目の前に乳白色のチーズで美しく彩られたハンバーグが置かれる。
その動物性たんぱく質の匂いに食欲が刺激された。
どんな状況でも腹は減るんだと、思った。
('A`)「いただきます……」
(´<_` )「おう食え食え。たんと食え」
( <●><●>)「たくさん食べて大きくなられて下さい。あなたは少し痩せすぎですよ」
('A`)「はふはふっ」
(´<_` )「じゃあ、ごゆっくりー」
( <●><●>)「美味しいですか?」
('A`)「凄く……肉肉しいです……」
( <●><●>) 「肉ですからね」
('A`)「このカロリーが体に優しいです……」
( <●><●>) 「痩せた体に染み入るコレステロールですね」
('A`)「あの……じっと見つめられると、食べ辛いんですが」
( <●><●>) 「どうぞ気になさらないで下さい。私は今、マザーテレサのような慈悲溢れる安らかな気持ちなのです」
('A`)「それ、寒い庭で飼い犬が餌をがっつくのを、暖かい居間から見つめるお母さんの気持ちですよね……」
( <●><●>) 「あまり無駄口を叩くとすぐに冷めるのはワカッテマス」
('A`)「……はふはふっ」
( <●><●>) 「ええ。食べるのに集中されて下さい。ですから、これから私が話す内容は聞き流して下さって結構ですよ」
('A`)「……?」
( <●><●>) 「夢とは言え、蹴りまくってすいませんでした」
(;'A`)「ぶふぉっ!」
美しい放物線だった。
チーズと肉の欠片がテーブルに飛び散る。
( <●><●>) 「ほら、汚いですよ。金の使いどころを間違っているヲタクな上に極貧の貴方には貴重なタンパク源なのですから、零さないでしっかりと食べないと」
(;'A`)「いや、そんな……夢のことを……謝られても」
( <●><●>) 「ええ。そうですよね。だから聞き流して下さって結構と言ったのに」
(;'A`)「はぁ……それにしても、夢なんて気にしなくてもいいのに」
( <●><●>) 「私もそう思います」
('A`)「ええ。所詮は、夢です」
( <●><●>) 「所詮は!」
(;'A`)「うぉ!?」
急に大声を出したワカッテマスに俺は驚く。
俺の向かいの目玉のお化けは所作言動がいちいち、予想がつかない。
( <●><●>) 「所詮は二次元!所詮は子ども騙し!所詮はヲタク産業!所詮は萌え豚の日用消耗品!」
(;'A`)「は?え?はい?」
( <●><●>) 「それが世間のアニメへの評価です!わかりますか?」
(;'A`)「はい……」
( <●><●>) 「その所詮の群れに命をかけているのですよ!私は!」
(;'A`)「はい!すいません!」
( <●><●>) 「わかればよろしいのです。わかれば。ええ。つまりですね。何が言いたいかと言いますとね」
(;'A`)「はい!何でも聞きます!」
( <●><●>) 「貴方に、感謝していると言うことです」
(;'A`)「なんで!?」
その大きな双眸が、じっと俺を見据える。
食い違う会話と、妙な間が、二人の間を支配している。
( <●><●>) 「所詮は、夢ですが」
( <●><●>) 「良い夢でしたよ。ご馳走様でした」
(;'A`)「………」
結局、『男らしいパフェ』は腹がいっぱいで手をつけられなかった。
それを目玉のお化けはやれやれと言った様子ですべて平らげた。どうやら甘党らしい。
帰り際、弟者はまた来いよ、と言いながら俺にポテトの無料券を手渡してくれた。
( ・∀・)「やーおかえりー遅かったじゃーん。勝手に寛いでたよー」
(;'A`)「ちょっ!え!?あれ!?今俺、鍵開けて……えぇ!?」
安アパートに帰り着くと、そこに、いるはずのない人間がコタツに入って煙草をふかしていた。
それは俺が今、最も会いたくない人間だった。
( ・∀・)「あはは。もし防犯意識があるなら、あの鍵は取り替えたほうがいいよー。開けるのに一分かかんなかったからねー。
もっとプロがやったら15秒だね15秒!」
(;'A`)「犯罪だろ!」
思わず声を荒げると、モララーはとても幸せそうな笑顔でそれに応えた。
( ・∀・)「まぁね!」
(;'A`)「まぁねじゃねぇ!良い笑顔すんな!!」
( ・∀・)「じゃあお邪魔します!ほら挨拶した!ほら今合意の上で部屋に入った!ほら犯罪じゃなくなった!」
煙草の灰をビールの空き缶に落としながら悠々と喋る彼に殺意すら覚える。
ちなみにそのビールは彼が持参したものだ。何故なら俺の冷蔵庫には発泡酒しか入っていない。
(;'A`)「何しに……来たんすか……」
( ・∀・)「友人の家に遊びに」
(;'A`)「友達じゃねぇよ!」
( ・∀・)「えー」
ふざけた様な口調が、俺の苛つきを刺激する。
破けたジーンズ。蹴られた痛み。ブーンの顔。
渦巻いたそれらが、怒声となって口から出る。
(#'A`)「友達じゃねぇだろ!!」
( ・∀・)「………」
モララーは、暫し口角を上げたまま凍り付いた後に、
盛大に、笑い始めた。
( ・∀・)「あははははははははははははははははははは!」
(;'A`)「ひぃ!」
( ・∀・)「あははははははははははははは!!
