从 -∀从「ねえ、デルタ。どうして巻貝を耳に当てると、波の音が聞こえるか知ってる?」







 




( "ゞ)


( "ゞ) パラ……パラ……

( "ゞ)「どうしてって、そういうものだからですよ」

( "ゞ)「周りから発生する暗騒音などが、貝の中で反響・増幅しているだけです」

( "ゞ)「スピーカーみたいに。巻貝の構造上、偶然そうなっただけですよ」

( "ゞ)「ただそれが、波の音のように聞こえるだけです」

( "ゞ)「本物じゃありません」

从 ゚∀从 ))「違うよ、違うチガウ」

从 ゚∀从「私が言ってるのはね、どういうカガクテキなことじゃあないの」

( "ゞ)、

( "ゞ)「じゃあ、どうしてなんですか?」

从 ゚∀从

从 -∀从「簡単だよぉ」
 




从 ゚∀从「貝は海が大好きだからだよ」


( "ゞ)


从 ゚∀从「貝はね、綺麗でひんやりして真っ青な、あの海が大好きなの」

从 -∀从「海を恋い慕っているの。波の中でころころ転がされるのが好き」

从 ゚∀从「時々、乱暴に打ちつけられたりするのも好き」

从 ゚∀从「だって海は大きくて、本当はとっても優しいから、ね?」

从 ^∀从「海をね、貝は愛しているの」


( "ゞ)

( "ゞ) パラ、パラ……

( "ゞ) パラ

 




从 ゚∀从「だからね、浜に打ち上げられても海が恋しいから」

从 -∀从「好きよ、好きよ――……って、貝は唄うの」

从 ゚∀从「その歌声が、私たちの耳には波の音みたいに聞こえる」

从 ゚∀从「ラブソングって奴だね」


( "ゞ) パラ パラ

( "ゞ)「そう、ですか」

( "ゞ)

( "ゞ)「やめてくださいよ。ハインさん、理系だったじゃないですか」

( "ゞ)「おとぎ話みたいなこと考えるのは僕たち文系の仕事ですよ」

( "ゞ)「だからほら、もう休みましょうよ」


从 ゚∀从

从 ^∀从


  


  /*゚、。 /だし!だし!ダイオードだし!のようです 第3話   












从 ゚∀从「この病院、海が見えないものね」

从 ゚∀从「恋しくなっちゃうよねぇ」

从 -∀从「海が見たいなぁ。海、海が恋しい」

( "ゞ)

( "ゞ)「ハインさんの言っている海は、本当の海じゃないでしょう?」

( "ゞ)「ジョルジュのことでしょう?」

( "ゞ)「どうして? 連絡すればいいじゃないですか」

从 -∀从 )) フルフル

从 ゚∀从「ジョルジュは同じ場所に長い間留まらないから」

从 ゚∀从「携帯電話も持ってないし、ね」

从 -∀从「だから、フラッと来てくれることだけを期待してるんだけどねぇ」

( "ゞ)
 



( "ゞ)「ジョルジュのこと……」

从 ゚∀从´「んー?」

( "ゞ)「ジョルジュのことです」

( "ゞ)「恨めしくないんですか? こんな、こんな大切な時に」

( "ゞ)「大変な時に、放り出されて、連絡もくれないのに……」

从 ゚∀从

从 ^∀从「デルタは優しいねぇ」

从 ゚∀从「でも、いいの。元々そういう人だっていうのは分かっているから」

从 -∀从「全然、苦じゃないの。だって、今にもそのドアを開けて、ここにやって来そうなんだもの」

( "ゞ)、「そんなの……ダメですよ」

( "ゞ)「だって、だってあいつは父親なのに!」
 



从 ゚∀从「だめ? かなぁ?」

从 -∀从 サスサス

从 ゚∀从「だってね、ジョルジュがいなくちゃこの子も、きっと生まれなかったもの」

从 ゚∀从「私は大切なものをジョルジュからいっぱいもらったよ?」

从 -∀从「だからね、いいの。寂しいけど、いいの」

( "ゞ)、

从 ゚∀从「ねぇ、デルタこそ、毎日訪ねて来なくていいのよ?」

从 ゚∀从「大学があるでしょ? せっかく国立に行けたんだから、ちゃんと授業受けなきゃ」

从 ^∀从「ね? イイ子だから、ね?」

( "ゞ)


