主な登場人物
本体:( ^ω^)ブーン
スタンド:(`0ω0´)ビートルズ
能力:フルボッコにする能力
本体:('A`)ドクオ
スタンド:(-Ψ-)ニルヴァーナ
能力:触れたものを透明にする能力
本体:ξ゚听)ξツン
スタンド:州σДσ)スリップノット
能力:いかなる物質をも縫い合わせる能力
第六話「ブラザー・オブ・ラブ」
とある休日の昼下がり。
デレに求愛し見事玉砕した男、セントジョーンズ。
彼は確かに見た。
(;'e')「……」
( ´_ゝ`)「今日は良い日だな、太陽が気持ちいい」
(´<_` )「だな、アニジャ」
アニジャと共に談笑するオトジャの姿を―――。
VIP高校、食堂。
( ^ω^)「実に不可解ですお、そうは思いませんかお」
('A`)「思いません」
( ^ω^)「ではなぜ!なぜこんなにカーチャンのお弁当は美味しいのですか!」
('A`)「知らんがな……」
( ^ω^)「うンまーい!」
そう言ってブーンはガツガツと弁当をかき込んでく。
ドクオはそれを見ながらズルズルと月見そばをすする。
('A`)「まぁお前のカーチャンが料理上手なのは認めるよ」
( ^ω^)「ありがとだお、ドクオが褒めてたってカーチャンに言っとくお」
('A`)「おうおう」
(#'e')「ほんとだって!嘘じゃないんだよ!」
賑やかな食堂が一人の怒号で静まり返る。
( ;^ω^)「な、なんだお?」
('A`)「さぁ……あれって、デレに告白して完膚無きまでに振られた奴じゃないっけ?」
( ;^ω^)「あ、ほんとだお……確か、セントジョーンズ君だお」
('A`)「お前よく覚えてんなぁ」
( ^ω^)「人の名前を覚える事だけは自信あるお!」
('A`)「なんつーか、トラブルメイカーってああいう奴の事言うんだろうな」
( ;^ω^)「んー…違うとも言い切れないお……」
二人がセントジョーンズを見ながら会話していると、セントジョーンズが二人を見た。
('e')「……」
(;'A`)「ちょ、こっち見てんぞオイ……」
( ;^ω^)「う……ドクオが失礼な事言うからだお……」
(;'A`)「マジかよ、どんだけ地獄耳だよアイツ」
セントジョーンズが二人に物凄い勢いで近づいてくる。
('e')カツカツカツカツカツカツ!
( ;^ω^)「(き、来てるお!)」
(;'A`)「(ちょ、こええって!)」
('e')「君達ッ!!」
( ;^ω^)(;'A`)「はい!」
('e')「オトジャ君と仲が良かったよね!」
その言葉を聞いた瞬間、二人の顔色が変わる。
( ^ω^)「オトジャ……」
('A`)「……」
('e')「そうだろ!?」
( ^ω^)「……それがどうかしたかお?」
('A`)「……アンタさ」
('e')「見たんだよ僕はッ!」
ドクオの呟きはセントジョーンズの声にかき消された。
( ^ω^)「何を見たんだお?」
(;'e')「……」
なぜか黙り込んでしまうセントジョーンズ。
自分でもわかっているのだ、それが如何に不自然で、あり得ない事だと。
(;'A`)「大丈夫か?」
(;'e')「あぁ、大丈夫…」
額からとめどなく流れる汗をハンカチで必死に拭いながら一呼吸置いてセントジョーンズは口を開いた。
('e')「オトジャが……」
('e')「オトジャが、生きてるんだ…」
( ^ω^)('A`)「……え?」
意味がわからない。
オトジャが生きている?そんなわけはない。
オトジャは二年前に死んだのだから。
('A`)「……アンタさ、何言ってんだ?」
( ^ω^)「……」
(;'e')「わかってる、僕が変な事を言ってるのはわかってるんだ……
でも、でも……本当に見たんだ……」
('A`)「アンタよぉ……」
