('A`)「………」

その言葉を聞いた途端、ドクオもまた先ほどまでの浮き足立った様子が嘘のように、意思のある瞳でモララーを見返す。

( ・∀・)「おい」

( ・∀・)「答えろよ」

('A`)「…わかり…ません」

( ・∀・)「わからないってどういう事ですか。あんたが俺に何かして変な夢を見せたんでしょう?」

('A`)「いや、わからないのは、俺が何者かって事です。もちろん出生も名前も人生もわかります」

そして、一旦言葉が出るとドクオは堰が切れたように語りだした。

('A`)「俺も、最初は夢だとは思ったんです。でも知らないはずの場所を俺は夢の中でわかっていたりして…。
    それで次は頭がおかしくなったのかと思ったんです。その頃は病院にも行ってクスリを貰ったりしました。
    だけどそれでも夢は終わらなくて」

( ・∀・)「…それで?」

('A`)「一番、おかしいことは、俺は、その夢を全て把握しているって事です」




ドクオは自分の言った事に耐え切れなくなったのかたまらず俯いた。よく見ると膝に置かれた手が小刻みに震えている。

('A`)「一旦、夢の中に入ったら、俺は、夢の登場人物が何を望んでいるか、どんな空間を作るべきなのか、全部わかってるんです」

( ・∀・)「…あー…?」

('A`)「俺が夢を見せるには唯一にして絶対の条件があります。それは二人以上が同じ夢を見ることを望むこと」

ドクオの手が自分の膝をぎゅうと握った。そしてどこか泣きそうな顔でモララーをじっと見つめている。
言葉を待っているのだろう。

( ・∀・)「にわかには信じ難いな…」

('A`)「あ、あぁああああ…」

('A`)「ぅ…、す、すみません。俺も、こんな事を人に言うの初めてで…
    一人で考えてる分には、じ、自分の妄想で済むけど…
    あー…何言ってんだろう俺…。ごめんなさい。ごめんなさい。
    ぜ、全部嘘です。俺はただの妄想ヲタク男なんです。
    ツインテールの幼女が大好物なだけのフリーターですすいません…」

( ・∀・)「いやいやいや。ちょっと落ち着けよ青年」

('A`)「ああああ!ほんと調子乗ってすいませんでした!!
    チェーンは自分で直すんで、お願いなんで帰って下さい!
    うわあああそんな目で見ないで下さい!!あげますから!!
    ハイン様のフィギアもヤフオクで落とした同人誌も全部あげますから!!」




( ・∀・)「それだ!!」

('A`)「うわああごめんなさいやっぱり同人誌は勘弁してください!!!
    ハイン様のフィギアも大事なんですツインテールじゃないけど名作なんです!」

( ・∀・)「いらねーよ馬鹿が!そのハイン様だよ!一体何者だよあの女!」

('A`)「へ?は、ハイン様は今期注目株の新アニメ『経済ヴィーナスハイン様』の主役ですよ?
    ただ惜しむらくが局の都合で時間帯がとんでもない事になっちゃって視聴率が取れないのが問題で…
    えっと、詳しく知りたいなら俺、DVDにして全部まとめてあるので貸しましょうか?
    あ、もちろんCMはカットしてあるし、パソコンで落とした時のように外国語の字幕が入ってることも…」

( ・∀・)「ちげーよいらねーよ夢に出てきたあのハイン様は誰だっつってんだよ!!」

('A`)「だ、だからあれは俺の妄想なんです!!
    ハイン様にSMプレイさせてみたかったんです羽も生やしてみたかっただけなんです!
    俺が変態なだけです突っ込まないで下さいごめんなさいごめんなさいー!」

