じじいの秘密特訓を受け続けて、十日あまり。

最近はじじいの匿いもあり余り気にしなくなって来ていたいじめっ子達が、久しぶりに絡んで来た。
僕が学校から帰ろうとしていた、午後三時過ぎ。


体育館裏に連れ出され、僕はいじめっ子に押されて背中から壁にぶつかった。

  _
( ゚∀゚)「お前さ、かみなりじじいに気に入られたからって調子のってんじゃねーの?」

(´・ω・`)「いや……そんな事は」
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( ゚∀゚)「知ってんだぞ。殆ど毎日じじいの家に遊びに行ってるの」
  _
( ゚∀゚)「じじいをてだまに取って仲間につける気だろ」
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( ゚∀゚)「そういうこそくな手段で、いじめが終わると思ったら大間違いだ」


まるでそっちが正しい事をしているみたいだ。
姑息なのはそっちじゃないかと言いそうになったが、
ぐっと我慢して、いじめっ子の言葉を黙って聞いていた。


周りでは、いじめっ子の仲間達が僕を逃がさないように円を作り、
にやにやと薄笑いを浮かべていじめっ子の話を聞いている。

話が終わり、いじめっ子が僕との距離を詰める。
それに反応して、周りの円との距離も狭まる。

いじめっ子が僕に殴り掛かろうとして来た。
いつもならここで怯えて目を瞑ってしまい、後は殴られるだけだった。


だけど今は違う。

いつものじじいのとの特訓とあのときの言葉を思い出して、
僕は目を瞑らずに、真っ直ぐにいじめっ子の顔を睨みつけた。
一瞬、いじめっ子がたじろいだのが雰囲気でわかった。

…… 今だ


(#´・ω・`)「うわぁぁぁぁっ!!」

  _
(; ゚∀゚)「……!!」

隙をついて、僕は振りかぶりながらいじめっ子に突っ込んだ。


やっぱり怖い。でも、今やらなきゃ。今までのような事が続いてもいいのか。

恐怖を雄叫びとも言えない叫びでかき消し、
臍下丹田に力を込めて、拳に思い切り体重を乗せ、顔に放った。

  _
(; ∀ )「げはっ」


手に、何か固い物が触れる。それを思い切り殴りきる。

そのままの勢いで振り切り、いじめっ子は鼻から血を吹いて後ろに倒れた。
湿った苔まじりの土の上に背中から倒れた衝撃で、いじめっこは苦しそうなうめき声を上げる。

そろそろと手を鼻に当てて、自分から鼻血が噴き出ている事を理解したらしく、
さぁっと 瞬く間にいじめっ子の顔から血の気が引いた。

いじめっ子が殴られて顔面蒼白にしているを、僕は一度も見た事が無い。
多分相手も、今までにこんな目にあった事が無いから、相当驚いているんだろう。


僕の予想外の反撃と、ボスがあっけなく倒された様子を見たからか、
周りの円が歪み、いじめっ子の仲間達がうろたえた表情でざわめきだす。
そして一人。また一人と、いじめっ子を置いてみな逃げて行ってしまった。

  _
( ;∀;)「う……うわぁぁぁぁぁん」


最後に一人、ぽつりと残されたいたいじめっ子も、
鼻を押さえて顔と首の辺りを前を真っ赤に染めながら、
ばたばたと逃げて行った。

── ──── ──────


(´・ω・`)「僕……いじめっ子をやっつけたよ」

( ФωФ)「そうか。ああいう風には言ったが、行動に起こすのには大変な勇気が必要だったと思う」

( ФωФ)「よく頑張った。ほれ、夏みかんをやろう」


いじめっ子を倒してまず報告しに行ったのは、じじいの所だった。
あれだけの腕力が出せたのは、じじいの木刀素振り特訓の成果である事は明らかだったからだ。

僕が興奮した様子でその時の事を事細かに話すのを、じじいは黙って聞いててくれた。
話し終わった後、じじいは前のように僕のあたまをぐしゃぐしゃとなでた後、
庭先に降りてみかんをもぐと、僕の手の平にぽろんと、二つのみかんを優しく乗せてくれた。

