('A`)ドクオが夢を紡ぐようです 5話
質問:あれ?兄者?弟者?どっち?
答え:どうぞときめいて下さい。
あなたの心をときめかせる事が出来たのなら、
それは兄者に他なりまs(´<_` )「人の友人にちょっかいを出すとは流石だな兄者」
( ´_ゝ`)「なんだ弟者来てたのか。それならそうと早く言えばいいものを」
(´<_` )「俺は兄者と違って平日はほぼ毎日大学に来てるさ」
( ´_ゝ`)「まるで俺が全然大学に来ていないような言い草だな」
(´<_` )「本当だ。不思議だな。世の中不思議な事でいっぱいだ兄者。
で、前回大学に来たのはいつだ?」
( ´_ゝ`)「…先々週…?いや、その前の週…?」
(´<_` )「兄者はそろそろ人間をやめて阿呆の星に帰れ」
(*゚∀゚) 「あひゃー。弟者が二人いるぞー」
( ´_ゝ`)「どうも。かっこいい方の弟者こと兄者です」
(´<_` )「つーさん、こいつは気にしなくていいです。
電池で動く楽しい産業廃棄物とでも思って下さい」
( ´_ゝ`)「どうも。リサイクルも出来ないとかけまして、
他の何者にもかえ難い兄者です」
(*゚∀゚) 「やーよろしくー。弟者と同じゼミのつーなんだー」
( ´_ゝ`)「つーちゃんか…。うちの弟がいつもお世話になっております。
弟のついでに俺の息子のお世話もしてくr」
(´<_` )「ちょっと黙れ兄者。それと呼吸も止めてくれ。地球の酸素が減る」
( ´_ゝ`)「俺が消費した分の酸素は弟者が広葉樹林に生まれ変わって生産してくれるって信じてる」
(´<_` )「たわけが。自分でアオミドロにでも生まれ変わって酸素を作ればいいだろうが」
( ´_ゝ`)「すまんな。俺はイケメンに生まれ変わって14歳の金髪碧眼の美少女と添い遂げると決めているんだ」
(´<_` )「今すぐ家に帰れ。そして二度と社会に出てくるな」
( ´_ゝ`)「今の台詞後悔するなよ。俺の引きこもりスキルを舐めてると痛い目に合うぞ」
(´<_` )「主に兄者がな。一体何年で大学を卒業するつもりなんだ?」
( ´_ゝ`)「いやぁそれにしてもつーさんは可愛いですねー。それでうちの弟者に何の御用で?」
(*゚∀゚) 「あーそーだ。弟者携帯教えてくれないかー。俺今度ゼミの飲み会の幹事やるんだー」
(´<_` )「あれ?教えてなかったか…?すまん」
(*゚∀゚) 「別にいいぞー。赤外線出るか赤外線ービームー」
(´<_` )「ああ。ちょっと待ってくれ。今送る」
(*゚∀゚) 「どんと来いやー」
(´<_` )「ちょっと待ってくれ…赤外線は不慣れで…」
(*゚∀゚) 「なんだ弟者ー友達少ないのかー」
(´<_` )「こっちの自動孤独製造機ほど少なくはないが多くはないな」
(*゚∀゚) 「あひゃ。そうかー。じゃあ、今度ゼミじゃなくて個人的に飲まないかー」
(´<_` )「誘ってくれるなら是非」
(*゚∀゚) 「約束なー。お、アドレス来たぞー。ありがとなー」
(´<_` )「お。無事届いたか。それは何より」
( ´_ゝ`)「………」
(*゚∀゚) 「それじゃーまた次のゼミでなー。あとでメール送るぞー」
(´<_` )「ああ。頼む」
(*゚∀゚) 「またなー」
(´<_` )「また」
(*´_ゝ`)「……つーちゃん…いいな…」
(´<_` )「それ以上見るな彼女が汚れる」
(*´_ゝ`)「ふふ…」
(´<_` )「笑うな気色悪い。俺は今から講義だが兄者も何か授業入ってるのか?」
( ´_ゝ`)「………多分」
(´<_` )「貴様は一体何をしに大学に来たんだ」
( ´_ゝ`)「たまに来ないと学校の場所を忘れそうで…」
(´<_` )「そのまま心臓を動かすことごと忘れてしまえばいいと思う」
俺たちは、双子。
お互いがお互いのクロンである、
世にも珍しい、
他人同士。
タイトル:
つーです。
本文:
届きましたでしょうか?