(#・∀・)「ああああ!テメーしっかり夢の内容シンクロしてんじゃねーか逃げ口上かましてんじゃねーよ!!」




(;A;)「う、ち、違…。う、ぅ、ぅううううう…」

( ・∀・)「泣いてんじゃねーよ青年!きもいんだよ男の泣き顔なんざ見たくねーよ」

(;A;)「だ、だってハイン様が…!ハイン様のフィギア…予約…大変で…うぅ」

(#・∀・)「だからいらねーって言ってるじゃねーかよー!!!」


それから1時間ほど。
ハイン様のフィギアを左手に、そしてカッターを右手に持つモララーと、
ちゃぶ台の上に正座をして泣きながらモララーの手元を見守るドクオがいた。


(;A;)「う…もう勘弁して下さい…。もう、それ以上削られたらいくら俺でも修正きかなくなる…なります…」

( ・∀・)「あー?じゃあ、確認するぞ?お前は本当にあのハインて女が誰かわからないんだな?」

(;A;)「わ、わからないと言うか知らないです…。
     夢を見せるのには、同じ夢を望むどちらか一人と俺がリアルで接触していれば大丈夫らしいので…
     本当の顔はわかるけど、それがどこの誰なのかさっぱりです…」




( ・∀・)「可愛いか?」

(;A;)「え?」

( ・∀・)「女だったんだろ?どちらかと言うか可愛かったか?その女」

(;A;)「え、えっと…」

( ・∀・)「おら。とっとと答えないと今度はその女の触覚削るぞ」

(;A;)「いやぁあああああアホ毛は!!アホ毛だけは許して下さいぃいい!!
    えっとどちらかと言うと可愛くはなかったです!!むしろ不細工な方でした!!」

( ・∀・)「ふぅん…なるほどな」

(;A;)「う…いいですか。もう削るの勘弁してくれますか…」

( ・∀・)「それで、その夢は本当に無意識の願望なんだな?」

(;A;)「それ…は間違いないです」

( ・∀・)「つまり俺があんな姿でハイン様とやらに嬲られたのも俺の無意識の願望なわけだな?」




('A`)「そ、そうなります…けど、願望がストレートに形になって現れるわけじゃないから…
    俺が感じたのは、二人とも、変態性欲的な欲求ってよりは、もっと、こう、ストレス…みたいな
    憂さ晴らしと言うか…。お互いを求めてるってよりは、なんか波長があっちゃった感じじゃないかなって…」

( ・∀・)「…あぁ?」

('A`)「ひぃいいいいごめんなさいアホ毛は勘弁して下さいアホ毛は!!」

( ・∀・)「っち。それで?その夢を終わらすにはどーすりゃいいんだ?」

('A`)「お、終わらすって言うと…」

( ・∀・)「その夢を見ないようにする方法だよ!!!」

('A`)「あ…えっと…満足…する?」

( ・∀・)「ああ゛!?」

(;A;)「ご、ごめんなさい!
     ほんとにどちらか死ぬくらいしか、意図的に夢を終わらす方法を知らないんです!ほんとです!
     でも今まで最長で2ヶ月くらいしか夢は続かなかったから大丈夫だと思います…。
     多分、それくらいで満足するんだと…」

( ・∀・)「へぇ。つまり最長で二ヶ月、俺はあの夢を見続けなきゃいけないわけだ…」




(;A;)「お、俺だって見せたくて夢見せてるわけじゃ…」

( ・∀・)「ふぅん。ありがとーもういいよー。お邪魔して悪かったね。ほら、これで新しいチェーン買ってね」

モララーは立ち上がるとフィギアとカッターを無造作に捨てた。
そして胸ポケットから財布から万札を出してちゃぶ台に置くと、
ドクオを一瞥してその狭いアパートの部屋から出て行った。
玄関を閉める音が聞こえた後、ドクオは震える手でハイン様を保護し、
それからしばらく万札を眺めていたが、
結局拾い上げて、壊れ物を扱うように財布に仕舞った。



( ・∀・)「あー…。なーんか、ファンタジーだねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?どうしたんですか?」

( ・∀・)「んーん。なんでもないですよ。
      相変わらずデレは可愛いなって話です。
      さて、今日は何食べましょうね」

同日おおよそ10時間後。
モララーは再びデレと街を歩いていた。

ζ(゚ー゚*ζ「可愛いですか?えへへ。やったぁ。
      えっと、デレは今日はご飯ものがいいかなぁ」




( ・∀・)「…可愛いついでに牛丼とか食べます?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

( ・∀・)「冗談ですよ。お寿司でも食べに行きましょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「うわぁいお寿司楽しみですー」

( ・∀・)「はいはい。僕も楽しみですよお寿司。一緒にエンガワ食べましょうね」

ζ(゚ー゚*ζ「デレはサーモンと中トロがいいですよー」

( ・∀・)「僕はエンガワとハマチが食べたいですね。ああ、年は取るもんじゃないなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「ん?年とるとエンガワとハマチが食べたくなるんですか?」

