【第七話】


 またある年の聖なる夜。

ミ,,゚Д゚彡「やっぱ寒ぃなぁ」

 寒がるフサギコがいます。
 フサギコは、サンタです。

 さて、ここで少し、サンタのお話を。

 そもそも、サンタとはなんなのでしょうか?
 聖なる夜に、どこからともなくやってきて、そっとプレゼントを置いて、どこかへと消えて行く。

 フサギコは、ずっと昔からサンタのままです。

 サンタは、老けません。
 サンタは、死にません。
 サンタは、とても不思議な生き物です。





 かつて、フサギコは一人の少女にプレゼントを渡しました。
 何年も何年も、渡し続けました。
 少女が大人になって、子を産んで老いて、いつしか倒れ、命の灯を消した日が来ても、フサギコはフサギコのままでした。

ミ,,゚Д゚彡「寒ぃ」

 姿は人間そのものです。
 しかし、あまりにも人間からは掛け離れた存在で。

 サンタは人間ではない“生き物”で、いつまでも同じ姿のサンタを、心ない誰かは“化け物”だと罵ります。

 フサギコは、そう言われてとても傷付きました。

 かつて少女だったあの子が死んだ日も、死ぬ事の意味がわからないフサギコは

「ふぅん」

 鼻をそう鳴らすだけでした。





ミ,,゚Д゚彡「シュシュ!」

lw´‐ _‐ノv「なぁに?」

 シューも、そう。
 フサギコに呼ばれると、その背後にフッと姿を現わします。
 何も無い場所に、突然現れるのです。

ミ,,゚Д゚彡「行こうぜ」

lw´‐ _‐ノv「お、やる気出たの?」

ミ,,゚Д゚彡「うーん、何か今日は嫌な奴に会いそうな気がするけど」

lw´‐ _‐ノv「なにそれ」

ミ,,゚Д゚彡「まぁいいや、行こう」





 しゃんしゃん、しゃんしゃん。
 空を翔けるサンタとトナカイ。

 ソリを引くトナカイも、動物ではない“生き物”です。
 急に姿を現わして、どこかへと消えるトナカイは、人間離れしているという意味では、サンタよりも不思議な生き物です。

 ですが、空を翔けるトナカイを“化け物”と呼ぶ人はあまりいません。

 なぜなら、同じ不思議な“生き物”のサンタとトナカイには、決定的な違いがあって――







 【第七話:どこからが人間? どこまでが人間?】





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