(;'e')「違うんだ!本当なんだ!」
( ^ω^)「セントジョーンズ君、死んだ人は生き返らないお……」
(;'e')「本当、なんだ……」
('A`)「アンタしつこいぞ」
(;'e')「うっ……」
ドクオが静かに言い放った一言は大いに怒りを含んでいた。
それを察したのかセントジョーンズは言葉を詰まらせる。
( ^ω^)「(死んだ人は、生き返らないんだお…)」
ブーンは中学生の頃の事を思い出していた。
中学三年生の夏休み。
(´<_` )「ブーン、この問題はだな……」
( ;^ω^)「うー、わかんないお……」
('A`)「無駄無駄、オトジャ諦めろって」
模試の成績が正月に穿き替えたパンツのように
残念な意味で清々しかったブーンのために急遽として勉強会が開かれた。
(´<_` )「あの体力馬鹿のアニジャだって俺が勉強を教えて高校合格させたんだ。
ブーンだって合格させてみせるさ」
( ^ω^)「オトジャありがとだお!頑張るお!」
('A`)「はぁ…マンドクセ。
ちげーよブーン、その公式はここをだな…」
( ^ω^)「なるほど!さすがドクオだお!」
('A`)「ったく」
( ^ω^)「皆で絶対VIP高校に行くお!頑張るお!」
(´<_` )「あぁ、俺を信じろ」
その数日後だ、オトジャが交通事故で死んでしまったのは――。
だから、ありえない。
ありえないのだ。
ありえない事は起こらない。
ありえない事は”スタンド無しでは”起こり得ない。
( ;^ω^)「(まさか…スタンドが関係してるのかお…?)」
(;'e')「……すまなかった、もういいよ……」
( ;^ω^)「ま、待ってだお!セントジョーンズ君!」
('A`)(;'e')「え?」
( ^ω^)「どこでオトジャを見かけたか、詳しく教えてほしいお」
('A`)「おいブーン、お前まで何言って……」
( ^ω^)「いいから!教えてほしいお」
('A`)「……」
('e')「ブーン君、ありがとう……信じてくれて……」
( ;^ω^)「こちらこそさっきは冷たくしちゃってごめんだお、それで?」
('e')「あぁ、えっと……僕がオトジャ君を見かけたのは昨日の夕方なんだ」
( ^ω^)「ふむふむ」
('e')「場所は、そうだな……えっと、工場だよ、なんだっけ……
今は使われてないんだけど……えっと……」
('A`)「靴工場?」
('e')「あぁ!それだ!靴の製造工場だ!その近くで見たよ!」
( ^ω^)「オトジャは……何かしてたかお?」
('e')「いやぁ……ただ楽しそうにアニジャ先輩と話してただけだったよ……」
( ^ω^)('A`)「!!」
(;'A`)「(オトジャだけなら見間違いだと思ったが……兄貴までいただと……)」
( ;^ω^)「(やっぱり何かあるお……)」
('e')「僕が見たのはそれだけ……何か見てはいけないものを見た気がしてすぐにその場から
逃げるように帰っちゃったんだ……聞かせておいて、こんなのでごめん……」
( ^ω^)「いやいや……」
('A`)「ありがとう、充分だよ」
( ^ω^)「セントジョーンズ君が言ったようにブーン達はオトジャと仲が良かったお。
だから二人でいろいろ調べてみることにするお、だおねドクオ?」
('A`)「あぁ、だからアンタも気にしないでくれ。なんかあったら教えるからさ」
('e')「あぁ、そうするよ……ありがとう」
セントジョーンズが少しだけ微笑んでそう言った。
何も進展はしていない、ただ聞いてもらい信じてもらったことで
セントジョーンズの重くのしかかっていた不安は払われた。
セントジョーンズが去った後、二人の顔付きは険しいものに変わった。
