('A`) 「何だブーンのやつ。ショボン家来いって。」

(´・ω・`)「さあでも、今まで携帯にも出なかったし何か考えがあるんじゃないの。」

('A`) 「サプライズパーティーか?そいつは楽しみだな」

ショボン家で待つ二人。
この家は大きなガレージがある。
ブーンが呼び出したのはそのため。
少し時間が立ち暇をもてあますドクオの携帯が震えた。

( ^ω^)}「おいすー。今着いたお。
      ガレージのほうに来てくれお。」

用件だけ伝えるとすぐに電話をきる。
これからすることに緊張していた。
今日伝えるのだ。自分の夢を、そして半年病を。
もしかしたら残念な結果に終わるかもしれない。
でも、行動しなければ結果は出ない。
どうせ死ぬんだ、やらなければ。




('A`) 「よお、久しぶりだな。」

(´・ω・`)「やあ、久しぶり。
     ちょっとやつれた?」

( ^ω^)「おいすー、久しぶりだお。」

簡単な挨拶をしてガレージ内に入る三人。
ショボンがスイッチを押し照明をつける。

('A`) 「まったく何の用なんだよ。この前俺をシカトしたくせに。
    そういう悪い子は地獄へいっちゃうぞ。」

軽口を叩くドクオ。しかし15分後には彼はそのことを後悔する。

( ^ω^)「今日は重要な話があるお。
       まずこれを見てほしいお。」

そういって持参のノートパソコンの電源を入れある動画を見せる。

 




(´・ω・`)「なんだ、鳥人間コンテストじゃないか。
     それがどうかしたの。」

('A`)  「それか、そういやここ数年見てねぇな。
     なんか詰まんなくなっちまったんだよな
     同じようなものばっかり出てさ。」

思い思いのことを口にする二人。
この動画を見せ終わった後ブーンが演説調で喋りだす。

( ^ω^)「ドクオの言った通り最近の鳥人間コンテストは面白くないお。
      僕は空を飛ぶのが小さい頃の夢だったけど
      最近は鳥コンを見てもぜんぜん心が動かないお。」

ブーンがくるくると歩き回り数秒の沈黙の後また喋りだす。
 




( ^ω^)「なぜ心が動かないか?
      はいショボン君、答えて。」

(´・ω・`)「やっぱりドックンの言う通りじゃないの。
     同じような機体ばっかだし
     常連チームが出てるだけだもん。」

ここまで言ってドクオとショボンは気づき始め
ブーンがこれから言うことの予想が大方ついた。

( ^ω^)「その通り。
      初期のころは空を飛びたいものが集まるお祭りだったお。
      それが今では常連による記録を伸ばすだけの大会になってしまったお。
      それが悪いとは言わない。限界に挑戦することは決して悪くない。
      でも、面白くないんだお。ドキドキ感がなくなったんだお。
      飛びそうにない機体が飛んだり、飛びたいと思ってる人が飛べなかったりと
      そんな人を応援したりすることがないんだお。
      そんな感動がなくなってしまったんだお。」




また黙り持ってきた鞄から大き目の紙を取り出し
そして、その紙を広げ宣言する

( ^ω^)「しかーし、その感動を取り戻すため」


少し間をおき、息を吸い込む


( ^ω^)「僕たちでチーム組んで出場するお。」


取り出した紙は、空と飛行機の絵。大会出場用紙だ。
絵本に書いてあるような郷愁を誘う絵だった。
ブーンはさらにもう一枚紙を取り出す。
自分で書いた飛行機のデザインだ。
これもまたレトロチックで郷愁を誘うデザインだった。
飛行機の絵に文字が小さく書いてある。
ホライゾン号と。



ひとしきり笑った後、少し申し訳なさそうな顔をするショボン。
ドクオから反省のそぶりはまったく見られない。
二人を説得するため、また鞄から封筒を取りだす。
半年病の診断書だ。

