第七話「宇宙飛行士に会いに行こう」
流石兄弟との戦いから、幾日かが経った、VIP高校。
放課後の掃除当番のドクオは、気だるそうに箒で廊下を掃いていた。
('A`)「はぁ……デミタスのせいだ……」
本来、放課後の掃除は二人一組で、行うことになっているのだが
デミタスが学校を欠席したおかげで、ドクオが一人で掃除をするハメになっていた。
('A`)「あーマンドクセェ……やっと終わったわ……」
ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、掃除をやり終えたドクオは、ブーンの待つ教室へと向かった。
('A`)「ういーす、待たせて悪かったな、ブーン……」
そう言いつつドクオが教室に入ると、目に飛び込んできたのは、二人の馬鹿。
( ´_ゝ`)「おういえ」
( ^ω^)「あーはーん?」
('A`)「……何してんのお前ら」
( ^ω^)「あ、ドクオ!えーっと……
アーン、アニジャ先輩アンドミー、ジャパニーズアウトゲーム、プレイングナウ!」
訳:私は今、アニジャ先輩と日本語禁止ゲームをしています。
( ´_ゝ`)「はい、アウトー!”先輩”イズジャパニーズ!」
(; ^ω^)「あああーーー!でも先輩も今、”はい”って言ったお!」
(; ´_ゝ`)「あああーーー!」
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「じゃあ今回の勝負は……」
( ´_ゝ`)「引き分け……だな!」
( ^ω^)「ですお!」
( ^ω^)「おっおっおっwww」
( ´_ゝ`)「はっはっはっwww」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「それはそうと、ドクオ……今、俺のこと”お前”って……」
(;'A`)「あ、すいませんつい……」
( ´_ゝ`)「いいぜドクオ!なぜなら俺達は……」
( ´_ゝ`)「戦友……だからな!」キリッ
(;'A`)「あぁ、はい……」
( ´_ゝ`)「しっかし英語ってのは、やっぱり難しいな」
( ^ω^)「ですお。ブーンにもサッパリですお」
( ´_ゝ`)「まぁ、俺はいつか英語は、マスターするけどな!」
( ^ω^)「おぉー!凄いですお!」
('A`)「へぇ」
( ´_ゝ`)「宇宙飛行士になるには、英語が必須だからなー」
( ^ω^)「アニジャ先輩、宇宙飛行士になるんですかお!?」
( ´_ゝ`)「おうよ!ヴィプ王町二人目の、アストロノートになってやるのよ!」
( ^ω^)('A`)「二人目?」
( ´_ゝ`)「えっ」
(; ´_ゝ`)「お、お前ら知らないの?ジョルジュ宇宙飛行士」
( ^ω^)「この前まで宇宙に行ってた人ですおね?」
('A`)「それは知ってるけど……あの人ってヴィプ王町出身なんスか?」
ジョルジュ宇宙飛行士。
実に半年にも及ぶ間、宇宙環境下での実験や、船外活動を行った。
帰還後は、長らくアメリカに滞在していたが、ついこの間から日本に帰国している。
( ´_ゝ`)「高校の頃に転校したそうだが、それまではヴィプ王町にいたんだぜ」
( ^ω^)('A`)「へぇー」
( ´_ゝ`)「俺はそんなジョルジュ宇宙飛行士の事を、中学の頃に知った!」
( ^ω^)「お?」
( ´_ゝ`)「俺はその日、たまたま寝付けなくてテレビをつけたんだ。
すると、深夜に生中継で放送されていた、国際宇宙ステーションの様子。
そこでジョルジュ宇宙飛行士が、船外活動をしていたんだ。
もちろん俺は、そこで何をしているかなんて理解もできてない。ただ、ただ!」
('A`)「熱いな、アニジャ先輩」
( ^ω^)「熱いお、情熱だお」
( ´_ゝ`)「それでもガキの俺の魂に、火をつけるには十分すぎた!
