从'ー'从 オトナの階段を上るようです(-_-)共通部前半
「あふぁ・・・・・・駄目だよぅ・・・・・・」
長い黒髪を髪をベッドの上でかき乱して、少女がかすかに鳴く。
力なく頭を枕の上にもたせかけて。小さな唇で指を噛んで、潤みきった瞳で目前の男のことを見つめる。
服と下着を着たまま、男は陰茎だけをファスナから曝け出している。
上から覆いかぶさるようにして、男の指が弾力のある少女の乳房に触れる。
桜色に尖った先端の乳首を親指の腹でなぞるように撫で上げると、少女がまた声を漏らした。
形の良い胸は温かくて、それでも柔らかくて、淡雪のように溶け流れてしまいそうで。
愛しさがこみ上げてきて、男は唇のあいだから舌をのばして乳首を軽く舐めた。
唇で軽く咥えこむように力を入れてみる。
花の芽のようにこりこりした先端の感触をたっぷりと味わっていると、少女が声をあげた。
「やぁ……我慢できなくなるっ……」
抗議するようにそう言った少女の美しい瞳は、すでに蕩けていた。
ベッドの上にのばしていた指がぎゅっとシーツを掴む。
「声あげちゃ、駄目ですよ。外に聞こえちゃうかもしれないですよ?」
胸から唇を離すと、唾液の糸が乳首の上に垂れた。我慢して下さい、と男は囁くように耳元で告げて、
指先を静かに少女のお臍のあたりから下にむけてこぼしてゆく。
柔らかいシルクの感触。少女の身体がかすかにこわばって、太腿がきゅっと閉じる。
「や、やだ……下着の中に指、入れないでっ」
男はそのまま指先を進めていく。まだ毛も生えそろっていない少女の割れ目を触ると、温かい湿り気が感じられた。
「濡れてる・・・・・・感じちゃったんですね。ふふ、可愛いですよ」
締め切られた事務所ビルのカーテンの隙間から、糸のような陽光がこぼれている。
時刻はまだ昼下がり、表通りに面した窓からは車の音が聞こえてきていた。
濡れた少女の割れ目をかき分けて、探偵は人差し指の指先をゆっくりと沈める。
女の子の中は弾力があって、つるつるしてる。そして、耳たぶを触ったときのように柔らかい。
指先をかるく動かしただけなのに、少女が嬌声をあげるのが分かった。
男はゆっくりと擦り上げるように指を動かす。
割れ目の上部、上の方でぷっくりと膨らんだ小さな肉の粒を指先で探り当てて、艶やかに微笑む。
「ふふ、もっと気持ちよくなりたいでしょう?――――快楽の海に浸してあげますよ」
「あっ、ひっきぃ・・・・・・駄目っ……! ひぁっ! ひぁぁん!」
ぎゅっと肉の芽を握りつぶしたとき、涎を垂らしていた少女の唇からはっきりとした喘ぎ声が漏れた。
痛み。それにも増して快楽が、突きあげるように少女の形の良い胸を揺らす。
じわりと溢れてきた愛液が、少女の履いている下着を汚した。
「時間は、たっぷりありますから。のんびりとやりましょうね」
「や、やぁっ……!怖い、怖いよお・・・・・・!」
もう一度、男の指が少女の柔らかい部分を擦りあげる。
えずくような声が少女からあがる。だらしなく力が抜けた太腿を、汗のしずくがつたう。
指先で蜜がしたたる部分を責めながら、男は愛しそうに少女の耳元で囁いた。
「もうしばらくの我慢ですよ。だんだんと、気持ちよくなってきますから・・・・・・」
そう言った瞬間、部屋の扉がギィ、と軋みながらに後ろへと開いた。
从'ー'从「ヒッキー?いるー?」
(*-_-)「うっ・・・・・・!くぅっ!出る!」
从//ー//从「ふわわっ!」
/ | | |
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|ー | l ー- l
/⌒ヽ | | l l
l l | | | 0 |
