( ^ω^)ブーン小説作家のようです 前編 戻る
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 14:45:31.74 ID:XcT7i+xA0

「乙!」
「乙でした!続きwktk」

( ^ω^)「ぶひひ。愚民共の声援が心地よいお」

彼の名はブーン。
大学を中退し、ネット小説であるブーン系小説に没頭しているブーン系廃人である。

( ^ω^)「さて、22話の執筆しないと。ふー、大御所も楽じゃないお」

彼の作品、ブーンはアドレイバーのようです、は独自の設定と魅力的な世界観で、
いわゆる大御所と言われるポジションに位置する作品であった。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 14:49:21.01 ID:XcT7i+xA0

そして、彼の名(トリップ)もネームバリューがつき、彼の書く作品に外れなし、と言われるようになっていた。

( ^ω^)「うん? 今日も某スレが立ってるお。どうせラドンが僕の作品叩いてるおねww」

ブーンなようです

「アドレイバーつまんね。gdgd」
「嫉妬乙」
「信者乙 作者さんですか?」

( ^ω^)「相変わらずカオスだお」

そこに書き込まれているのは、読者を装ったアンチから信者、純粋な読者。
暇つぶしに書き込んでいる空気作者から、作者を装った叩き厨と、ロクでもない面々の暇つぶしであった。

( ^ω^)「まー、僕は馴れ合いもしねーし作品の質で勝負だおwwwうめぇww」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 14:51:31.66 ID:XcT7i+xA0

( ^ω^)「さて、今日のスケジュールは、と」

8時 起床 朝飯
8時30分〜 執筆
13時 昼ごはん 休憩
14時 執筆
18時 晩御飯 まとめサイト巡回 執筆
21時 投下 執筆
1時 今日の某スレ確認
3時 就寝


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 14:54:30.09 ID:XcT7i+xA0

( ^ω^)「いつも通りはりきっていくかお」

ブーンは一日の大半をブーン系小説にささげていた。
金になる訳でもない。出版されて映画化(笑)されるわけでもない。

しかし、自分の書いた作品が即座に評価されるブーン系小説は、彼にとっては何よりも魅力的であった。

( ^ω^)「投下します」

「ktkrwwww」
「待ってました!!」
「支援!」

こんな生活を始めて、もう2年になる。
2年。大御所といわれるまでに、辛く、厳しい下積み時代があった。

ブーンはまったりと投下をしながら、今までの苦労を思い出していた。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 14:57:32.26 ID:XcT7i+xA0

デビュー当時。総合時代。

( ^ω^)「いよいよ総合を旅立つお! 皆、応援してくれお!」

「おk!がんばれー!」
「期待」

( ^ω^)「いざ、スレ立て投下だお!」

……

( ^ω^)「あ、あれ? 支援のレスがつかないお」

(;^ω^)「投下が終わっても、乙があんまりつかない……
      まとめサイトもこないお」

「つまんね」

(;^ω^)「エ……」

そのまま、スレは沈んでいき、まるで何も無かったかのようにdat落ちした。

ブーンは、震えが止まらなかった。
苦労して書き上げた一話は、読者もまとめもつくことなく終わったのだ。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:01:19.61 ID:XcT7i+xA0

(;^ω^)「なんでだお、総合では乙とか支援とかあったのに……!」

悔しかった。
ブーンには、何故人気が出なかったのか、その理由がわからなかった。

再び総合に戻っても、某スレといわれる雑談所(当時のブーンはそういう認識であった)で自演しても
全てスルーされた。というか、誰もそんな作品の事など覚えていなかったのだ。

(  ω )「僕の作品のどこがダメなんだお……」

ブーンは、自分の作品を見直し、しばし苦悩した。
自分なりによく出来た、そう思っていた。
しかし、甘かった。甘すぎる考えだった。

ブーンはその日から、人気作品から話題になっている作品を、まとめサイトを巡り
がむしゃらに研究した。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:06:11.52 ID:XcT7i+xA0

( ^ω^)「この作品は地の文を短くまとめてるお。
       表現を二重三重も重ねてないから読みやすいお」

( ^ω^)「このキャラの割り振りはうまいお。キャラが人間味に溢れてるお」

( ^ω^)「行数の空け方は……うーん、この作品の軸となっているテーマは……」

元々、理系の大学で研究をしていたブーンにとって、作品分析は苦にはならなかった。
人気作品のプロットを独自に作ってみたり、キャラの割り振りとAAそれぞれの性格の読解。
また、漫画や、一般小説、小説創作ハウツー本などからもヒントを得た。