俺達がヨダレ垂らして寝ている間に、命がけの任務を行ってたんだ!
俺は思ったね!俺もやりたい!そして見たい!宇宙ステーションから地球を!
ヨダレ垂らして寝てるガキ共の頭の上で、任務を遂行したいってな!」
( ^ω^)('A`)「おぉ〜…」
( ´_ゝ`)「こうしてアニジャは、セリエAのスター選手に憧れるよりも……
宇宙飛行士に、憧れるようになったのだ!」
( ^ω^)('A`)「おぉぉー」パチパチパチパチ
( ´_ゝ`)「で!で!」
( ^ω^)「お?」
( ´_ゝ`)「実はぁー…今日この教室に寄ったのは、その事なんだよ」
('A`)「ん?どういう事スか?」
( ´_ゝ`)「実は!今日の夕方から、ジョルジュ宇宙飛行士の講演会があるんだ!」
( ^ω^)('A`)「おー」
( ´_ゝ`)「でな、講演会、一緒に行かない?」
( ^ω^)「オトジャは、どうしてるんですかお?」
( ´_ゝ`)「あぁ、オトジャの事を、母者が離してくれないからな。いつもオトジャにベッタリよ。
もうなんか、母者がオトジャのスタンドじゃないかって、思うくらいのもんで……ん?」
( ;ω;)「……」
( ´_ゝ`)「……まぁ、というわけで、あんまり親子水入らずの所に、水は差したくないだろ?
優しい兄貴の配慮ってわけよ。だから一緒に行こうぜ、二人共!」
('A`)「あ、俺無理っス。今日、携帯買う予定なんで……」
( ´_ゝ`)「あ、それって……俺達と戦って潰れたっていう……?」
('A`)「そうス」
( ´_ゝ`)「……うん、じゃあ仕方ないね。ではブーン君!」
( ;ω;)「うぅ……えっぐ……ズズズ……え?」
( ´_ゝ`)「君も講演会に行って、ジョルジュ宇宙飛行士と握手!」
( ^ω^)「……握手したいですお!」
( ´_ゝ`)「おーし!じゃあ決まりだなー(握手できるか知らないけど)」
('A`)「さてと、そろそろ携帯買いに行くか……じゃあ気ぃ付けてな、二人共」
( ^ω^)( ´_ゝ`)「何に?」
(;'A`)「いやまぁ……何だ?その、色々とな……」
勿論スタンド使いに、だ。だが二人の余りに気の抜けた返答に、
自分が考えすぎなんじゃないかと思えたドクオは、
無駄な杞憂を二人に与える必要は無いと、言葉を濁した。
( ´_ゝ`)「よぉーし。じゃあそろそろ行こうぜ、ブーン」
( ^ω^)「はいだおー」
('A`)「じゃあ俺も……っと、また明日な」
( ^ω^)「うん!バイバイだお、ドクオー」
( ´_ゝ`)「じゃあなー」
校門の前でドクオと別れたブーンとアニジャは、講演会のある市民会館を目指した。
( ^ω^)「アニジャ先輩、講演会って聴くのに、お金かかるんですかお?」
( ´_ゝ`)「それがさ、高校生以下は無料なんだぜ!