( ^ω^)「これ見てくれお。」

診断書をみてドクオが口を開く。

(;'A`)   「これは笑えんぞブーン。」

さっきまで大笑いしていたのが嘘のようだ。
ドクオはこの診断書が本物かどうか判断がつかない。
しかし、ブーンが語っていたのはこれが原因だとしたらありえる話だ。
だが、急に見せられても信じるのは難しい。
むしろ信じたくない、さっきまで大笑いしていたから。
だから、ドクオは半年病自体を冗談にしようとする。

(;・ω・`)「そうだよブーン。これはやりすぎだよ。」

ショボンも同じだ。日常を守るため、冗談にしようとする。
二人はブーンの真意をはかろうと顔を見つめた。
 



( ^ω^)「本当なんだお……」

一言だけ告げるブーン。
二人は診断書を見ても本物としか思えない。
またブーンの顔を見ても本当のようにしか見えない。

沈黙が支配する中ブーンが話し始める。

( ^ω^)「僕は半年病にかかったお。
      発覚したのはドクオを無視した日だお。
      いままで、連絡しなかったのは申し訳ない。
      でも、自分が死ぬなんてなかなか受け入れられなかったんだお。」
 



ドクオとショボンは黙って話を聞き続ける。

( ^ω^)「僕は死ぬんだお。間違いないお。
      でも時間はまだあるお。その時間を使って夢を叶えたいんだお。
      けど僕は叶えられないお。だって今度の鳥コンは半年以上先だお。
      僕はその時もう、ここにはいないお。
      だからといって諦めるたくないんだお。やってみたいんだお。
      二人にお願いするお。一緒に僕の夢をかなえてくれお。」

淡々と話すブーン。
人はこういった話に弱い。条件反射的に涙を流す。
ショボンはもう泣いていた。

(´;ω;`)「わかったよ、手伝うよ。
     ブーンの夢をかなえるよ。」

 



簡単に同意するショボン。
泣いているショボンに対し冷静なドクオが話す。

('A`)  「あー、ブーン。
     お前それが脅迫に近い行為ってわかってる?」

いつも冷めているドクオが、この日はより冷たい口調で言った。

(´;ω;`)「ドクオ、そんな言い方はないよ。」

('A`)  「いや、お前はちょっと黙ってろ。
     普通そんなもん見せられちゃ断れねぇだろ
     今のショボンみたいによ。
     そのへんがわかってんのか、って聞きたいんだよ。」
 



その通りだった。
半年病の診断書を見せるのは、黄門様の印籠を見せるのと同じ効果だ。
ドクオの言葉にブーンは自分の言葉をぶつける。

( ^ω^)「わかってるお。
      これさえ見せれば大概の人は僕のわがままを聞いてくれるお。
      だって死にいく人の頼みなんて断れないお。
      でも、僕は別にドクオが断ってもかまわないお。
      半年病じゃなかったら多分ドクオは断ってるお。
      だから僕に遠慮する必要はないお。」

半年病と発覚したときとは較べものにならないくらいの意見を言うブーン。
 


ドクオはそれを聞いてから話し出した。

('A`)  「いや、それがわかってりゃいいんだよ。
     チーム組んでからことあるごとに
     半年病を理由にわがまま言われちゃなにもできなくなるからな。」

(´;ω;`)「ドックンそれじゃ…」

('∀`)  「ああ、面白そうじゃねぇか。
     実は俺こういうのに憧れてたんだ。
     でも、いつも斜に構えてっとなんだか自分からやろうって
     言い出せなかったんだ。」

二人の了解が取れる。
ブーンはまず第一段階を登ったと感じた。



('A`)  「あと、もう少し言うとあれだかんな、今、俺笑ったけどな
     ブーンが半年病に罹ってくれて嬉しいってワケじゃないんだ。
     半年病はきっかけに過ぎない。
     自分じゃ言い出せなかった、こんなチャンスくれたことが嬉しいんだ。
     ありがとなブーン。」

照れくさそうに言うドクオ。
チームがここに結成され、喜ぶブーンとショボン。
ただドクオがある部分に突っ込む。

('A`)  「ところで金はどうするんだ。とりあえず金がなくちゃ話にならんだろ。」

 



