(-_-)ヒッキーと一枚の葉書のようです
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61 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:08:13.58 ID:NzIZuksX0
- 科学技術が発展してきた今の世の中・・・。
文章も手書きの時代からワープロの時代へと移り変わり、
送られてくる手紙に何か素っ気無さを感じたりした事はありませんか?
便利さと共に・・・何か大切なものを失った気がする・・・。
そんな事を思っているのは極少数の人たちだけかもしれません。
年賀状なども簡単にパソコンで作れるようになってしまいました。
しかし、手書きの何かであなたに少しでも何か良い思い出があるとすれば、
失った『何か』が分る気がします─────────────────────
(-_-)ヒッキーと一枚の葉書のようです
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63 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:09:10.91 ID:NzIZuksX0
- 此処は、ニュー速市内のとある郵便局。
(-_-)「なんだか・・・味が無いよね・・・」
もうすぐ新年を迎えると言う事だけあって、元旦に合わせて沢山の葉書が送られてきていた。
(-_-)「これも・・・これも・・・全部パソコンで作られた奴だ・・・」
隣で作業を手伝うシラネーヨ。
( ´ー`)「そりゃあ今の時代、手書きで葉書なんか面倒なだけだろ」
( ´ー`)「それに、便利な物が一杯ある・・・そんな世の中にお前は何が不満なんだ?」
(-_-)「不満は無いよ・・・便利な物は多いほど良いからね」
(-_-)「だけど・・・機械で作られた葉書って・・・素っ気無いよね・・・」
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65 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:10:42.31 ID:NzIZuksX0
- ( ´ー`)「まぁ、分らん事も無いな・・・」
(-_-)「少しだけでも良いから・・・手書きの文を入れたりして欲しいなぁ・・・」
( ´ー`)「まー・・・俺は少しぐらいは入れるけどね」
(-_-)「こんな葉書・・・送られてきても僕は嬉しくないね・・・」
( ´ー`)「まぁ、お前は嬉しくなかろうが、届くだけで嬉しい人もいる訳だな」
ある程度の束になった葉書をトントンと机の上で揃えて輪ゴムで包む。
( ´ー`)「ふぅー・・・終わった終わったと・・・」
(-_-)「ちょうどこっちも終了っと・・・」
( ´ー`)「おっと・・・こんな時間か終電に遅れちまうかも知れないな・・・急いで帰るか?」
(-_-)「あぁ・・・」
二人は会話をそこで一旦切り、自分の荷物をまとめて郵便局を出る。
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66 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:12:40.74 ID:NzIZuksX0
- 駅へ向かう途中も、街は便利な物で溢れていた。
車にテレビ、携帯電話、デジタルカメラ、ストーブ、クーラー、ゲーム・・・。
物を上げればきりがない。
(-_-)「ふふっ・・・火すら最初は知らなかった人間が・・・
此処まで知識を伸ばすとは誰が考えただろうね?」
( ´ー`)「誰も考えなかったさ・・・考えなかったからこそ・・・今の時代があるんじゃないのか?」
( ´ー`)「けど考えた奴がいるとしたら・・・お前の祖先だろうな?」
(-_-)「どうして・・・そう思う?」
( ´ー`)「突拍子の無い事ばかり言い出すからさ」
言えてるかもな・・・と苦笑いを浮かべながらヒッキーは空へ呟く。
( ´ー`)「もうすぐ新年か・・・休みが貰えて良かったよ・・・田舎に住んでるばあちゃんに会いにいけるわ」
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68 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:13:47.73 ID:NzIZuksX0
- 街は様々なイルミネーションで光り輝いていた。
ふと腕時計をみる。12月29日。午後21時48分。
(-_-)「予定は特に無いけど・・・休みはどうするかねぇ・・・っと」
( ´ー`)「お前も実家に帰ったらどうだ?」
(-_-)「向こうは歓迎してくれないんでね・・・今年は家で過ごすよ」
そうか・・・とシラネーヨは言った。
それからは駅で煙草を吹かしながら電車を待ち、自宅へと帰った。
自宅であるアパートへと到着し、自室へ向かう。
(-_-)「明日から休み・・・か・・・ゆっくりと年末年始を過ごしますかね・・・」
食事などを済ませてテレビを見ながらそう呟く。
特に面白い番組も無いな・・・新聞を見てそれを確認すると、テレビを消し、寝室へ。
そして夢の世界へと身を投げる。
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70 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:15:21.64 ID:NzIZuksX0
- 翌日、ヒッキーは何をするでも無く、家でテレビを見て、
近くのコンビニで購入した雑誌を読み漁りながらその日を終えた。
そして12月31日の大晦日を迎える。
テレビはどれもスペシャル番組で埋まっていて新年へのカウントダウンが始まっている。
しかし、ヒッキーはそのカウントが0になる前に既に夢の世界へと身を預けていた。
そして、いつも通りの朝で新年の元旦を向かえ、新年最初の言葉を放つ。
(-_-)「新年おめでとさん・・・」
仲間達は深夜から葉書配りが忙しかったろうなとしみじみと思う。
特に予定も無かったし仕事してても良かったかもな・・・などと考えながら布団を片付ける。
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72 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:16:22.46 ID:NzIZuksX0
- そして、郵便受けに挟まっている朝刊を取りに玄関へと向かう。
(-_-)「年賀状なんてうちには縁の無い話だねぇ・・・送る人もいないし・・・」
郵便受けから新聞を抜き取ると二枚の紙がひらひらと落ちた。
(-_-)「葉書・・・?僕宛てに来るなんて珍しいな・・・」
差出人を確認しながらテレビがある居間へと向かう。