ジョルジュ宇宙飛行士、たっての希望なんだってよ!」
( ^ω^)「おおおー!ジョルジュさん太っ腹ですお!」
( ´_ゝ`)「だろだろー、凄いだろ。何せ俺が、憧れてる人だからな!」
駅の近くにある市民会館には、中にホールが作られており、
たまに小さな劇団や楽団が、公演を行ったりもする多目的ホールになっていた。
そしてその市民会館の前には、既に今回の講演会を、
聴きに来たであろう人間が、大勢たむろしていた。
( ´_ゝ`)「おーし、じゃあ入るかー」
( ^ω^)「おー!」
二人がホールへと足を踏み入れようとする直前、アニジャの携帯が鳴った。
( ´_ゝ`)「ん?誰だ?……あれ、オトジャからだ」
( ^ω^)「お?」
( ´_ゝ`)「わりぃ、ちょっと待っててくれな」
ブーンに断って、アニジャは携帯を耳に当てた。
(´<_` )『アニジャ……よくも逃げたな……』
( ´_ゝ`)「な、何が?」
(´<_` )『学校終わったら、すぐ帰ってくる約束だったじゃないか……』
( ´_ゝ`)「あー…それはだな……せっかくの親子水入らずを、
邪魔しちゃ悪いと思ってだな……」
(´<_` )『嘘つけ!母者が海外ドラマにハマってる事、なんで教えてくれないんだよ!』
( ´_ゝ`)「あ、やっぱり無理矢理、鑑賞させられてる?」
(´<_` )『”やっぱり”……?』
(; ´_ゝ`)「あ」
(´<_`# )『もう朝からずっと見させられて、今8話だぞ!
興味の無いドラマを8時間も見る、俺の身になってみろ!!』
( ´_ゝ`)「8話も見てたら、結構もうハマっちゃってるんじゃないか?」
(´<_`# )『ふざけ……はっ!!』
( ´_ゝ`)「どうした?」
(´<_` ;)『母者に呼ばれた……しまった、やっぱりトイレに30分は籠りすぎたか……』
( ´_ゝ`)「便秘か?」
(´<_` )『黙れ』
( ´_ゝ`)「ごめん」
@@@
@#_、_@
( ノ`)『オトジャー!マイケルが!マイケルがチャックをー!』
(´<_` )『え!?すぐ行く!!』
プツンッ……プー…プー……
( ´_ゝ`)「切れた……」
( ^ω^)「(電話の内容は、よくわかんないけど……、
オトジャも楽しくやってそうで、良かったお)」
( ´_ゝ`)「まぁ、いっか。すまんブーン、待たせたな。行こうぜ」
( ^ω^)「はーい」
市民会館に足を踏み入れ、そのまま人の流れに流されていると、受付の前に辿り着いた。
二人は受付で、学生証を提示すると、係員にホールへと通された。
中は、もうかなりの人間が座っており、二人は適当な席を探しながら、
ホールを歩いて、前方中央寄りの、なかなか良い席を陣取った。
( ´_ゝ`)「良い席空いてたなー」
( ^ω^)「ラッキーですお」
そして時間も余りたたないうちに、ホールの席が埋まり、
あとはジョルジュの登場を、待つばかりとなった。
( ´_ゝ`)「やべぇ……緊張してきた……」
( ^ω^)「あ」
( ´_ゝ`)「んっ!?」
ブーンの視線の先に、壇上を横切る一人の男。
( ´_ゝ`)「お、おぉぉ……」
アニジャが小さく吼えた。
それに呼応するように、会場もざわつき出す。
壇上に立つ男は、中央にある教壇の前に立ち、マイクに顔を寄せて一言。
_
( ゚∀゚)「えー、皆さん。宇宙は好きですか?」
その一言で会場全体に、万雷の拍手が巻き起こる。
( ´_ゝ`)「うおおおおおお!!」
アニジャは、今にも立ち上がってしまいそうなのを、必死に堪えるように、
全身に力を込めながら、ずっと憧れていた男、ジョルジュを食い入るように見つめていた。
_
( ゚∀゚)「紹介が遅れました、私がジョルジュ。
ヴィプ王町出身の、宇宙飛行士です。」
”ヴィプ王町出身”という単語に、観客は歓喜の拍手で応えた。
_
( ゚∀゚)「この町に再び帰って来られた事、そしてこんなにも温かく迎えて頂けた事に
心からの高揚感と、心よりの感謝でいっぱいです。」
ジョルジュの言葉一つ一つに、観客は沸いた。
そして次第にジョルジュの話は、本題の宇宙飛行士の話へと移っていく。