('A`)「……どう思う?」
( ;^ω^)「スタンドが関係していないとは思えないお……」
('A`)「だよな」
( ^ω^)「どうするお?もうアニジャ先輩に直接聞いちゃうほうが……」
('A`)「その先輩がスタンド使いだったら?」
( ;^ω^)「!」
('A`)「もし俺達を狙う悪意あるスタンド使いならどうする?」
( ;^ω^)「それは……」
('A`)「直接は危険だ」
( ^ω^)「じゃあどうするお?」
('A`)「そりゃお前……あれだ、尾行」
( ;^ω^)「尾行なんてブーン出来ないお!」
('A`)「大丈夫大丈夫、いざとなったらニルヴァーナで透明にしてやっから」
( ;^ω^)「でもニルヴァーナって人間はあんまり透明には出来ないんだお?」
('A`)「人間っていうか”動くもの”な。例えば机とか動かない物ならかなりの時間透明にしておけるけど
人間やら動きのある物に関しては動きの激しい物ほど透明にしておける時間が短いんだ」
( ^ω^)「なるほど……」
('A`)「まぁ透明にした物は俺にも見えなくなるからあんまり使わないようにしたいところだけどな」
( ^ω^)「わかったお!ブーンの力で見事尾行を成功させてみせるお!」
('A`)「どう考えても失敗フラグなわけだが、まぁいいか。頼むぞブーン」
( ^ω^)「任せるお!」
放課後。
('A`)「おーし、じゃあ尾行実行するぞ」
( ^ω^)「ラジャー」
('A`)「まずは先輩を探さねーとな、靴箱でさりげなく待ってようぜ」
( ^ω^)「ラジャ!」
('A`)「ノリノリで大変よろしい」
二人はそういって靴箱へ向かった。
ブーンは意気揚々と先頭を切って歩いていく。
( ^ω^)「ドクオ急ぐおー!」
('A`)「おい、ブーンあんまり急いでっと……」
ブーンは曲がり角に差し掛かったところで丁度そこから人が現れた。
(;'A`)「おいブーン!危な」
ドン!
( ;^ω^)「あいたた……」
ドクオの警告も虚しく曲がり角で思い切り人とぶつかってしまう。
( ;^ω^)「うぅ、すいませんでしたお……」
ぶつかった人に謝罪しながらブーンが顔を上げる。
( ´_ゝ`)「いや俺こそすまんすまん。うっかりエロいことを考えていた。大丈夫か?」
( ;^ω^)「あー!」
不意のアニジャ登場にブーンは思わず声を上げてしまった。
(;'A`)「(こいつ…馬鹿!)」
( ;^ω^)「(し、しまったおーー!)」
( ´_ゝ`)「”あー”って、どうかしたのか青年?」
( ;^ω^)「……」
( ;^ω^)「いー!うー!えー!おー!」
(;'A`)「(えええー!)」
( ´_ゝ`)「なんだ…ただの五十音の練習か…」
そう言って何事も無かったかのようにアニジャは自分の靴箱へと向かっていった。
(;'A`)「……」
( ;^ω^)「ふぅ……」
( ^ω^)「発想力の勝利!!」
(;'A`)「頭の中が大勝利だよ先輩もお前も」
( ^ω^)「あ、そんなことよりドクオ、今……」
('A`)「ほらほら!もう先輩靴箱にいんだぞ、急げ!」
( ;^ω^)「あ、了解だお!」
すぐさま二人も靴を履き替えてアニジャの動向を伺う。
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「何事も無く靴箱を後にし校門へ向かっていますお隊長」
('A`)「よし、じゃあ付かず離れずで行くぞ」
( ^ω^)「ラジャ!」
校門を出ていくアニジャの後を二人は10mほど距離を空けながら尾行を開始した。
壁|ω^)「ドクオ、尾行ってなんだかワクワクするお」
壁|A`)「わからんでもない」
アニジャは二人に気付くことなく一人歩いていく。
