(´・ω・`)僕と不思議なドクオの木のようです−2



翌日、予定通り僕はブーンと図書館で勉強をしていた。


( ^ω^)ノ おいすー

(´・ω・`) やあブーン

( ^ω^) 今日は数学をやるお!

(´・ω・`) そうだね、基礎から見直していこう


適当に参考書から基礎問題を選び解いていく。
解説を読めば一人でも出来るような問題だ。
だけど……


( ´ω`)わからないお…

(;´・ω・`) ほ、ほら!ここにこれを当てはめて!


なんてこともあったりした。




そうこうしている内に時間は回る。
気づけば既に昼過ぎだった。


(´・ω・`) あ、そろそろいくよ

( ^ω^) おーありがとうだおショボン

(´・ω・`) いいよいいよ、僕も楽しかった

( ^ω^)それならよかったお!

(´・ω・`) じゃあまた明日

( ^ω^) 了解だお!


そんな会話をして席を立つ時にふと、ブーンが言った。




( ^ω^) ショボンショボン

(´・ω・`) ん?なんだい?

( ^ω^) 今度実はツンや僕の学校の人と海に行くのだけど来ないかお?

(´・ω・`) え?いいの? ツンも一緒なのに?


遊びの誘いだった。
夏らしいイベントのなかった僕にとっては嬉しい誘いだ。


(´・ω・`) でもツンも一緒なのにいいのかい?

( ^ω^) 他にも何人もいるようなイベントだから問題ないお


ツンは同じ小学生の時の友達だ。
ブーンとはその時からとても仲が良く、中学から付き合い始めたと聞いていた。
誘いを喜ぶと同時に今も仲がいい二人を喜ばしく思ったりした。




('A`) おお、そいつはいいな

(;´・ω・`) そんなことが…はぁ、あったんだよ…はぁ……

(;'A`) 息切れすぎだって……

ブーンと別れた後僕は全力で走りドクオに会いに行った。
なぜかドクオにその事を伝えたかった。
小さな時、自転車に乗れた事を大喜びで父さんに教えたみたいに、
そんな風にドクオに伝えたかったんだ。


('A`) なるほどぉ。いい感じに友達が出来てきたな

(´・ω・`) 友達…か……

('A`) そうだよ、そういうのが友達ってやつさ

(´・ω・`) ドクオも友達さ

('A`) ありがたいねぇ…




('A`) ショボン

(´・ω・`) ん?

('A`) そのブーンってやつ大切にな

(´・ω・`) うん、そりゃ大切にするよ

('A`) あと、だ。自分の学校の奴等とも少し仲良くなってみろよ

(´・ω・`) ……うん


そうしたいと思う。
今まではただ、糸が絡まってしまったような状態だっただけなのだ。
自分で知らない内に壁を作ってしまっていたのだ。

だから、孤独。

一歩踏み出せば壁の外に人はいた。




(´・ω・`) ……

('A`) まぁそんな感じ

(´・ω・`) どんな感じだよ

('A`) そんな感じはそんな感じだよ


ドクオは少し寂しい顔をしているように見えた。
やがて夕日は沈む。
青かった空はオレンジに染め上げられた。

帰宅の時間だ。








そんな風に毎日が動いていった。


午前中はブーンと図書館で勉強。たまにツンも来たりした。


午後からはドクオと会ってどうでもいいことをグダグダはなす。


そうして毎日は進んでいった。






そして明日は海に行く。


(´・ω・`) え?泊まりなの?

(;^ω^) すまないおショボンいい忘れてたお

ξ;゚听)ξ ごめんね急で

(´・ω・`) いや大丈夫だよ。夏休みだし

(;^ω^)ξ;゚听)ξ よかった……


少々ビックリしたが予定も特にいれていなかったので問題はなかった。
ドクオに明日明後日は来れないと言っておこう。そう思った。





('A`) そうか明日海かぁ

(´・ω・`) お土産持ってきてやるよ。海水

('A`) 枯れちゃう枯れちゃう

(´・ω・`) まぁそんなわけだよ
('A`) おう了解了解、楽しんでこい

(´・ω・`) ……ドクオ

('A`) なんだよ

(´・ω・`) いや、なんというか、ありがとう

('A`) きめぇ

(´・ω・`) オーケー焼き払う

('A`) やめて!




帰り際、買ってきたミネラルウォーターを根元にかけてやった。


('A`) おーみなぎるぜー

(´・ω・`) なんという脱力感

('A`) まぁ、なんだ、じゃあな

(´・ω・`) うん、また

('A`) おう、さよならだ

(´・ω・`) じゃあね


ペットボトルを鞄にしまい、帰路に着いた。
明日の用意をするためにいつもより早めの時間で、
夕日は見られなかった。


(´・ω・`) ……


何か違和感を感じたが、それが何かはわからなかった。






(´・ω・`) ……


明日の支度をしながらふと考え事をする。
何か違和感があった。
それは、なんだ。


(´・ω・`) ……


『ドクオのドクは孤独のドクでね』

いつかの会話、ドクオは何て言っていた。


(´・ω・`) ……


『まぁ大なり小なり孤独な奴が見れるんだよ。ごめん、俺もよくわからねぇや』





「まぁ、なんだ、じゃあな」


これは、昼間の会話だ。
なんていっていた、なんて。


「うん、また」

「おう」






('A`) さよならだ










(;´・ω・`) ……っ!