( ・∀・)「ええ。年取ると赤いもんばっか好んでるわけにはいかなくなるんですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、デレ、イカも食べますよー」

( ・∀・)「いいですねぇ。あの噛み切れないしつこさとか大好きですよ。僕」

ζ(゚ー゚*ζ「なんですかそれ。ふふ。変なのー」

( ・∀・)「大人はみんな変なのですよ。ええ。大人になったらわかります」




ζ(゚ー゚*ζ「デレはもう二十歳ですよぅ。あ、そうだ。今日は夜までお付き合い出来ますよー。
      えへへ。デレ、泊まってみたいホテルがあるんです」

( ・∀・)「あー…。ごめんね。僕は今日ちょっと駄目なんですよ。
      ご飯食べたら送ってあげますから真っ直ぐ帰りなさい?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?え?モララーさんお仕事ですか?私とご飯食べてて大丈夫ですか?」

( ・∀・)「ああ、いやいや大丈夫ですよ。ただ、ちょっと、ね?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと?」

( ・∀・)「ちょっと、男の子の日なんですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?え?今日って五月五日でしたっけ!?」

( ・∀・)「ええ。君のそーゆー阿呆なところ僕大好きですよ」



夢の中には風が吹いていた。

('A`)「こ、こんばんは」

雲を足場にしたドクオがモララーに恐る恐る声をかける。
今日もそこは高い高い空の上だった。




(*゚ー゚)「今日ぶりね」

('A`)「あそこ…です」

ドクオが示した方向に視線もやらずにモララーは目を瞑る。

(*゚ー゚)「知ってるわ。それじゃあ、さよなら」

そしてモララーは、
落ちた。

夢の中の幾度目かの落下。
重力の優しい抱擁。
風の愛撫を身に感じて、
モララーは地上を目指す。

从 ゚∀从「うぉおおおおい何してんだよこのメス犬がぁ!!」

モララーはハインの羽ばたきの音を聞いた。




(* ー )「私には見えているわ」

从 ゚∀从「あぁああ!?」

(* ー )「あなたは綺麗ね」

从 ゚∀从「うるせぇ!!!」

(* ー )「大丈夫。ほら、行きましょう?」


次の瞬間。
そこは壁一面の大きな水槽の前だった。
だがしかし水槽には一匹の魚も泳いでいない。


从 ゚∀从「跪けメス犬!お前らをみんなかしずかせるのが夢だったんだよ!!」

(*゚ー゚)「そうね。ここは楽しい夢ね。
     ねぇ、どうしてこの水槽、魚が泳いでいないんだと思う?」

从 ゚∀从「あぁ!?んなこと知らねーよ糞が!!」




(*゚ー゚)「この水がね。綺麗過ぎるからよ?」

モララーがそう言った途端。
水槽のガラスが、なくなった。
風のように流れ込んでくる水に、
ハインもモララーも、あっという間に飲み込まれる。

(*゚ー゚)「ほら、綺麗でしょう?あなたの姿がよく見えるわ」

水の中でたゆたいながらモララーは言った。

(*゚ー゚)「この水は綺麗だから、あなたの姿を隠してくれないの
     綺麗であることに必死で、何一つ守れないのよ」

从#゚∀从「ああぁああああ何なんだよさっきからお前は!!」

口から大量のうたかたを吐き出しながらハインが吼える。

(*゚ー゚)「何って?」

くすくすと口元に手を添えてモララーが笑った。

(*゚ー゚)「決まってるでしょう。変態よ?」

从#゚∀从「うぉおおおお!!!」





たゆたうモララーに真っ直ぐ突っ込んでくるハイン。
モララーはその体当たりをかわすことなく受け入れた。
そして先ほどまで足場となっていた床に水の中で叩きつけられる。
ごぼごぼと、泡を吐き出しながらハインがわめく。