約束通りメールを送らせて頂きます。
番号は080-××××-××××になります。
登録の方よろしくお願いします。
ps:
来週、個人的に飲みに行きませんか?
良い店を紹介します。
(;´_ゝ`)「文章かったいなぁ…こんな子だったっけ…」
今日会った時は、もっとこう、ざっくばらんとしてたような気がするのだが。
しかしメールでキャラ変わる人って意外にいるからな。
例えば君がいつも見ている黒髪眼鏡で楚々とした気になるあの子だって、
【○○君今日ゎ楽しかったね^^
また、ぃっぱぃェッチしよぉね^^】
とか彼氏にメールしてるんだぜ!もうどうしろと!俺にどうしろと!想像して抜けってか!
ビクビク駄目でも感じちゃうブピュゥっ!
…悪くないな。
違う話が逸れた。
うん。ちっちゃい「ぁ」とか「ぅ」に比べれば敬語良い。全然良い。むしろギャップ萌えすら感じる。
そんなわけでつーちゃんの携帯に弟者の代わりに無断で赤外線を送って、
未だ登録人数5人(父者、母者、姉者、弟者、マイパソコン)の我が携帯電話のアドレス帳におにゃのこの名前を増やそう大作戦。
通称【カッコウは他の鳥の巣に卵を産み付けて子どもを育てさせるんだぜ坊や作戦】
あれ?通称長いな。略して【卵子作戦】は見事無事に成功を収め、
こうして頑なに沈黙を守り続ける我が携帯におにゃのこからのメールが届いたわけだが!
さて、これからどうしよう?
1、可及的速やかに弟者のふりをしてメールを返す→仲良くなる→ねじ込む
2、正直に自分が兄者である旨を説明するメールを返して謝る→仲良くなる→ねじ込む
3、ねじ込む
なんだ。こうやって並べてみると俺の未来は明るいじゃないか。
では、早速ねじ込む練習をするために、
エロ画像をせっせと集めなくては。
おっぱいスレで腕を振る準備はいつだって出来てるんだz
(´<_` )「兄者。母者にお使いを頼まれた。一人じゃ持ち切れそうもないから手伝ってくれないか」
(;´_ゝ`)「お。お、弟者。急に部屋に入ってくるんじゃないそんなに着替えドッキリイベントに遭遇したいかこのムッツリめ」
(´<_` )「部屋は共用なんだからノックしなくても構わないだろうが。
それと兄者の貧相な裸なぞ見たくもない」
( ´_ゝ`)「貧相だと。俺の魅惑の桃色乳首を目にしても同じ事が言えるかな」
(´<_` )「男の桃色乳首なぞ何の価値もないわ」
( ´_ゝ`)「たわけが。俺が乳首うpスレでどれだけの賛美を浴びているか見せてやりたいわ」
(´<_` )「そんな大衆の前に乳首を晒すな。身内の恥め。
兄者の乳首が1と0に変換されてネットの海を漂ってると思うと消えてしまいたくなる」
( ´_ゝ`)「恥などとな。むしろ誇りに思え。兄の桃色乳首を」
(´<_` )「死んでもごめんだ。ほら、とっとと買い物に行くぞ
母者がざらめと三温糖と餡子をキロ単位でご所望だ」
(;´_ゝ`)「…甘ぁ。何の甘味祭りが開催されるんだそれは」
(´<_` )「知るか。『なんだか甘いものが食べたいね。弟者ちょっとこれ買ってきて』だそうだ」
(;´_ゝ`)「母者の買い物は相変わらず業務用だな…」
(´<_` )「わかったら早く行くぞ」
弟者の様子を見るとメールを返信するまで待ってくれそうもない。
俺は携帯を閉じてジーンズのポケットに仕舞うと立ち上がり弟者の後を追った。
(*´_ゝ`)「あぁん待ってぇ〜」
(´<_` )「きもい。寄るな。変態の国へ帰れ」
タイトル:
弟者だよ
本文:
返信遅くなってごめんね
ちょっと餡子買いに行ってたんだ
余談だけど餡子と餃子って似てるよね
来週の日曜なら丸々暇なので、
飲みとは言わずどこかに遊びに行きませんか?
