第八話「ハイスクール・ネバー・エンド」
(‘_L’)「今日も、デミタス君はお休み……ですか」
教壇の前に立つフィレンクト先生は、そう言って出席簿にチェックを入れた。
('A`)「これで4日目か?」
(; ^ω^)「そうだお。メールしても返事くれないし……心配だお」
デミタスとは、ブーンとドクオのクラスメイトの事だ。
そしてそのクラスメイトが、クラスに顔を出さなくなって、既に四日が経過していた。
(‘_L’)「では昨日の続きから始めます。ナポレオンは……」
デミタスがいなくても、当然ながら授業は何事も無く、そして滞りなく行われる。
クラスメイトも、デミタスを気にかけるのは、フィレンクト先生が名前を出した、極わずかな間だけだ。
それは別にクラスメイトが冷たいわけでも、デミタスが嫌われているわけでもない。
これはクラスメイトが数日休んだという、ありきたりな日常の一コマに過ぎないからだ。
それはブーンとドクオにとっても、もちろん例外では無い。
だが、授業中に喋るという行為を自身に正当化させるには、うってつけの話題でもあった。
('A`)「ズル休みするタイプでも無いしなぁ」
( ^ω^)「でも、病気なら先生に連絡が行くはずだお」
('A`)「だよなぁ。フィレンクト先生の反応を見るに、連絡は行ってなさそうだし……」
(‘_L’)「そう言ったわけで、英雄の代名詞となったナポレオンは……」
( ^ω^)「メ、メイドを愛人に……けしからんお……」
('A`)「今日も元気に思春期してるな、ブーン」
( ^ω^)「ドクオは相変わらず、老衰寸前みたいだお」
('A`)「うっせぇ」
( ^ω^)「おっおっおっおっww 冗談だお」
(‘_L’)「えー、ではドクオ君。ナポレオン戦争終結後に行われた、ウィーン会議を評して……」
('A`)「会議は踊る、されど進まず」
(‘_L’)「はい、正解です」
質問の途中で問題に答え、正解するドクオ。
もはや、それが当たり前かのように、驚く者は誰もいない。
( ^ω^)「これはもう、ウルトラクイズに出場するしかないお。ドクオ!」
('A`)「やだよ、マンドクセェ。
それに常識の範囲内の問題だっつーの」
(‘_L’)「じゃあ次は、ブーン君」
( ^ω^)「(来た!)」
(‘_L’)「ナポレオン・ボナパルトは……」
( ^ω^)「メイド萌え!」
(;‘_L’)「……」
( ^ω^)「……」
(;‘_L’)「……」
キーンコーンカーンコーン
(;‘_L’)「えー、では今日はここまでとします。起立」
('A`)「お前……あれ出ろよ、あれ」
( ^ω^)「あれ?」
('A`)「セミナー」
(; ゚ω゚)「病気じゃないお!」
(‘_L’)「礼」
フィレンクト先生が去った教室で、友人と談笑する者、次の授業の準備を始める者、
それぞれが動き出し、教室が徐々に賑やかになっていく。
('A`)「えーっと、次なんだっけ?」
( ^ω^)「移動教室で、情報の授業だお」
('A`)「あぁ、授業中に先生の目を盗んで、ネットする時間か」
( ^ω^)「だお。ツンのクラスと合同だお」
('A`)「おし、じゃあ……準備しますか」
( ^ω^)「先生、本日のレシピは?」
('A`)「植物繊維で製造した、薄く平らな物を数百枚。インクも大量に用意して下さい」
( ^ω^)「はい、先生」
('A`)「後は、情報の授業についての知識を、ふんだんに盛り込んで、製本すれば完成です」
( ^ω^)「完成品がここにあります」
('A`)「はい、私もです」
そう言って二人は机の中から、情報の教科書を取り出した。
('A`)「このノリ、誰が”得する”んだよ」
( ^ω^)「”トークする”のは、ブーン達だお」
('A`)「ハーハーハー、こりゃ傑作だ」
( ^ω^)「……」
キーンコーンカーンコーン