从#゚∀从「そうだてめーは変態だこの淫乱が!!
     だったら変態は変態らしく跪いて殴られてやがれ!!
     ご主人様に媚びろメス犬!!」

(* ー )「ああ、可哀想に。怖いのね」

床に背中を預けたまま自分の真上に位置するハインを見つめるモララー。

(* ー )「ねぇ、教えてくれないかしら?」

(*゚ー゚)「あなたは、汚れる事で何を守ろうとしたの?」



次の瞬間。
そこは夕暮れの公園だった。
モララーはブランコに腰掛けて小さくゆらゆらと揺れながら
砂場にぺったりと座り込んでぼんやりと空を見上げているハインを見つめていた。




(*゚ー゚)「私ね。本当は男の子なのよ?」

ハインは聞いていない。ただ、ゆっくりと流れる雲を見つめている。

(*゚ー゚)「そう。色々考えたんだけど。
     私、あなたのためにね、
     してあげたかったんだと思うの」

从 ゚∀从「………」

ハインは聞いていない。

(*゚ー゚)「私ね。誰かのために何かをしたかったの。
     そう。私を慕ってくれる子がいてね。
     いつも、豪華なご飯を食べて、綺麗なホテルに泊まって。
     お金を全部払ってあげるの。
     それだけなら良かったんだけどね。
     んーん。きっとそれだけにしておくべきだったのだけれど。
     その子とね。セックスを、してしまって。
     ああ、可哀想に。イくふりまでしてくれるのよ?
     ねぇ、酷い話だと思わない?」
     
ハインは聞いていない。
モララーはブランコを降りて、
一歩二歩とハインに近づく。




(*゚ー゚)「大丈夫よ。あなたは今男の子ね。
     私は女の子よ」

ついにハインの目の前まで来たモララーは、
自身もハインと同じように目の前にぺたりと座った。

(*゚ー゚)「殴ってもいいのよ?
     私のことが憎いでしょう?」
     
ハインは、空から視線を離し、
やっとモララーと目を合わせた。

从 ゚∀从「…死ねよ。死んじまえ」

(*゚ー゚)「そうね」


次の瞬間。
そこは何処かのビルの屋上だった。
モララーはフェンスを乗り越えてヘリに立っている。
そしてフェンスの内側のハインと向かい合っていた。


(*゚ー゚)「あなたのために、死んであげるわ」


そして彼女は空に踊る。





次の瞬間。
そこはラブホテルのベッドの上だった。

(*゚ー゚)「どうして?どうして?」

ベッドに仰向けになっているモララーは尋ねる。
ハインはモララーの上に馬乗りになるようにまたがっていた。

(*゚ー゚)「死んであげるって言ったじゃない?」

从 ゚∀从「………」

(*゚ー゚)「ねぇ、わかる?
     私が死なないと、あなたが満足できないのでしょう?
     あなたのために女の子になってあげたわ!
     あなたのために殴られてあげるわ!
     あなたのために死んであげるのに!!」

从 ゚∀从「や、めろぉおおおおお!!!」

(*゚ー゚)「どうして?どうして逃げるの?」




从 ゚∀从「う…う…違う…違うんだ!」

(*゚ー゚)「そう」

モララーが、笑った。

( ・∀・)「俺も実はね。そんなに死にたかったわけじゃねーんですよ」

(#゚;;-゚)「あ…」

( ・∀・)「それじゃあ、おやすみなさい。お嬢さん。不細工っつってごめんね」

(#゚;;-゚)「う…」

( ・∀・)「あなたは不細工じゃないですよ。
      俺のあの姿は、仕事を始める前の昔のあなたですね」





次の瞬間。
そこは薄暗い教室だった。


(*゚−゚)「ねぇ、私、醜い?」

( ・∀・)「いいえ。綺麗ですよ」

(*゚ー゚)「嘘よ。だって私は汚れているもの」

( ・∀・)「あなたが何かのために、
      汚れることを選んだのだとしたならば
      それは尊い事ですよ」

(*゚ー゚)「ありがとう。あなたなんて死んじゃえばいいのに」

( ・∀・)「ええ。すいません。俺もそう思います」


そして、
夢は終わった。


( ・∀・)「あー…」




( ・∀・)「喉が渇いた…酒…」

モララーは狭く埃っぽい自分の部屋でむくりと起き上がり、
首を左右にコキコキと鳴らすと、顔を洗いに立ち上がった。

夜は、既に明けていた。





( ・∀・)「おーじゃーまーしーまーすー!!」

('A`)「あ…え…はい…?」

それから幾日か経って、
モララーは再びドクオのアパートを訪ねていた。

( ・∀・)「喜んで下さいドクオさん。
      今日はなんとこのわたくしが飯を奢って差し上げましょう!
      ほら、そうと分かればとっとと準備をされて下さい!
      しました?しましたね?じゃー行きますよー!」