まさか、まさか。
今の自分は孤独ではない。
家族とも話すようになった、ブーンという友達と再び再開した。

明日はブーンの友達とも遊ぶ。


(;´・ω・`) 僕はもう


孤独ではない。それはつまり孤独な奴だけが見れるドクオを。


(;´・ω・`) 見れなく、なる……?


僕はすぐさま家から飛び出した。




『ずっとここに一人なんだろ?』

『んーそれがあんま記憶がない』

『そうなのか』

『お前みたいな奴とはよく語り合った気がするよ』

『類は友を呼ぶのか……』

『みたいだねぇ』


ドクオとの会話が頭の中を駆け巡る。

ぐるぐるとぐるぐると。


(;´・ω・`)


ドクオ、君は。


(;´・ω・`) ずっと、ずっと僕みたいな奴と


同じように――――





(;´・ω・`) ドクオっ!


僕は呼吸もろくに出来ないような状態で山の頂上に着いた。
ドクオの木はまだ、あった。
しかし、淡い青い色の不思議な輝きが木を包んでいた。

それが何かはわからない、でも、それはきっと別れの輝きだ。

(;´・ω・`) ドクオっ!


呼びかける。彼を。ドクオを。

('A`) おお、ショボンか……

(;´・ω・`) 君はっ君はっ!





('A`) うん、まぁ

(;´・ω・`) このまま、また別の孤独な奴が来るまで一人で!?

('A`) そういう事に、なるなぁ

(;´・ω・`) 君は孤独なまんまでいいっていうのか!?違うだろ!

('A`) ……

(;´・ω・`) ドクオっ!短い付き合いだけど僕と君は友達だろうっ!


人だとか木だとかそんなことは関係ない。

ドクオはドクオで、僕は僕だ。
彼が不思議な木だろうとなんだろうと。

君と僕は


(´;ω;`) 友達、じゃないか……




('A`) ショボン……

(´;ω;`)


声が出なくなるくらい感情が高ぶったのはいつ以来だろう。
きっと生まれて初めてだ。


('A`) 別れの時に会えたやつはお前だけだよ。覚えてないけどきっとそうだ

(´;ω;`) だめだ…お土産…持ってきて……やるって……

ろくに聞こえないような声を絞り出す。止めたい。止めなければ。


('A`) ……ありがとうな

(´;ω;`) あっ……

('A`) じゃあな


ドクオがそういったその瞬間。
淡く青い輝きは強烈な光を放った。




(´;ω;`) ……


目の眩みが治り、正常な視界を取り戻した時には、


(´;ω;`) 木が…ない……


ドクオはもう、いなかった。




(´;ω;`) ……


フラフラとしながらドクオの木があった場所を見る。

あんなにも大きくそびえ立っていた木は、もうない。


(´;ω;`) うわああああ!

泣いた。涙は止まらなかった。


(´;ω;`) ん……


その時だ。
足下になにか見つけた。




(´;ω;`) これは……


小さな木の苗だった。
ドクオが消える前まではなかった。そう断言できる。
僕は今まで毎日ここに来ていたのだから。


(´;ω;`) ……


これがドクオの木の苗という証拠はない。

だけど、僕にはそれがドクオのように思えた。












それから少し後の話













(;´・ω・`) 相変わらずあっついなぁ


夏休みは終わって新学期が始まった。
僕はドクオとの別れの悲しみを引きずったままブーン達と海に行き、
海中で号泣したりしたけどなんとか元気にやっている。

学校では少しだが友達も出来た。
今の僕は確かに孤独ではなかった。


(;´・ω・`) まったく、もう10月近いのになんでこんなに暑いのかね


異常気象だ。地球温暖化だ。そんなことをぼやきながら歩く。

(;´・ω・`) 着いた着いた


そして到着だ。
ドクオと出会い、別れたこの場所へ。


あの苗はドクオの木と同じ場所に植えた。
僕はもうドクオと会えないかもしれない、孤独ではないのだから。
とはいえドクオかもしれない苗を放っておくことなんて出来やしない。


(´・ω・`) そんなわけで今日も来たわけだよ

適当に汲んできた水を苗にやる。


(´・ω・`) 早く大きくなれ、お土産の海水ぶっかけてやるから

かけんのは枯れないくらいに大きくなったら、だけど。




(´・ω・`) ……


水をやり終わった。
一息ついて地面に座る。空を仰ぐ、


(´・ω・`) いい天気だなぁ……


最初にここに来た時もこんな天気だった気がする。


(´・ω・`) ドクオ、何度も言うようだけど


何度だって言ってやる。


(´・ω・`) ありがとう







(´・ω・`) ……帰るか


立ち上がり、苗に背を向けて歩き始める。

またこよう、そんな事を思いながら。

きっとここに来る度に「ありがとう」なんて僕は言うのだろうなぁ。


(´・ω・`) ありがとう


ぽつり、もう一度口から言葉をこぼしてみた。


「どういたしまして」


そんな声が、後ろから聞こえた気がした。











(´・ω・`)僕と不思議なドクオの木のようです









おわり

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