しばらくじじいと付き合ってわかった事だったけど、
じじいは嬉しい時や機嫌がいい時に、僕にみかんをくれるらしい。

じじいは無愛想で、普段から喜んでいるのか怒っているのかよくわからなかった。
というよりも、元の顔が厳ついからなのか普段から怒っているように見えた。
目の上下に伸びた二本の傷がそれを余計強調させていたし。

なので、じじい状態変化を表してくれる唯一の手段。夏みかんが二つもあったという事は。
じじいは僕がいじめっ子を倒した事を、相当喜んでくれているらしかった。


僕は、不意打ちとは言え自分がいじめっ子相手の喧嘩に勝った事よりも、
じじいがとても喜んでくれた事に対してなんだか嬉しくなった。

そしてその一件以来、僕は暇さえあればじじいの家に入り浸るようになっていた。

じじいをかみなりじじいと心の中で呼んで、避けていた事を忘れる程に僕はじじいによく懐いた
我ながら現金な性格だと思う。都合がいいというか。

まだ遠慮をするなんて事余り考えない年頃だったから、
ああやって毎日じじいの家をお邪魔するなんて事が出来たんだと思う。


(´・ω・`)「こんにちは」

( ФωФ)「こんにちは」

( ФωФ)「丁度今、キュウリを収穫しようと思っていたんだ」

( ФωФ)「よければ手伝ってくれないか」


じじいの家の庭先には、夏みかん以外にもたくさん植物が生えている。

前にも言ったように、しそやよもぎにツユクサやオシロイバナなど雑草と変わらないような物から、
キュウリやトマト、なすといった、簡単な野菜類がそれに混じるようにして生えていた。
そのさらに隙間に、夏みかんを筆頭に様々な木が生えているといった感じだ。

僕はじじいから手入れ用の小さなはさみを受け取り、キュウリを手際よく収穫して
じじいが抱えている段ボールの底に丁寧に並べて行く。

じじいの庭は養分が豊富なのか、キュウリは市販の物よりも二まわり程大きい。
とぐろを巻いている物や妙な形のキュウリも多く、そんな物を見つける度にじじいに報告をすると、
じじいは豪快に笑って、僕のキュウリを大物だと言って褒めてくれた。


収穫し終えた後、軒先でじじいとおしゃべりをしながらスイカを食べた。
じじいは、種なら庭先にまんべんなく撒きなさいと言ったので、僕は花壇目指して
勢いよく種を吹き飛ばそうとしたけど、なかなかそこまで届く事は無かった。


( ФωФ)「スイカは好きか」

(´・ω・`)「うん」

( ФωФ)「みかんとどっちが好きだ」

(´・ω・`)「……みかん」


そう答えると、じじいはやっぱりみかんをくれた。

蚊取り線香の煙が辺りを漂っている。
そのおかげか、草木が多い割に蚊に刺される事は無い。
なのでいつも蚊など気にせずに時間を忘れて、よく夕方までじじいと話していた。


その日もいつも通り夕方近くまで縁側に腰掛け、色々な事を教えてもらっていた時だ。

どこか遠くの方から消防車の音が聞こえて来た。
じじいはその音を聞くと途端に苦虫をかみつぶしたような顔をして、
僕と話す事をやめて黙りこくってしまった。
じじいのこんな反応を見るのは初めてだ。

不安になった僕は皮だけ残ったスイカを皿に置いて、じじいの顔を覗き込んだ。


(´・ω・`)「……あの?」

( ФωФ)「あぁ、すまない」

( ФωФ)「少し、嫌な事を思い出した」

(´・ω・`)「……?」





その日僕は、じじいの目の傷の事を聞いた。

オレンジ色に染まる入道雲と、不安定な動きで飛び回るコウモリを眺めながら、
じじいは悲しそうに、だけど顔は厳ついままで、話してくれた。





何十年か前。


じじいがまだ若かった頃、奥さんと一人息子がいた。
奥さんは体が弱くて、その一人息子が物心つく前に、病気で死んでしまった。
じじいは奥さんの死を悲しむ暇がなかった。乳飲み子を抱えてはそう長く悲しんでもいられない。