( ^ω^)「結局、お話を作るんだから漫画やアニメ、ゲームと通じる所があるお」

こうして、試作品を時々総合に投下しながら、3ヶ月の月日が流れた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:09:40.47 ID:XcT7i+xA0

J( 'ー`)し「ブーン、大学から何か手紙がきてるわよ。
      最近、学校にも行ってないけど大丈夫なの?」

(#^ω^)「あー、これをこうやって……違う、違うおおおおおお!!!」

J( 'ー`)し 「ブーン……」

(#^ω^)「うるせぇクソ婆!! 僕は今、研究の真っ最中なんだおおおおお!!!
       出ていけぇえぇっぇぇええええ!!!」

ブーンはうまく書けないストレスを、母親にぶつける事もあった。
そんな時、母親は悲しそうな目をして、部屋をそっと出て行ったものである。

(;^ω^)「お? 待てお、この設定にこの型を使えば……」

足元に散らばったレポート用紙を手に取り、思考する。
ブーンはあらゆる漫画やアニメ、ブーン系小説の「型」を取り、最上の組み合わせを探していた。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:13:02.08 ID:XcT7i+xA0

(  ω )「何だお……頭の中に世界が出来上がっていくお」

それは突然の出来事であった。
浮かび上がった設定が、どんどん頭の中で広がっていく。

( ^ω^)「こ、これは早く文にしてみるお!!」

ブーンはワードを開き、慣れた手つきでキーボードを打つ。
今までとは違う感覚。頭の中に、どんどんストーリーが構築されていく。

大雑把に浮かんでいるそれを、ブーンはプロット(骨組み)にし整理していった。

信じられないほどの集中力。そして、筆の進み。

ブーンは朝方まで、頭の中に出来たプロットを文にする作業に没頭した。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:17:26.06 ID:XcT7i+xA0

( ^ω^)「プロットと一話が出来たお……。こ、これは素晴らしいお。
      今までとは明らかに手ごたえが違うお」

出来上がった作品は、50話を超えるであろう大作のプロットであった。
これが、後に彼の代表作となる、ブーンはアドレイバーのようですである。

( ^ω^)「書き溜めるお……これほどの大作はじっくり作るお」

ブーンはそう判断し、投下したい欲求を抑えながら書き溜め作業を始めた。
どんな人間でも、出来あがった地点まで見せたい、公表したいという欲を持っている。

しかし、公表してしまえば、すなわち取り返しはつかない。
後になって矛盾に気付いても、やりなおせないのだ。

書き溜めしておけば、書き直しは出来るし、精神的にも余裕が生まれる。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:19:41.60 ID:XcT7i+xA0

(;^ω^)「あ、大学のレポート全然やってないお……」

ふと、リアルの事が頭に浮かぶ。
そろそろ大学の方にも行かないと単位が危うい。

しかし、今、頭に浮かんでいる構想を文にしなければ、一生後悔する。
そんな悟りが、ブーンの頭をよぎった。

( ^ω^)「今はそれどころじゃないお。この大作を待っている皆のために。
       そして、自分が納得するために、今はこの作品に全てを打ち込むお!!」


それから、ブーンの辛い執筆地獄が始まった。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:23:45.49 ID:XcT7i+xA0

一日のうち、15時間を作品の執筆にあてる。
トイレ、風呂、飯。
そういった最低限の行為以外は、全て排除し、執筆に当たった。

(;゚ω゚)「うあああああ!!! 思いつかないもう投下したいおおおおおおお!!!!
      乙を! 支援をクレオオオオオオ!!感想をくれおおおおおお!!!」

書き溜め中、何度もそういった病に精神が犯されることがあった。
某スレを見れば、人気作品の話題で持ちきり。
有望な新人がいない、と嘆いている。

ここに、最高の作品がある。
それを、示してやりたかった。今すぐにでも、VIPに投下して彼らの度肝を抜かしてやりたかった。

しかし、ブーンは20話まで書き溜めを終えてから投下する、と強く心に決めていた。

(;゚ω゚)「某スレやまとめサイトはダメだお。意欲を削られるから、禁止するお」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:26:01.86 ID:XcT7i+xA0

日に日に、指が痛くなった。
目は充血し、目薬が必須アイテムとなった。
お腹がゆるくなって、何度も腹痛に悩まされた。
腰が痛くなった。猫背になった。髪がぼさぼさになった。

