5日目 天候晴れ




只今午前11時。

弟者は朝の散歩に出かけていたところだった。

(´<_` )「朝の散歩はいいものだな、寝るより価値がある」

ふと見ると、テーブルの上に書置きがあった。
殴り書きされていてなかなか読めない、だけどこれは間違いなく兄者の字。

「思い立ったらすぐ行動、ということで髪切ったりスーツ買ったりしてくる」

(´<_` )「張り切りすぎだろ・・・」

そうつぶやき、コーヒーをマグカップに注ぎ始める。
甘いのは嫌いなのでブラック、少し動いた体には心地よい苦さだ。

(´<_` )「どこに就職するのかね・・・案外楽〜に就職できたりしてな」

マグカップを口の近くまで運ぶ。
ほろ苦い香りがしてくる、インスタントのくせに十分すぎる香りだ。
結局昼過ぎまでこうして弟者はたそがれていた。




一方こちら兄者。

( ´_ゝ`)「すいません、カット頼みたいんですが」

案外オシャレな美容院に行っていた、センスは悪くないらしい。
ちなみに兄者の髪は伸びまくっていて後ろも前も肩につくほどだ、家では殆どオールバックで過ごしていた。

美容師「お客さんwwwニートっすかwww」

あまりにも失礼な美容師だ、しかし今日の兄者は止まらない。

(#´_ゝ`)「ニートあがりだ、なめるな若造」

美容師「サーセンwwww今日はどのように?」

( ´_ゝ`)「とりあえずサッパリしたい、坊主以外でな」

美容師「全体的に長いですし、ウルフにでもしてみますかwwww」

( ´_ゝ`)「任せた。社会人っぽく、それでいて格好よく頼む」

美容師「むずかしいっすねwwwwまあやってみますよwwww」




こうして兄者は鬱陶しかった髪を切り、まともな大人に見えるようになった。

美容師「これでいいっすかねwww」

( ´_ゝ`)b「やるじゃないか、満足だ。 んでいくらだい?」

美容師「4000円頂きますwww」

( ´_ゝ`)「把握、それではどうも」

美容師「ありがとうございましたwww」

終始美容師は笑いっぱなしだったが機嫌のいい兄者は気にもとめなかった。
ちなみにあの美容師はいつもこんな調子らしい。


( ´_ゝ`)「さて、次はスーツか」

兄者は最近は働きこそしていなかった。
しかし高校、大学時代はバイトに勤しみ、使い道のない金を貯めていった。
兄者は無欲な男だった。

現在12時半、兄者は洋服の青○へ向かった。




一方こちらツン。

ξ゚听)ξ(・・・色はこんな感じかな)

ツンがこのごろ部屋にこもっているのは絵を書いているかららしい、しかしずいぶん気合が入ってるようだ。
何の絵を書いているのか・・・未だににわからない。

ξ゚听)ξ(にしても本当の親みたいだなぁ・・・)

おじいちゃん達には確かにお世話になっている、しかし年の差というものがある。
あの二人の世話を受けていると、「子供」ではなく「孫」だとしか思えない。

そのぶん、この兄弟(といっても23だが)のほうが親という風には感じられる。
ツンは初めて年の近い大人から愛情を受けているのだと感じていた。
その愛情の恩返しとして今何かを作っている・・・らしい。

ξ゚听)ξ(明日まで完成させないと・・・)

その作品は完成まであと一歩というところまで迫っていた。

現在時刻14時30分。




こちら弟者、何をしているかというと

~~−y(´<_` )「・・・」

屋上でタバコを吹かしていた。
 
実を言うと兄者だけが問題を抱えているわけではない、この弟者も性格面では一癖以上にある。

中学校のころ、弟者は自分が一番だと思っていた。
周りのやつらより頭もよく、腕っ節も強く、体格もよく、運動能力もあり、普通にはなすことは面白い。
実際のところそれらは間違いではなかった、しかし過信しすぎた。
2年生のとき、DQN先輩10人ほどに呼び出されたときがあった。
普通にそこでは勝つことができた、しかし冷たくなったのは同学年の生徒からの視線だった。

あいつといると先輩に絡まれる

あいつといるとロクなことがない。

そんな意識が同学年の生徒の中に芽生え始めていた。




次第に一人になっていく弟者はある勘違いをした。
「俺の才能が妬ましいんじゃないのか?」

ここが弟者の厨二病の起源である。
次第に自分はみんなとは違うんだ、という錯角に襲われた。
どんどん危ない色に染まっていった、しかしここで予想GUYの出来事が起こる。

