遠くで響くは鐘の音、いやチャイムの音か。
まどろみの中、私に選択を迫る。

これが何かは今日はもうわかっている。

無視して寝るのも私の自由だ。
流石に窓を割ってまで入って来たりはしないだろう。
出るまで待ってるかもしれないけど。

いや、昨日約束したのに出て来ないとか言って、警察呼んだり大事にしたりしないだろうか。
そこまで分別がないとは思わないけど、そこまで心配するかもしれないとは思う。
あのお節介な委員長は。

ミセ*-д-)リ「……起きるか」

眠い目を擦りながら階下に下りる。
鍵を開け、玄関のドアを開けると、そこには予想通りのポーカーフェースがまっすぐにこちらを見詰めていた。

(゚、゚トソン「おはようございます、ミセリ」






   − ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン −
           〜 中編 〜



ミセ;゚д゚)リ「重い〜、暑い〜」

春は過ぎても夏には届かない陽気の中、またあの重い鞄を抱えて私の足は学校へ向かっている。

(゚、゚トソン

隣には推定同サイズの鞄を抱えつつも、全く表情を変えずにすたすたと歩く委員長の姿がある。
昨日よりは距離を空けられないところをみると、意図的に合わせてくれているようだ。

合わせている理由が多分あるのだろうけど。
切り出すタイミングを窺っているのかもしれない。

ミセ;゚ー゚)リ「雨上がりというのは余計に暑く感じるよね」

(゚、゚トソン「雨、降りましたね……」

恐らく聞きたいであろう話題をこちらから持ち出すと、委員長はすぐさま反応してくれた。
昨日の夕方から降り出した雨は意外に長引き、朝方近くまで降っていたようだ。

少なくとも、私が寝るまでは降っていたので、道路の乾き具合からするとそのくらいだろう。


(゚、゚トソン「どうしてわかったのですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「何が?」

察せないほど鈍くはないが、順を追う必要はあるし、全部話すつもりはさらさらないのでとぼけてみる。
委員長は律儀に、昨日の夕方に雨が降るのが何故わかったのかという話ですと言い直す。

ミセ*゚ー゚)リ「うーんと……勘……かな?」

(゚、゚トソン「……それにしては確信を持ってませんでした?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだっけ?」

(゚、゚トソン「そのように感じられましたが」

明後日の方に空とぼける私に、委員長は不審の目を向ける。
私は大きく息を吐き、背けた視線のままで答える。

ミセ*゚ー゚)リ「占いみたいなもの……かな」

(゚、゚トソン「占い?」


ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとしたお天気占い。それがたまたま当たっただけ」

(゚、゚トソン「占いですか……」

そういうものならばと、意外にも簡単に納得しかけているような委員長。
生粋のリアリストかと思いきや、失礼な言い様だが占いを信じる女の子らしい面もあるらしい。

ミセ*-ー-)リ「当たるも八卦、当たらぬも八卦ってやつ? 意外と的中率はいいんだよね」

天気予報いらずだとおどけて見せた。
委員長は何度か頷き、そういう特技は個性があって良いですねといったような真面目な感想を述べる。

まあ、確かに占いとか宴会芸なんかに重宝しそうだけど、天気予報はあんまり即効性なくて微妙だよね。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、この件は内緒ね」

(゚、゚トソン「?」

ミセ*゚ー゚)リ「私が占いが得意とか言うと、いっぱい女の子が集まって来ちゃうからね」

女の子の占い好きは世代問わず共通のものだろう。
中学時代、ちょっと占いの真似事をして見せたら、昼休みや放課後に占って欲しいって人が結構な数来て
大変だったからと委員長に話す。


委員長も占いに対する女の子の反応は理解しているのか、再び納得がいった顔で頷いた。
これで委員長からこの話が広がる事はないだろう。
見た目にも口は堅そうだし。

ミセ*゚ー゚)リ(まあ、知られたくないなら何でやったのかって話よね)

昨日のは単純にお礼のつもりだったが、天気が変わらず晴れだったなら何のお礼どころか話しの種にも
ならなかったのよね。
我ながら適当すぎる判断だったと思う。

まあ、時としてその適当な判断が程よい結果を招くので、無意識に味を占めてしまっているのかもしれない。
それとも、これもあれのお陰なのだろうか?