 ――大学なんて、あなたを追いかける過程の一つに過ぎなかったのに

 



 「どうして先輩は理系なのに文芸部に入部したんですか」

  「本が好きだからだよ?」

  「理系がモンゴメリーを読んでいたら変なのかな?」

 「別にそんなことないです」

 「ただ、文系の僕にはよく分からなくて」

  「リケイ、ブンケイってヘンな事を気にするんだねえ」

  「デルタはヘンな子だねぇ」

 「ヘンなのは先輩の方ですよ」



 僕たちの青春は二人だけの閉じた世界で、そこは美しくて儚い場所だった。

 僕は多分ハインさんが好きで、でもハインさんはそうじゃなかったと思う。


 今でも、きっと未来も彼女のことを好きであり続けるのだろう。


 



 「好きな人が、出来た?」

  「そう、二つ上のジョルジュ長岡って人。留年した三年なの」

 「……そんなヤツ、ハインさんに相応しくないですよ。きっと」

  「そうかなぁ。そうかもねぇ」

  「でも、好きだからなぁ。仕方ないかなぁ」

  「デルタにも会わせてあげるね。三人で遊ぼうよ、それが良い」

  「そしたら、デルタもジョルジュのこと好きになれ――ゴホッ、ゴホッゴホッ」

 「ハインさんっ」


 ハインさんは不思議で魅力的な人だったが、身体が弱かった。

 そしてジョルジュと付き合い始めてから、目に見えて彼女は変わっていった。

 体も、心も、取り巻く環境も。

 二人で目指していた同じ国立大を諦める、と彼女が告げてきたのはそれから一カ月後だった。

 




  「ジョルジュね、普段はとても素っ気ないけどすごく優しい時があるの」


 ハインさんは、まもなく学校を中退した。


  「あまりジョルジュを嫌いにならないであげてね。全部、私が悪いんだから」


 孤独になった僕は黙々と勉強に打ち込んで、当初の通り国立大の法学部に合格した。


  「デルタのこと好きだから、幸せになって欲しいなぁ。私の分も」

  「あのね、赤ちゃんが出来たの。ジョルジュの子よ、あの人の子供なの」

  「……最近ね、ちょっと目まいと咳が多くなってしんどいな。赤ちゃんがいるからかなぁ?」


 妊娠してから8ヶ月目、遂に彼女は山奥の病院に入院した。

 そこは海が見えない、寂しい場所だった。

 海のいない孤独に、ハインさんは毎晩泣いていたそうだ。

 




僕はハインさんに巻貝の話を聞いた後、大学ではなく海に行った。


そして、出来るだけキレイで大きな巻貝を探した。

夏の浜は熱くて、乾いた砂地に僕の汗が何度も染み込んだ。

でも、辛くなかった。

妙に気分が高揚していた。

なにか、かたちの見えない希望のようなものを、その砂浜に求めていて。

巻貝を見つければ、巻貝をハインさんに贈ってあげれば。

この理不尽な世界が、もっと良い方向に巻き返していくような。

そんな幸せな妄想を抱いていた。

嗚呼、僕はやっぱり文系だったんだなぁ。

 

 




 そして、とびきりキレイで大きな巻貝を見つけた僕は、

 喜び勇んで病院の自動ドアをくぐった。


从 ∀从


( ゚ω゚)「高岡さん? 高岡さん! 聞こえますか? 高岡さん?!」

(;'A`)「バイタル乱れています! 母子共に危険な状態です」

川 ゚ -゚)「先生!」

( ゚ω゚)「オペ室へ。ショボン先生も呼んで、早く!」


( "ゞ)