(; ^ω^)「えっ」
(;'A`)「ほら見ろ!下らないことしてたら、休憩時間終わったじゃねーか!」
(; ^ω^)「い、急ぐお!」
ブーン達は教科書を抱えて、一目散に移動教室へと向かった。
廊下を駆け抜け、階段を跳ねるようにして登っていく。
(;'A`)「し、しんど……」
(; ^ω^)「もうちょいだお!ドクオ!ラストスパ……」
階段を登り切り、最後の直線、という所でブーンは突然止まってしまった。
(;'A`)「ど、どうした?」
ドクオの問いかけにも一切答えようとしない。
まるで電池の切れたロボットのようだ。
(; ゚ω゚)「……」
(;'A`)「んだよ。さっさと行かないと遅刻す……」
そう言ってブーンの視線の先、移動教室の方へと目をやった。
(; ゚ω゚)(;゚A゚)「……」
教室の前の廊下、既に他の生徒達は教室へと入ったのだろう。
ブーンとドクオが見たのは、その誰もいない廊下で、抱き合う男女だった。
こんな真昼間から、男は女の腰に手を回し、女の首元に顔を埋めていた。
そのため男の顔はよくは見えなかったが、女の方の顔はよく見えた。
よく見なくても、一目でわかった。
今日も綺麗で愛らしい、皆が認める学校のアイドル。
ζ(゚ー゚*ζ
(;゚A゚)「(マ、マジかよ……)」
二人はブーンとドクオには、気付いていない様子で、お構いなしに抱き合い続けていたが、
少しした所で、デレが男との間に自分の腕を入れて、隙間を作った。
ζ(゚ー゚*ζ「そろそろ……授業に出ないと……」
( )「寂しい事を言うな、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「私も寂しいです……でも……」
( )「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……ね?」
( )「ふふっ、わかったよデレ……」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと♪……”先生”」
(; ゚ω゚)(;゚A゚)「(せ、先生!?)」
男の顔が、渋々とデレの首元より離れ、その顔がブーンとドクオの目にも、はっきりと映った。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、また後で……」
ζ(゚ー゚*ζ「モナー先生」
( ´∀`)「ふふふ……あぁ、また後で。可愛いデレ……」
(; ゚ω゚)(;゚A゚)「(あqwせdrftgyふじこlp;@:!?)」
デレが移動教室へと入っていくのを、モナーは無言で見送った。
(; ゚ω゚)(;゚A゚)「……」
( ´∀`)「さて、職員室に戻りますか……」
モナー先生がそう言って踵を返し、こちらへと振り向こうとした所で
ドクオが咄嗟にブーンの腕を掴み、廊下からは見えない階段の踊り場へと連れ込んだ。
(;'A`)「ブーン!平静を装え!いいな!」
(; ゚ω゚)「あばばばばばば」
(;'A`)「ダメだ、壊れてる!」
気不味すぎる。
普段は呑気なモナー先生が、キザったらしく「ふふっ、可愛いデレ」と来たもんだ。
あっちにそんな気持ちは無いだろうが、こちら側としては気不味すぎる。
(;'A`)「(ましてや、あんなリアル高校教師が高校教師して高校教師ふざけんなよ高校教師)」
(;'A`)「バレるって、ブーン!顔に書いてるもん!高校教師って!凄いもの見ましたって!」
(高校教師゚ω゚)「あばばばばば」
そうこうしているうちにも、モナーの足音が二人がいる階段へと近づいてくる。
(;'A`)-Ψ-)「ったくよぉ!」
ニルヴァーナの拳が、ブーンに触れる。
(; ゚ω゚)
(; ゚ω:;.:...
( ;...:::;.. ....
::;.. ....