タイトル:
是非!
本文:
日曜なら私も暇なので
是非とも遊びに行きたいです
餡子は無事買えましたか?
タイトル:
餡子は
本文:
肩が外れそうだったよ
どこに遊びに行くか俺が決めてもいい?
夜はお勧めのお店に連れて行って下さい
(;´_ゝ`)「お、おぉぉおおおお」
こんなにすんなり事が運ぶとは流石俺。
なんだよリア充の扉は存外ぱっくり開いてるじゃないか。この淫乱め。
そんなに突っ込んで欲しかったのか雌豚が!さぁやらしい声で鳴いてみるがいい!
とりあえずお前らも赤外線を無差別に送ってみろ!絶対お勧め!
(´<_` )「兄者…五月蝿い…動くな…喋るな…」
俺の下で寝ている弟者が声をかけてくる。
だがリア充である今の俺には弟者なぞ敵ではない。
ここぞとばかりに体を揺らしまくる。
ゆさゆさと揺れまくる二段ベッド。
(´<_`#)「この糞兄者が!」
その時、突如として現れる弟者の生首!
しかし恐れる事はない今の俺はリア充だ。
変わり果てた弟者を包容力満点の手つきでそっと撫でてやる。
( ´_ゝ`)「大丈夫…怖くないわ…早く成仏しなさい…坊や」
(´<_`#)「兄者こそ早く成仏したらどうだ。兄者は既に死んでるぞ。社会的に。」
( ´_ゝ`)「うふふ。怖いのね、大丈夫よ。何も恐れる事はn」
(´<_`#)「触るな気色悪い。手が湿ってる」
( ´_ゝ`)「あらあら弟者の生首は生意気な恥ずかしがりやさんなのね」
(´<_`#)「………」
弟者の生首が消えた。
良かった。成仏してくれたのか。
やはりこの兄の愛で包んであげたのが良かったのだな。うん。
刹那。ガコン、と音が聞こえる。
(;´_ゝ`)「弟者何をしてるんだ梯子外したら降りられなくなるじゃないか」
(´<_` )「知るか。そのまま死ね。つーか梯子なしじゃ降りられないのに、
二段ベッドの上に寝たがるな」
(;´_ゝ`)「ほんとまじすまんかった。二段ベッドの上で餓死とか洒落にならないから。
死ぬから。生まれたての子羊のようにぷるぷる震えて死ぬから」
(´<_` )「はいはい。おやすみ兄者。静かにしてくれよ」
(;´_ゝ`)「弟者!ちょ!おま!」
(´<_` )「いい子だから黙って寝ような」
(;´_ゝ`)「………。」
本当に梯子戻さないで寝やがった馬鹿弟者め。
ここでまさかの強制篭城フラグか。
俺の引きこもりスキルを舐めるなよ。ああ。引きこもってやるさ超引きこもってやる。
怖くない高いところなんか怖くないもんねー。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ。
(´<_` )「だからさっきから五月蝿い…兄者…オナニーならバイブ機能ついてない奴でしてくれ…」
( ´_ゝ`)「携帯だろ常識的に考えて」
(´<_` )「先に言っておくが童貞を5万で買ってくれる欲求不満のマダムなぞ存在しないからな…」
(;´_ゝ`)「し、知ってるもん!」
別に待ち合わせ場所で5時間待ったりしてないもん。
タイトル:
楽しみにしてます。
本文:
わかりました。
弟者君にお任せします。
待ち合わせ場所など決まりましたら連絡下さい。
それではおやすみなさい。
( ´_ゝ`)「みwwなぎwwwってwwきたwww」
(´<_` )「だからオナニーなら黙ってしてくれ…」
ふふん。下でおにゃのこからメールの来ない弟者が負け犬の遠吠えをあげている。
リア充となった兄がまぶしくて仕方が無いのだろう。哀れな奴め。
( ´_ゝ`)「弟者…。結婚式のスピーチは頼んだぞ」
(´<_` )「兄者と嫁では次元が違うから残念ながら結婚は無理だ」
( ´_ゝ`)「馬鹿が。この俺がそんな薄っぺらい女どもと結ばれると思うか」
(´<_` )「ああ…。部屋が一緒なんだからフィギアを飾りまくるのは勘弁してくれな」
じゃあ、今度こそおやすみ。と結んで弟者は黙り込んでしまった。
弟者は実の兄をキモオタと勘違いしている節がある。
俺はキモオタではなく、孤高の現代表現の捕食者だと言うのに。わからん奴め。
そして今まさにそこで得た知識を現実に還元する時が来ているのだ。
Hey!三択カモン!テーマはデートスポット!