壁|ω^)「隊長、アニジャ先輩に不審な点は見当たりませんお」
壁|A`)「馬鹿者、油断するな」
そしてアニジャの足取りを追ううちに二人はある事に気付いた。
壁|ω^)「このまま行くと……」
壁|A`)「あぁ、靴工場に向かってるな……」
そして二人の予期した通り、アニジャは靴工場の前で止まった。
靴工場はバブル期に建てられた四階建ての大型工場で
主にスポーツシューズを製造する工場としてかつては多くのヴィプ王町の市民が
そこで働き、町は一層活気づいた。しかし不況の煽りを受け、
多くの企業が事業を縮小撤退する中、倒産。社長役員は一夜にして消え、
そこに残ったのはもう動く事のない工場だけだった。
解体される事もなく、塀にはツタが生い茂り、壁はひび割れ所々穴が空いている。
窓ガラスは割れ、只でさえ冷たいコンクリートを更に冷やしていた。
そんな工場の前でアニジャは立ち止っている。
( ´_ゝ`)「……」
壁|ω^;)「……」
壁|A`;)「……」
二人は思わず息を呑んだ。
もしも、万が一、ひょっとしたら……会えるかもしれない。
もしも、もしかしたら、また一緒に笑って、話して……。
( ´_ゝ`)「すまんな、待たせて」
靴工場に向かって言葉を発するアニジャ。
工場の中はブーン達のいるところからは塀が邪魔をして中を伺うことは出来なかった。
壁|ω^)「誰かに、話しかけてるお……」
壁|A`)「くそ、遠くてよく聞こえないな……」
( ´_ゝ`)「すまんなずっとこんなところに居させて。寒かったろ?」
「―――。」
( ´_ゝ`)「はははw そりゃそうか」
壁|ω^;)「うー、聞こえないお……」
壁|A`)「誰かと話してるのは間違いない……誰だ……」
( ´_ゝ`)「さ、行こうぜ」
「―――。」
( ´_ゝ`)「大丈夫、俺が何とかしてやるよ」
「―――。」
( ´_ゝ`)「俺が喧嘩で負けたことあるか?」
「―――。」
( ´_ゝ`)「母者とのあれは喧嘩では無い、ノーカンだ」
「―――。」
( ´_ゝ`)「ほら、さっさと出てこいよ」
壁|ω^;)「……」
壁|A`;)「……」
すると工場の中から見覚えのある人影が姿を現した。
壁|ω゚;)「あ……あ……」
久しぶりに見るその人は全くあの頃と何も変わっていない。
壁|A`;)「嘘だ……」
今だけは素直にその事だけを二人は思った。
( ´_ゝ`)「ほれ行くぞ」
( ´_ゝ`)「”オトジャ”」
(´<_` )「あぁ、そうだな」
アニジャの横に立つ男は見間違えようもないオトジャその人だった。
( ; ゚ω゚)「オトジャ!!」
( ´_ゝ`)「!!」
気付けばブーンは隠れることもなくオトジャに向かって叫んでいた。
尾行なんて言葉はもう頭のどこにも残っていない。
ドクオも静かに壁から離れ二人の前に姿を現した。
(;'A`)「オトジャ、どうして……」
( ;´_ゝ`)「お前らどこから……オトジャ!逃げろッ!」
(´<_` )「わかった」
オトジャはアニジャに言われるがままにその場から走り去ろうとする。
( ; ゚ω゚)「オトジャ待つお!」
走り去ろうとするオトジャの元に必死に駆けるブーンだが、尾行で距離を取っていたせいか
一向にオトジャには追い付かない。
( ; ゚ω゚)`0ω0´)「ビートルズゥゥ!!」
(´<_` )「!」
ビートルズがブーンから飛び出しオトジャの腕を掴もうと手を伸ばす。
(´<_` )「くっ!」
バシン!
ビートルズの伸ばした手はオトジャによって払いのけられた。
( ; ゚ω゚)「え……」
”スタンドに触れられるのはスタンドだけ”
ブーンは思わず一瞬足が止まってしまった。
あれはオトジャでは無いのか?
