「あ、ぐ……」
あまりの苦しさに、ふらふらとよろめく。
記憶が呼び覚まされては消え、頭の中が徐々に白に染まっていく。
苦しい。
何かが……私の中に……!!
('A`)「くだらんな」
( ^Д^) 「何?」
('A`)「HIME、今、目を覚ましてやる」
ξ;゚听)ξ「……え? ……何……?」
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170 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:17:37.62 ID:4SlWwHr70
('A`)「零の太刀、刹那」
ドクオの手にある刀に、赤色の光が纏われた。
瞬間、霧が晴れるように、青白い光をかき消していく。
ξ゚听)ξ「う……あれ? 苦しく、ない」
頭にあった不快感も、一瞬で消える。
まるで、さっきまでの状況が嘘だったかのように。
(;^Д^)「馬鹿な、螺旋が……!!」
('A`)「所詮は幻術。壱の太刀に時を破壊するなどの芸当は不可能……」
( ^Д^)「ならば、仕方ない。直接、仕留めるまで!」
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173 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:20:57.87 ID:4SlWwHr70
ξ;゚听)ξ「危ない!!」
男が、瞬間移動するかの如く、神速でドクオに切りかかる。
刀がドクオを切り裂こうとした、
その『刹那』
('A`)『零の太刀、刹那』
(;^Д^) 「な……が……!?」
男のいる時空……否、次元が歪んだ。
男の体、その周囲までもが、歪んでいる。
まるで、ブラックホール。
惑星と惑星によるビックバンとでも、言えばいいのだろうか。
そういった現象が、目の前で、小規模ながらもおこっている。
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176 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:24:26.87 ID:4SlWwHr70
(;^Д^) 「ぐ、あ、あ、あ、あ、あ、ぁ――――」
悲鳴を残し、男の存在が消えた。
消えたのだ。
消滅。
存在していた物が、消えた。
これは、信じがたい事だが、事実であった。
ドクオが刀をおろすと、止まっていた時が、動き出した。
ξ;゚听)ξ「き、消えた……?」
('A`)「別次元に飛ばしただけさ。今ごろ、永久に出られない空間で流れ続けてるだろうよ」
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181 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:26:58.05 ID:4SlWwHr70
急に体の力が抜け、その場に座り込む。
何が何だかわからず、私はただ呆然としている。
('A`)「HIME、大丈夫か?」
ξ゚听)ξ「え、ああ。はい。……って、姫って私のこと?」
('A`)「そうだ」
ξ;゚听)ξ「あの、意味がわからないんだけど。どうして私が姫なの?
後、今しがた目の前で起こった事は夢? それとも現実?」
('A`)「全て現実だ、HIME」
ドクオは刀を置き、その場に胡坐をかいた。
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186 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:30:27.67 ID:4SlWwHr70
('A`)「俺はドクオ……っと、名前はもういったな。
コードネームはSAMURAI。EDOの、特別護衛班隊長だ」
ξ゚听)ξ「江戸……? 侍? それって、日本史とかに出てくるやつ?」
('A`)「そうだと思う。だが、俺のいた世界の次元と、ここの次元の歴史ではいささか勝手が違うようだがな」
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192 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:36:39.40 ID:4SlWwHr70
次元、世界、歴史。
いまいちつながりを見出せない言葉を置いて、ドクオは話を続ける。
('A`)「簡単に言えば、異世界からの使者って言った方が正しいかな」
ξ゚听)ξ「異世界!?」
('A`)「そうだ。さっき襲ってきた奴らはNINZYA。力の為なら何でもする、いわばタチの悪いごろつき連中だ。
そして、俺達はSAMURAI。そういう奴らの悪さを押える為に存在する組織みたいなもんかな」
ξ;゚听)ξ「……」
('A`)「まさか奴らが、異世界にまで手を出すとは……想像の範囲外だった。
それに、実際にHIMEがいるとは思わなかったしな」
ξ;゚听)ξ「HIMEって、私の事?」
('A`)「そうだ。あんたは――――」
チャイムの音が、ドクオの言葉をかき消す。
瞬間、ドクン、と心臓が高鳴った。
('A`)「HIMEGAMIの素質を持つ、器だ」
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195 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:40:02.48 ID:4SlWwHr70
――――
色あせた写真に写る、一人の少女。
私だ。笑顔を浮かべている、幼い頃の自分。
右隣に居るのは、お父さん。
左隣に居るのは、お母さん。
違う。
私は生まれた。薄暗い、白い部屋の中で。
白衣を着た人々の歓声と共に。
そのコードネームは――――HIMEGAMI
次元を超えて、全てを無に『カエスモノ』
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198 : ◆ExcednhXC2
:2007/12/05(水) 18:44:09.02 ID:4SlWwHr70
SAMURAI・ドクオと出会い、私の本当の運命が動き出す。
全ての軸を巡り、ぶつかり合う勢力。
その鍵を握るは、『HIMEGAMI ツン』
('A`)「全てを無にかえすつもりか……ツン!」
ξ゚听)ξはHIMEGAMIのようです
始まりの終わり
―了―
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