( ゚∀゚)「私は宇宙飛行士になる前、とある会社で技術者をしていました。
しかし、その時から私の夢は、宇宙飛行士になる事でした。
いつかシャトルに乗って、宇宙に飛び出してみせる。
それが私の中に、ずっと、必ず、いつでも、私の中のド真ん中に、あったのです。」
( ´_ゝ`)「……」
アニジャは当初の興奮を、どこかへ置いてきたかのように、静かにジョルジュの話を聞いていた。
いや、当初の興奮は内なる情熱へと変化し、ジョルジュの話を一言一句を
聞き逃さないでいようと、真剣になっているのだ。
( ^ω^)「(アニジャ先輩の、こんな真剣な顔、初めて見たお……)」
_
( ゚∀゚)「そして私が皆さんに……いや特に、ここにいる若者達に、言いたいことがあります」
( ´_ゝ`)「!」
( ^ω^)「お?」
_
( ゚∀゚)「今日こんなにも、ここに若い人達がいるのは”無料”だったからというのが
大きな理由でしょう。もちろん、それだけでは無いと言う事も、わかっています。」
(; ^ω^)「(それだけが理由って訳じゃ……あ、言われちゃったお)」
_
( ゚∀゚)「しかしそれこそが、大切な事です。
”欲”です。もっと欲深くなって下さい」
( ´_ゝ`)「……」
_
( ゚∀゚)「誰よりも早く走りたいという欲が車を作り、他国を追い抜かしたいという欲が
宇宙開発を進歩させました。動機なんて、最初は不純でも構いません。
モテたいからお洒落して、ヤリたいから優しくする、それでもいい。」
( ´_ゝ`)「……」
次第にジョルジュの言葉のオブラートが、剥がれていく。
だからこそ、若者達には、その言葉の本質が心に響いた。
_
( ゚∀゚)「遊びたいから働く、楽しみたいから読む、なりたいから成る。
探究欲、向上欲、全ての根源は”欲”です。」
_
( ゚∀゚)「俺は宇宙飛行士になれると思ったから、宇宙飛行士になった。
なれる、欲しいと思わなきゃ、それは手に入らないッ!
欲深く、利己的になって下さい!」
ジョルジュの言葉に会場は静まり返った。
しかし徐々に拍手が起こり、それは瞬く間に会場全体を、覆い尽くした。
( ^ω^)「凄いお……」パチパチパチ
( ´_ゝ`)「……」
万雷の拍手が鳴り響く中、アニジャの膝の上に置かれた手が、自然と握り拳を作っていた。
その後、ジョルジュによる宇宙での任務の話などで、会場は何度も沸いた。
_
( ゚∀゚)「俺がISSにいた頃、EVAで太陽光パネルを修理している途中で、無線機が……」
_
( ゚∀゚)「ISSには、NASAからの宇宙飛行士の他にも、ロシア人宇宙飛行士がいて……」
_
( ゚∀゚)「で、宇宙での実験の結果……俺の眉毛が、真空状態になるとだな……」
( ´_ゝ`)「すげーwww」
( ^ω^)「おっおっおっwww」
二人はおろか、会場にいる全ての人間が、ジョルジュの言葉に魅了されていた。
そして二時間に渡る講演は、あっという間に終わりの時を迎えた。
_
( ゚∀゚)「では皆さん、そろそろお時間のようです。
長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。またどこかで。
または宇宙で、お会いしましょう」
最後にそう締め括って、鳴り止まぬ拍手と歓声の中、ジョルジュは壇上を後にした。
ジョルジュが去った会場で、次第に疎らになっていく会場の中で
ブーンとアニジャの二人は、まだ講演の余韻に浸っていた。
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「凄かったお……」
( ´_ゝ`)「こりゃ断然、宇宙飛行士になるしかねぇわ……」
( ^ω^)「なれますお、アニジャ先輩なら」
( ´_ゝ`)「おう!」
そうこうしているうちに、いつしかホールは、ブーンとアニジャだけになっていた。
( ^ω^)「あれ、誰もいないお」
( ´_ゝ`)「いつの間に……そろそろ帰るか」
二人が席を立ったその時、壇上に人がいる事に気付いた。
_
( ゚∀゚)「おや、まだ残っててくれてる人がいたとは……」