1、カラオケ
2、水族館
3、遊園地
まずはカラオケ。カラオケに行くと高確率で起こるのが、【ヒロインの歌が物凄く下手】イベント。
才色兼備のヒロインに多く発生するイベントである。いわゆる一つのギャップ萌えって奴だ。
次に水族館。これは物静かなヒロインが好む傾向にある。
シリアスなイベントが発生しやすく、ヒロインが変な魚を好むお約束も微笑ましい。
しかしキス以上のエロシーンに発展し辛く抜きゲーよりは泣きゲーに適したスポットだ。
最後に遊園地。これが曲者で、迷子イベントや観覧車イベントなどその多様性は他の追随を許さない。
非常に玄人好みの選択と言えよう。
つーちゃんは見たところ明るくて元気なタイプだ。と言う事で必然的に2は却下になる。
うむ。別にエロシーンに発展し辛いから弾いたわけではない。念のため。
そうなると残るは、1か3になるわけだが…。
………。
よし!
(*´_ゝ`)「弟者ー!明日一緒に遊園地に行くぞ!」
(´<_`#)「いい加減にしろこの糞あに……は?!」
( ´_ゝ`)「カラオケは行ったことないからな。遊園地だ。
下見だ下見。この兄が奢ってやろうほーら嬉しかろう」
(´<_` )「何が楽しくて兄者と二人で遊園地なぞ行かなくてはならんのだ」
( ´_ゝ`)「ただの遊園地じゃないぞ?」
(´<_` )「そりゃ遊園地は有料だ」
( ´_ゝ`)「かの有名なねずみーらんど、だ」
(´<_` )「………本当に奢りだろうな」
( ´_ゝ`)「兄に二言はない」
がたん、と音がする。
見ると弟者が梯子をベッドに戻したようだ。
うむ。やはり持つべきものは弟だな。
まどろみの中にぽっかりと歌声だけが浮かんでいた。
確かに、何処かで、聞いた事のある歌だった。
(´<_`*)「ねずみーまうすーねずみーまうすーねずみねずみまうすー♪
ねずみーまうすーねずみーまうすーねずみねずみまうすー♪
ねずみまうすー♪ねずみまーうす♪まっもろう著作権♪へい!へい!」
まぶたをこじ開けると俺の耳元で弟者が楽しげな歌声を披露している(掛け声付き)。
俺は携帯電話で時間を確認すると無言で弟者の顔に枕を押し付けた。
(´<_` )「〜♪ ねずみーまうsフガ!!」
(#´_ゝ`)「今何時だと思っている。くそぅ。ちょっと純文学風なモノローグとか出した結果がこれか。
なんでげっ歯類を称える歌で目覚めなきゃならんのだ。
哺乳類馬鹿にすんな歯が伸びるのがなんぼのもんじゃい」
(´<_`*)「兄者こそ何をする。もう起きる時間だぞ」
( ´_ゝ`)「馬鹿言え。繊細な俺は最低でもタモさんが颯爽と階段を降りる時間にならないと体が起動せんのだ」
(´<_` )「馬鹿を言っているのは兄者の方だ。そんな事したら並べないだろうが!」
( ´_ゝ`)「は?並ぶ?」
(´<_`*)「ねずみーらんど」
( ´_ゝ`)「………」
(´<_`*)「ねずみーらんど」
大事なので二回言いました。そう言わんばかりの瞳で俺を見つめる弟者。
ああ、畜生。我が弟ながら変態だなぁ。殴り倒してやりてぇ。
俺は再び布団に潜り込んで沈黙を決めこむ。
ねずみーらんどはタモさんを見てからでも遅くなかろう。
(´<_`*)「こーのお寝坊さんめー♪」
布団を引っぺがしマウントを決め込む弟者。
痛い。痛い。その拳中指立ってる!立ってるから!
