【第十話】
( <●><●>)「はい。今年は洋服がいいでしょう」
ミ,,゚Д゚彡「いつも悪いな、ワカッテマス」
( *<●><●>)「いいから早く行きなさい!」
ミ,,゚Д゚彡「えっなに照れてんのこの人キモい」
聖なる夜には、ワカッテマスから受け取ったプレゼントを、少女に渡すフサギコ。
「ありがとう!」
ミ,*゚Д゚彡「えへへ」
毎度毎度、煙突から落ちるどんくさいフサギコは、少女のお礼を聞いて喜びます。
ミ,,゚Д゚彡「なぁワカッテマス。あの木の実美味いんだぜ」
聖なる夜以外は、ずっと自分の森の中にいるフサギコですが
( <●><●>)「それが野蛮な行為なのはわかってます」
毎日の様に、ワカッテマスが遊びにきてくれて。
ずっとずっと灰色だったフサギコの周りは、少しだけ色付いたものになっていました。
そして、時は流れて――
※
それは、ある年の聖なる夜。
( <●><●>)「私の前から消えてください」
茶色い体のトナカイが引くソリに乗って――
ミ,,゚Д゚彡「は?」
ワカッテマスは突然、そんな事を言いました。
( <●><●>)「私はただ、惨めだった落ちこぼれサンタのアナタを助ける事で、優越感に浸りたかっただけです」
ミ,,゚Д゚彡「は? なに言ってんのお前」
( <●><●>)「しかしもう充分に堪能しました、もう結構です。私に関わらないでください」
何が何だかわからないまま、ワカッテマスはどこかへと消えて。
※
ミ,,゚Д゚彡「おい、ワカッテマス」
( <●><●>)
たまに姿を見かけては、声をかけても、返事は無く――
ミ,,゚Д゚彡「あれ、お前トナカイ」
ワカッテマスを見かける度、ソリを引くトナカイの姿は違っていて。
ミ,,゚Д゚彡「んー?」
よくわからない鈍く重たい感情が、フサギコの胸の中に芽生えました。
※
ミ,,゚Д゚彡「え?」
また数年が過ぎて、ある年。
ミ,,゚Д゚彡「なんで?」
「この前、亡くなったのよ」
フサギコにとっては少し前まで少女だったはずのあの子が死んで、少女だったあの子の子供達がそうフサギコに伝えます。
ミ,,゚Д゚彡「亡くなるって、なに?」
「え?」
その一言をきっかけにして噂は広まり、フサギコは人々から“化け物”と呼ばれる様になりました。
※
化け物だ化け物だと罵られながら、フサギコを雪の中を歩きます。
普通のサンタなら、そこまでは言われません。
というより、人前に現れません。
それは、フサギコが毎度毎度煙突から落ちる落ちこぼれサンタだったから。
そのせいで、フサギコは沢山の“人間”に、顔を見られていたのです。
ミ,,゚Д゚彡「ふぅん」
フサギコは、知りました。
人はいつか死ぬという事を。
だからと言って、特別な感情が沸くわけではありません。
ミ,,゚Д゚彡「んー?」
ただ、仲の良かったワカッテマスがいなくなって、お礼を言ってくれた少女もいなくなった。
ミ,,゚Д゚彡「なにこれ」
それが、寂しくて。
寂しいと、フサギコにはわからなくて――
【第十話:楽しい日々はすぐに終わってさ】
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