【第十四話】


ミ,,゚Д゚彡「お前、今までに捨ててきたトナカイの名前、全て覚えてるだろ?」

 雪の中、陽気なフサギコは、そこにはいません。

( <●><●>)「……そんなことは」

 問い詰められて、戸惑うワカッテマス。

ミ,,゚Д゚彡「茶色い体のトナカイと何年も一緒にいたお前が、突然トナカイを捨てるなんておかしいんだ」

( <●><●>)「それは……」

ミ,,゚Д゚彡「俺はな、早くお前の存在を忘れて欲しいから、シューにシュシュって名前をつけたんだ。安直だけどさ。最初の頃のシューは怯えて怯えて、大変だったんだぞ」

lw´‐ _‐ノv「……」

ミ,,゚Д゚彡「なのになんでお前はまた現れて、捨てたはずのシューの名前を呼んでんだよ。馬鹿だろお前。ねちっこいよくそったれが」

 どこか悔しそうにそう言うフサギコは、ギュッと拳を握りしめています。





ミ,,゚Д゚彡「ビロードからはな、なんとなく俺と同じ匂いがするんだ」

( <●><●>)「匂い?」

ミ,,゚Д゚彡「馬鹿なんだ。きっと」

( <●><●>)「え?」

ミ,,゚Д゚彡「なぁワカッテマス。お前が俺に熊のぬいぐるみを渡してくれたあの日、俺は救われたんだ、お前に。お前がどんな気持ちであれ、俺は救われたんだ」

 思い出すのは、あの日の感情。
 プレゼントを持って、雪の地面に足跡を伸ばす、胸が躍るあの感情。





ミ,,゚Д゚彡「ビロードもきっと同じだったんだ。名前をつけてもらえて、お前に救われたんだよ。お前にわかるか? 救われる事の嬉しさが。簡単に言えばなワカッテマス、俺もビロードも、お前に依存したんだよ」

 一度だけ言葉を止めて、フサギコはシューを見ます。

ミ,,゚Д゚彡「シューは可愛くて俺よりは賢いから、依存しなかったんだ。恐怖の方が大きかったんだ」

lw*‐ _‐ノv「賢いって言われた」

 照れるシューを今だけは無視して、フサギコは言葉を続けます。

ミ,,゚Д゚彡「だからこそ、あんなになるまで足を動かしたんだ。シューとは違って、ワカッテマス、お前を落とさない様にな。なぁ、そうだろ? ビロード」

(;><)「は……はい……なんです!」

 苦しそうに、それでも力強く、ビロードは返事をしました。





ミ,,゚Д゚彡「だとさ。サンタは落ちても死なないのにな。なぁワカッテマス、お前はどんな顔をして、トナカイに名前をつけていたんだ?」

( <●><●>)「そんなの、自分ではわかりません」

ミ,,゚Д゚彡「何を期待してる? 本当は助けて欲しいんだろう? なぁワカッテマス。どうしてお前はそうなった? 落ちこぼれサンタにもやれる事はあるってお前が言ったんだ。今俺にできるのは、お前の話を聞くことだ。話せよ、ワカッテマス」

 そこまで言って、ようやくフサギコは黙ります。
 あとはワカッテマスの言葉を待つように、ただ、ワカッテマスの目を見つめて。




 【第十四話:長い、フサギコ、長いよ。ボケたいよ、フサギコ】





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