(; )_ゝ`)「おk弟者。時に落ち着け。俺が死ぬ。
しかも二段ベッドの上で暴れられると揺れて怖い。超怖い」
(´<_` )「おー寝坊さん♪おめめはぱっちり覚めたかなー?」
超笑顔で爽やかな目覚めを演出する弟者。
流石変な店でバイトしているだけはある。
駄目だこいつ早く何とかしないと。
(;´_ゝ`)「…ねずみーらんど、原油高騰によりアトラクション稼働率50%減…」
(´<_`*)「馬鹿だな兄者。ねずみーらんどのアトラクションは魔法で動くから原油高なんて関係ないんだぞ」
(;´_ゝ`)「夢の国SUGEEEEEEEEEEEE!」
確かに夢の国は凄かった。
電車とバスを乗り継ぐ事おおよそ一時間。
門の前でじりじり弟者とネガティブな言葉しりとりを続ける事一時間。
そしていよいよ開門。不自然に笑顔のお姉ちゃんに促され、一歩足を踏み入れると、そこは。
(´<_` )「何をしている兄者走るぞ!最初はブーンテッドマンションに待ち時間0で乗るって決めてるんだ!」
(;´_ゝ`)「ちょwwwおまwwww」
マラソン会場だった。
無言で開園直後の夢の国を全力疾走する21歳と21歳。
すげぇ夢の国。このメルヘンな景色の中に居ると普通はムサい光景が益々地獄絵図に見えるぜ。
(;´_ゝ`)「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」
遠かった。ブーンテッドマンションは引きこもりスキルの高い俺を走らせるにはあまりにも遠かった。
一方弟者は息一つ乱す事なく意気揚々とアトラクションに乗り込む。
(´<_`*)「ほらほら。ここに座るんだぞ兄者。ああ、安全ベルトはそこな。
これが終わったら次はイッツアブーンワールドでその次がブーンさんのハニーランドだから」
(;´_ゝ`)「………」
(´<_` )「心配するな。待ち時間含めて俺の計画は完璧に練られている。
今日は兄者を完璧にエスコートしてやろう」
( ´_ゝ`)「帰っていい?」
ごめん。俺正直夢の国がこんなにも辛いものだとは思わなかった。
瞳を輝かせる弟を眺めるのが、こんなにも居たたまれないだなんて知らなかった。
なんかもう…ごめんなさい。
Ω Ω
(´<_`*)「ほら。兄者の分のねず耳買ってやったぞ。つけろ」
Ω Ω
(´<_`*)「ポップコーンはサワークリーム味が良いな。うん」
Ω Ω
(´<_`*)「案ずるな。パレート用にレジャーシートと座布団ならちゃんと用意してある」
Ω Ω
(´<_`*)「思ったより空いてたな。この分ならあと3つは余計にアトラクションいけるな」
Ω Ω
(´<_`*)「チュロスがあるぞ兄者。買ってくるからちょっと待っててくれ。」
先ほどから広い園内を駆けずり回ってると言うのに弟者は一向に疲れた様子を見せない
地図もなしに目的地にゴリゴリと押し進んでは行列に加わり、行列に加わっている間も他の行列に加わり、
もう、行列に加わるのが楽しくて仕方ない様子で目をキラキラさせている。病気か。
Ω Ω
(;´_ゝ`)「「夢の国侮ってたわ……」」(;'A`)
Ω Ω
( ´_ゝ`)「ん?」
(;'A`)「あ……」
振り返ると、貧相な男と目が合った。
どうやら彼が俺と見事なハモりを果たしたソウルブラザーらしい。
(;'A`)「弟者…?何してんの?こんなところで…」
川 ゚ -゚) 「む、何だ知り合いか」
(;'A`)「あ、はい。大学に行ってた頃の知り合いです。久しぶり…」
Ω Ω
(;´_ゝ`)「なっ…!?」
諸君、おわかり頂けるだろうか。
てっきり一人で並んでると思っていた、すこぶる貧相な男に美人が親しげに話しかけるこの衝撃を。
この顔からして、一人で遊園地に来ては自分の孤独っぷりを楽しむ深刻なマゾヒストだとばっかり思っていたのに。
( ФωФ)「ほら、お嬢様。知り合いの知り合いですよ。挨拶なさって下さい」
Ω Ω
(;´_ゝ`)「なんと」
しかも、もう一人いた。
なんだよ。男2で女1とかどんな比率だ。どう頑張っても男が一人余るじゃないか。
川 ゚ -゚) 「初めまして。ところで君は一人でここに来たのか?」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「…はい?」
(;ФωФ)「お嬢様!例え彼が一人で遊園地に来ては自分の孤独っぷりを楽しむ深刻なマゾヒストだとしても、
そんな失礼な質問をしてはいけません!!」
川 ゚ -゚) 「遊園地に一人で来てる人間に一人で来てるかと尋ねるのは失礼な事なのか?」