僕は巻貝を落としてしまった。

かたちのない希望は、そこで粉々に砕け散ってしまった。


 



( "ゞ)「あ、あぁ、あぁ、ああぁあぁ、あぁぁあぁ」

( "ゞ)「はい、ハインさん、嫌だ、行っちゃ嫌だ」

( "ゞ)「何で、行かないで」

川 ゚ -゚)「!」

川;゚ -゚)っ「すいません、ここはオペ室です。親族の方も入らないでください!」

( "ゞ)「見つけたんだ、だから、待って、行かないで」

( ;ゝ;)「ハインさん! ハインさんハインさんハインさん! いやだ、行っちゃダメだ!」


 「ショボン先生、どうしますか? 事態は一刻を争います」

 「母親か胎児か、どちらかを優先しなくては」

  「……あらかじめ、彼女から緊急時の意思決定は伺っています」

  「胎児を優先して下さい、と」

 「……分かりました。ドクオ君、準備して! 帝王切開!」

   「はい!」


 






ハインさんは死んだ。

まだ若くて未来も希望もある、23歳だった。




そして、彼女の死と引き換えに生まれきたのが――



 / `, 、/



まだ小さな小さな、ダイオードだった。



 



ミ,, Д 彡「厄介なことになった」

( 、 *川「どうするのよ……ウチは子供なんて引き取れないわよ?」

ミ,, Д 彡「それくらいわかっている!」

ミセ; ー )リ「兄さんのところで何とかしてよ! 長男でしょ!?」

ミ,, Д 彡「バカを言え、もう三人も子供がいるんだ。そういうお前は子供がいないだろう?」

ミセ; д )リ「生活が苦しいから作りたくても作れないのよ! それが他人の子を育てろって?」

( д )「他人じゃなかろう! 姪の子供だろうが!」

ミセ# 皿 )リ「姉さんはとっくに病気で死んだじゃない! その子供が産んだ赤ん坊の面倒見ろって? いやよ!」

( 、 *川「ミセリちゃん、そういう言い方はないんじゃないかしら?」

ミセ; д )リ「ペニサスさんだって結局兄さんと同じでしょ? 下の私たちに厄介払いさせようとして!」


( "ゞ)


/ `, 、/「ふぎ」

/ `, 、/「ふぎゃあ、ふぎゃあ」

 



ミ,, Д 彡「母娘そろって病に倒れるなんて……まったく、なんてことだ」

( д )「兄貴、俺は無理だからな」

ミ,, Д 彡「いい加減にしろ、俺だって無理なものは無理だ!」

( 、 ;川「病院が少しの間は預かってくれるらしいけど、限界はあるしねえ……」

ミセ; − )リ「それまでに何とかしなくちゃ。いっそ里親に出すのはどう?」

ミ,, Д 彡「家の体裁的にあまりしたくないが……まずは他の親戚筋を当たってからだな」

( д )「多分、どこも似たような反応だろうな」

ミ#,, Д 彡「だまっとれ!」


( "ゞ)´

( "ゞ)「ほら……うん、寂しいのかい? 泣かないでね、頑張って」

/ ;, ./「ふぇ、ふぇぇ、ふぎゃ、おぎゃ」

 



 「くそ、うるさい! あの泣き声を何とかしろ!

 「まったく、なんだって! ロクでもない奴の子を産みよって、ハインは!」

 「やめてよ! 兄さんこそ騒がないで! ここは病院よ」

 「もういやだわ……どうしてこんな……」

 「すまないが明日仕事がある、用がないなら俺は行くぞ兄貴」

 「待てミルナ! 話は終わってないぞ!」


( "ゞ)