だからせめて、母無し子だといっていじめられたり、負い目を感じさせぬよう、
心と体の強い子に育って欲しいと思い、僕のように素振りをさせたりして、
清く正しく育てて行こうと思ったそうだ。

一人息子はじじいの期待に応え、成績もよくて運動もでき、
そして父を思いやる優しい性格の少年になったらしい。
だけどある日。



じじいが仕事に行っていた時、家が火事になった。
仕事場に電話で連絡が入り、慌てて家へ向かう。
大慌てで帰って来てみると既に火は家中に回っており、とても近づけるような状態じゃなかった。

けれど家の中には、まだ息子が取り残されているという。
じじいは消火しようとしてた近所の人と消防士の静止を振り切り、
水を被って中に入り息子を助けようとした。が。

息子はすぐには見つからず、業火がじじいの行く手を阻んだ。
そして顔に吹き付ける煙と熱風に目をやられ、目を瞑った時に上から瓦礫が落ちて来た。
その熱くなった瓦礫はじじいの顔や頭に容赦なくぶつかって、
その衝撃と肺に入って来た一酸化炭素の中毒でじじいは気絶し


気づいた時には病室だった。
目覚めるや否や看護婦に息子の事を聞いたが、
息子はそのまま帰らぬ人となり……



(´・ω・`)「息子さんは……逃げ出せなかったの?」

( ФωФ)「あぁ。なんでも、これを守るようにして背を丸めた形で死んでいたらしい」

(´・ω・`)「これは……」


じじいは桐箪笥の中から何かを取り出した。
黒光りしていただろうそのカメラは、今では少しくすんだ色をしており、
一部は少し焦げてフレームが歪んでいる。


( ФωФ)「息子は多分、これを持って家を逃げようとしたんだろう」

( ФωФ)「だけど普段は私の部屋の戸棚にしまってあったので、すぐには見つからなかった」

( ФωФ)「そしてやっと見つけたはいいが……煙と火に巻かれてそのまま……」


じじいは僕の目の前で立ち尽くしたまま、カメラをねめつけていた。
カメラを握るその指に力が入り、白く色が変わっていく。

いつも以上に固い顔をして、口を真一文字に結んで動かないじじいに、
僕はどうする事も出来ずに、ただ黙っていた。

( ФωФ)「私のカメラを取りにいっていたせいで、息子は焼け死んだんだ」

( ФωФ)「こいつが息子を殺したような物だ」

( ФωФ)「私がカメラをあんな場所にしまっていなければ。 こんな物を大事にしていなければ!」

(#ФωФ)「息子は助かっていたかもしれないのに!!」


じじいが、子供を叱るときとは違う、怒り狂った表情でカメラに向かって叫ぶ。
カメラを握る指が先に折れるか、カメラが握りつぶされてしまうんじゃないか
というくらいの勢いで、じじいはカメラを力任せに握りしめた。

じじいが写真を撮らなくなったのは、
間接的にだけど、自分が息子を殺してしまったからだと思っているからなんだ。

だけどそれは違うと思う。
なんでじじいの息子が、じじいのカメラを取りに行ったのか?