( ФωФ)「お嬢様は一人乗りの遊園地のアトラクションを見た事がありますか?」
川 ゚ -゚) 「…ないな」
( ФωФ)「それが答えで御座います」
川 ゚ -゚) 「なるほど。納得した。悪かったな。楽しんでくれ」
Ω Ω
(;´_ゝ`)「……ちょ」
何か今俺、物凄い高等な羞恥プレイを仕掛けられたぞ。
そんな事されたら、ちょっと気持ちよくなっちゃうじゃないか。
ああ、やめてお嬢さんそんな虫を見るような目で俺を見つめないで。
興奮しちゃう!俺の愚息がたぎってきちゃう!
こんな幸せな奴らばっかりのリア充御用達スポットで!!
川 ゚ -゚) 「じー………」
Ω Ω
(;´_ゝ`)「生まれてきてすいませんでしたぁああーーーー!!」
もう駄目無理だわ!だって僕男の子だもん!!
俺は行列から離脱すると、どこ行く当てもなく人混みの中を駆けていく。
ねぇ見て風にたなびく私のねず耳!今なら何処までだって飛べるわ!性的な意味で!
うふふあはは―――。
Ω Ω
(´<_` )「おーい兄者買って来たぞー。タルタルソース味と豆腐味どっちが…
……あれ?すいませんここに俺と同じ顔の男いませんでした?」
川 ゚ -゚) 「………それがルパンか?」
Ω Ω
(´<_`;)「は?」
('A`)「弟者…だよな…?」
Ω Ω
(´<_` )「そう言うお前はドクオか?えらい久しぶりだが。学校やめてから何してたんだお前」
川 ゚ -゚) 「お前こそ何をしてるんだ。いくら先ほどまで並んでいたと言っても一旦列から抜けた以上、
きちんと並びなおさないと駄目じゃないか」
Ω Ω
(´<_` )「いや…だから双子の兄が並んでた筈なんですが…」
( ФωФ)「双子の兄とか…今時小学生でもそんな手口使いませんよ?」
Ω Ω
(´<_`;)「…兄者?
どこ行ったんだ……?」
タイトル:
何してますか?
本文:
突然のメールごめんなさい。
弟者君が以前に今日は全休だと言っていたのを思い出したので、
思い切ってメールさせて頂きました。
日曜日のフライングになってしまうんですが、
もし、お暇なようでしたら、
今からどこかで待ち合わせて遊びに行きませんか?
タイトル:
お願いします
本文:
ありがとう。
一時間後に大学の図書室で待ってるよ。
Ω Ω
( ´_ゝ`)「もしもし弟者…?俺、帰るわ」
Ω Ω
(´<_` )「それよりも今何処にいるんだよ兄者。おかげで並びなおさなければならなくなったぞ。
早く戻って来い。豆腐味のチュロスが待ってるぞ」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「豆腐味のチュロスよりも大事なものがあるって気付いたんだ。ごめん」
Ω Ω
(´<_` )「そうか…。気をつけろよ。ねずみーらんどは兄者の分まで俺が楽しんでやるから」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「そうしてくれ。例え遊園地に一人乗りのアトラクションが存在しないとしても、
弟者は強く生きるんだぞ」
Ω Ω
(´<_` )「ああ。夜のパレードの写メは送ってやるからな」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「お前…一人で夜までいる気なのか…」
我が弟ながら本当に気持ち悪いな。
(*゚∀゚) 「おーとーじゃー!!ここにいるぞー!!」
図書室のドアをくぐった途端、静寂に衣擦れとページをめくる音をまぶした図書室につーちゃんの声が響く。
俺は周りからの好奇と迷惑の視線を感じつつ彼女に歩み寄った。
Ω Ω
( ´_ゝ`)「お待たせつーちゃん。ごめん。待った?」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「お待たせつーちゃん。ごめん。待った?」
(*゚∀゚) 「あひゃひゃひゃ。こんなの待ったうちに入んないぞー」
声のトーンを落としきれない様子のつーちゃん。
大変に可愛らしいのだがさっきから周りの視線が心なしか痛いんだ。
と言うか電車に乗って移動する間も随分と視線を感じた気がする。
笑いながら携帯で写真を撮って来る女子高生の集団まで居た。
何て言うかやばかった。何あの笑い声。何のご褒美かと思ったぜ。
Ω Ω
(;´_ゝ`)「それはそうと…移動しない?もう夕方だし晩御飯でも食べに行こうよ」
(*゚∀゚) 「あひゃー。そうだなー。なあなあ弟者ー。それならうちにご飯食べに来ないかー?