| l | ー- | l⌒) - l
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| | | | |ノ l | ヽ
l _! | !__,! ‐ 一 | l ヽ、
/⌒ヽ l ‐ \ |, ノ⌒) () l 〉-‐ l
l〉 )ヽ、 ヽノ (ノO (ノ (つ ヽ、 | ノ) |
/ 人 ヽ、 (⌒) ヽノ (ノ |
l ヽ、\, )丿 / ノ/ o l
ヽ ノ \,/ / (ノ () ヽ l
\ / / (⌒ヽ |
ヽ、 / / l しノ |
ヽ、 / / | l
ヽ、 l /
ヽ、 | /
ヽ l /
(*-_-)「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・」
後ろで立っている少女にも気づかず、少年は果ててしまった。
手淫を行い、夢中で妄想を励んでいたので少女が現れたことに気づかない。
从*'ー'从「・・・・・・ごめんね〜。出て行くね〜」
(;-_-)「え・・・・・・?う、うわあ!わ、渡辺さん!?ど、どうして!?」
从*'ー'从「ちょっと用事があったの。それより『それ』隠さないでいいの〜?」
少女の指差す『それ』とは、少年のズボンのファスナから出てきている粗末な陰茎。
皮を被っており、亀頭がひょっこりと顔を出している。
少年はあわてて顔を背け、息子を下着の中へと戻し
顔を真っ赤にして、耳たぶまで赤色に染めながら椅子に腰掛けている。
あまりに唐突な状況に、動揺が隠せないまま、顔だけは冷静を保とうとしている。
从'ー'从「自慰行為をする時はちゃんと扉の前の表札に『使用中』とか書かないと駄目だよ〜」
(-_-)「そういう問題じゃないでしょう・・・・・・」
つぶやいた少年の胸の高鳴りはいまだ止まる気配がない。どくんどくんと脈動を続けている。
それに自分の妄想していた少女が目前にいるのだ。
ぱっちりと開かれているくりくりの目。
その目とは対照的に小柄で華奢な身体。大体150cmとあるかすらわからないほどに、小さい。
そして全体的に凹凸のない体つき。僕の脳内では勝手に豊乳はしていたが。
从*'ー'从「?じ〜っと見つめてどうしたのヒッキー?」
(;-_-)「い、いえ!なんでもありません!」
从'ー'从「ん〜?とりあえず、話あるから移動しよっか〜」
(-_-)「話ですか?・・・・・・わかりました」
立ち上がり、ティッシュで手をしっかり拭いて、更に洗面台で念入りに洗ってから、少女の後を追った。
事務所の依頼を聞く大広間――――とは言えども小さなものだが。
探偵の少女こと、渡辺は既にソファーにちょこん、と腰掛けていた。
両手を後ろで重ねた状態で少年は立ったまま少女がしゃべるの待つ。
从'ー'从「うん。それで話なんだけどね。『あの事件』の情報は掴めた〜?」
(-_-)「まず、新宿アルタ前で突然女性が公開自慰を始め、警察に逮捕された事件についてです」
从'ー'从「アレね。今思い返してみても奇妙な事件だね・・・・・・
どうしたんだろ。彼氏さんとかにでも一方的にふられちゃったのかなぁ」
(-_-)「いえ、違うみたいです。
被害者の女性は数日前から失踪しており、家族から捜索願が出されていたようです」
从'ー'从「ん〜? やっぱり彼氏とか男の人に捨てられちゃって淫行に走っちゃったってこと?」
(-_-)「・・・・・・人の話は最後まで聞いて下さい。さらに警察の取り調べに対して、女性は身に覚えがないと証言。
失踪する数時間前から、逮捕されるまでの記憶が全くないそうです」
从'ー'从「嘘ついてるんじゃないの〜?