やっぱりスタンド、なのか。
でもあれはオトジャなのだ、もし違っても今追いかけている背中はオトジャだ。
ブーンにはそう思えた。
( ; ゚ω゚)「オトジャ!待つお!」
ブーンは再びオトジャを追いかけた、今度は立ち止ることは無かった。
( ; ゚ω゚)「オトジャー!なんで逃げるんだお!!」
(´<_` )「……」
必死に追いかけ話しかけるブーンからオトジャは無言で逃げ回った。
必死のブーンは次第にオトジャとの間を詰めていく。
(´<_`; )「くっ……」
それを背中で感じ取って焦ったのか、オトジャは何度も曲がり角を曲がって
ブーンを引き離しにかかる。
( ; ゚ω゚)「オトジャ!なんで!」
商店街に入り、人混みの中をオトジャは強引に人にぶつかりながら通り抜けていく。
ブーンもオトジャを見失わないことに必死で人混みを掻き分ける。
その二人に商店街にいる人々は当然のごとく冷たい視線を浴びせかける。
そこでブーンの頭にまた一つ疑問が生まれた。
みんながオトジャを見ている。
そうだ、そういえばセントジョーンズもオトジャを目撃したのだ。
スタンドはスタンド使いにしか見えない。
そしてスタンドに触れられるのはスタンドだけ。
その矛盾がブーンの頭を一瞬で埋め尽くす。
しかしブーンは止まらなかった。
そのまま商店街を潜り抜けてもまだ二人の追走劇は終わらない。
オトジャはそのままその先にあったデパートの中に入っていった。
( ;^ω^)「亀友デパート……またあんな人の多い所に!」
それを追うようにブーンもデパートの中に入っていく。
中は夕飯の食材を買い求める主婦や学校帰りの学生で埋め尽くされ
ここでオトジャを見つけることは困難を極めた。
しかしブーンの決意はその程度では揺らぐものではない。
すぐさま近くにいた女の人に声を掛けた。
( ;^ω^)「すいません!これくらいの背丈で何かから逃げるようにして
走ってた僕くらいの歳の男の子見かけませんでしたかお!?」
身振り手振りで必死に特徴を伝えようとするブーン。
('、`*川「あぁ、その子ならさっきエレベーターで上にあがっていったわよ?」
( ;^ω^)「ほんとですかお!!ありがとうございますお!」
ブーンはすぐさまオトジャを追ってエレベーターで上の階を目指した。
('、`*川「……」
そして工場前にはオトジャとドクオの二人が対峙していた。
('A`)「スタンドに触れられるのはスタンドだけ……」
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「あれはオトジャじゃねぇ……スタンドだ……」
( ´_ゝ`)「……オトジャだよあれは」
('A`)「違う!」
( ´_ゝ`)「オトジャだ」
('A`)「俺はアイツとは友達だった!あれはオトジャじゃねぇ。
オトジャはブーンを置いて逃げるような奴じゃねぇんだ!」
( ´_ゝ`)「俺はアイツの兄貴だッ!!」
(;'A`)「ッ!」
( ´_ゝ`)「ハァ……」
( ´_ゝ`)「……もういいよ、青年……オトジャを信じないんだな……」
('A`)「違う。オトジャを信じてるから俺はあのオトジャを信じねぇ」
( ´_ゝ`)「来いよ、青年に見せたいものがある……」
('A`)「あ?」
( ´_ゝ`)「オトジャの秘密、知りたいだろう?」
('A`)「……」
アニジャは頑なにオトジャだと言った。
もしかしたら本当にオトジャ本人なのだろうか。
スタンドに触れられるくらいどうでもいい事、なのか?