実家から牛肉が届いたんだけど食べきれないんだぜー?」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「なんと」
おぜうさん。何ですかその急展開。
ちょっと急ぎすぎじゃないですか。
体験版のエロゲだってもうちょっとプロセス大切にするぜ?
Ω Ω
( ´_ゝ`)「それは是非ご馳走にならねばな」
(*゚∀゚) 「じゃあ、今から案内するんだぜー」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「把握した」
弟者ごめん。
お兄ちゃん、大人の階段先に上るわ。
そうして大学を出た俺たちは、はたから見たら立派にカップルなので、
俺のテンションも否応なく上昇を果たしてしまうのです。
つーちゃんも、電車のつり革に捕まりながら、
紅潮した頬をこちらに向けて楽しげに言葉に紡いでいく。
(*゚∀゚) 「あのなー。実家から届いた牛肉なー。凄いんだぞー。
なんか大会で3位に入賞した牛さんでなー。名前はタロベェって言ってなー。
牧場のお嬢さんに一等可愛がられてた愛嬌のある牛さんなんだってなー」
嬉しげにこれから食す牛の死骸の経歴を披露していくつーちゃん。
おkおk。電波ちゃんだな。お兄さん守備範囲、宮崎県知事のデコよりも広いから全然大丈夫なんだぜ。
Ω Ω
(*´_ゝ`)「そうだな。二人でタロベェにありがとうしながら食べような」
(*゚∀゚) 「うん!楽しみなんだぜー!」
移動する事大学から電車で4駅。そこから徒歩7分ほどのところにつーちゃんの部屋はあった。
(*゚∀゚) 「ちらかってるけど入って欲しいんだぜー」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「お邪魔しまーす」
つーちゃんの部屋は特別に散らかっていることもなければ、
トリッキーな置物も、スイーツな小説も、パソコンもなかった。
ん?パソコンないのか。今時の子にしては珍しい。
(*゚∀゚) 「じゃあ、作るから弟者はそこに座って待ってて欲しいんだぜー。」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「何か手伝える事はある?」
(*゚∀゚) 「大丈夫なんだぜー。そこの本棚に漫画とか入ってるから読んで待ってて欲しいんだぜー」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「把握した」
それにしても流石おにゃのこの部屋。なんかいい匂いがする。
香ばしくて、こう、食欲をそそる様な、
例えるなら牛肉を焼いたような……。
(*゚∀゚) 「すぐ出来るからちょっと待ってなー」
てゆーか肉じゃねーか。
タロベェごめん。お前すげぇいい匂いするわ。
このままフライパンを振るうつーちゃんを眺めているのも良いが、
リア充がそんなキモヲタみたいな所業をしたら不審に思われるかもしれない。
俺はお言葉に甘えて漫画を読むことにした。
Ω Ω
(;´_ゝ`)「『ベルサイユの薔薇』がある」
これはオスカルとアンドレがどっちがどっちだか分からなくなる俺への挑戦に違いない。
俺は一巻を手に取りページをめくる。
Ω Ω
( ´_ゝ`)「絵が濃ゆいな……」
(*゚∀゚) 「あひゃー。弟者はご飯とパンどっちが良いー?」
Ω Ω
( ´_ゝ`)「夕飯には是非ともご飯で攻めたいところです」
(*゚∀゚) 「わかった任せろー」
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