あんな恥ずかしいことやっちゃったらそう言うしかないよ〜」
(-_-)「・・・・・・もういいです。次は児童番組の着ぐるみが番組の収録途中に幼女を襲おうとして、
逮捕された事件です」
从'ー'从「小さな女の子が好きでその性欲が暴発しちゃったんだね〜」
(-_-)「・・・・・・続けますね。あの中に入っている人は仮にもプロなんですよ。
普通に考えて、しかもテレビカメラが回っている前でそんなことをするなんて考えられません」
さらに、助手の少年は渡辺探偵に対して続ける。
(-_-)「やはり逮捕された彼も、スタジオの控え室で着ぐるみを着てからの記憶がないそうです。
気がついた時にはスタッフと、しょこたんに取り押さえられていたそうで……」
从'ー'从「うーん・・・・・・。記憶なき淫行罪かぁ」
彼女はそうつぶやいて、テレビのスイッチを付けた。
やっていたお昼のワイドショーは、ちょうど日本全国で多発している同様の犯罪について特集している。
从'ー'从「困ったなぁ。最近この手の事件が多すぎるよ。
そりゃ探偵の私としては、いっぱい事件があって仕事がたくさん来るから嬉しい限りなんだけど・・・・・・
こんな事件が続くのはやっぱり駄目だよ〜」
助手の少年が、疑わしそうに探偵のことを見つめる。
何か言おうと口を開こうとしたとき、ふいに探偵事務所の呼び鈴が鳴った。
(-_-)「あ、はーい。ただいまー」
少年は身なりを整える、社会の窓が開いていないかをしっかりと確認し、事務所の扉を開けた。
にこやかに微笑むと、それなりに受付のお兄さんだという感じはする。
(-_-)「お待たせしました。从'ー'从探偵事務所です。ご用件は何でしょうか?」
と言った少年は、思わずそこで凍りついた。
「あなた方に拒否権はありません。
ご同行願います。詳しくは移動中にて御話しますよ」
開かれた扉の先、そこには拳銃を片手にした黒服に身を包んだ男達で溢れていた。
その中でリーダー格と思える男が中央に一人仁王立ちし、二人へ銃口を向ける。
从;'ー'从「え、ちょっと」
「ふふ」
速射された銃弾を避ける術などなく、少年と少女へと直撃した。
枯れた声を漏らし、前屈みに身体を崩し、事務所の床に接吻したまま意識を失くした。
やがて二人は覚醒する。
連れ込まれたのは、おそらく山奥であろう場所の白い大きな施設。
ふとヒッキーは思い出した。ここはかつて訪れたのことのある研究所ではないだろうか。
おおよそ一般人が入ることも叶わない、幾重にも張り巡らされた厳重な警備網を抜けて、
探偵と助手を乗せたリムジンは施設の敷地の中を進んでいく。
やがて、リムジンが止まり、車から降りた二人を一人の初老の男が出迎えた。
博士「ようこそ、探偵くんと助手くん……。久しぶりだね」
(-_-)「お久しぶりです、博士」
助手の少年が挨拶をする。そして、
(-_-)「何故、麻酔銃を使うような強引な形で会うことにしたのですか?僕には理解し兼ねるのですが」
博士「少しばかり急を要する用事が出来てしまったんでね。
手荒な事をしてしまったと、反省はしているよ」
从'ー'从「こんな行為に及んだってことは、それ相応の用事があるってことだよね?」
博士「勿論。君たちを呼んだのは他でもない。他ならぬ探偵君に重要な任務を任せたいからなのだよ。
では、ついてきてくれるかね?」
案内されたのは、研究所の地下だった。
猛々しい獣の唸り声のような機械の駆動音が、部屋のあちこちから聞こえてくる。
二人はこの部屋に案内されるのは初めてだった。
少女は目をキラキラと光らせながら部屋を見渡していた。
从'ー'从「わわっ、あれってどんな機械なのかな〜?」
(-_-)「・・・・・・あまりはしゃぎ過ぎて転ばないで下さいよ。それに、遊びに来たわけじゃないんですから」