( ´∀`)「あれ、ドクオ君じゃないですか」
(;'A`)「え!あ、先生……どうも」
( ´∀`)「授業は……?」
(;'A`)「すいません、ちょっと具合が悪くて保健室行ってたので……」
( ´∀`)「あぁ、それはそれは……もう大丈夫なんですか?」
(;'A`)「はい、なんとか……」
( ´∀`)「そうですか。無理はいけませんよ?そうだ、飴はいかがです?」
そう言ってポケットから飴を取り出すモナー。
(;'A`)「あ、いえ……気持ちだけで……」
( ´∀`)「それは残念……無茶はいけませんよ?」
('A`)「(”オマエモナー”って言うところだな)はい、ありがとうございます」
( ´∀`)「では元気になったら私の所に来て下さい。快気祝いの飴を差し上げましょう」
('A`)「ははは、楽しみだなー」
( ´∀`)「はっはっはw そうでしょう、そうでしょうw いろんな味がありますからねー。
私の最近のオススメの飴がありましてね?味がなんと……」
相変わらずの脱線。
これがさっきまでデレに愛を囁いていた男なのだろうかと、疑いたくなる。
('A`)「すいません。これ以上、授業に遅刻するのは不味いので……」
( ´∀`)「あぁ!そうですね。すいません、つい……はっはっはw」
('A`)「ははは……(マンドクセエエエエエ)」
( ´∀`)「いやはや、すいません。では私はこれで……」
そう言ってドクオに軽く一礼し、モナーは階段を下りて行った。
(;'A`)「っぶねー……ギリギリだったな……」
(; ^ω;...:;..
('A`)「お」
(; ^ω^)「ごめんだおドクオ……もう大丈夫だお」
('A`)「遅いっつの。まぁでも仕方ない、か……」
(;'A`)「ありゃ固まるよなぁ、普通」
(; ^ω^)「奥様は……女子高生……」
('A`)「おい、やめろよ。エロい事想像しちゃうだろ」
( ^ω^)「ふふっ、行こうか。可愛いドクオ……」
(;'A`)「お前それ、絶対モナー先生いる時にやんなよ!」
余りに衝撃的な出来事に、最初は、あっけに取られた二人だったが
教師と生徒の禁断の愛。よくある展開といえば、よくある展開で
二人の思春期の好奇心を、大きく掻き立てた。
ガラガラ……
('A`)( ^ω^)「盛大に遅刻しました」
教室に入ると、合同クラスの生徒と先生の視線が、二人に一気に集められた。
〈::゚−゚〉「お前らー、石のように硬いゲンコツくらうかー?」
そう言いながら、ィシ先生が二人の元へとやってくる。
ィシ先生のゲンコツは、猛烈に痛いことで有名だ。
これは何としてでも回避しなくては……
そう考えたブーンは、まず誠心誠意謝る事にした。
(; ^ω^)「すいませんでしたお!」
〈::゚−゚〉「……何で遅刻したんだ?」
(; ^ω^)「え、えっとぉ……」
('A`)「(俺に任せろブーン)」
(; ^ω^)「(さすがドクオ!頼むおー!)」
〈::゚−゚〉「どうした?」
('A`)「それが……ブーンが突然、腹壊したみたいで、
さっきまでトイレに籠って、ずーっと泣き喚いてたんですよ……」
( ゚ω゚)「(オレ、オ前、殺ス)」
〈::゚−゚〉「ほんとか?ブーン」
(; ^ω^)「ほ、ほんとですお!お腹が天国の時を迎えてましたお!」
〈::゚−゚〉「……そうか。ドクオは友達思いなんだな。偉いぞ!」
('A`)「いえいえ、そんな事」
( #^ω^)「(全く無いですお)」
〈::゚−゚〉「じゃあ今回は特別に、石のように硬いゲンコツは無しにしておこう」
( ^ω^)「ほんとですかお!」
〈::゚−゚〉「俺の意思は固い。本当だ」
('A`)「ありがとうございます!(よくやったな、ブーン!)」