オトジャが戻ってきたのならそれでいいじゃないか。
ドクオの頭の中は理性と理想が混在していた。
( ´_ゝ`)「来いよ、知りたくないのか?」
(;'A`)「……」
ドクオは黙ってアニジャの後を歩き、工場の中へと入っていった。
中は外よりも寒く、壁は穴とヒビだらけで置き去りにされた機械は
一目で故障していると分かるほどに廃びれていた。
( ´_ゝ`)「……よし」
広い工場の奥、長いベルトコンベアーのある場所でアニジャは止まった。
(;'A`)「秘密ってのは……」
( ´_ゝ`)「あぁ、秘密だ」
(;'A`)「あ?」
( ´_ゝ`)「オトジャの秘密は秘密だ……でも見せてやる」
( ´_ゝ`)「ドラァ!!」
(;'A`)「!」
突如としてアニジャがドクオに殴りかかった。
ドクオは反射的にのけぞったがアニジャの拳が頬をかすめドクオは尻もちをついた。
( ´_ゝ`)「よォーく見ておけ青年!ここがお前の死に場所だ!!」
(;'A`)「くっ!てめぇ!やっぱり敵か!!」
( ´_ゝ`)「あァ!?敵はお前らだァ!!」
軽快なステップでドクオの元に追撃の拳が振り下される。
('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナ!!」
ガシィィン!
( ;´_ゝ`)「なっ!」
ニルヴァーナの腕がアニジャの拳を完全に防いだ。
('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナが見えてるな……やっぱりアンタもスタンド使いか!」
('A`)-Ψ-)「無駄ァ!」
今度は逆にニルヴァーナの拳がアニジャの顔面へと打ち出される。
(#´_ゝ`)「ぐおぉ!」
ニルヴァーナの拳をモロに受けたアニジャは後ろに吹き飛び壁に叩きつけられた。
('A`)-Ψ-)「出せよ……アンタのスタンド」
(#´_ゝ`)「ぐぅ……」
('A`)-Ψ-)「無駄だァ!」
壁伝いに立ち上がるアニジャに追撃の拳が降り注がれた。
(#´_ゝ`)「うぉぉぉぉ!」
('A`)-Ψ-)「なっ!?」
アニジャはその拳に自ら突っ込んでくる。
体でラッシュを受けとめながらそれでも止まる事はない。
(#´_ゝ`)「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
(;'A`)「!!」
アニジャの全力疾走から放たれた右ストレートがドクオの顔面を的確に捉えた。
( A )「かはっ!!」
ドクオの体は先程のアニジャのように吹き飛び、今度は逆に壁に叩きつけられた。
一瞬、あまりの衝撃に意識が頭の中から飛び出しそうになる。
視界が真っ白に染まり、ドクオは咄嗟にニルヴァーナで前方をガードした。
時間にしてはほんの数秒ではあったが、この無防備の瞬間は
ドクオにとっては途方も無く肝を冷やす時間だっただろう。
そして徐々に鮮明になっていく視界、それに伴ってドクオの全身の力が抜けていく。
なぜならアニジャが消えていたからだ。
(;'A`)「ぐっ……はぁ…はぁ…ど、どこにいった……!!」
ニルヴァーナで消したわけではない。
逃げられたのだ。
その事にどこか安堵を覚えながらもドクオはアニジャを探した。
(;'A`)「敵なんだ……逃がすわけにはいかない……!」
一階にはコンベアーと機材があるだけで人が隠れられるような場所は無い。
(;'A`)「上に逃げたか……」
(;'A`)-Ψ-)「フゥ……」
ニルヴァーナで警戒しながら慎重に階段を上っていく。
一段一段を踏みしめながら確実に、先程のような事はもう許されない。
二階はオフィスになっていた。
階段を上ると目の前にある一本の廊下を挟んで左右に幾つもの個室が並んでいる。
しかしどの部屋の壁にも大小細かな穴が空き、所々扉は壊れていた。
ドクオはさらにゆっくりとした足取りで廊下を歩き出した。
その時、先程登って来た階段から物凄い勢いで誰かが上がってくる足音がした。
(;'A`)「ッ!!」
すぐさまその音の方に向き返りニルヴァーナで足音の主に備えた。
