【第二話】
それは静かな静かな夜でした。
冷たい空気の中しんしんと降る雪、足跡一つ無い真っ白な大地、この世界の特徴か、雪を降らせながらも夜空に散りばめられた数多の星々。
その神秘的な空間はまさに、神が作り出した楽園、そう呼ぶに相応しいものでした。
ミ,,゚Д゚彡「どっこらしょおぉぉぉぉ!!」
雪の大地を割って、全裸のフサギコが現れてからは、楽園は地獄になりましたが。
ミ,,゚Д゚彡「シュシュ!」
呼びます。
夜空に向かって、呼びます。
lw´‐ _‐ノv「なぁに?」
いました。
フサギコのすぐ後ろに、シューはいました。
ミ,,゚Д゚彡「俺が雪崩に飲まれた日から何日経った? 三」
lw´‐ _‐ノv「一年」
ミ,,゚Д゚彡「日くらいかな? 四日かな? 五日かもし」
lw´‐ _‐ノv「一年」
ミ,,゚Д゚彡「れないな。六日っていうのもあるな。もしかしたら一週間っていう可能性もあったけどさすがに一年は予想外でした」
lw´‐ _‐ノv「これでもかというほどに埋まってたもんね」
ミ,,゚Д゚彡「何で知ってんの?」
lw´‐ _‐ノv「気のせいだよ」
ミ,,゚Д゚彡「むしろ何で生きてるの俺」
lw´‐ _‐ノv「気のせいだよ」
ミ,,゚Д゚彡「えっ何が?」
lw´‐ _‐ノv「生きてる、の部分」
ミ,,゚Д゚彡「えっ俺生きてないの?」
lw´‐ _‐ノv「むしろ生きたことあるの?」
ミ,,゚Д゚彡「」
lw´‐ _‐ノv「死んだ魚の目を見ると、働かないサンタを思い出す」
ミ,,゚Д゚彡「」
lw´‐ _‐ノv「プレゼント、届けろ」
ミ,,゚Д゚彡「今日は調子が悪いから。俺が悪いんじゃない、社会が悪い政治が悪い国が悪い。だから俺は悪くない」
lw´‐ _‐ノv「もう嫌というほどに雪に埋もれろ。次の冬季オリンピックまで出てくるな」
仲が良いのか悪いのか、すらすらすらすら会話が弾みます。
ミ,,゚Д゚彡「シューは一年間なにしてたんだ?」
フサギコはそれが楽しくて。
lw´‐ _‐ノv「お星様食べてた」
ミ,,゚Д゚彡(あらやだこの子とってもメルヘンちゃん)
lw´‐ _‐ノv「お月様も少しかじった」
シューも少しだけ、楽しいと感じていました。
lw´‐ _‐ノv「プレゼント、届けよう?」
ミ,,゚Д゚彡「あぁもうシュシュったら甘えた声で、しょうがないなぁもぅっ。仕方ないから届けてやるよ。なんせ俺って奴はシュシュの事が大好――」
言葉が終わる前に、シューはフサギコに体当たりをしました。
これでもかといわんばかりに、角でフサギコをつんつん、つんつん、つんつん。
一年前からずっと全裸のフサギコの股間にそびえ立つ、マッチ棒と呼ぶのは実はとんでもない褒め言葉な、どう頭を振り絞って表現しても爪楊枝クラスのそれを、シューは角で一度だけ、つん。
ありったけの力を込めて、つん。
「あふぅん」
聞こえた悲鳴は無視して。
雪の上に倒れピクピクと痙攣するフサギコの近くに
lw´‐ _‐ノv「汚い。やめとけばよかった汚い。雪、雪、雪でなんとか洗おう。よいしょよいしょ」
自分の角に雪をかける、シューの姿がありましたとさ。
【第二話:お前はほんとにパソコンが得意だねぇ。社会がお前を選ばないだけ。国が悪いの。お前は引きこもりニートなんかじゃなく、努力の道の途中。母ちゃん馬鹿だから何もわからないけど、カタカタやってるお前の後ろ姿は、母ちゃんの誇りだよ】
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