( "ゞ)「あの」


 「?」

 「何だ君は? さっきからずっとそこにいるが」

 「ほら、あなた……あの子はその、ハインの学生時代のね」

 「あぁ、なるほど……。君? デルタ君だっけか?」

 「すまないがこれは親族の問題だ。部外者は出ていってくれ」
 



( "ゞ)「し」

( "ゞ)「親族?」

( "ゞ)「なにが、親族だって?」

(# "ゞ)「こんな小さな子供を! 物みたいに押し付け合ってどうしてそんな偉そうなことが言えるんだよお!!」


 「…………っ、なんだこいつは」

 「あのね、デルタ君。これは仕方のないことなの。私たちみんな生活に余裕があるわけじゃないんだから」

 「……いいとこ育ちのおぼっちゃんはこれだから……」

 「そうだ、父親の方に任せればいい。君、ジョルジュとかいう奴のこと何か知らないのか?」

 「連絡先は? どこに住んでる?」


(# "ゞ)「知らない! 知るか! 知りたくもない、あんな、あんな奴のことなんて!」

(# "ゞ)「それに知っていたら、知っていたらお前ら何かよりも先に、先に!」

(# ゝ)「ハインさんに、ハインさんに教えてる。クソ、クソぉお!!」

 




 「いい加減にしろ、何さまだお前!」


(# "ゞ)「いい加減にするのはお前らだ!」

(# "ゞ)「ハインさんの子供を、この子を里親に出すって? そんなの許さない!」

(# "ゞ)「この子はハインさんが最後に、最後に残した命なんだ!」

(# "ゞ)「お前らなんかに渡すもんか! お前らにも、ジョルジュにも!」

(# "ゞ)「誰にも渡さない、渡さない! この子は、この子はハインさんの子供なんだ!!」

(#;ゝ;)「ハインさんの、最後に残ったハインさんの、欠片なんだ……渡してたまるか……!」


 「ね、ねぇ、ちょっと落ち着きましょう、デルタ君……」


(# ゝ)「この子は、この子は僕が育てる!!」


 


 

                               なにをくだらないことを

       いい加減にしたまえ 君では話にもならない

                                       ねえ、でも悪くないんじゃない?
              だってどうせ厄介者には違いないし
                                            兄さんはいつもいつも頭が固いのよ
    バカな、赤の他人に任せていいことがあるか

                           でも、孕まされて逃げられた娘の子なんて

     預かる身としても                       体裁
                                                  どうせ他人よ他人
                          世間体が

                                                知るか
          本当に最後まで                     親権                   養育費
                     面倒を掛けさせる




                      「……どうせなら母娘仲良く、死ねれば良かったのにねぇ」



 
 




( "ゞ)

( "ゞ) ニコッ

/ ゚, 、/

/ ゚, 。/「うゅー?」

/ ゚, 。/「うゃあー、あう、おー」

( "ゞ)「うん、うん、そうだね。大丈夫だよ、僕が守るよ」

( "ゞ)「誰にも渡さないよ。渡さない。僕が、ちゃんと父親として頑張るから」

( "ゞ)「だから、幸せになろうね、うん」

/*゚, 。/っ「あゅー!」

( ;ゝ;)つ「はは、ちっちゃい手だね。壊れちゃいそうだ」



 「イイ子だ、ダイオード」


 









 愛情も、恋人という立場も 幸せも、命も、未来も

 僕はきっと、何一つ手に入らなかったハインさんのものを

 ジョルジュや、理不尽な運命なんかに奪われていった彼女のものを


 取り返したかった 奪い返してやりたかったんだと思う


 そして唯一、取り戻せたものがダイオードだったんだね


 ごめんね、ハインさん

 ごめんね、ダイオード





 


 ――――――

 ――――

 ――


(  ゝ)

( "ゞ) パチッ

( "ゞ)「あ……うん……暗い?」

( "ゞ)「もう夜? あ、そうか……僕、ジョルジュに殴られて……」

( "ゞ) (気絶して、夢見てたのかな……? カッコ悪い)

( "ゞ)そ

(; "ゞ)「そうだ、ダイオード、ダイオードは?」


/ `、、 / スースー


( "ゞ)