('A`)「え?あの、俺、準備出来てな…」

( ・∀・)「はーい行きますよーあはははははは!!」

('A`)「あぅぁぅあぅあぅ…」



('A`)「あの…いいんですか…?これ、奢り」

( ・∀・)「ん?お嫌いでしたか?焼肉」

('A`)「いえ。俺焼肉なんて久しぶりで…」

( ・∀・)「そうですか。でしたらじゃんじゃん食われると良いでしょう!
      ほら、どんどん頼んで下さいねー。
      わたくしも張り切ってカルビとか頼ませて頂きますね」




('A`)「え、えっと、やめてくれませんか…そのしゃべり方…」

( ・∀・)「はい?わたくしとしては失礼があってはいけないと
      極めて真面目に根絶丁寧に話しているつもりなのですが」

('A`)「怖いんで…」

( ・∀・)「…正直でよろしい」

('A`)「あの、そ、それで…何の用ですか?
    夢は、もう見てないはずですよね?」

( ・∀・)「ええ。もうすっかり快眠ですよ」

('A`)「それなら、もう俺のことは放って置いて頂けませんか?
    焼肉は…嬉しいんですけど…その…関係、ないんで…」

( ・∀・)「随分消極的だなぁ青年。
      俺とお近づきになっとけば結構メリットありますよ?」

('A`)「いや、そーゆーのはいいんで…。
    あ、ホルモン頼んでもいいですか?」




( ・∀・)「どーぞどーぞ」

('A`)「すいません。あと、サガリとタンもいいですか?」

( ・∀・)「どーぞどーぞ」

(*'A`)「ありがとうございます…」

( ・∀・)「若い子はみんな素直で良いですね」



( ・∀・)「さて。食べながら聞いて下さいね」

('A`)「むぐむぐ…ふぁい…」

( ・∀・)「俺、どーしてもティッシュを受け取っちゃうんですよ」

('A`)「もぐもぐ…はい?」

( ・∀・)「ティッシュですよティッシュ。
      あんた俺に三回も渡したでしょう?」




('A`)「まぐまぐ…ああ…」

( ・∀・)「あれは何ですか?
      渡す方にスーパーテクニックがあるんですか?
      なんで俺いっつもいっつも受け取っちゃうんですか?」

('A`)「はぐはぐ…えっと…」

( ・∀・)「聞く時は食ってていいけど
      喋る時ぐらい食うのやめなさい青年」

('A`)「ん…はい。えっと、俺、ティッシュ配り、
    長いことやってるけどそんな上手くないんですよ。
    でも、長いことやってるからなんとなく
    人を見るだけでその人が受け取ってくれるのか
    あるいは受け取ってくれないかわかるようになりました。
    んで、モララーさんは、すげぇ、受け取ってくれそうなオーラ出してますよ」





( ・∀・)「は?」

('A`)「ひ、ひぃ!そんな目で見ないで下さいよ。
    えっと、でもそうなんです。
    何でも受け入れてくれそうってか、
    ああそう。心に余裕があるって言うか
    とにかくそんな感じなんです」
    
( ・∀・)「んー…。俺、心狭いけどね…」

('A`)「いや、だってモララーさん夢の中では…」

( ・∀・)「ああ゛?」

('A`)「ひぃっ!ご、ごめんなさい何でもないです!」

( ・∀・)「あー…なるほどねぇ…なぁ青年」

('A`)「な、何ですか…」




( ・∀・)「明治な恋がしてみたいもんだねぇ」

('A`)「は?」

( ・∀・)「ま、俺にはあれが似合ってんのだろうねぇ。
      ねぇ、酒頼んでいい?青年も飲める?
      飲めるなら付き合うよな?な?」

('A`)「あ、い、頂きます…」

( ・∀・)「よし。それが大人の付き合いってもんだぞ青年。
      おーいすいません生2つジョッキでお願いしますー」



('A`)ドクオが夢を紡ぐようです 第二話 了




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