( ´_ゝ`)「あばばばばばば」
(; ^ω^)「あぁぁ!先輩が早々に、ぶっ壊れたお!」
_
( ゚∀゚)「やぁ君達、宇宙は好きかい?」
そう言いながら、ジョルジュは壇上を降り、ブーン達の元へと歩いてくる。
( ^ω^)「今日で大好きになりましたお!」
_
( ゚∀゚)「嬉しいねぇ、ありがとう」
(; ´_ゝ`)「お、お、お……」
_
( ゚∀゚)「お、お、お?」
( ^ω^)「お?」
(; ´_ゝ`)「お、俺は!ヴィプ王町で、二人目の宇宙飛行士になりますッ!」
_
( ゚∀゚)「んー?お前がぁー?」
そう言いながら、アニジャを品定めするかのように、見つめるジョルジュ。
_
( ゚∀゚)「うん、無理だな」
( ´_ゝ`)「!」
(; ^ω^)「ちょ!そんな言い方……」
( ´_ゝ`)「……なる!なってみせます!」
_
( ゚∀゚)「宇宙飛行士の倍率、知ってるか?」
( ´_ゝ`)「凄いのはわかってます!でもなります!」
_
( ゚∀゚)「いやいやいや……」
( ´_ゝ`)「なりますって!」
_
( ゚∀゚)「宇宙飛行士ってのは、そんなに甘くねぇんだよ」
( ´_ゝ`)「だから、なるって」
_
( ゚∀゚)「だから、無理だって」
( ´_ゝ`)「るせ……」
_
( ゚∀゚)「ん?」
( ´_ゝ`)「うるせー……」
_
( ゚∀゚)「ん?なんだって?」
( #´_ゝ`)「うるせえええ!!俺がなるっつってんだろ!眉毛!!」
(; ^ω^)「ちょ!アニジャ先輩!」
_
( ゚∀゚)「……」
( #´_ゝ`)「フーフー」
_
( ゚∀゚)「いいねぇ……お前なら、なれるよ。」
( #´_ゝ`)「あァん!?」
( ´_ゝ`)「……え?」
( ゚∀゚)「なろうと思ってなきゃな、なれないんだよ何でも。
自分がなれると思う限りは、”成る”可能性は必ずあるってこった」
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「(あ……アニジャ先輩を試してたってことかお?)」
( ´_ゝ`)「え?」
_
( ゚∀゚)「楽しみにしてるぞ。お前のジャンプスーツ姿」
( ´_ゝ`)「え?あ、え?あぁ……!はいッ!!」
( ^ω^)「ブーンも楽しみにしてますお、先輩」
( ´_ゝ`)「おう!」
_
( ゚∀゚)「暫くは、この町にいるつもりだから、これも何かの縁だ。
良かったら今のヴィプ王町を案内してくれないか」
( ´_ゝ`)「えっ!?」
_
( ゚∀゚)「結構前から滞在してるんだが、講演の準備や雑誌の取材で、
なかなか外に出られてなくてな。久しぶりに歩き回りたいんだ。
報酬は飯と、そうだな……宇宙食なんかも持ってきてるから、好きなだけやるぞ」
( ´_ゝ`)「ま、マジでええええ!!」
( ^ω^)「宇宙食欲しいお!ウイーンってなってプシューってなったら
ほっかほかのハンバーガーになる奴欲しいお!」
_
( ゚∀゚)「それは無いが……カッチカチでパッサパサでドッロドロの奴なら、いっぱいあるぞ」
( ^ω^)「ノーサンキュー」
( ´_ゝ`)「俺は欲しいです!」
_
( ゚∀゚)「オッケー。じゃあ早速だが、明日なんてのは大丈夫か?」
( ´_ゝ`)「勿論です!朝からでも全然!」
(; ^ω^)「アニジャ先輩、学校の事忘れてますお」
( ´_ゝ`)「いや、それを踏まえて朝からでも問題無い!」
_
( ゚∀゚)「たっぷり宇宙飛行士になるための、勉強をしてきてくれ。夕方からで構わない」
( ´_ゝ`)「はい!」
( ^ω^)「はーい!」
_
( ゚∀゚)「じゃあ未来の宇宙飛行士に、携帯の番号教えとくか。
後で俺の所に掛けてきてくれ。登録しとくから」
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「え?」
_
( ゚∀゚)「ん?」
( ´_ゝ`)「え、あ、いや、えっと……じゃあ、お願いします!!」
( ´_ゝ`)「(ジョルジュさんの連絡先ゲットおおおおおおおおおおお!!