じじいと息子、二人きりで生活して来たんだ。
そんな父の、唯一の趣味だったであろう写真撮影。

(´・ω・`)「……息子さんは、そんな事を言ってもらうためにカメラを守ったんじゃないと思う」

(#ФωФ)「何?」

(´・ω・`)「きっと、お父さんがカメラを持って写真を撮る姿が凄い好きだったんだよ」

(´・ω・`)「だからお父さんが大事にしてた、カメラを持って逃げようとしたんだ」

(´・ω・`)「いつも通り、写真を撮って嬉しそうなお父さんの顔が見たかったんじゃないかな」

(´・ω・`)「だから写真を撮らずに、箪笥にしまいっぱなしなのは息子さんが可哀想だと思う」





(´・ω・`)「息子さんは、カメラを憎むべき対象として残したんじゃない」

(´・ω・`)「自分のお父さんに、使って欲しいから守り通したんだ」

(´・ω・`)「息子さんが命をかけて守ったカメラなんだから、使ってあげた方が供養になると思う」

( ФωФ)「……」

(´・ω・`)「なんか……勝手な事言ってすいません」

(´・ω・`)「帰りますね」


じじいの指が、元の色に戻って行った。
じじいは立ち尽くしたまま動かない。僕を見つめて、目を細めたまま動かない。

大人であるじじいに色々と生意気な口をきいてしまったと思った僕は、
出されたお茶やみかんのお礼を言った後そそくさと玄関に向かって、
じじいの家を後にした。




次の日に家の前を通った時、じじいがぼそりと謝ったのを聞いて、
あぁ、この件はもう終わりなんだな、と僕も理解して、それ以上何も言わなかった。

それから数日はなんとなく気まずかったけど、
僕が勝手に気まずさを感じていただけなのか、じじいは僕が見る限りは普段通りだった。

じじいとはそんな感じで一年程付き合いが続いていたが、
ここに来て二度目の夏休みに入った頃に、僕はまた引っ越す事になった。


相変わらず友達は一人も出来ていなかったけど、
いじめられる事は無くなっていたし、僕から出ていたであろうなんだか近寄りがたかったオーラも消えたのか、
用事などと言った義務的な内容以外で話しかけてくれる人も出来ていた。


なのでもう何度も繰り返して慣れているはずの引っ越しが、今回は少し辛かった。

そして、じじいと別れなくてはいけないという事実がもう目の前に迫って来ている事で、
僕はこの事をじじいに伝えなくてはいけないはずなのに、
引っ越しの日が近づけば近づく程、余計に言いにくくなっていった。

そして、引っ越しの前日。


夕方、入道雲が怪しい色となって流れて行く中、僕とじじいはいつも通り縁側に座って、
特にこれといったことを喋る訳でもなく、なんとなくそこにいた。

いつもなら、沈黙があってもなぜだか気にならない。

でも今日はその沈黙の中に変な緊張感が混ざっているようで、
僕は落ち着きなく貧乏揺すりをしていたし、
じじいもその不穏な空気を察知したのか、
なんだか話しかけにくい空気をいつも以上に醸し出していた。

(´・ω・`)「……」

( ФωФ)「……もう一年か」

(´・ω・`)「……」

( ФωФ)「お前と出会ったのは」

(´・ω・`)「……」

( ФωФ)「……夏休みに入っても、私の家に遊びに来なさい。勉強を教えてあげよう」

( ФωФ)「だがこんな老いぼれと家で勉強するより、家族と海に行ったりするのもいいかもしれんな」

( ФωФ)「遊び過ぎは駄目だぞ。夏休みが終わったら心機一転、心を入れ替えて頑張りなさい」

(´・ω・`)「……」

じじいは入道雲を見上げながら、独り言のように呟く。
じじいにも、僕には友達がいない事をそれとなく話しはしていた。

だからじじいは僕に友達関係の話題を振ってくる事も無かったし、
友達を作れと強要してくる事は無かった。
だけどじじいの言葉を聞くと、じじいも話はしない物の
僕に友達が出来ない事を心配していたようだった。

けどそんな事を表に出さずに、
自分のやりたいように、自分が正しいと思えばそれもいいんじゃないか と言って、
僕の頭をくしゃくしゃとなでてくれるじじいの気遣いが
嬉しくもあり、少し悲しく感じられた。


それと同時に様々な思い出が、僕の頭の中から噴出してきた。
その思い出を宙に浮かべながら、あのじじいの手の感触も思い出す。

もうじじいに頭をなでてもらう事も無いんだと思うと僕の目頭が熱くなって、
じじいに泣いている所は見られたくないのに僕の涙腺は緩み続けて、
ぼろぼろと涙がこぼれて頬を伝い、ズボンに小さな染みを作り続けた。