一枚目はシラネーヨ。そう言えば前に年賀状を送るとか言っていた事を思い出す。
そして二枚目は・・・。
実家の父と母からの年賀状だった。
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73 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:17:48.92 ID:NzIZuksX0
- 実家を出る際に、一応住所書いた紙を置いてきた、
上京する事を許さなかった父と喧嘩し、勢いで出てきたのだ。
そして当然の如く実家とは音信不通の状態に・・・。
向こうから手紙が届くことも無ければ、こちらかも手紙を送る事は無かった。
(-_-)「今更・・・送ってくるんだね・・・」
ぶつぶつと文句を言いながらも、
母からの年賀状を捨てる訳にはいかず、葉書を裏返し裏面を確認する。
そこには・・・喧嘩した父と優しかった母の写真があった。
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74 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:18:33.36 ID:NzIZuksX0
- 父はブスッとした表情で、母は穏やかな笑顔でそこに写っていた。
そして、手書きで書かれた・・・『明けましておめでとう』と言う父の文字。
そばには小さく母の手書きの文が書かれてあった・・・。
『あなたが上京してもう5年が経ちますね。
時間の流れは早いもので私達二人はもうおじいさんとおばあさんになってしまいました。』
『父はなんだかんだ言いながらもあなたの事を心配しています。
いつでも良いので是非、顔を見せに帰ってきてください。それが私からの頼みでもあります。』
『元気に暮らしていますか?ちゃんとご飯は食べていますか?
あなたの口座へ少しお金を振り込んでおきました。お年玉と思ってもらってください。』
『あなたが元気で暮らしている事を祈っています。明けましておめでとう。母より』
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75 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:19:50.89 ID:NzIZuksX0
涙が止まらなかった。
勝手に家を出て何年も実家へ帰らなかった僕に、父と母は心配して手紙を出してくれた。
わざわざ僕の口座にお金まで振り込んでくれた。
それなのに僕は父や母へ何もしてやれなかった・・・そう思うと悔しくて涙が止まらなかった。
なんていう親不孝者なんだろう。
( ;_;)「父さん・・・母さん・・・」
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76 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:20:31.27 ID:NzIZuksX0
気づけば僕は、既に行動を起こしていた。
涙を拭き、ある程度の着替えをバックへと詰め込み、
電車の時間表を確認して、部屋の鍵を閉めアパートを出ていた。
左手には父と母からの年賀状がある。
そして右手には携帯。番号を打ち込み、耳へと当てる。
(-_-)「あ、もしもし母さん?ヒッキーだよ。うん・・・うん・・・明けましておめでとう・・・」
(-_-)「今からそっちへ帰るよ・・・うん・・・うん・・・父さんには黙ってて・・・驚かせたいからね・・・」
(-_-)「うん・・・うん・・・分った・・・夕方には着くと思うから・・・」
(-_-)「じゃあね・・・うん・・・ばいばい」
そして通話を終えて携帯を閉じポケットへ仕舞う。葉書も大事にバックへと入れる。
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80 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:21:51.37 ID:NzIZuksX0
- (-_-)「さぁて・・・何を渡しますかねぇ・・・」
途中、手ぶらで帰るのも悪いなと思い、
近くのデパートへと寄り、貯金を下ろし、お土産売り場へと向かう。
そして、しばらくデパート内で電車の時間帯まで時間をつぶす。
実家へと到着するまではあっという間だった。
実家の前で軽く深呼吸をして、インターホンを押す。
ピンポーンと言う音が響き、家の中から返事が聞こえる。それは、母の声だった。
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83 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:24:03.02 ID:NzIZuksX0
- ヒッキーの手には、父と母の大好物だったようかんとカステラの入っている袋が握られていた。
ガラガラガラ・・・と玄関のドアが開き、母が笑顔で迎えてくれた。
『お帰りなさい・・・』
そして僕は返事をする・・・。
(-_-)「うん・・・ただいま」
そして僕は、数年ぶりの実家へと入る。
父は驚いた顔をしていた。
そして、目にうっすらと涙を浮かべ、それでも笑いながら・・・
僕を・・・暖かく迎えてくれた────────────────────
(-_-)ヒッキーと一枚の葉書のようです 〜FIN〜
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84 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:25:39.62 ID:NzIZuksX0
- あとがき
4・50分で書いた作品なので誤字、脱字があるかもしれないです。
その点は謝罪しておきます。ごめんなさいです。
まぁ、作品の通りですが、機械の文章より、
人が書いた温かみのあるような文が僕は大好きです。
下手な字でも、その人の心が感じられれば十分じゃないでしょうか?
携帯などが復旧してメールなどで住む世の中ですが・・・。
手書きの葉書・・・何て言うのもたまには有りじゃないでしょうか?
つまらない作品ですが読んでくださった方ありがとうございました。
新人合作まだまだ続きます。
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88 :ニート ◆CH.NEET/..
:2007/12/07(金) 01:28:00.01 ID:NzIZuksX0
- 復旧じゃないね普及だね。あとがきで誤字は無しですね。
まだまだ新人合作続きますんで支援の方宜しくお願いします。
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