時は高校1年、自分を避けていたやつらとは一つ、二つほどランクが違う高校だ。
ここでも自分に話し掛けてくるような人間はいないだろう、そう思っていた。

川 ゚ -゚)「弟者だっけか? また同じ学校だな、よろしく」

いきなり話し掛けてきたこいつ、一瞬誰だか忘れたがこいつは同じ中学だったクーってやつだ。
こいつも浮いた存在だったのか、話し相手がいなかったらしい。




(´<_` )「俺に話し掛けるやつなんて何年ぶりだ?」

クーに試すように問い掛ける、すると彼女は悩む素振りも見せずに即答。

川 ゚ -゚)「1年と・・・3ヶ月ってところか」

(´<_`;)「はい!? あなたストーカーか何かですか!?」

川;゚ -゚)「ばっ! 違うぞ! ただ人の変わったところをみるのが・・・」

(´<_` )「まあいい、変わり者同士仲良くやろうか。」

そう言って右手を差し出した。

川 ゚ー゚)「変わり者同士か、いいじゃないかw」

そう言ってクーは俺の右手を握り返してきた、初めて人に触れたんじゃないかと思うほど懐かしかった。

それからというもの、学校は苦痛じゃなくなった。
少々回りからの目線が気になった、そりゃ男女が二人で仲良さそうに話してるんだ。勘違いされてもおかしくない。




俺も今思うと、もうそのころは好きだったのかも知れない、でもそのときは一緒にいるだけでよかった。

川 ゚ -゚)「この前のテスト、何位だった?」

こいつは異常に頭がよくて、俺とよく成績を比べていた。
まあ・・・勝敗は5分といったところか。

(´<_` )「男子では一位、総合で・・・二位だ」

川 ゚ー゚)「今回は私の勝ちなようだなww」

(´<_` )「地理がなぁ・・・やられたぞ」

川 ゚ -゚)「まあ、約束は約束だ。ちょっと付き合ってもらうぞ」

(´<_`;)「え、なんだっけ」

川 ゚ー゚)「ちょっと買い物にな、荷物持ち宜しく」

(´<_`;)「mjsk・・・」

その日はクーの服を買いに行くのについて行かされた、今思えばこのとき、あいつも俺のこと好きだったのかなぁと思う。
そのときに好きだと持ち出しておけば・・・後悔しなくてすんだだろう。

終わりは突然にやってくるものだ。




川 ゚ -゚)「大事な話があるんだ・・・」

あるときの放課後、いきなり屋上に呼び出された。
見るからに深刻そうな表情、いい話ではない模様だ。

(´<_` )「どうした、言ってみろ」

川 ゚ -゚)「実は・・・海外に行くことになってしまった」

まだこれだけならいいだろう、最初は旅行かと思った。
でも実際は自分の中でそうだろう、そうに決まってるという風に決め付け、現実から逃げていた。

(´<_` )「いいじゃないかwいつ帰ってくるんだ?」

笑ってはいたが内心もう泣きたくて仕方がなかった。
そしてクーの口から発せられる衝撃的な言葉、一気に現実に戻された。

川 ゚ -゚)「わからないんだ・・・少なくとも5年は・・・」

(´<_` )「そうか、5年か。頑張ってこいよw仕事なんだろ?」




川 ゚ -゚)「寂しくないのか・・・?」

(´<_` )「はははw寂しいに決まってるだろ? でもお前を送るんだったら笑顔じゃないとなw」

川 ; -;)「・・・私の前だったら泣いていいんだぞ? たとえ本人でも、私の前でだけは正直になってくれ・・・」

(;<_` )「馬鹿言うなよww俺は男だぞ? それくらい・・・うっ・・・」

涙目になった途端、クーが抱きしめてきた。
そして俺の涙は止まることがなかった。

(;<_; )「うわああああああああ!!!!!」

川 ; -;)「私が帰ってくるまで・・・待っててくれるか? たとえその間にどんな人と一緒にいて何をしても私は咎めない。
      帰ってきたら・・・また私と一緒にいてくれるか?」

(;<_; )「うっ・・・当たり前だろ・・・」


今思えばこのとき初めて人前で泣いた、大泣きした。
それ以来厨二病は少し収まった。
そしてポルノグラフィティにはまった。





~~−y(´<_` )「・・・」

今思えば、あれがもう7年も前の話になる。

あれからたびたび手紙は来た、今でもきている。

ちなみに何の仕事かは後で聞いたが、工場の経営をしているらしい。
父親が寝たきりになり、息子はいたがまだ10歳にも満たなかったためクーに仕方なく仕事を継がせたというわけだ。
そろそろ帰ってこれるだろう、そんな期待もしていた。

~~-y(´<_` )(そろそろ・・・潮時かな)