当然の話、お金がなければ何も買えない。
お金がなくて買えるのは同情ぐらい。
しかし、お金に関して心配はなかった。
トーチャンがブーンに二百万円を渡していた。

( ^ω^)「それは心配ないお。トーチャンが好きに使えって、くれたお金があるお。
       二百万円あるから多分大丈夫だお。」

('A`)  「そうか、ま、十分だろうなそれだけありゃ。
     それともう一つ。機体の名前それで行くのか。」

ブーンが描いた絵についてドクオが聞く。

( ^ω^)「そうだお。ホライゾン、希望って意味だお。」

(;'A`)  「直球過ぎてなんか微妙だろそれ。」

ドクオが個人的な感想をつげる。

(;^ω^)「だめかお?」

 



死にゆくブーンにとってこの名前はあまり変えたくなかった。
なぜなら、死が確定しているブーンの、心の支えであり希望だから。
そこへ、会話に入ってこなかったショボンがペンを持ってきて
ホライゾンと書いてある左に、文字を付け足す。




内藤ホライゾン



そのシュールさにブーンとドクオが爆笑する。

('∀`)  「なんだよこれ
     意味わかんねぇよ。」

( ^ω^)「おっおっおっ
      でもなんか語呂がいいお、気に入ったお。」

(´・ω・`)「何で笑うの?
     かっこいいのに。」

こうしてブーン達がはその日、夜遅くまで今後どうするかを語りあった。

 


数日前、ブーン家。

クーからのOKサインが出てからブーンはトーチャンにある頼み事をした。
それは、お金をくれということ。
ブーンが夢をかなえるのにはまとまったお金が必要だ。
だが、学生であるブーンにはそれほど蓄えはない。
親に迷惑をかけたくないブーンだったが、クーに諭されお金をせびる事にした。

( ^ω^)「トーチャン話があるお。」

新聞を読んでいたトーチャンがブーンのほうを見て話す。

(`・ω・´)「ん、なんだい。」

もじもじしながらブーンがお願い事をする。

( ^ω^)「あの、いいにくいんだけど…
      お金が欲しいお。
      クーさんと話し合って、ある夢を叶えたくなったお。
      でもそのためにはお金が必要だお。
      僕んちにどれだけ余裕があるか知らないけど
      よかったら少し僕にくれないかお。」
 




ストレートに切り出す。
だがトーチャンは顔色を変えず席を立っていった。
カーチャンは何も言わず食器を洗っている。
ブーンは言い方をまずったかなと思うと同時に
親孝行もしていないのにお金をせびる自分がみっともなくなった。

1、2分後、トーチャンが分厚い封筒を持ってきた。

(`・ω・´)「この中に二百万ある。
      私と母さんの老後を考えても余分と思える
      我が家の貯金がこの中に入っている。
      私の条件を聞いてくれたらこれをあげよう。」

こうゆうときが来るのを予想してトーチャンが用意していたようだ。
ただブーンは条件というのが気になった。
しかしトーチャンが難癖をつけて渡さないという考えはなかった。
 





( ^ω^)「条件って何だお?」

(`・ω・´)「条件というのは簡単だ。約束すること、それだけだ。
      一つ、人に奢ったりしないこと
      二百万は学生にとっては大金だろう。
      ブーンが心細いのをいい事にたかり始めるかしれん。
      また、お前が、病気だからといって
人に媚びるような人間にはなって欲しくない。」

(`・ω・´)「二つ、私にその夢を聞かせること。
     その夢がなんでもいいが、やっぱり気になるじゃないか。
     笑ったりしないから教えておくれ。」

簡単な条件だった。一つ目はブーンがしっかりしていればそれでいい。
ブーンは自信があった。トーチャンの言うように人に媚びないという自信が。
それにカウンセリングの効果もあり、だいぶ落ち着いてしっかりとしてきたブーンは
トーチャンの言いたいことがよくわかった。
自分が半年病だということをよく理解していた。

二つ目は親に話すのは恥ずかしかったがクーに言ったことをそのまんま伝えた。
それを聞いたトーチャンは微笑んで封筒をブーンに渡した。
ブーンが喜んで部屋へと戻る。どうやら計画を練るようだ。