( ;^ω^)「ドクオ!!」
階段を登り顔を出したのは予想だにしていなかった人物、ブーン。
(;'A`)「ブ、ブーン!?」
( ;^ω^)「大丈夫かお!?」
(;'A`)「おまっ、オトジャはどうした!」
( ;^ω^)「見失ったお……で、敵は!?」
(;'A`)「あ、あぁ!気をつけろ!先輩は敵だ!」
( ; ゚ω゚)「ほ、ほんとかお!?」
(;'A`)「あぁ……ん?ブーンお前、なんで俺が戦ってるって……」
( ^ω^)「早いな」
(;'A`)「!」
( ^ω^)「ドラァ!!」
ドクオに向けられたブーンの拳を構えていたニルヴァーナが何とか受けとめた。
( ^ω^)「チッ!」
(;'A`)-Ψ-)「ブーンお前……!」
( ^ω^)「……」
一方その頃の亀友デパート。
( ;^ω^)「うぅ……見当たらないお……」
ブーンはオトジャを探して二階を隅々まで探し回った。
しかしオトジャはどこにもいない。
( ;^ω^)「亀友デパート5階建て……全部探すしかないお!!」
エスカレーターに乗り込んで3階を目指しながらブーンはドクオの事を考えていた。
( ;^ω^)「ドクオ、今頃アニジャ先輩と一緒かお……
多分大丈夫だとは思うけど……」
靴箱の前でアニジャとぶつかった時にドクオに言いかけたアニジャへの違和感。
( ;^ω^)「アニジャ先輩、なんだか凄く”軽かった”んだお……」
ぶつかった時、小さな子供にぶつかったのかと思うくらいに衝撃が軽かった。
その事だけがブーンの中で引っかかっていたが、まさか二人が戦っているなど夢にも思わず
今はオトジャの捜索を最優先に考えた。
場所は戻って靴工場。
(;'A`)-Ψ-)「ブーン!なんでだ!」
( ^ω^)「ブーンじゃない」
(;'A`)「?」
(´_ω^ )グチャ
(;'A`)「ッ!?」
ブーンの顔が歪んでいく。
人とは思えぬ造形にまで変形していくその光景はこの世のものとは思えぬおぞましいものだった。
('、`*川^)グチャグチャ…
(;'A`)「何者だ、お前……!!」
( '<_ )「俺だよ……」
次第に変化していく顔は見覚えのあるものへと変わっていく。
(´<_` )「俺さ……ドクオ」
(;'A`)「オト、ジャ……」
幾つもの顔に変化したそれはオトジャの顔を作りだした。
(;'A`)「ブーンは!?お前を追っていったブーンはどうした!!」
(´<_` )「さぁな」
(;'A`)「くっ!」
「それが――」
ドクオの背後で声がした。
ドクオが振り返るとそこにはアニジャが立っていた。
( ´_ゝ`)「それがオトジャの秘密だ」
(;'A`)「どういう事だ……」
( ´_ゝ`)「オトジャは俺の弟ってことさ、なぁオトジャ?」
(´<_` )「だな、アニジャ」
(;'A`)「誤魔化すな!」
( ´_ゝ`)「誤魔化しちゃいないさ……」
( ´_ゝ`)「青年、兄弟ってのは何だと思う?」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「それは”繋がり”だ。血肉すらも兄弟のためなら惜しまない。
恋人のように愛や、親友のように絆なんてものは求めない。
なぜならそれは元々にして持ちえているからだ」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「オトジャが俺の前に現れた時はまだオトジャでは無かった。
だから俺の肉を与えたんだ、俺の肉がオトジャをオトジャにした」
(;'A`)「何を……言ってる……」
( ´_ゝ`)「俺の体の半分をオトジャに分け与えたって言ってるんだ。
青年のソレ、なんて言ったっけ……スタンド?」
(;'A`)-Ψ-)「……」
( ´_ゝ`)「オトジャはそんな感じだった、魂だけの存在だ。
しかし俺の血肉を分け与えた事でオトジャは帰って来た」
(;'A`)-Ψ-)「スタンドに自分の肉を与えた……?」
(´<_` )「それが俺の能力だ、ドクオ」
[前の話へ] 戻る [次のページへ]