ある日の事です。
(*゚ー゚)「王様、買い出しに行ってきますね」
( ^ω^)「行ってくるお」
<ヽ`∀´>「王様、キムチの材料買ってくるニダ」
( ^ω^)「行ってくるお」
(´・ω・`)「王様、僕も買い出しに行ってきます」
( ^ω^)「行ってくるお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「お城って、もっとこう」
( ^ω^)「買いに行くんじゃなくて」
( ^ω^)「確か商人とかが…」
( ゚ω゚)「そうだお!全然商人とかがこの城きてないお!」
(;^ω^)「ぬかったお!」
(;^ω^)「こうなったら一流の商人を捕まえてコキ使ってやるおおお!」
(;^ω^)「……」
(;^ω^)「と、とりあえず探しに町にいくお」
その4
商人の話
ダイオードは商人です。
西から東、南から北、
注文があればどこへだって行きました。
/ ゚、。 /「はい、ご注文の物を2キロね」
「ありがとう商人さん!」
/*゚、。 /「いえいえ」
あの町この町、
色々な町でかけられる「ありがとう」がダイオードは大好きでした。
「ダイオードさん!ダイオードさん!」
/ ゚、。 /「ん?」
l从・∀・ノ!リ人「こんにちはなのじゃー」
/ ゚、。 /「こんにちは」
ある日、一人の少女に声をかけられました。
少女はいいます。
l从・∀・ノ!リ人「私もダイオードさんみたいに笑顔を届けたいのじゃ!」
/*゚、。 /「照れるな」
l从・∀・ノ!リ人「私も商人になるのじゃ!」
嬉しいことです。
ダイオードはなんだか暖かい気持ちになりました。
/*゚、。 /(笑顔を届ける、か)
帰り道で少女の言葉を思い出します。
その度にダイオードの顔には微笑が浮かびました。
/*゚、。 /(ずっとこんな毎日ならいいな)
そう、ぼんやりと思いました。
けれども不穏な気配がありました。
/ ゚、。 /「槍、ですか」
「ああ槍だ!沢山頼むよ!」
/ ゚、。 /「一体なんのために…」
「なあに、ちょっと城の警備を強くするだけだよ!」
/ ゚、。 /「……そうですか」
始めは西のお城の注文でした。
ダイオードはその要望に応えます。
それが商人の仕事だから。
次は東のお城です。
/ ゚、。 /「弓矢、ですか?」
「ああ!弓矢さ!とびきり精度の良いものを頼むよ!」
/ ゚、。 /「一体どうして…」
「なあに!城で狩猟が流行っているだけさ!」
/ ゚、。 /「……そうですか」
何かがおかしい、そうダイオードは思いました。
けれどもダイオードは商人です。
それ以上は、何も言えませんでした。
北のお城も
「剣を頼む!とびきり切れ味が良いものを!」
南のお城も
「鎧を頼むよ!どんな攻撃にも耐えられるやつをさ!」
みんな、普段とは違いました。
/ ゚、。 /(嫌な気持ちだ……)
ダイオードは不安でいっぱいでした。
けれどもダイオードは商人です。
深入りなんて出来ません。
/ ゚、。 /(きっとこの仕事が終われば)
/ ゚、。 /(いつも通りさ)
そう思いました。
いや、そう信じたかったのです。
ダイオードは荷物を運びます。
西から東、南から北へ
「ありがとう!助かったよ!」
「ありがとう!これで大丈夫だ!」
「ありがとう!百人力だ!」
「ありがとう!これで安心だ!」
西のお城も、東のお城も、
南のお城も、北のお城も、
みんな笑顔で「ありがとう!」といってくれました。
だけど、
/ ゚、。 /(嫌な気分)
その「ありがとう」がダイオードには、
/ ゚、。 /(言葉はおんなじなのに、)
とても、とても、
/ ゚、。 /(二度と、聞きたくない)
嫌な言葉に聞こえたのです。
そうして迎えたある日の事です。
「大変だよ!大変だよ!」
/;゚、。 /「どうしたんですか一体」
商人仲間が大慌てでダイオードの下へ走って来ました。
息も絶え絶えで辛そうです。
なんとか落ち着かせよう、そう思った時でした。
「戦争だよ!戦争が始まったんだ!」
それはダイオードの視界すら歪めてしまう言葉でした。
/ ;、。 /「戦争…ですか…」
何でも無い、そう言っていたのに。
その言葉を信じて、いや……信じたかったのに。
「ああ!西も東も南も北も!」
「みんな戦争を始めてしまった!」
/ ;、。 /(わかっていた……)
/ ;、。 /(こうなることを私は……)
ダイオードの目からは、ぽろぽろと涙が落ちていました。
戦争は全てを奪っていきました。