カーチャンと二人きりになったリビングでトーチャンが話し出した。

(`・ω・´)「聞いてたかカーさん。
      小さい頃と変わってなかったなあ。」

J( 'ー`)し 「そうね、でもあの子らしいじゃないの。」

(`・ω・´)「そうなんだがなあ。
      どうも少し青臭いような気もするんだがなあ。
      感動を与えるんだ、って。」

J( 'ー`)し 「あら、そんなこと言って。あなたがブーンより
      3、4歳上のときにこう言ったの覚えてる?
      俺はこの仕事で、俺に関わる人を皆幸せにするんだ、って。
      ブーンのこと少し青臭いっているなら、
      あの頃のあなたはどれくらい青臭いんでしたっけねぇ。」

トーチャンが思い出したくない過去を振り返り恥ずかしげな顔をしている。

(;`・ω・´)「いやまあそんなことも言ったけど、それは若気の至りというものじゃないか。」

J( 'ー`)し 「あらあら、顔がまっかですよ。
      でも、あなたその時頑張ってたじゃないですか。
      あたしはそこに惹かれたんですけどもね。」

いきなりの言葉にお茶をむせ返させるトーチャン。
 


そして誰に言うわけでもなく喋り始めた。

(`・ω・´)「そういえば、いつからかなあ。
     そんな青臭い夢を忘れたのって。
     なつかしいな。でももうあの頃にはもどれないんだよなあ。」

J( 'ー`)し 「いまからでも青臭くなればいいじゃないですか。
      やってみなけりゃ何も始まりませんよ。
      あの二百万円だって本当はハーレー買うつもりだったんでしょ。
      青春を取り戻す気満々じゃない。」

(;`・ω・´)「なんで知ってんの?黙ってたのに。」

J( 'ー`)し   「だってあなたいつも車からバイクが見えると
ものほしそうな目してたじゃないですか。
誰でもわかりますよ。」

そういってブーン家の夜は更けていった。
トーチャンは翌日カーチャンからニヤニヤされっぱなしだったのをブーンは見ていた。

 

 

クーの日記

今日もカウンセリングに行ったがブーン君は自分の立場をよく認識しているようだ。
今までの経験上、死を迎えるにあたってそれを受け入れるまでの期間が短いように思える。
だが、単純にブーン君の精神構造が死を受け入れやすい形をしているのかもしれない。
死を思い恐怖しても拒否することはしていないようだ。
半年病の印籠的効果をよく理解していて
使っていい場面とそうでない場面での使い分けが上手い。
不思議だ。なぜそうなったのだろう。興味深い。
しかし彼なら私の考えを理解してくれるような気がする。
理解しないまでも理解しようとする心があると思う。
だが、まだ話さなくてもいいだろう。人によっては私の話を悪とするものもいる。
また半年病に次ぐ印籠的効果が出てしまう。あまり半年病患者には話したくない。
結局それは甘えになってしまう気がするから。
それと気になるのがブーン君の自慰行為だ。
部屋のゴミ箱にそれらしきものは見つからない。
性的に不能になった場合さらに自分を卑下する可能性がある。
ブーン君は大丈夫だろうか。

 




チームが結成されて一週間がたった。
この間に大体の方針や機体の構造が決まり
あとは、実際に飛ぶための揚力計算や強度計算、機体の製作をするだけだ。
他にもチーム内でのルールも出来上がった。
集まりは二日に一回。来れない場合は必ず連絡すること。
機体の制作費二百万はブーンが管理し、材料を買ってきたときに
レシートと交換すること。
この二つが主なルールとなった。
特に不満の声は出ず三人はルールを守ると約束しあった。

 




三人の大学は工学系だったので工作機械や
計算などは教授に質問すれば大抵のことが解決した。
一番大きかったのはCADが学内で使用できたことだった。
CADはコンピューターを使って三次元の図面を描き
応力計算や流体の計算がシミュレーションできるものだ。
これにより機体の設計が比較的簡単となった。

 