从'ー'从「それくらいわかってるよ!もう子供じゃないんだから・・・・・・わわわ!」
(-_-)「言ってるそばからこの人は・・・・・・」
盛大に鈍い音を立てて正面から倒れ、おでこをぶつけ、少し赤く腫らしている渡辺に半ば呆れつつ、
ヒッキーは手を差し伸べる。
从*'ー'从「・・・・・・ありがと〜」
彼女は差し出された手を握り返し「うんしょっ」と声を発しながら立ち上がる。
博士「ところで、助手君。私たちがここでどんな研究をしているのか、知っているかね?」
唐突に、博士が尋ねた。
三人は、白衣を着た研究員たちがせわしなく動き回っている巨大な機械のあいだを歩いている。
(-_-)「次世代エネルギーの研究開発、としか僕は知りません。官公庁のHPにもそうとしか
書かれていませんでしたし、ここでの研究はすべて国家機密のはずです」
ここが国家の研究機関である事は周知の事実だ。
ただ何が開発されているかは国家機密に指定され、さんざ情報規制されているので外部に漏れる事はない。
そんな場所に何故渡辺とヒッキーのような民間人が入れるのか。
それはつまり、渡辺の父親が関係しているのである。
博士「そうだ。しかしそれは表向き。実際はもう少し危険な、世界そのものを飲み込みかねないものを研究していた」
(;-_-)「どういうことですか・・・・・・」
『危険』『世界そのものを飲み込みかねない』
その明らかに危うい発言に、少年は表情を曇らせる。
博士「例えば……そう、記憶を編集、改竄するような装置をね。
もっともあれは、数度の実験が行われただけで」
(;-_-)「・・・・・・」
こともなげに博士はそう言うが、実験が人体を使って行われたとすれば、そこに問題は生じないのだろうか……
博士「これは、私の研究ではない。あの男・・・・・・いや、今はまだこれ以上知らなくていい。何より知る必要はない。
それよりも、今は違うことを知っておいて欲しい。
我々がここで、核動力に変わる新たなエネルギー供給システム、
”DAT”を開発、研究していたということを」
从'ー'从「・・・・・・研究していた?あれ、それってどうゆうこと?」
違和感を覚えた渡辺が尋ねる。
何故か、研究していることが今はそうではないとでも言いたげな博士の口調に、不審を抱いたのだ。
博士「そう、研究していた。詳しい原理は説明しないが、”DAT”とは、無から有を生み出すことができる
究極の永久機関だった・・・・・・その原理を提唱したのは、ここで私と肩を並べて研究していた、
探偵君、君のお父上だ」
从'ー'从「お父さん……」
どこか感慨げに渡辺は呟いた。
父がここで働いていたが故、渡辺はここへの立ち入りが許される。
コレまでも何度か足を運んできた。そのたびに変わる種々の装置にいちいち興味を示していた物である。
ただ今回はなぜか逼迫しているため、そういうわけにもいかない。
博士「我々が存在しているこの宇宙には、無数のパラレルワールドが存在していると言う話を、
君たちも聞いたことがあるだろう?」
(-_-)「多元宇宙論ってやつですね。博士、あなたの専門の」
博士「そうだ。”DAT”とは、無数に存在する平行世界の事象に干渉し、そこからエネルギーを
得ようという試みだった」
(-_-)「僕には夢物語だとしか聞こえませんが……」
呆れたように、助手の少年が言う。
博士「だが、エネルギーを発生させるマザーシステムそのものは三年前に完成している。 あれを見るといい」
そう言って、博士が指さした先には、巨大な透明の筒のような機械が安置されていた。
筒の中心には青白い球体のようなものが浮かんでいた。
だが、起動している様子はない。ただ停止したままである。