(゚、゚トソン「──セリ?」

ミセ;゚ー゚)リ「うお!?」

考え事に浸っていた頭が現実モードに切り替わると、視界いっぱいに委員長の顔が広がった。
どうやら何度か声をかけていたようだが、反応の薄い私を心配したのか歩きながらこちらの顔を
覗き込んでいたようだ。


(゚、゚;トソン「何故そんなに驚くのですか?」

ミセ;゚ー゚)リ「いや、近いって」

委員長が言うには眼前に手をかざしても全く反応がなかったのでということらしかったが、歩いてる時は前を
見てなきゃ危ないと思うな。

全く見てなかった私が言うのも何だけど。

それに、委員長は名前に反して(?)運動神経は良い方みたいだから平気なのかもだけど。

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、ごめん、ちょっと考え事してた」

(゚、゚トソン「何をですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「朝ご飯」

(゚、゚トソン「食べた……わけはないですね」

寝起きのまま玄関を開けた時の委員長の呆れた表情は記憶に新しい。
あの状態で朝ご飯を食べていると考えるのは難しいだろう。


ミセ*゚ー゚)リ「起こしにきてくれるんなら作ってくれたりもしないの?」

(゚、゚トソン「……朝は忙しいのですよ」

少しの間があり、その一言だけを委員長は平坦な調子で言った。
流石に図々し過ぎたか、少し機嫌を損ねてしまったのかもしれない。

ミセ*-ー-)リ「冗談だよ。委員長にそこまでする義理はないだろうし、私は朝は食べない派だしね」

それを言ってしまえば、わざわざ起こしに来る義理もないのだが。
委員長はそんなことは気にしていないのか、義理とかそういう話ではなく、ただ忙しいのだとすまなさそうに言う。

(゚、゚トソン「どうしても食べたいなら家に来てください」

ミセ;゚ー゚)リ「いや、だから冗談だってば」

起きれないから起こしてもらってるのに、その前に委員長の家に行くのは無理があるだろうと私は言う。

(゚、゚トソン「それもそうですね。……ですが、出来るなら朝はちゃんと取った方が身体には良いですよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「その分昼にいっぱい食べるからいいんだよ」

そんなたわいもない会話をしながら、私達は学校にたどり着いた。


・・・・
・・・

ミセ*-〜-)リ「うーい……」

すっかり雨も乾き、爽やかな初夏の風と少し厳しくなってきた太陽の下、私は学校の屋上に寝そべっていた。
お昼をご飯を堪能して、膨れ上がったお腹をさすり、至福の時を満喫している。

('、`*川「よくもまあ、食べたもんね……」

ミセ*-д-)リ「今日の1食目だしね」

/ ゚、。 /「3食分より多くないか?」

ミセ*-ー-)リ「パン8個ぐらいで1日持つわけないじゃん」

呆れた声を上げる2人に、ごく当たり前の調子で返す。
1食にしては食べ過ぎたことは認めるが、決して食べられない量じゃないだろう。

久々に購買行ったら、目新しいパンが増えてたからつい色々買ってしまったのだ。
朝も食べてなかったから丁度良いとばかりに。


ミセ*゚ー゚)リb「真面目に勉強すればお腹も減るんだよ」

('、`*川「よく言うわね。ずっとぼーっと外見てた──」

ペニサスの言葉が耳障りな鉄を引きずるような音に遮られる。
屋上に出る時も聞いた音。
施錠され、本来は立ち入り禁止である屋上に出るためには少し錆付いて立て付けの悪いあの窓をくぐる必要がある。

ミセ;゚ー゚)リ「誰?」

こんなとこに来る物好きは私ぐらいしかいない。
この2人は、1年の時に私の後をつけて来て気付いて以来だけど、その他に人が出入りするとこは今まで見たことがなかった。

(゚、゚トソン「どうも、こんにちは」

私達3人が注目する中、ひょっこりと顔を覗かせたのは何となく予想していた顔であった。
今の私に関心を持ってる人間は委員長ぐらいしかいないだろうし。
ペニサス達2人の関係者なら与り知らぬとこだが。