大学内、そろそろ一日の授業が終わり学生が帰宅するころ
ある二人が今後の予定を話し合っていた。

('A`)  「ショボン、俺ちょっと教授に揚力計算のこと聞いてくるわ。
     だから遅れるってブーンに伝えといてくれ。」

(´・ω・`)「わかったよ、じゃあ僕は先に帰ってブーンの手伝いしているね。」

ブーンは無駄な学費を親に負担させたくないと思い大学を辞めた。
そのため施設を使用できない。
代わりにガレージで今できる作業を行っている。
ドクオが計算でわからない部分を教授に聞きに行き、ショボンは駅へ歩いていった。



流体が専門の教授の部屋へ行きノックするドクオ。
彼はこんな風に質問をしに行くのは初めてだったので少し緊張していた。
部屋の中からどうぞという声が聞こえる。

('A`)  「失礼します。今日はちょっと質問があってきました。」

そう言いドクオは部屋の中に入る。

( ・∀・)「じゃあそこに座って。
     質問って何かな?」

('A`)  「実はこれの計算法なんですけど…」

翼の断面図を見せながら質問をする。
本職であるモララー教授がすぐに、飛行機の翼断面だと気づく。
そしてなぜ生徒がこんなものを持ってきたのかが気になり率直に尋ねる。

( ・∀・)「これは、飛行機の翼断面だね。
     僕の授業じゃこんなことやってないけど
     何でこんなものもってきたの?」

('A`)  「いえ、ちょっとあれでして…」



ドクオは答えをはぐらかそうとする。
飛行機を作るなんて恥ずかしくて言いたくなかった。
多分笑われるだろうから。自分がブーンにしたように。

( ・∀・)「気になるね。なんで?」

あくまで答えを求めようとするモララー教授。
説明をしなければ教えてくれそうにない雰囲気の中
ドクオは俯きながら話した。

('A`)  「いや、あの実は僕、鳥人間コンテストに出場しようと思いまして
     それで、揚力計算でわからないところがあったんで聞きにきたんです。」

恥ずかしそうに話す。
 




しかしモララー教授はドクオを見ながら、微笑んでいる。

( ・∀・)「そういうことなら、早く言いたまえよ。
     なんか楽しそうじゃないか。どれ、どこがわかんないんだ?」

モララー教授が急に嬉しそうに話す。
じつはそんなものだ。
自分が恥ずかしがっていても相手からすれば
羨ましいことかもしれない。
このときはまさにそれだった。
誰しも目標に向かっている人を笑いはしないだろう。
さらに、それが道理にかなった方法だったら。
そんなことに気づきながらもまだ少し恥ずかしそうにドクオは質問をする。
それと大人は、実は青年のそんな青臭いようなことが大好きだった。



ショボン家のガレージではブーン、ショボン、クーの三人がいた。
クーはカウンセリングのためきているのだが、つい飛行機が気になって
長居してしまう。
もうショボンもドクオもクーに慣れていた。

理系ではないクーだがどうやって飛ぶか興味があるらしく
作業をしているブーンによく質問をしていた。
ショボンはパソコンで計算値を確認している。

 