( ^ω^)「ありがとうございますお!(よくもやったな、ドクオ……)」
〈::゚−゚〉「何かあれば、医師を呼ばなくてはいけないからな。すぐに言うんだぞ」
(; ^ω^)「はいですおー」
二人はなんとかゲンコツを回避し、自分達の座る席を探した。
パソコン教室は、通常の教室よりも倍ほど広く、二人掛けの机には、
一人一台のパソコンが備え付けられており、そんな机が教室に二列連なっていた。
そしてブーンとドクオは、適当に後ろの方の空いている席に座る事にした。
〈::゚−゚〉「今日もこの前に続いて、ホームページ作る授業だからな」
( ^ω^)「わかりましたおー」
('A`)「さて、と……作るか」
二人がパソコンの電源を入れた所で、前の席にいた生徒の一人が
二人の方へと振り返った。
ξ゚听)ξ「……アンタ達、何してたわけ?」
( ^ω^)「お?ツン!おはようだお!」
ξ*゚听)ξ「お、おはよう///」
('A`)「えーっと……」
(; ^ω^)チラッ
ブーンがデレの方に目をやると、デレは何事も無かったかのように
近くの友人と話しながら、授業を受けていた。
(; ^ω^)「……」
('A`)「質問に質問で返して悪いんだが、聞いていいか?」
ξ゚听)ξ「ん、何?」
('A`)「前さ、デレに相談受けてるって言ってたよな」
ξ゚听)ξ「……ええ」
('A`)「それって、恋の悩みだったりする?例えば、叶わぬ恋みたいな……」
ξ゚听)ξ「……」
('A`)「あ、違ったらいいんだ。忘れてくれ」
ξ゚听)ξ「そこまで言い切るって事は、適当に言ってるわけじゃなさそうね」
('A`)「そう言うって事は、そういう事みたいだな」
(; ^ω^)「どういう事だお?」
('A`)「つまりデレは今幸せって事だ」
( ^ω^)「それなら嬉しいお!」
('A`)「まぁ、そうだな」
ξ゚听)ξ「ちょっと、詳しく聞かせなさいよ」
('A`)「えー…マンドクセェ」
ξ゚听)ξ「……」
(;'A`)「えっとですね……」
ドクオは、廊下で目撃した全てを、ツンに事細かに話した。
ξ*゚听)ξ「結構、大胆なのね……」
('A`)「相当な不意打ちだったよな?」
(; ^ω^)「衝撃的だったお……」
ξ゚听)ξ「でも、聴けて良かった。最近あんまり話す機会無かったから……」
( ^ω^)「お?そうなのかお?」
ξ゚听)ξ「なんか避けられてる気がするのよね……」
('A`)「(ツン怖いからな。仕方ない)」
ξ゚听)ξ「ドクオ何か言った?」
(;'A`)「滅相も御座いません」
ξ゚听)ξ「そっかぁ……凄いなぁ……」
ツンがポツリと呟いたその一言は、どこか重く悲しく感じられた。
ツンもスタンド使いの前に、一人の多感な女子高生なのだ。
( ^ω^)「ツン?」
ξ;゚听)ξ「え!あ……ど、どうしたの?」
( ^ω^)「何か悩み事かお?ブーンで良かったら聞くお!」
ξ゚听)ξ「ううん……そういうのじゃないから……」
( ^ω^)「わかったお。何かあったらブーンにすぐ言うお!」
ξ゚听)ξ「どうして?」
( ^ω^)「悩んでるツンより、笑ってるツンが好きだからだお!」
ξ*゚听)ξ「すっ……すすす、すす、すぅぅ−ーー!?///」
( ^ω^)「だからいつでも相談して欲しいお!」
('A`)「(これがブーンの中では告白じゃないってんだから、意味がわかりません)」
ξ* )ξ「あ、ありがと……ブーン///」
('A`)「おーおー、どいつもこいつも青春しやがって。思春期丸出しだな」
( ^ω^)「?」
ξ*゚听)ξ「う、うるさいわねっ!」
('A`)「お前らが正常だよ。時々自分が悲しくなるわ」
( ^ω^)「どんまいだお!」
('A`)「……」