ミセ*゚ー゚)リ「どしたの、委員長? 何か用事?」

(゚、゚トソン「はい、お昼ご飯のについてですが」

そういう委員長の右手にはシンプルな白い布地に包まれた恐らくお弁当と思われる箱。
私のイメージ通りなら、これは委員長の手作り弁当であろう。

お昼を一緒に食べようという話なら、もう食べてしまってるので申し訳ない事をしたかな。

(゚、゚トソン「今日はおにぎりにしましたので、少しお裾分けも出来ますが……」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、いや、もう食べたよ」

私の返事に意外そうな表情を浮かべる委員長。
お昼休みが始まってから、もう30分ぐらいは過ぎている。
昼食を取り終えていてもおかしくない。

委員長はまだ食べてないようだが、もし私を探しててそうなったのなら、ちと申し訳なくも思う。

(゚、゚トソン「食べたのならよろしいのですが……」


ミセ*゚ー゚)リ「うん、ちゃんと食べた」

('、`*川「食べ過ぎなぐらいにね」

ミセ*゚д゚)リ「だからお腹空いてたんだってば」

/ ゚、。 /「後々体重計と戦わなければならなくなるぞ?」

ミセ*゚ー゚)リ「私、あんま太らない体質だからそれは平気かな」

/ ゚、。 /「「盛大に太れ」」('、`*川

いつの間にか逸れていく話を委員長は何も言わずに眺めている。
何か言いたげな様にも見えるが、私にはよくわからない。

よくわからない時は直接聞くのが私のモットーだ。

ミセ*゚ー゚)リ「用事はご飯の誘いだったの?」

(゚、゚トソン「ええ……」


気を使わせた上に無駄足を踏ませて申し訳なかったと私は謝る。
委員長は私のせいではないと言ってくれたが、外野がこんなの気にすることはないとかうるさい。

('、`*川「このバカの事は気にかけるだけ損よ」

/ ゚、。 /「要領だけはよいからな。ちゃっかりしている」

ミセ*゚д゚)リ「だけってなんだよ、だけって」

ひどい言われようだが、自分の事は自分でやるのは当たり前の事だし、家庭環境も相俟って、私自身はそれなりに
しっかりしてるのだ。

引きこもってて掃除も疎かにしてた身が言うと説得力なさげだが。
あれはちゃんと明確な意思を持って引きこもってたんだし、掃除の必要性をまだ感じなかったから放置してただけだ。

それに厳密には引きこもってたわけでなく、ちゃんと買い物なんかに外に出てたし。

('、`*川「とにかく、こいつは甘やかさなくていいから」

/ ゚、。 /「そうそう。自分がバカを見るだけだ」

こちらが口を挟まないでいると好き放題言ってくれるペニサスにダイオード。


意外にも、委員長とは気軽に口を聞ける間柄であるようだ。
この場合の意外は委員長の方に係る。
何か、イメージ的に。

(゚、゚トソン「ですが、ご家庭の環境の事もありましたので……」

ミセ;゚ー゚)リ「え? 何? 何のこと?」

言い辛そうに言う委員長だが、何か私の家庭環境にまずいとこがあっただろうか?

いや、まあ、引きこもってた上に両親はいなく、部屋が汚かったのを知ってる委員長からすれば問題ありありだと
思うのは当然か。

だが、先にも述べたように、私は好きで引きこもってたんだし、両親はいないといってもお兄ちゃんがいるので天涯孤独という
わけでもない。
お兄ちゃんは別居してるので会うのは時々だが。

(゚、゚トソン「……その、経済的にお苦しいのかと」

ミセ;゚、゚)リ「……ああ、そういうことか」


掃除した時に空っぽの冷蔵庫も見られたのだろう。
ついでにカップ麺の容器の山も。
買出しにも行ってなかったので備蓄食料もほとんどない時だったし。

家の造りはそうボロくないのだが、それも借り物だとか思われてたのかもしれない。
それ以前に、両親がいないという一点でそう見てしまった可能性もある。

('、`*川「それは違うわよ、委員長」

/ ゚、。 /「うむ、むしろ正反対だ」

(゚、゚;トソン「え?」

私が説明するより早く、ペニサスとダイオードが委員長に話し始める。
2人とも顔が笑ってるところを見ると委員長の勘違いが面白かったのだろう。

('、`*川「こいつはね、大金持ちなのよ。超リッチマン」

ミセ;゚ー゚)リ「マンじゃねーよ」

/ ゚、。 /「親の遺産で一生働かなくても食べていけるそうだ」

ミセ*-ー-)リ「一生どころか二、三生」


私は肩をすくめ、2人の言葉に補足を入れる。
二生、三生なんて言葉があるかはともかく、2人が言うように私はいわゆる大金持ちだ。
だから、この先もずっと引きこもってもいられる。