( ФωФ)「……」

(´・ω・`)「……僕、引っ越すんだ」

( ФωФ)「……」

(´・ω・`)「もう……明日には……遠い街に行く」

(´;ω;`)「ギリギリになってからこんな事言って、ごめんなさい……」

(´;ω;`)「でもこの事を言っちゃうと現実から逃げれなくなって」

(´;ω;`)「このまま言わなければ、ここに居続ける事もできるような気もしてた」

(´;ω;`)「だけど……」

甘えだってわかってる。
じじいにこの事を言ったって、どうする事も出来ないのはわかってる。

僕の口から、心と口が直接繋げられたように色々な思いが流れ出てくる。
行きたくない。離れたくない。別れたくない。
もうじじいと話せないなんて、信じたくない。


(´;ω;`)「……」

( ФωФ)「……」

(´;ω;`)「……いやだ」

(´;ω;`)「……行きたくない」

(´;ω;`)「ずっと、ここでこうやって話していたい」

(´;ω;`)「……別れたくない」


すがりつくようにじじいの浴衣を掴んで
嗚咽が止まらないまま話す僕のわがままを、
じじいは黙って聞いていてくれた。

( ФωФ)「出会いもあれば、また別れもある」

( ФωФ)「始まりはそれと同時に終わりへの第一歩でもある」

( ФωФ)「別れたくない。それは私も同じ思いである」

( ФωФ)「だが一生の別れという訳でもあるまい」

( ФωФ)「生きていれば、いつだって。何度だって出会う機会はあるのだ」


こうしてじじいに触れて声も聞くのも、もう最後なのかもしれない。
くしゃくしゃと不器用そうに僕の頭をなでる、
じじいの別れたくないという言葉を聞いて、僕の涙は量を増す。


(´;ω;`)「……ねぇ、また会える?」

( ФωФ)「きっと会えるさ。お前が大人になったら、自分の力で私に会いにこい」

( ФωФ)「私はずっと待っている。お前の成長を見届けるまで死ねないからな」

(´;ω;`)「……わかった。僕が大人になったら、またここに戻ってくる」

僕は顔をあげ、滲んだ視界の奥にじじいの目を見る。
じじいは最後に僕を優しくなでてくれた後立ち上がって、
桐箪笥の中からいつか見たカメラを取り出した。


( ФωФ)「最後に写真を撮ろう」

(´・ω・`)「写真……? もう撮らないんじゃ」

( ФωФ)「前にお前に言われた言葉に、私は今まで抱いて来た憎しみが、
      果たして本当に息子が望んでいた事だったのか考え直したのだ」

( ФωФ)「あれから撮ってみようと思って、手入れだけはしてきたんだが……なかなか勇気が出なくてな」

( ФωФ)「だけど。もう一度撮るときは、最初に撮るのはお前にしようと決めていた」


そういうと、じじいは僕の手を取り草ぼうぼうの庭へ導く。
そして僕をみかんの木の前に立たせると、カメラのタイマーを起動させて縁側に置いた。

下駄で慌ただしく僕の横に戻って来て、真っ直ぐにカメラを見つめる。
しばらくすると無駄に大きいシャッター音と、
薄暗くなって来た庭中に届くような、まばゆいフラッシュがたかれた。


( ФωФ)「これでよし」

( ФωФ)「連絡先を教えてくれないか。写真を、お前の新居に送ってあげよう」

(´・ω・`)「うん……」


僕はなんとか新居の住所を思い出して、
じじいの用意した小さなメモ用紙にたどたどしく書き込んで行く。

書き終わったメモをさらに小さく折り畳んでじじいに渡すと、
じじいは曖昧な笑い方じゃなくて、はっきり笑顔だとわかる表情を作って、僕に話しかけた。


( ФωФ)「絶対に忘れはしない。またお前が大人になった時に、ここで会おう。約束だ」


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