〈::゚−゚〉「お前らー。遅刻した分、皆に追いつかないと石のゲンコツだぞー」
(; ^ω^)(;'A`)「うっ!」
ξ゚听)ξ「じゃ、頑張ってねー」
そう言ってツンは、二人に背中を向けて、ホームページの制作を再び開始した。
二人も急いで制作に着手する。ドクオはどうにか皆に追いついた、ドクオは。
Ω
( ;ω;)「痛いお……」
('A`)「どんまい!」
その後は、いつもの日常。
話し、笑い、時々学び、気付けば放課後になっていた。
( ^ω^)「ドクオー、帰るおー」
('A`)「オッケー、帰ろうぜ」
帰り支度を整えた二人は、いつものように靴箱へと向かう。
上履きから靴へと履き替えたブーンが、ドクオの方に視線をやると
ドクオが上履きのまま、靴箱の中を睨みつけていた。
('A`)「……」
( ^ω^)「どうしたんだお?」
ブーンがドクオの元へと歩み寄り、同じく靴箱の中を覗き込む。
すると靴箱の中には、ドクオの靴の他に封筒が一通入っていた。
(; ゚ω゚)「こ、これは……!」
('A`)「……」
(; ゚ω゚)「ま、間違いないお……ラ、ラブ……ラブレ……」
(;'A`)「お、おい待て、早まるな……そんなわけ……」
(; ゚ω゚)「で、でもこの封筒……可愛い花模様……」
(;'A`)「う、うろたえるな!!独身男性は、うろたえない!」
(; ^ω^)「ひとまず……取り出してみたらどうかお?」
(;'A`)「そ、そうだな……」
ドクオは親指と人差し指で封筒を摘まみ上げ、危険物を取り扱うように、慎重にロッカーから取り出した。
('A`)「ふぅ……」
( ^ω^)「ドクオ!中見るお!」
(;'A`)「ま、待て。焦らせるなよ……」
ドクオがゆっくり慎重に封筒を止めてある星型のシールを剥がしていく。
(;'A`)「おし、じゃあ開けるぞ……」
( ^ω^)「うんうん!」
封筒の中から便箋を取り出し、ドクオは一人読み始めた。
(;'A`)「……」
( ^ω^)「どうだお?どうだお?」
(;'A`)「……」
( *^ω^)「何て書いてるんだおー?」
('A`)「……」
( *^ω^)「だ、誰からかだけ教えてほしいお!」
('A`)「……」
( ^ω^)「ドクオ?」
('A`)「……ほらよ」
ドクオはそう言って、ブーンに便箋を手渡した。
(; ^ω^)「よ、読んでもいいのかお?」
('A`)「あぁ、構わないぞ」
(; ^ω^)「でも、女の子に悪いお」
('A`)「ははっ!w 気にすんな。いいから読んでみ?」
(; ^ω^)「じゃ、じゃあ読んでみるお……」
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突然のお手紙お許し下さい。
ドクオが一番理解してくれると思うから、ドクオに手紙を出しました。
今日の夜10時、VIP高校で待っています。
ブーン、ツンを連れて三人で来て下さい。
必ず三人で来て欲しいです。
バラバラになったら、きっと不味いと思うから……
どうかよろしくお願いします。
-------------------------------
(; ^ω^)「こ、これは……?」
('A`)「とんだラブレターだ」
(; ^ω^)「なんでブーンとツンまで……?」
('A`)「これはデートのお誘いじゃないって事だ。となると……」
(; ゚ω゚)「…………スタンド?」
(;'A`)「十中八九な……俺達の共通点はそれしかない。
そして相手はなぜか、”三人で来い”と言ってきてる。
それがわからない……俺達を心配しているような文面も謎だ……」
(; ^ω^)「ど、どうすれば……」
(;'A`)「まんまと相手の策に乗っかっちまってる気もするが、行くしかない。
