【第十一話】


 聖なる夜に、フサギコは一人。

ミ,,゚Д゚彡「んー」

 宛も無く、辺りをさ迷います。
 気が遠くなるほどの時間を森の中、一人で過ごしてこれたはずなのに、落ち着かない様な、苛々する様な、そんな感情がフサギコの中にはありました。

 そんな時です。

ミ,,゚Д゚彡「ん?」





 フサギコの目の前、雪の上にどしんっ! と音を経て、真っ白なトナカイが降ってきました。

lw;‐ _‐ノv

 首に黄色い鈴をつけた、綺麗なトナカイ。
 そして――

( <●><●>)「酷いものですね、シュー」

 ソリに乗るワカッテマスの姿。

ミ,,゚Д゚彡「なにやってんのお前」

( <●><●>)「アナタですか。使えないトナカイを捨てようとしただけです」





ミ,,゚Д゚彡「捨てる、ってなんだ?」

( <●><●>)「……やはりアナタは落ちこぼれのクズですね」

ミ,,゚Д゚彡「あ?」

( <●><●>)「鈴をつけられたトナカイは普通のトナカイではなくなります。呼べばすぐに現れます。それは重い契約です」

ミ,,゚Д゚彡「?」

( <●><●>)「飼い主に鈴をつけられたトナカイがいます。ある日飼い主にその鈴を外されました。するとそのトナカイはどうなると思います?」

ミ,,゚Д゚彡「知らねぇ」

( <●><●>)「溶けるんです。雪みたいに。ゆっくりゆっくり、汚い悲鳴をあげながら」





ミ,,゚Д゚彡「ふぅん。で、捨てるってなんだよ」

( <●><●>)「本当に理解力の無いクズですねアナタは。鈴を外して、違うトナカイにつけるんです」

ミ,,゚Д゚彡「は? じゃあこの子は」

( <●><●>)「頭が悪く足の遅いシューは、処分するのみです」

 ようやくフサギコは、ワカッテマスのソリを引くトナカイが次から次に変わっていた理由を知りました。

lw;‐ _‐ノv「や、やめて」

ミ,,゚Д゚彡「嫌がってるぞ。やめてやれよ」

( <●><●>)「やめませんよ」

 白いトナカイの首に手をかけて、ワカッテマスは黄色い鈴を――

ミ,#゚Д゚彡「おい! 待てよ!」

 ぷちっと、外したのです。





lw;  _ ノv「うぅぅぅぅぅあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

 途端、叫び出すトナカイ。

ミ,#゚Д゚彡「おいテメェ! 鈴つけ直してやれよ!」

( <●><●>)「嫌です。このゴミにもシューという名前がありました。お墓を建てたいならご自由に。それでは」

 フサギコに背を向け、鈴を手に歩き出すワカッテマス。

ミ,#゚Д゚彡「おい待――いや、先にこっちだ」

lw;  _ ノv「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

 痛いのか、熱いのか、シューは叫び続けます。
 徐々に徐々に、体を小さくしながら。





ミ,;゚Д゚彡「なんか無いのか! ちくしょう馬鹿だからわかんねぇ!」

 焦り、何も入っていない袋に手を突っ込んで引っ掻き回し、フサギコはそう叫びます。

lw;  _ ノv「た……たすけ……て」

 悲鳴の間を縫って、振り絞った様に消えそうな声で、シューがそう言ったその時――

ミ,;゚Д゚彡「ん?」

 袋の中、フサギコの手、手の中に、鈴。
 取り出して確かめた、赤い鈴。

ミ,,゚Д゚彡「これは?……ッ!」

 慌てながらも、しっかりと、フサギコはシューの首輪に鈴をつけます。

 そして、シューの体は溶けるのを止めて。

lw;  _ ノv「ぐ……はぁ……はぁ……」



ミ,,゚Д゚彡「助かった……のか?」

 安心したのか、雪の上にあぐらをかいて、ため息を吐くフサギコ。
 目の前に、影。

( <●><●>)「私に嘘を、ついていたのですか?」

 なぜか、目の前にはワカッテマスの姿。

ミ,,゚Д゚彡「あ?」

( <●><●>)「アナタは鈴を持っていないと言いました」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ」

( <●><●>)「教えてください。どうして鈴を?」

ミ,,゚Д゚彡「なんで聞くんだそんな事」

( <●><●>)「鈴を増やせるなら、トナカイを数匹纏めて扱えますから」

ミ,,゚Д゚彡「……扱うとか、飼い主とか、やめろよ。サンタはトナカイがいないと俺みたいに何もできないんだろ? サンタよりトナカイの方がよっぽどカッコイイんだぜ?」





( <●><●>)「質問に答えなさい」

ミ,,゚Д゚彡「さぁてね」

 軽く言ってフサギコは、隣に倒れて眠るシューの頭を撫でます。

lw´‐ _‐ノv

ミ,,゚Д゚彡「一回りちっちゃくなったな。誰かさんのせいで可哀相に」

( <●><●>)「……そんな足の遅いトナカイをなんのため――」

ミ,,゚Д゚彡「もうどうでもいいよお前なんて。消えろよ耳が腐る目が腐る」

( <●><●>)「……ッ!」

 少し悔しそうにしながらも何も言えず、ただ去って行く、ワカッテマス。





 その背中に向けて――

ミ,,゚Д゚彡「アナタの性格の悪さはもう充分に堪能しました。もう結構です。私に関わらないでください。へっ」

 フサギコはそう、皮肉を言いましたとさ。




 【第十一話:あんなに良い奴だったワカッテマスがなぜ壊れたのかその時のフサギコにはまだわからなくってさ】





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