その割に食事がカップ麺だったりするのは、手間がかからないし、ああいうチープな味が私は好きなのだ。
外食は何となく苦手だし。
今ならまだしも、中学生ぐらいの女の子が夜な夜な1人レストランや定食屋に入るのも空気的に居心地が悪かったし。

(゚、゚;トソン「そうだったのですか……」

驚きの色を隠せない委員長が呟くように言う。
余計な心配ばかりさせる羽目になり、重ね重ね申し訳なく思うが、向こうが勝手にそう思ってしまったのだから私にも
別に非はないんじゃないかとも思ったりもする。

ミセ*゚ー゚)リ「そういうことだから、委員長もお昼ご飯食べちゃいなよ」

食べる時間なくなるからと委員長にお昼を取る事を勧める。
実際、もう15分ぐらいしかないんじゃないかと思う。

(゚、゚トソン「そうですね」


委員長は頷き、私達を見てどうするべきか少し迷ったようだが私達がいる近辺、給水等のそばに歩み寄る。
座れる場所を探していたようなので、どの辺りなら座っても汚れないかを委員長に伝えた。

(゚、゚トソン「それでは、失礼して」

流石に正座というわけには行かないだろうが、足を揃えて背筋をピンと伸ばした姿勢で座る委員長。
太股の上に広げられた小さめのブルーの弁当箱にはおにぎりがいくつかと、数品のおかずが添えられている。
両手を合わせ、軽く目を閉じていただきますと行儀の良い一連の動作は委員長によく似合っていた。

(゚、゚;トソン「あの……」

/ ゚、。 /「……お前ら、食い入るように見られたら委員長が食べ辛いだろうが」

('、`*川「いやー、委員長のお弁当がどんな風か興味あったしね」

ミセ*゚ー゚)リ「それ、委員長の手作り?」

そう言いながら委員長のお弁当を覗き込む私達。
口では止めつつも、ちゃっかりダイオードもその輪に加わっていたりする。

(゚、゚トソン「私の手作りですし、そう大したものでもありませんが」


私の見立ては正しく、お弁当は委員長の手作りらしい。
昨日の掃除の手際を見る限り、委員長は家庭的な人間だと推測出来るしね。

大したものでもないと委員長は言ったが、見たところ、おにぎりの形も整ってるし、おかずもいい塩梅の色をしてる。
食後じゃなければ間違いなくつまんでいたところだ。

ミセ*゚ー゚)リ「あんまり邪魔するのも悪いんで……」

私はひらひらと手を振り、屋上の入り口に向かう。
話し相手なら2人もいるだろうし、私は教室に戻る事にした。

その2人が余計な事を委員長に吹き込みそうな気もするが、それは別にいいかな。
どうせあれはウソではないけど真実というわけでもないのだから。

(゚、゚トソン「……」

・・・・
・・・


放課後、今日はもう掃除の必要もないし、1人で帰ってしまっても構わないだろうが、何となく私は席に着いたままだった。
委員長の姿は席に見当たらない。
特に理由はないのだが、一言挨拶してから帰るべきなのかとどっちつかずな気持ちで帰れずにいる。

('、`*川「どしたの? 帰らないの?」

ミセ*-へ-)リ「ん……、帰るよ。帰るけど……」

既に帰り支度を済ませた様子のペニサスの問いに曖昧に答える。
この状況、主に心情の話だが、それをどう説明するか迷っていると教室の後ろのドアが開いてお目当ての顔が入って
来るのが見えた。

(゚、゚トソン「まだいらしたのですか?」

席に座ったままの私に気づくと、何とも冷たいお言葉をくれる委員長。
一応気にして待っていた私にかける言葉としてはいささかひどいのではないかと思う。

(゚、゚トソン「今日は特に寄るつもりはなかったのですが、すみません、一言断っておくべきでしたね」

私の顔に浮かんだ色を見抜いたのか、委員長は申し訳なさそうに謝って来る。
私とは違った意味でマイペースに見える委員長だが、その辺りの機微に気付けるぐらいは鈍くもないらしい。