そして、執筆開始から約1ヶ月半。

( ^ω^)「つ、ついに20話まで完成したお……」

彼は、ついに自分の中の第一の目標を成し遂げた。
このとき、すでに大学の留年にリーチがかかっていたことを、彼は知る由も無い。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:28:16.71 ID:XcT7i+xA0

(;^ω^)「い、いざ投下だお……」

この時、ブーンは最後の見直しを行った。
誤字脱字は無いか。テンポは丁度いいか。

そうやって見直しているうちに、不安が襲い掛かってくる。

(;^ω^)「本当にこれ面白いのかお? もしかして、凄くつまらないんじゃ……」

読み直す度に、その思いは強くなっていった。
しかし、今更後戻りは出来ない。

ブーンは、震える手でスレを立て、投下の準備へと入った。



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:31:20.56 ID:XcT7i+xA0

書き溜めの一話分を、震えながらコピペして投下していく。
途中、三十行オーバーで、何度もコピペをやり直した。

ちらほらと、支援が目に入るが、ブーンはあえてそれを見ないようにした。

(;^ω^)「早く投下終わらせて逃げ出したいお」

そして、1時間後。
一話分を投下し終えたブーンは、逃げるように「これで一話終了です」と書き込み、
ベットへ飛び込んだ。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:34:44.80 ID:XcT7i+xA0

(;゚ω゚)「あー、きっと乙もつかずにdat行きだお。知らないお。
     ブーンは知らないおー全然関係ないおー」

ぶつぶつと呟きながら、自分に言い訳を重ねる。
十分、いやニ十分経った頃だろうか。

ようやく落ち着きを取り戻したブーンは、意を決して自分のスレをリロードした。

( ^ω^)「……お?」

そこに並んでいたのは――――

「乙」
「なかなかいい」
「これは期待できる」
「まとめてもいいですか。いいですね。まとめます」

( ^ω^)「な、なんと」

意外と好評だった。しかも、まとめサイトまで食いついている。
――――なんだ、意外と面白かったのか。

( ^ω^)「やった、やったお!!」

ブーンはこの時、はじめて努力が報われる嬉しさという物をブーン系小説で学んだ。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:38:45.99 ID:XcT7i+xA0

それから1週間。
ブーンは書き溜めをしつつ、投下を続けた。

最初は4,5個であった乙や支援も、回を増すごとに増えていき、十話が終わる頃には
絵師もつき、新作のなかで一番人気となっていた。

( ^ω^)「これはいけるお! もっともっと書き溜めるお!」

有頂天になり、どんどん書き溜めるブーン。
しかし、その様子を、不機嫌そうな心持で見守る男が、ネット上に存在していた。


('A`)「気にいらねぇな」

ドクオ・アルドルフ(ペンネーム)
ブーン系に没頭するも、中堅止まり、又はそれ以下と言われ、今や空気と化した作者である。
某スレに在住し、PCと四つの携帯を駆使し叩きや自演をするラドンである。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:42:08.18 ID:XcT7i+xA0

('A`)「俺より目立つ奴は、潰しておかないとな」

ドクオはそう言うや否や、行動を開始した。
スレ一覧に表示された、ブーンはアドレイバーのようです、というスレ。

('A`)「さて、はじめるか」

彼の行った行動とは……


ドクオ「それより味噌汁の話しようぜ」
ドクオ「関係ない話すんな、氏ね」
ドクオ「あ?殺すぞコラ」
「ミルナの境遇が俺に似てるわ。俺もばーちゃんしんだ」
ドクオ「まじで? 俺もだー」
「関係ない話すんな。黙って支援」


(;^ω^)「な、なんか全然関係ない雑談されてるお」

自作自演の雑談であった。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:46:30.34 ID:XcT7i+xA0

「いい加減自重」
「IDNGうめぇwww透明支援wwww」
ドクオ「この話の面白さがわからない。仮面ライダーのパクりだろ?」
「はいはいアンチ乙」
ドクオ「作者に逆らう奴は消えろ。この作品最高だろ。他のは糞」
「信者きめぇwww」

