【第十話】


( <●><●>)「はい。今年は洋服がいいでしょう」

ミ,,゚Д゚彡「いつも悪いな、ワカッテマス」

( *<●><●>)「いいから早く行きなさい!」

ミ,,゚Д゚彡「えっなに照れてんのこの人キモい」

 聖なる夜には、ワカッテマスから受け取ったプレゼントを、少女に渡すフサギコ。

「ありがとう!」

ミ,*゚Д゚彡「えへへ」

 毎度毎度、煙突から落ちるどんくさいフサギコは、少女のお礼を聞いて喜びます。





ミ,,゚Д゚彡「なぁワカッテマス。あの木の実美味いんだぜ」

 聖なる夜以外は、ずっと自分の森の中にいるフサギコですが

( <●><●>)「それが野蛮な行為なのはわかってます」

 毎日の様に、ワカッテマスが遊びにきてくれて。

 ずっとずっと灰色だったフサギコの周りは、少しだけ色付いたものになっていました。

 そして、時は流れて――









 それは、ある年の聖なる夜。

( <●><●>)「私の前から消えてください」

 茶色い体のトナカイが引くソリに乗って――

ミ,,゚Д゚彡「は?」

 ワカッテマスは突然、そんな事を言いました。

( <●><●>)「私はただ、惨めだった落ちこぼれサンタのアナタを助ける事で、優越感に浸りたかっただけです」

ミ,,゚Д゚彡「は? なに言ってんのお前」

( <●><●>)「しかしもう充分に堪能しました、もう結構です。私に関わらないでください」

 何が何だかわからないまま、ワカッテマスはどこかへと消えて。









ミ,,゚Д゚彡「おい、ワカッテマス」

( <●><●>)

 たまに姿を見かけては、声をかけても、返事は無く――

ミ,,゚Д゚彡「あれ、お前トナカイ」

 ワカッテマスを見かける度、ソリを引くトナカイの姿は違っていて。

ミ,,゚Д゚彡「んー?」

 よくわからない鈍く重たい感情が、フサギコの胸の中に芽生えました。









ミ,,゚Д゚彡「え?」

 また数年が過ぎて、ある年。

ミ,,゚Д゚彡「なんで?」

「この前、亡くなったのよ」

 フサギコにとっては少し前まで少女だったはずのあの子が死んで、少女だったあの子の子供達がそうフサギコに伝えます。

ミ,,゚Д゚彡「亡くなるって、なに?」

「え?」

 その一言をきっかけにして噂は広まり、フサギコは人々から“化け物”と呼ばれる様になりました。









 化け物だ化け物だと罵られながら、フサギコを雪の中を歩きます。
 普通のサンタなら、そこまでは言われません。
 というより、人前に現れません。

 それは、フサギコが毎度毎度煙突から落ちる落ちこぼれサンタだったから。
 そのせいで、フサギコは沢山の“人間”に、顔を見られていたのです。


ミ,,゚Д゚彡「ふぅん」

 フサギコは、知りました。
 人はいつか死ぬという事を。
 だからと言って、特別な感情が沸くわけではありません。





ミ,,゚Д゚彡「んー?」

 ただ、仲の良かったワカッテマスがいなくなって、お礼を言ってくれた少女もいなくなった。

ミ,,゚Д゚彡「なにこれ」

 それが、寂しくて。
 寂しいと、フサギコにはわからなくて――





 【第十話:楽しい日々はすぐに終わってさ】





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