ある少女からは家族を、
(* ー )
またある男からも家族を、
<ヽ ∀ >
みんな奪っていきました。
やがて戦争は終わり、
西からも東からも南からも北からも、
お城は見えなくなりました。
/ ゚、。 /「……」
焼け落ちた町は復旧の兆しを見せています。
とんてんかんかん、とんてんかん。
とんてんかんかん、とんてんかん。
釘をうち、新しく家を建てる音も聞こえます。
でも、
/ ゚、。 /(誰も笑顔じゃあ…無い……)
みんな悲しそうな顔をしていました。
/ ゚、。 /(私は……)
その時、いつかの言葉が頭に過ぎりました。
(私もダイオードさんみたいに笑顔を届けたいのじゃ)
/ ゚、。 /(笑顔を、届ける……)
/ ゚、。 /(私に出来る事は……)
ダイオードは立ち上がり、動き出しました。
/ ゚、。 /(私は笑顔を、)
/ ゚、。 /(届けたいんだ)
西へ東へ
南から北へ
ありとあらゆる場所へ行きました。
/ ゚、。 /「これ、注文されてた医療品です」
「おおお!ありがとう!」
そうして色々な場所へ行くうちに、
/ ゚、。 /「ご注文のお水です」
「まあ!ありがとう!助かるわ!」
人々にも笑顔が見えはじめました。
「ありがとう商人さん!」
/*゚、。 /「どういたしまして」
行く先々で人々の、笑顔が見えるようになったころのことです。
ボロボロだった町も大分復旧していました。
/ ゚、。 /(次の仕事は、)
/ ゚、。 /(ここは……)
(私もダイオードさんみたいに笑顔を届けたいのじゃ!」)
/ ゚、。 /(あの時の女の子がいた町……)
/ ゚、。 /(思えば私が頑張れたのもあの子の言葉のおかげだ)
思い出すだけで、じんわりとダイオードは心が暖かくなりました。
/*゚、。 /(また、会えるといいな)
ダイオードはウキウキしていました。
あの子になんてお礼を言おう。
私は笑顔を届けられているだろうか?
そんな事を考えました。
町ではやはり暖かい声がダイオードを迎えてくれました。
(*´_ゝ`)「やあやあどうもダイオードさん!相変わらず美しいね!」
(´<_`;)「兄者…ダイオードさんは男だぞ……」
( ´_ゝ`)
(´<_`;)
(#´_ゝ`)「し、知ってるよ!男に美しいって言ってもいいだろ!」
(´<_`;)「兄者…キモいぞ……」
/;゚、。 /「と、とりあえずご注文の食料です……」
特徴的な兄弟でした。
兄弟は一人を二人に分けたようなうりふたつの外見でした。
(*´_ゝ`)「おお!どうもありがとうございます!」
(´<_` )「ありがとうございますダイオードさん」
/ ゚、。 /「いえいえ」
そうだ、この二人にあの女の子の事を聞いてみよう。
そう、ダイオードは思いました。
特に深い理由などなく、ただ、なんとなく。
/ ゚、。 /「すみません、お二人さん、ちょっと女の子を知りませんか?」
聞いてみたのです。
( ´_ゝ`)「女の子ですか?」
(´<_` )「兄者に聞けばわかりますよ、リスト作ってるくらいだし」
( ´_ゝ`)「何故知っている……」
(´<_` )「昨日母者が見つけて燃やしてた」
( ´_ゝ`)「嘘だろ……俺のリストが……」
(´<_` )「諦めろ」
/;゚、。 /「あ、あの語尾に、のじゃー、って言ってた女の子なんですが」
( ´_ゝ`)「……ああ」
(´<_` )「妹者か……」
( ´_ゝ`)「妹者は俺と弟者の」
(´<_` )「妹でしてね」
兄弟はぽつり、ぽつりと話し始めました。
/;゚、。 /「……」
ダイオードは不安を覚えました。
何か、何か二人の雰囲気が変わったように感じたのです。
ダイオードには
「妹者は■■■ね」
「屋根が燃えて■■■■■」
辛い、辛い、
「それの下■■で」
「■■■■■くて」
事実が待っていました。
「■■■しまったんだ」
気づけばダイオードは泣いていました。
胸が、痛んで、涙が、あふれました。
/ ;、。 /
「あんたは何も悪くないよ」
「ダイオードさんはみんなに笑顔を届けているさ」
泣きじゃくるダイオードを兄弟は励ましました。
あなたは悪くない、ありがとう、と
/ ;、。 /(それでも、それでも私は)
/ 、 /(自分が許せない……)
/ 、 /(私が、私があの子を、)
/ 、 /(殺してしまったような物だから)
(私もダイオードさんみたいに笑顔を届けたいのじゃ!」)
/ ;、。 /(君には、笑顔、届けられたのかな?)