(;^ω^)「な、なんか喧嘩になってるお。
       てか誰も僕の作品読んでないのかお……?」

('A`)「クハハハハ! 早速、アンチと信者が食いついてきやがった」


彼の常勝手段。
それは、信者とアンチによる抗争を起こす事であった。

人気作品には、信者と呼ばれる、その作品の熱狂的なファンが存在する。
対し、その人気がわからず、その作品をけなすアンチという存在もまた存在するのだ。

信者とアンチ。
水と油のような関係の彼らがぶつかれば、当然、スレは荒れる。
そこをドクオ・アルドルフは、自演を使ってうまく煽ったのだ。

民族戦争。ゲームハード戦争。こういった事態は、どの世界でも起こりうるのである。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:50:30.45 ID:XcT7i+xA0

彼は今までありとあらゆる作者を潰してきた。

馴れ合いの強かった新人作者に対しては、某スレで

ドクオ「新人の剣と魔術うざくね? 馴れ合いすぎだろ」
「アンチ乙。面白いの書いてからそういうの言えよ」
ドクオ「剣と魔術の作者さん乙です!!」
ドクオ「今立ってる糞スレも剣と魔術じゃねーの? 受けないからって逆切れ笑」
ドクオ「三日更新してない。こりゃ逃亡だな」
ドクオ「どうも、剣と魔術です。何か質問ある?」


剣と魔術「いい加減にしてください。僕はそんなこと言ってません」


('A`)「まんまと引っかかったか」


餌をまき、後はなるようになるだけである。
某スレというものは、一度流れが傾くと、もう止まらない。
暴走した群集は、ある事無い事でっちあげ、叩きまくるのだ。




72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:53:13.41 ID:XcT7i+xA0

「某スレに出てくんなよ」
「剣と魔術ねーわ……もう読まない」
ドクオ「作者が人間として終わってんな。もう書かなくていいよ」

('A`)「ハハハ!! 愉快愉快!」

以後、剣と魔術の更新は途絶え、作者は消えていった。

ドクオは、こういった行為を楽しみを覚えていた。
いつしか、彼にとってのブーン系は、某スレで世論を揺らす事のみになっていた。



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 15:57:42.90 ID:XcT7i+xA0

……

(;^ω^)「くうぅ……雑談が酷いお。おまけに荒らしもでてるお。
       これじゃ普通に読んでる読者さんがかわいそうだお」

投下を終えても、論争は終わる気配を見せない。
ブーンは意を決して、忠告を書き込んだ。

ブーン「雑談や予想は、読者さんの楽しみが減るのでやめてください」

( ^ω^)「これで収まるかお……」

しかし、この発言は、火に油を注ぐ結果となる。

('A`)「……餌に引っかかったな」

ドクオ「上から目線の作者ウザ」
「は? じゃあお前書いてみろよwww」
ドクオ「はいはい信者乙。作者がうざすぎてやってられんわ^^;
    この前も某スレで暴言はいてたよな? ID調べたから知ってるし」

(;^ω^)「なんのことだお? 暴言なんてはいてないお」

しかし、ドクオの攻撃は止まらない。

ドクオ「これがその発言のコピペ」

('A`)「ふ、某スレのIDを摩り替えただけのコピペだが、厨房はこれで十分信用するはずだ」


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:01:12.36 ID:XcT7i+xA0

「これは酷い」
「作者ねーよwwwww」
「待て、俺は作者を信用している。こんな発言はない」
「お前ら馬鹿か? 偽造にきまってんだろ」
ドクオ「どっちにしろつまらん。まとめサイトから消えろ」
「お前らいい加減にしろ」

スレは激しく混乱し、どんどんスレが伸びていく。
不確定な情報に読者は混乱し、もはやカオス過ぎる状態となっていた。

(;^ω^)「なんなんだお。クソ、とりあえず否定しておくお!」

ブーン「僕はそんな発言した覚えはありません」
ドクオ「作者まだ見てたんすかwwwww気になって仕方ないんすかwwww」
「ほら、作者がそういってんだろ!!」
「最近天狗になってんじゃねえの?」


勢いは、止まらない。

まさに、ドクオの描いた通りのシナリオに事は運んでいた。


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:05:03.84 ID:XcT7i+xA0

(´・ω・`)「これは大変だ……」

斉藤ショボン。
中学二年生でヴィッパーである彼は、最近見つけたブーン系小説を読むのが日課になっていた。

そして、アドレイバーの熱心な読者……信者でもあった。

(´・ω・`)「作者さんのために、何とかしないと」

ショボンは携帯を取り出し、メールを打つ。
送信した先は、ショボンのオタ仲間である。

(´・ω・`)「頼む、皆、援護してくれ」

「わかった!」


そこから、ショボンとオタ仲間による壮大な援護が始まる。
スレはもはや、800番まで達していた。


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:08:29.19 ID:XcT7i+xA0

('A`)「チッ! 信者の動きが激しくなってきたな」

本スレだけに納まらず、某スレにもその話題は飛び火していた。

「アドレイバーの作者かわいそす」
「まとめサイトに直接送ったほうがいいだろアレ」
ドクオ「隔離作品だな。ブーン系の恥さらし」
ショボン「面白い物は面白い。面白いが正義。読者は支援だけしようよ」