( "ゞ)、(寝てる……目の周りが赤い。泣き疲れたんだ……)
  



 



/ `、、 /。°「うにゃぁ……」

/ `、。 /´ パチッ

/ ゚、。 /「デルタ……?」

/ ゚、。;/「デルタ? デルタ! デルタデルタデルタ!」

( "ゞ)、「うわ、どうしたの、ほら、そんな落ち着いて」

/ `、、;/「心配したし! ジョルに叩かれて、うわーってなって、デルタ起きなかったし!」

/ ゚、。;/「もうイタくないし? イタくない?」

( "ゞ)「大丈夫、大丈夫だよ」

( "ゞ)「ダイオードこそ、ごめんね……お昼も食べてないんでしょ?」

( "ゞ)、「海にも行けなくて……約束破ってごめんね」
 



/ ゚、。 / )) フルフル

/ ゚、。 /「ダイオードはデルタが元気な嬉しいし」

/ ゚、。 /「だから大丈夫だし! ごはんも……おなかヘリヘリだけど大丈夫だし!」

/*゚、。 /「海も! 海は大きいからにげないし!」

/*`、、 /‐3「ダイオードもう大人だし! 我慢できるし!」


( "ゞ)

( "ゞ)。 グスッ

( "ゞ)「あ、あぁ、くそ、どうして……」


/ ゚、。;/そ「デルタ! やっぱりおなかイタかったし?」

:(  ゝ):「ち、ちがうよ、違う、大丈夫、でも、……あ、でも大丈夫じゃないかも、しれない」
 




 ガバッ


/ ゚、。 /「ほわっ! デルタ?」

/ `、、;/「急に何だし? ビックリするし! 苦しいし!」

( ;ゝ;)「ごめんね、ごめんね、ダイオード、ごめんね!」

( ;ゝ;)「僕、僕が一番ヒドい奴だったよ。ジョルジュより、ハインさんの親戚よりも!」

( ;ゝ;)「僕が一番自分勝手だったんだ……僕、自分のことしか考えてなかった」

( ;ゝ;)「何も無いのが怖くて仕方なかったんだ……」

( ;ゝ;)「ハインさんが消えてしまうのが、怖かったんだ……」

/ ゚、。 /「?」

/ ゚、。 /「ハイン、ママ……?」
 



:(  ゝ):「だから、ダイオードを引き取ったんだ、僕は」

:(  ゝ):「君をハインさんにしようとしたんだ、代わりにしようとしたんだ」

:(  ゝ):「最悪だよね……君のこと、誰よりもモノとして見ていたのは僕だったんだ」

:(  ゝ):「君を慰みモノにして……」

:(  ゝ):「自分が孤独で死なない為に、君を利用したんだ、あ、あぁ、あ……」

:(  ゝ):「ごめんね……謝っても、死んでも、許してくれないよね……?」


/ ゚、。 /

/ `、、 /

/ ゚、。 /っ「うん、うん、いいこー、いいこー」 ナデナデ


( ;ゝ;)´「?」
 



/ ゚、。 /「ダイオードよくわかんないし。でも、泣いちゃダメだし」

/ `、、 /っ「だから、いいこー、いいこー」

:( ;ゝ;):

:( ;ゝ;):「ダメだよ、僕に優しくなんかしないで。怒っていいんだよ?」

:( ;ゝ;):「僕のせいで、僕のせいで……何もかも、ぜんぶ……」

/ ゚、。 /「?」

/ ゚、。 /「何もデルタのせいじゃないし! デルタはイイやつだし!」

/*`、、 /「ダイオード、生まれてきて良かったし。デルタ優しいし。デルタといると楽しいし」

:( ;ゝ;):
 



/*゚、。 /「デルタと食べるごはんおいしいし! デルタと読んだ本おもしろいし! デルタとすごす毎日はしやわせだし!」

/*゚、。 /「ダイオード、ママなくしちゃって、パパのこと知らないけど、フコウじゃないし」

/*`、、 /「ダイオード、ママとパパにありがとうって言いたいし!」

/*゚、。 /「デルタに会わせてくれて、ありがとうって!」


( ;ゝ;)