博士「信じられないような話だとは思うが、あれを稼働させれば中型の原子炉10個分に相当するエネルギーを、
半永久的に供給し続ける事が出来る。初動に必要な、
わずかなバッテリーのエネルギーを除けば、文字通り無から有を作り出す」
从'ー'从「うーんと、確か三年前に、この機械は完成したんだよね」
渡辺が、博士の方に振り向いた。
从'ー'从「お父さんが失踪したのも……三年前だった」
博士「君のお父さんはこのDATを完成させた直後に消えた。
一瞬だけDATを起動させ、その力で別世界へと移動したのだろう。
おそらく、誰にも邪魔されずに研究を続けるため……」
(-_-)「なぜ、そんな必要が……」
博士「あの男は頭がよすぎたんだよ。他の人間の愚かさに辟易していたに違いない。
先の記憶改竄システムも、このDATも、基礎理論を組み立てたのは全て彼なんだ」
博士はそう、吐き捨てるように言った。どこか恨みがましくさえ聞こえた。
それは、研究者としてのプライドを捨てた渡辺の父に対する怒りか、
或いは単純な嫉妬なのか。
从'ー'从「……じゃあ、お父さんは別のところで新たなDATのマザーシステムを起動させてるのかな」
(-_-)「どういうことです?」
博士「淫行事件だよ。
このDATは性行為によって発せられるリビドーのエネルギー……所謂エロエナジーを吸収するんだ。
……無論、隣の世界からとはいえ、そこには倫理的問題が発生してしまう。
だからこの装置は、完成はした物の使われる事はないと思われた。
君のお父さんが別世界へ離脱した主たる理由の一つだろうね」
せっかく開発したシステムが使われない。
天賦の才を持つ渡辺父にとっては、屈辱だったに違いない。
記憶改竄システムのことも考えれば、二度目なのだ。
从'ー'从「だからお父さんは、別世界でもう一つのDAT-DRIVEを開発し、
この世界からエネルギーを吸い上げている……」
博士「そう考えるのが妥当だろうね」
博士が頷く。ようやくヒッキーにも、朧気ながら全容が見え始めた。
渡辺は宙を見据え、何かを考えている。そのうちに、博士は更に言葉を紡いだ。
博士「そこで、君たちに来て貰ったのは、だ。
別世界にいる君のお父さんを止めて貰いたいんだよ」
(;-_-)「え……いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。
僕らみたいなただのしがない高校生に任せるなんて、負担が大きすぎやしませんか?」
博士「そう思うよ。だが、君たちに任さざるをえないんだ」
从'ー'从「どういうこと?」
博士が、ポケットから携帯電話サイズの何かを取り出す。
手渡された渡辺がじっくりと眺める。
真ん中にスイッチが一つ。それを囲むのは不可解な、文字のような物の羅列。
博士「それはDATの影響を受けている世界を移動する事が出来る装置。
通称DATドライブだ。それを使い、各世界を巡ってエロエナジー吸収装置……ジェネレーターを破壊して欲しい」
从'ー'从「……」
渡辺が訝しげに博士を見る。
まだ答えを聞いていない、とでも言いたげに。
博士「……言いにくいことなのだが、これを起動させる事は、探偵君、君にしかできないんだよ」
从'ー'从「ふぇ……?」
博士「移動装置にも波長という物がある。
これが人によって異なってくるので厄介なのだが……
君のお父さんが起動させているDAT、およびそのジェネレーターの発する波長と、
君の持つ固有の波長がぴったり一致するんだ」
从'ー'从「なんで……?」
博士「さあ。私にはわからない。だがもしかしたら、お父さんは君を呼んでいるのかも知れない……」
真意は定かでない。だが、父が本当に呼んでいるとすれば……。
从'ー'从「行かないと」
父親に会うために。