うぼあああああああああ!!ぐへええええええ!!)」
こうしてジョルジュとアニジャは、互いの連絡先を交換し合った。
_
( ゚∀゚)「じゃあ、今日は来てくれて、本当にありがとう。明日も頼むよ」
( ´_ゝ`)「こちらこそ、よろしくお願いします!」
( ^ω^)「よろしくお願いしますおー」
( ´_ゝ`)「明日はオトジャも、連れて来てやるかな、もう海外ドラマの見過ぎで
日本語忘れかけてる頃だろうし。」
_
( ゚∀゚)「海外ドラマって言うとあれか?今、来日中とかの……」
( ´_ゝ`)「あ、そういえば今日本に来てるんですよね、それですそれ。」
_
( ゚∀゚)「俺も見ようか悩んでたんだよ、ほら主演のチャック役の……誰だっけか」
( ´_ゝ`)「えーっと、誰だったっけ……」
( ^ω^)「テレビでも、皆が役名のチャック・バウアーって言ってるから、名前わかんないですお」
_
( ゚∀゚)「んー、気になるな……ホテルに帰って調べてみるか……ん?」
_,
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュは突然、眉間にシワを寄せながら、固まってしまった。
( ´_ゝ`)「ん?」
( ^ω^)「お?」
_,
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュはブーン達の後ろ、ホールの出入り口の方を見たまま、視線を動かそうとしない。
( ^ω^)「ジョルジュさん、何見てるんだお?」
( ´_ゝ`)「なんだなんだ?」
ブーンとアニジャも、ジョルジュの視線の方へと振り返る。
(@】【@)「……」
(; ゚ω゚)「ふおお!?」
(; ´_ゝ`)「うおっ!!」
視線の先にいたのは、人とは異なる何か。
ブーン達は、それが何かを知っている。
(; ^ω^)「(アニジャ先輩!スタンドですお!)」
(; ´_ゝ`)「(お、おう!わかってる!で、でもどうすんだ?)」
(; ^ω^)「(ここはひとまず様子を見て……い、いざとなったらブーンが戦いますお……)」
_
( ゚∀゚)「帰ってきやがったか……」
(; ^ω^)(; ´_ゝ`)「……え?」
_
( ゚∀゚)「お前ら、もしかしてアレが見えてるのか?」
(; ^ω^)「見えてますお……て、て事はジョルジュさんも……」
( ´_ゝ`)「スタンド使い!?」
アニジャは嬉々としてそう叫んだ。
憧れの宇宙飛行士であるジョルジュが、自分と同じスタンド使いだったのだ。
アニジャ自身、少なからず運命を感じざるを得なかった。
( ^ω^)`0ω0´)ズズズ
_
( ゚∀゚)「おぉ!」
( ^ω^)「ブーンのスタンド、ビートルズですお」
_
( ゚∀゚)「ブーンの、ってことは……あれは俺のスタンドって奴なのか」
( ´_ゝ`)「ジョルジュさんの言う事、聞かないんですか?」
_
( ゚∀゚)「あぁ、全く聞かないな。いつも勝手に、フラフラといなくなるんだ」
( ´_ゝ`)「本体とは別に動く……同じだ……」