( ;ゝ;)「ぼくの、ぼくのせいで」

( ;ゝ;)「パパの、本当のパパのこと、知らずに終わってしまうかもしれないんだよ……?」


/*`、、 /「いいし! パパはパパだし!」

/*゚、。 /「いまのダイオードにとって、本当のパパはデルタだし!」
 







/*`、、 /「だからね! パパ、だーいすき!」





 僕の中で、あの日壊れてしまったはずの巻貝が、かたちを取り戻していった


 無くしてしまったと思っていたものが、希望が、未来が

 愛し愛されてきたものが

 ハインさんが

 僕の中に帰ってきた 


/*゚、。 /


 小さな女の子の、かたちになって

 



  _
( ゚∀゚)y━・~ フー
  _
( ゚∀゚)「相変わらずちっちぇー墓石だなー。ハインよ」
 


  _
( ゚∀゚)「案外キレイじゃん? デルタが掃除に来てくれんの?」
  _
( -∀-)「お前愛されてるねー。あいつ俺よかずっとお前のこと好きだったのにな」
  _
( ゚∀゚)
  _
( -∀-)「はい、花。饅頭。線香は……あー、忘れちった」
  _
( ゚∀゚)y━・~「わり、タバコで我慢してくれ」


 カナカナカナカナカナ……

  _
( -∀-) スッ……
   人
  _
( ゚∀゚)-3 フー
  _
( ゚∀゚)「今日、俺らの娘を見てきたよ」
 


  _
( ゚∀゚)「お前に似てよー、きっと美人になるわ、あいつ」
  _
( ゚∀゚)「前見た時は、豆粒みてーにちっさかったのになー?」
  _
( -∀-)「はえーよなぁー、だってお前が死んでもう七年だぜ?」
  _
( ゚∀゚)「世界も人間も駆け足過ぎるよ。死んでるお前にゃ、関係ない話だろうけど」
  _
( ゚∀゚)「でも、世界は回るし人は生きるから」
  _
( ゚∀゚)「安心していいよ? デルタはきっと、いい父親になってやれるし」
  _
( ゚∀゚)
  _
( -∀-)「俺? 俺かぁー……俺はどうしようかなー」
  _
( ゚∀゚)「去年までは散々アメリカを練り歩いたし、今度はアジアにでも行くかなー」
 


  _
( ゚∀゚)「うん、そだな。そーかもな」
  _
( ゚∀゚)「またそうやってフラフラして、大事な時には遅刻しちまうんだろーな」
  _
( -∀-)「ごめんなー。まぁ、そういう性分だから」
  _
( ゚∀゚)「今は携帯持ってるよ? デルタにも……ほら、金に番号書いたメモ挟んどいたからさ」
  _
( -∀-)「いつ呼んでくれるかな―? ダイ公の結婚式とかかなー?」
  _
( ゚∀゚)「長いなー。結構長いよなー。もしかしたらもう死んでるかも」
  _
( ゚∀゚)
  _
( ゚∀゚)「その時は、天国のお前んとこに行くのにも遅刻するかもだから、ごめんな」
  _
( -∀-)「へへへっ」
 


  _
( ゚∀゚)y━・~ フー
  _
( ゚∀゚)「じゃあ、そろそろ行くかな……飛行機の時間もあるし」
  _
( ゚∀゚)´
  _
( -∀-)「へへ、そうそう。ダイオードな、俺のことキライだって」
  _
( ゚∀゚)「でも、お前とデルタのことはこの世で一番愛してるって」
  _
( -∀-)-3「うらやましー」


 ――……そっかー、愛してるかー。照れるなー。

 ――……でも嬉しいよねぇ。母親冥利だよねぇ。へへへ。

 ――……ありがとね、ジョルジュ。

  _
( ^∀^)y━・~ ニッ


 



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