父親は元々、あまり家には帰ってこなかった。だが、それでも幼少期の少女はなんだかんだで好きだった。まだ幼かったからかもしれない。
帰ってきたら、仕事でもやってる機械弄りを少女にも一緒にやるように勧めてくる。
いかに拒否しても無理矢理にでもやらせてきた。それでも、楽しかった。それでも好きだった。
無邪気に笑う肉親の、あの笑顔が。
だが、失踪した。三年前、雨の日のことだ。
降り続く雨の中、時刻が丁度三時を回る頃、事務所のドアを大きな音を立てて父親は帰ってきた。
ずぶ濡れの姿のまま、事務所の机に荒々と茶色の鞄を置き
少女ににこやかな笑顔を見せて、また外へ出て行った。
それから今にかけて帰ってきてない。
この研究をして成功させたから帰ってこなかった。すべて、辻褄が合ってしまう。
あの笑顔も、果たして偽りだったのだろうか。
我が子より、研究、自分の野望の方が大事ということだったのだろうか。
少女は思う。
・・・・・・本当にそうなのだろうか、と。きっと何か、裏があるに違いない。
だから、それを聞かなきゃならない。父親に逃亡した理由を聞かなくてはならない。
なぜなら、私のお父さんは、優しくて、賢くて、とても偉大なのだから。
(-_-)「渡辺さん?」
从;'ー'从「・・・・・・ふ、ふぇっ!? なに!? 」
(-_-)「いえ・・・・・・ただ、少しいつも以上にぼうっとしていたので・・・・・・」
少し、自分の世界に入り過ぎていた。忘れることが出来ない。
あの時の笑顔を。あの時の無邪気な大人の姿を。
だが、今は思い耽っている場合じゃない。目の前の事件を解決させなくてはならないのだから。
从;'ー'从「あ、うんごめんね。それで・・・・・・あれ?なんだっけ」
博士「しっかり頼むよ。世界の危機なのだよ?
ヒッキー君。彼女をよろしく頼むよ」
(;-_-)「僕も・・・・・・ですか?」
从;'ー'从「え? ヒッキーも? なんで? 」
探偵の少女は助手の少年を指さす。
(;-_-)「……いやあの、渡辺さん。何もそんなに嫌がらなくても」
从'ー'从「だって、ヒッキー危ない目に遭っちゃうかもしれないんだよ〜?」
博士「この移動装置の性能はさほど優れていない。
探偵君と、せいぜい後一人を運ぶのがやっとといったところだ。
その際、最も便りになるのは……助手君、キミだと、私は思うんだがね」
(-_-)「……」
博士「必要なのは力ではない、卓越した頭脳でも、おそらく無いだろう。
この場合求められるのは協力者……団結力というものではないかね」
博士の目がヒッキーを捉えている。
彼は俯き加減で逡巡し、やがて答えた。
(-_-)「わかりました」
从'ー'从「え、いいのー? 危ないかも……」
(-_-)「大丈夫ですよ。それに、渡辺さんを一人にしておくほうが数百倍、主に精神的に支障を来します」
从'ー'从「むー」
渡辺がふくれ面を見せ、やがて小さく微笑む。
从'ー'从「頼りにしてるよ〜?」
(-_-)「任されましょう、一応」
博士「それじゃあ早速だけど、行ってくれるかい?」
从'ー'从「はい!」
博士に指示され、渡辺とヒッキーが手を繋ぐ。
もう一方の手を使い、渡辺は少し震えながらDATドライブのスイッチを押した。
途端、世界が暗転、反転し、白色に染まっていく。
次の瞬間、もうその研究施設から彼ら二人の姿は完全に消失してしまっていた
研究員A「博士」
博士「うん?」
研究員A「なぜ、あの二人はここに入る事ができるんです?
ここは国家機密の最たる場所。我々研究員の自由さえ保障されていないというのに」
博士「……そうだな」
博士「なぜだと思う?」
(共通前半 終わり)
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