こんな物が届いた以上は、俺達の正体は割れてるって事だ。
そしてスタンド使いだとバレている以上、単独行動は危険だからな」
(; ^ω^)「アニジャ先輩とオトジャは……?」
('A`)「ダメだ。相手はまだきっと、先輩がスタンド使いだと知らないんだ。
先輩がスタンド使いだと知ってるのは俺達と……」
(; ^ω^)「ジョルジュさん」
('A`)「だけだからな」
('A`)「それに先輩、まだ怪我治ってないんだろ?」
(; ^ω^)「だお……お腹の怪我が完治するまで、体育も休んでるみたいだお」
('A`)「じゃあ尚更だ。それに、もしこれが罠なら、
相手は多人数と戦うのが得意なスタンド使いかもしれない。
ここで俺達が全員で行って全滅してみろ。最悪のケースになる」
(; ^ω^)「……」
('A`)「ひとまずツンに連絡だ。10時まで行動を共にしてもらう」
すぐさま、それは実行に移された。
間もなくツンが合流し、三人は指定された時間まで、ブーンの家で過ごす事になった。
J( 'ー`)し「あらあら、いいのよ。ツンちゃんは座ってて」
ξ゚听)ξ「いえ、ご飯まで御馳走になったのに……片付けくらいは、手伝わせて下さい」
J( 'ー`)し「良いお嫁さんになるわねー、ツンちゃんは」
ξ*゚听)ξ「お、お嫁さん!?///」
J( 'ー`)し「ツンちゃんみたいな子が、家に来てくれたら嬉しいんだけどねぇ」
ξ*゚听)ξ「そ、そんな、何言って……お、お母様///」
J( 'ー`)し「ブーンも、ああ見えて、いざとなったら頼りになる優しい子よ?」
ξ*゚听)ξ「それは……知ってます///」
J( 'ー`)し「あら?実はもう付き合ってたりしてるのかしら?」
ξ* )ξドグハァ!!
J(;'ー`)し「だ、大丈夫!?」
ξ;゚听)ξ「だ、大丈夫です……すいませんエア吐血しちゃって……」
J(;'ー`)し「あたしこそ、ちょっと調子にのっちゃってたわね、ごめんね?
ほら、後はカーチャンがやっとくから、休んでなさい。ね?」
ξ;゚听)ξ「はい……」
一方その頃、ブーンの部屋では、ドクオとブーンの二人がダラダラしていた。
('A`)「はぁ……あと30分で9時だぞ、ブーン」
床に転がり、漫画を読みながらドクオが呟いた。
(; ^ω^)「わかってるお……」
(;'A`)「鬱だ……死にたい……」
(; ^ω^)「何か作戦とか無いのかお?」
('A`)「俺は諸葛孔明でも、太公望でも無いんだぞ?そうポンポン出るかっつの」
(; ^ω^)「……」
('A`)「相手の事が全くわからないわけだからな。
”もしかしたら”と考え続けたら、それすら敵の思う壺かもしれないんだぜ?」
('A`)「もしかしたら戦わなくて済むかもしれないしな……ポジティブに行こうぜ」
( ^ω^)「……わかったお!!」
(;'A`)「(とは言ったものの、戦い確定だろこんなの……怪しすぎる。
やっぱりアニジャ先輩に連絡取ったほうがいいのか?
でもそんなことしたら、怪我押して出てくるのは確実だ……
クソ……胃が痛くなってきた……)」
根っからのネガティブ思考のドクオが、ポジティブになれるはずは無かった。
だからせめて、ブーンにはポジティブで居てもらわなくてはならない。
ネガティブで思慮深いドクオが、慎重に物事を考え、
ポジティブで直観的に動くブーンが、それを後押しする。
二人の関係は、実にコンビとして最適に出来ていた。
ガチャ
ξ゚听)ξ「そろそろね」
ブーンの部屋に、ツンが戻ってくる。
三人が一斉に掛け時計に視線を向けると、短針は9時を回っていた。
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