/ ゚、。 /「なるほど、それで律儀に待ってたわけか」

ミセ*゚ぺ)リ「別に委員長を待ってたわけじゃないっスよ」

何か含む所のある、からかうような視線を添えて言うダイオードに私は反論する。
私だって一応礼儀は考えたりもするだけで、別に委員長を気にしてたわけじゃない。

そんな事を説明してもしょうがないので、帰ると告げて立ち上がり、3人に手を振って歩き出した。

(゚、゚トソン「……ちょっとお待ちください」

ミセ*゚ー゚)リ「ん? 何……はいはい、教科書ね……」

例によって空の鞄を指差す委員長に私は渋々従い、適当に教科書を詰め込む。

ミセ;゚ー゚)リ「朝は全部入ってたのに教科書が数冊余った件」

(゚、゚トソン「それだと全部は入り切らないですよ?」

私が適当に押し込めた教科書を何冊か抜き、向きを変え、横に縦にきっちりと詰め込んでいく委員長。
こいつは間違いなく整理整頓のプロだと思う。
明らかに鞄の許容量を越えている教科書類は全て収まってしまった。


ミセ;゚ー゚)リ「重い……」

ずっしりと重い鞄を抱え、私はよたよたと後ろのドアに向かい歩き出す。

ミセ*゚ー゚)リ「あれ? 委員長は帰らないの?」

何故か手ぶらで私の後を付いて来ていた委員長に気付き、そう聞いてみた。
委員長は後ろの扉の傍のロッカーを指差し、掃除当番だという。
どうやら私の後を付いてきていたわけでなく、ロッカーの中の掃除用具に用があったらしい。

/ ゚、。 /「む……委員長、今日掃除当番だったか?」

(゚、゚トソン「厳密には違いますが、当番の方が既にお帰りの模様でしたので……」

委員長の言葉に、ダイオードとペニサスの視線が私に向く。
いや、私は当番じゃないと思うというか、ずっといなかった人間には役割は割り振られてないんじゃないかと思う。

とはいえ気にはなったので委員長に確認してみると、やはり私ではないようだ。
私は安心して教室の後ろのドアに手をかけた。


('、`*川「お前はそこで、手伝おうか? の一言が言えんのか」

ミセ;゚ー゚)リ「え、そんな流れなの?」

確かに委員長には先日の掃除の恩はあるが、私は掃除というものが壊滅的に苦手なのだ。
それに委員長の手際の良さを考えると、むしろ私が手伝った方が時間がかかるのではないかと思う。

(゚、゚トソン「大丈夫ですよ。簡単で済ませますから。今日は私も少し早めに帰らないといけませんので」

手伝うべきか迷ってる私に、委員長はやんわりと助け船を出してくれる。
しかしながら急いでいるのならやはり手伝うべきかと決めた時、私よりも先にダイオードが口を開く。

/ ゚、。 /「ならば私達が替わろうか」

(゚、゚トソン「え?」

/ ゚、。 /「しばらく前に、私達に用事があった時替わってもらった事あっただろ?」

(゚、゚トソン「ええ、まあ……しかし」


('、`;川「……達って……やっぱり私かな?」

/ ゚、。 /「あの時は誰の用事だったか覚えてるか?」

('、`;川「……委員長、私達がやるわ」

渋々ながらもきっぱりという言ったペニサスとダイオードに押され、最初は断っていた委員長も最終的には頷いていた。
次回の自分達の当番は今日サボってたやつにやらせるからという言葉に納得したのかもしれない。

(゚、゚トソン「ありがとうございます。押し付けたようですみませんが……」

/ ゚、。 /「順番が早まっただけだから気にしない」

('、`*川「元々、委員長がやることでもないんだしね」

どうやら麗しき女の友情のお陰で、私は手伝わなくて済みそうな流れだ。
このままさっさと帰ってもいいが、折角だから委員長と途中まで一緒に帰ろうかと誘ってみる。
まあ、結果的に待ってたような形になったんだし、そのくらいしてもいいんじゃないかと思うので。


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