何を決めたかというと、今の彼女と別れることだ。
もうバイトはやめて、一ヶ月ぐらいニートになろう。暮らせる金はあるし、兄者も働くことが決まっている。
なによりも、クーのことを思い出しただけで他のことなどどうでもよくなってきた。

現在18時、弟者は考え出すと長いタイプだった。




兄者はというと。

( ´_ゝ`)「久しぶりに買い物したな・・・」

もうリビングでくつろいでいた。

今日買ったもの一覧。

スーツ(シングル3つ釦)¥50000

カット代 ¥4000

ジーパン二本、スラックス(黒) ¥60000

適当にTシャツ3枚 ¥12000

ベスト ¥15000

その他 ¥5000

計¥146000

( ´_ゝ`)「まあ、金はあるしいいか」

ちなみに貯金は200万近くあるとか。
何で私服を買ったのかというと、気合が入ったらオンだろうがオフだろうがきちんとしたい性格なためだ。




( ´_ゝ`)「晩飯まだかね、弟者は珍しく屋上か」

そういえば、と急にあることを思い出し、兄者は非常用ベルを鳴らした。

ベルだけど大音量で音楽が流れる仕組みになっている。

「次の千年の恋人たちに〜♪」

弟者とツンが駆け下りてきた。

ξ;゚听)ξ(´<_`;)「どうし(まし)た!?」

( ´_ゝ`)「いや・・・明日どうするのかなと思って」

ξ;゚听)ξ(´<_`;)(大げさな・・・)

(´<_` )「そういえばそうだな、どうする? どっか行きたい場所ある?」

ξ゚听)ξ「えっと、遊園地!」

( ´_ゝ`)「よし、そこでいいんだね? 朝から行くからね?」

ξ゚听)ξ「はい、でもいいんですか?」




(´<_` )「何が?」

ξ゚听)ξ「いや・・・わざわざ気をつかってもらったりして」

( ´_ゝ`)「俺たちはツンちゃんに喜んでもらえればいいからさ、それに二人とも変われるきっかけをくれたしね。」

(´<_`;)「え!? ちょっとまて、何故わかった!?」

( ´_ゝ`)「バーローwwwお前が屋上行くときは何か決め兼ねている時だからなwwそれくらいわかるさw」

ξ゚听)ξ「え、なんのことですか?」

( ´_ゝ`)「はっはっは、こっちの話だよ。まあもっと大きくなったときのためにとっておこうか」

ξ゚听)ξ「じゃあそれまで楽しみにしてますねw」

(´<_`;)(まさか兄者に読まれてるとは・・・不覚)

ちなみに前に兄者が耳打ちしていたのはこのためらしい、何で耳打ちなのかは知らない。




( ´_ゝ`)「さぁ飯だ!」

(´<_` )「じゃあ気分がいいのsteakでも作るか」

( ´_ゝ`)「鳥! 鳥! (゚∈゚*)!」

(´<_`;)「変なの混じってたぞ・・・まあいいか、ツンちゃん何肉がいい? 牛から鮫まで幅広くあるよ?」

ξ゚听)ξ「えっと、じゃあロブスター!」

(´<_`;)「君も無茶言うね、まああるからいいけど」

ξ;゚听)ξ(あるんだ・・・)「ありがとうございます!」

何故ロブスターがあるかって? 親の稼ぎがいいからさ。
流石に石潰しが二人(兄者、母者)いるので冷蔵庫の中身はぎゅうぎゅうだ。




そんなこんなで一流シェフ並みの腕前を見せ、ロブスター等を焼いた弟者。
そのうちレストランでも開けばいいのにな。
しかし弟者にはその気は全くないため、今度家族全員で説得してみようと思う。
流石家も有名になるだろう、そんな妄想をしている兄者であった

食後は皆すぐ部屋に入ってしまった、ツンだけは風呂に向かった模様。
兄者は部屋で何をしているのか? じきにわかるだろう。




(´<_` )「さて・・・面倒だがメールすっかね」

弟者は彼女に別れをどう切り出すかで悩んでいた。
一応は一年と半年付き合った彼女だ、どういえばいいのか迷った。
流石に鬼畜ではないので、相手がなるべく傷つかないような文を考えていたが、やはり難しい。

(´<_`;)(うーん・・・どうしようか・・・)

結局一時間ほどかけて送ったのがこのメール。

「ごめん、いきなりだけどもう終わりにしないか?
 俺は自分の道を歩みたいし、そっちだって俺に依存してたんじゃもっといい道も人も見つからなくなる。
 だから・・・終わりにしないか?」