ダイオードはそれからも、それでも商人を続けました。
「ありがとうねダイオードさん!」
/ ゚、。 /「いえいえ」
それは贖罪でした。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ダイオードの心はいつもそれでいっぱいでした。
そうして町が完全に復旧したとき、
/ ゚、。 /(私は……)
/ ゚、。 /(これから何をすればいいのだろう…)
ダイオードには、
/ ゚、。 /(私は……)
何もありませんでした。
生きる目的も、理由も、
ただ、商人という仕事だけが彼にはありました。
ただ町に行き、
ただ注文を聞いて、
ただその通り商品を運ぶ、
そんな、そんな毎日でした。
商品を受け取る人は笑顔でも、
「ありがとう!」
/ ゚、。 /「いえいえ」
ダイオードは笑顔ではありませんでした。
そんな、ある日の事です。
ダイオードの下へ一人の男がやってきました。
( ^ω^)「君は商人かお!」
/ ゚、。 /「そうですよ」
( ^ω^)「みつけたお!」
( ^ω^)「商人さん商人さん!僕のお城で働いてくれお!」
/ ゚、。 /「嫌です」
( ^ω^)「あ、えと」
/ ゚、。 /「絶対、嫌です」
( ^ω^)
ダイオードはお城が嫌いでした。
大嫌いでした。
/ ゚、。 /「お城があって、領地があって、そんなのがあるから、人と人がバラバラになって」
/ ゚、。 /「そんなんだから」
( ^ω^)「……」
/ 、 /「戦争が…起こったんだ……」
/ 、 /「あの子が、いなくなっちゃったんだ」
ぽつぽつと、
ダイオードの感情がこぼれました。
/ 、 /「あの子はなにも、」
/ 、 /「何も……」
/ ;、。 /「悪くなかったのに……」
( ^ω^)「……」
王様はただ、黙ってそれを聞き、
( ^ω^)フー
ひとつ小さく息を吐き、
( ^ω^)「商人さん」
言いました。
( ^ω^)「それでもお城に来てくれお」
/#゚、。 /「だから私は!」
( ω )「僕は!偉くならなくちゃいけない!」
( ω )「誰よりも!他の奴らなんかより!ずっと!」
( ω )「僕の!僕の目的は!」
/;゚、。 /
( ω )
王様は、ダイオードにそっと耳打ちをしました。
/ ゚、。 /「……」
( ^ω^)「……」
/ ゚、。 /「あなたは、」
( ^ω^)「なんだお」
/ ゚、。 /「とても哀れな人だ」
( ^ω^)「なんとでもいえお」
/ ゚、。 /「そんな理由で王様に、偉くなろうと?」
( ^ω^)「そんな、理由じゃないお」
( ^ω^)「それだけ、の理由だお」
/ ゚、。 /「……」
/ ゚、。 /「待っていてください」
そう言うとダイオードはいそいそと支度を始めました。
( ^ω^)「来てくれるのかお!?」
/ ゚、。 /「……あなたは、私と同じですから」
( ^ω^)「来てくれるならなんだっていいお!」
こうして商人は、
王様の下へ。
「ただいまだお!商人を連れて来たお!」
「あ、王様、買い出し一年分終わりました」
「キムチも一年分買ったニダ!」
「ハサミも……」
「お!?おおお……」
(私は必要なんだろうか……)
その4
商人の話 終わり
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