川 ゚ -゚)「なあブーン君、これはどうやって操縦するんだ?」

基本的なことを聞いてくるクー。
ブーンはこんなクーに教えるのが楽しいらしく作業を中断して教えだす。

( ^ω^)「こんなふうにする予定だお。」

図面を取り出しクーに見せる。
しかし、図面の読み方を知らないクーは理解できない。

川 ゚ -゚)「すまんがよくわからん。」

クーはストレートに言う。
ブーンは教えたいらしく、その辺を見渡し説明できるようなものを探した。
 




そして、自転車を持ってきてクーに説明する。

( ^ω^)「これみてお。ペダルを回すとタイヤが回るお。
      これのちっちゃいのを二個作って昇降舵と尾翼を動かすんだお。」

と言って簡単な説明をする。
実物の例を見せたほうがイメージしやすくクーも納得する。

川 ゚ -゚)「なるほど、それをここに付けるわけか。
     そうなると、映画で見たような操縦桿はないんだな。」

飲み込みが早く、一歩先を答えとして出す。
ブーンは説明のしがいがあるなと満足して作業に戻る。



ドクオがやってきた。
何故か小汚いコンポセットを抱えている。

('A`)  「ういーす。サボってんじゃねぇぞ。」

挨拶をしてコンポセットを下ろす。
さらにドクオの鞄からレンタルの袋が見える。

(´・ω・`)「ドックン何それ?」

('A`)  「なにってコンポセットだろうが。
      ガレージ内が寂しいから拾って持ってきたんだよ。」

(´・ω・`)「いやそうじゃなくて、それ昨日僕が捨てたの。」

('A`;) 「そうなの?」

(´・ω・`)「まだ使えるけど、古いから捨てたんだよ。」

('A`;) 「まあいいじゃねぇの使えるんなら。」

('∀`)  「とりあえずいいもん持ってきたんだよ。
      コンセント借りるぞ。」

笑顔でコンセントにプラグを差し込むドクオ。
レンタルの袋からCDを取り出しコンポに入れる。
歯医者のドリルのような音を出しながら起動するコンポ。
そこから誰もが知っている曲が流れ出す。
 




('∀`)  「いいだろこれ。この場所にぴったりだろ。」

ドクオが笑顔のまま同意を求める。
誰もが好きな曲。多分嫌いな人はいないんじゃないだろうか。
そしてそれは、この場にぴったりだった。
ベースのソロから始まるメロディーが特徴的な曲。








〜When the night has come〜

コンポから流れるのはスタンドバイミー。
もちろん、名画スタンドバイミーの主題歌。
この映画を見た人はこんな冒険に憧れたんじゃないだろうか。
一生の思い出に残るような出来事に。



皆作業を中断して曲に聞き入る。
サビのダーリンダーリンとスタンドバイミーを歌う部分だけ
クーを除く三人が熱唱しだす。

決して上手くはない。けど三人はその瞬間が楽しかった。
憧れていた、映画のように思い出に残る出来事。
それを経験中の三人はその曲が無性に気に入った。

( ^ω^)「おっおっ、いいお気に入ったお。」

('∀`)  「だろだろ。」

(´・ω・`)「なんか映画の中に入った気分だよ。」

('∀`)  「だろだろ。」

皆が満足したその後、ドクオが質問してきた計算式に値をあてはめ、
数値を出したとこでこの日は解散にした。
スタンドバイミーはずっとリピート再生だった。



何か目標に向かっていると時が経つのは早い。
でも振り返って見るとまだこんな日か、とも思う。
ただ変わったことはブーンが半年病になったこと、それと
ドクオとショボンが教授たちと仲良くなったこと。
校内を歩いている二人を見つけるといつも声をかけてくるようになった。
特にモララー教授。

( ・∀・)「おい、ドクオ君ショボン君待ちたまえ。お昼はもう食べたかね。
     よかったら一緒に食べようじゃないか。」

狙っているのか同じ曜日に声をかける。
しかし、お昼代を出してくれるので二人は喜んでついていく。




( ・∀・)「どうだね、あれから。
     どこまで進んだ?」

話すのはもっぱら飛行機のことばかり。
というか教授も参加したいようだ。

('A`)  「そうですね、後は翼の製作とプロペラの製作ぐらいですかね。」

進行状況を伝えるドクオ。
モララー教授には製作係としてのブーンの存在を教えていた。
けど、半年病のことは言わなかった。
言ったら多分、義憤にかられて手伝いだそうとすると思ったからだ。
手伝ってくれる分にはかまわないのだが、
教授という立場がガレージ内の関係を壊してしまうようにみえた。
対等な立場だからどんな意見も言い合えたが
教授の意見となると、どうしても権威が付きまとう。
そんなふうだから三人で話し合って
わからないところだけを教授に聞きに行くようにしていた。

 




( ・∀・)「そうか、プロペラ製作は難しいそうだからな。気をつけたまえよ。
     あのライト兄弟もプロペラが一番苦労していたと言っていたよ。」

教授というのは総じて子供っぽい。
モララー教授は結構な飛行機マニアらしくいろんな話をしてくれた。
そして、それが役立つときもあったし、眠くなるような話もあった。
ただ、いつも別れ際に羨ましそうな顔をするため二人は少し心が痛んだ。

 



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