('A`)「この即レス……何か後ろで動いてやがるな」

ドクオは長年の勘で、その空気を察知した。
信者が多すぎる。
それも、ただの馬鹿な信者ではない。

巧みに客観性を持ち、かつ流れを分散させようとする発言。

('A`)「……ハハハハハ!! 久々に楽しい夜になりそうじゃねえか!」

ドクオは携帯とPCを同時に操作し、笑いながら情報操作を続けた。


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:12:30.75 ID:XcT7i+xA0

……



朝になった。
結局、某スレも本スレも1000まで達し、一端の決着はついた。

(;´・ω・`)「ハァハァ……徹夜してしまった」

(;'A`)「クソッ! 最後は猫耳萌えの流れに押し流されたか。餌が足りなかったな」

(;^ω^)「うう……もう投下怖いお。あんな流れの中で投下なんて出来ないお」


ブーンは初めての荒らしという経験に、心底疲れきっていた。
今までは、荒らしといっても規模が小さく、スルーするのも容易であった。
しかし、今は沢山の人の思想が絡まりあい、衝突している。

自治しようとする者。反発する者。ただ叩きたいだけの者。意味不明の言葉を羅列する者。

統率を失った群集は、全てを混沌へと誘う最悪の読者と化していた。



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:15:31.39 ID:XcT7i+xA0

その日の書き溜めは、あまり進まなかった。
心なしか、食欲もわかず、ブーンはボロボロの体で投下時刻を迎えてしまった。

(;^ω^)「待ってる人がいるお。投下しないと……」

ブーンはスレを立てる。
同時に、あらゆる人々がそのスレに集まってきた。

('A`)「来たか」

(´・ω・`)「キター!!!」

某スレ
「きたぞー!!!」
「毎日頑張るなあ」

他作品スレ
ドクオ「あの作品見てくるので支援やめますね^^」
作者→( ・∀・)「……」


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:18:54.03 ID:XcT7i+xA0

――――その日の本スレは、まさに紛争地帯であった。

「小僧寿司チェーンの話しようぜwwwww」
「ktkr!!リアルタイム支援!!」
「つまんねつまんねつまんねつまんね」
ドクオ「つまらないなら見なきゃいいのに。池沼ですか?」
ショボン「男は黙って支援」

某スレ

「俺、空気作者だけど空気でよかったー」
「負け惜しみ乙」
「いや、あの空気はねーわ……」
「粘着がわいてるな。彫れ薬か?」


そのスレの勢いはとどまる所を知らず、VIP内でも上位に達するほどの速さでスレを消費していった。

(;^ω^)「ああああ!! 雑談うぜえええええ!!!
       これ投下してる意味あるのかお!?」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:20:59.07 ID:XcT7i+xA0

日に日に加熱していく論争。
某スレを巻き込み、加熱していく荒らしに、とうとうブーンの心が――――折れた。


( ^ω^)「もう……しばらく投下はやめるお。
       こんな状況で投下しても、誰も楽しめないお」


休止宣言を、出したのだ。


(;´・ω・`)「そ、そんな」

( ・∀・)「……」



('A`)


('∀`)「ふ、ふふふ……ハーッハハハハハ!!いひひひひっひゃアアア!!!」


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/06(日) 16:24:52.66 ID:XcT7i+xA0

(  ω )「……」

ブーンはそれから書き溜めもやめ、しばらくベットで呆然としていた。

何のために、作品を書いていたんだろう。
何のために、あんなに苦労して書いていたんだ。

結果として生まれたのは、読者同士の憎しみ合い、潰し合いじゃないか。

(  ω )「おー……」

僕はただ、ちやほやされたかったんだ。
自分の書いた妄想を、ただ楽しんでもらいたかった。
そして、一銭の得にもならない自己満足に浸りたかっただけなのに。

(  ω )「他の平和な作品がうらやましいお」

今では、たとえ少なくとも、支援と乙だけの平和なスレがうらやましく見えた。
純粋に、書くほうも読むほうも楽しむ、あの空間が。







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