(´<_` )「ふぅ、まじめな雰囲気つくるのは面倒だな」




送ってしまえばどうと思うこともない、もうあの女とは関係もないのだ。
正直あちらから告白してきたとき、どうしようか悩んだ。
でも断ったときのつらそうな顔をみるのが嫌だったので渋々OKを出した。
寝たこともある、だけどキスはしていない。この純粋な気持ちだけはクーのためにとってあるのだ。
そのことで何度も怒られた、それで別れようかとも思ったが何故か泣き顔は見たくない。
向こうは自分のことを本気で思っていたのだろう、キスもしない自分を嫌いになる素振りも見せなかった。

「キスと好き〜は真反対さ♪」

いろいろ考えているうちに返事が来た




「そっか・・・わかった。
 今までありがとう、無理して付き合っててくれて。
 私を好きじゃないってことは伝わってきたし、わかってた。
 でも何とか振り向かせようとがんばった、無理だったけどねw
 これからも友達としていてくれますか?」

(´<_`;)(参ったねこりゃ・・・)

いつから自分はわかりやすくなったんだろう、まさかこの女にも見破られていたとは。
そのこともショックだったが、頑張ってくれてたことを卑下した自分という人間が嫌になった。
あの女のことは好きでもなかった、でも嫌いでもなかった。
その人間を傷つけていたこと、そのことで自己嫌悪に陥ってしまった。

(´<_`;)(はぁ・・・(-_-)ウツダシノウ)

そう思いながら返事を打ち始めていた。

「友達として、全然いいよ。
 それとごめん、傷つけていたことがわからなくて」

弟者はこれしか打てなかった。
人間罪悪感に駆られている時は平謝りなどできないのである。




そうして、弟者は風呂に向かった。
ツンは勿論とっくのとうに出ている。





( ´_ゝ`)(・・・俺格好よくない?)

買った私服を試しに着てみた兄者は鏡に映った自分をみてそう思った。
ちなみに顔は普通よりちょっと上程度なので、ファッションと髪形にさえ気をつければイケメンになりえる。

( ´_ゝ`)(ロックバンドみたいだな・・・ギター始めようかな)

すぐ調子に乗る兄者だった、でも調子に乗ったまんまのほうがいいらしい。
前向きにさえなれば、兄者は殆どうまくいく。
殆どうまく行きさえすれば、兄者はまた調子に乗る。
調子に乗れば、また前向きになれる。

人間関係、仕事以外での挫折を知らない兄者は調子に乗れば無敵だった。

( ´_ゝ`)「さぁて、履歴書でも書こうかな」

そういって、履歴書に今日撮った証明写真を貼り付け、書き始めた。
ミスをするという気持ちはないのだろう、そこが兄者のいいところでもあった。




(´<_` )「風呂も出たし・・・もう寝ようかな」

あの女はもう寝たらしい、泣き寝入りだろう。
流石にそれには責任を感じた、ということで俺もつられて寝るとするということらしい。

(´<_` )(はぁ)

部屋にこもり、小さい溜息を一つ吐き出し、電気を消してタオルケットに包まった。

弟者就寝時刻9時。




ξ゚听)ξ「さて、あとはメッセージを入れれば・・・」

もう絵はほぼ完成したらしい。
最後の仕上げを行っているところだと思われる。

ξ゚听)ξ「・・・・・・・・・・・・・・・よし!」

思わずガッツポーズをする、どうやら完成したようだ。
しかし溜まっていた疲労が一気に押し寄せてきた。

ξう听)ξ(もうだめだ・・・喜んでくれるかな?)

少し心配になりながらも、最終的には睡魔に負けて深い眠りのそこへと落ちていった。
どうやら布団は敷きっぱなしだったらしい、絵の具なども片付けないでそのまま眠ってしまった。

時刻は9時40分。




( ´_ゝ`)「皆寝たのかね・・・」

そういって自室でライターをつける兄者、珍しくタバコを吸うらしい。

( ´_ゝ`)y-~~「たまにはいいよな、これも」

タバコは月に一回吸うか吸わないかである、気分転換であるんとのこと。

( ´_ゝ`)y-~~「さて、明々後日からは仕事場所探さないとな」

そういって携帯灰皿にタバコの火を押し付けた。

( ´_ゝ`)「寝ますかね」

そう言って布団の中にもぐりこんだ兄者。

ツンが来てから一番変わったのはこの男だろう。
本人はそのことにまだ気がついていない様子、でもいつかは気付くはずだ。
今宵の空もまた、雲ひとつない空だった。

5日目、終わり




おまけ、作中に登場したポルノグラフィティの楽曲一覧。
「次の千年の恋人たちに〜♪」→Century Lovers

「キスと好き〜は真反対さ♪」→ウェンディの薄い文字


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