アニジャのスタンド、イエローカードと同じ。自分の意思で、本体とは別に行動するスタンド。
( ^ω^)「どういう能力なんですかお?」
_
( ゚∀゚)「能力……?いや、わからん。
ただ、アイツが帰って来た時は、決まって”謎”が一つ無くなってる」
( ^ω^)「謎?」
_
( ゚∀゚)「あぁ、つまりだな……」
ジョルジュは大きく深呼吸し、空気を一気に肺へと送り込み、
一息置いて、それを一気に吐き出すように語り出した。
_
( ゚∀゚)「チャック・バウアー、本名ニジュ・ヨジカ。
両親は共に俳優で、海外での生活が多かった。
初めてスクリーンデビューしたのは、15歳の頃。父親と友達の監督の映画。
その後、ドラマや映画にいくつか出演するも、ブレイクには至らず。
そして去年、オーディションを勝ち抜いて、ドラマ「ONE DAY」に主役で出演。
世界的ブレークを果たし、現在、日本に来日中。」
(; ゚ω゚)「……」
( ´_ゝ`)「すげぇ……」
_
( ゚∀゚)「この事は、アイツが帰ってくるまで”知らなかった”。
アイツが帰って来た瞬間に、頭の中に入って来たんだ。」
( ´_ゝ`)「謎を教えてくれるスタンド、ってことですか?」
_
( ゚∀゚)「わからない……俺が今朝、テレビを見てて、
この事を気にした時には、もうアイツはいなかったんだ」
アイツ。そう呼ばれたスタンドは、ジョルジュに近付くわけでもなく、
ホールの出入り口の辺りを、ただウロウロと歩きまわっていた。
それはオトジャと同じ分類のスタンドとはいえ、とても同種のものとは思えなかった。
( ^ω^)「名前は、つけてないんですかお?」
_
( ゚∀゚)「一応は、あるんだが……俺は、アイツはただ謎だけを追ってるんだと思うんだ。
探究欲、欲の塊だ。……たった一つのシンプルな答え、”欲”で動いてる」
_
( ゚∀゚)「だから俺は、シンプルプランって名付けたよ」
( ^ω^)「……いつ頃から、シンプルプランといるんですかお?」
_
( ゚∀゚)「結構最近だ。いつだったかな……あぁ、そうだ思い出した。
この町に飛行機が、墜落した日あったろ?確かその日くらいからだ」
(; ^ω^)「(やっぱりジョルジュさんも、墜落事故の影響で、スタンド使いに……)」
( ゚∀゚)「まぁ、ただウロウロしてるだけの奴だから、気にしないでくれ。
にしても凄いな!スタンドを持ってる奴に会ったのは、初めてだ。
しかもそれが二人とはな、アニジャも持ってるんだろ?」
( ´_ゝ`)「えーっと、一応……はい」
オトジャをスタンドと言い切る事は、アニジャには出来なかった。
( ^ω^)「ほんと凄い偶然ですお。でもこの事は、誰にも言わないで欲しいですお」
_
( ゚∀゚)「ん、どうしてだ?」
( ^ω^)「スタンド使いを狙ってる人間がいるんですお。ブーンも襲われたし、危険ですお」
_
( ゚∀゚)「なるほど……わかった。スタンドの事は凄く気になるが……
今日はもう遅いし、この話も含めて、明日にでも頼むよ」
( ´_ゝ`)「ですね」
( ^ω^)「わかりましたお!」
[前へ] 戻る [次へ]