全く全くドクオ君は冗談が上手だなぁ!!
友人であるこの僕が!
君の事を思ってわざわざ!!
こんなシルバニアファミリー以下のアパートに!!
ご足労してやったと言うのに!!」
(;'A`)「う、うるせぇよ何なんだよお前!!」
( ・∀・)「どこにでもいる人殺しでお前の友人だよヴォケ!!」
(;'A`)「………」
( ・∀・)「内藤ホライゾンについて話を聞きに来たんだろう?話してやるから有難がれよ糞が」
(;'A`)「な………」
( ・∀・)「彼はうちで借金をしていた。払いきれないようだから、保険金かけて殺した。俺はその場に立ち会った。以上」
(;'A`)「………」
( ・∀・)「納得した?納得したね?納得したなら今から食べ放題じゃない肉食べに行こうぜ親友!」
(#'A`)「ふっざけんな殺してんじゃねーかよ人殺し!!」
(#・∀・)「そりゃ殺すさ!!こちとら堅気じゃねーんだよ糞が!!いちいち仕事に文句つけられても知らねーんだよ糞餓鬼がっ!!」
コタツに下半身を埋没させたモララーのあまりの言い草に頭に血が登る。
じわじわと心臓を焦がすような怒りが俺を突き動かす。
気がついたら、俺はモララーに殴りかかっていた。
(#'A`)「っだらぁああああああ!!」
立っている俺とコタツに座っているモララー。
どう考えても俺の方が有利な布陣だ。外さない。
しかし彼は依然軽く口角を上げたままの不適な笑みで、
俺の拳を避けながら自身の拳を俺の顎に合わせてきた。
( ・∀・)「だから堅気に負けるかっての」
( A )「ぐっ……!」
脳が揺れる、と言うのはこう言う事を言うのか。
ぐわんぐわん、と酷い耳鳴りと共に視界がぶれる。
俺は小汚い床に背中から倒れこんでいた。
その衝撃で棚に綺麗に並べてあったハイン様やらラマたんやらが軽い音を立てて倒れるのがわかった。
頭の片隅でそれらが壊れてないか心配するが、今はそれどころではない。
何しろ、体中が酷く痛い。
そして俺は、そのまま。
意識を失った。
(,,゚Д゚)「ゴルァ……」
そこには奴、がいた。
そこは、板張りの寒々とした空間だった。壁には大小様々の包丁が飾ってある。
その包丁の異質さを除けば、そこは何処かの大きな道場のようだった。
奴はその道場のような空間の中心に正座をして、一際小さな、見たところ何の変哲もない果物ナイフを、じぃじぃと音を立てながら研いでいる。
その横顔から、奴の感情を伺うことは出来ない。
俺は奴に近付く。
一歩一歩確かめるように足を進め、ついには奴のすぐ隣に立つ。
しかし奴は俺の事など気にも止めずに、まるで俺が見えていないように、
まるで俺が存在しないかのように、じぃじぃと音を立てながら華奢な果物ナイフを研ぎ続けている。
(,,゚Д゚)「………」
('A`)「おい」
(,,゚Д゚)「………」
奴は答えない。反応もしない。ただ、目の前の果物ナイフをじぃじぃと研ぎ続ける。
(,,゚Д゚)「出来たぞゴラァ」
やがて、その出来に満足したらしい彼は、果物ナイフを自分の服の袖を使い丁寧に鉄くずを拭うと、それを天井に掲げ煌きを確認するように覗き込んだ。
('A`)「どーすんだ?それ」
(,,゚Д゚)「あ?なんだお前。そんなの決まってるだろうゴラァ」
彼は、先ほど決め込んだ無視をまるで無かったかのように自然に俺の言葉に応える。
その右手には美しい、果物ナイフ。
(,,゚Д゚)「これで、俺の腹を切るんだ」
(;'A`)「は……?」
(,,゚Д゚)「これで俺の腹を掻っ捌くんだ。掻っ捌いて臓物を引きずり出すんだ。
掻っ捌いて臓物を引きずり出して詫びるんだ。掻っ捌いて臓物を引きずり出して詫びて許して貰うんだ。
掻っ捌いて臓物を引きずり出して詫びて許して貰うんだあいつに」
('A`)「お前……馬鹿?」
(,,゚Д゚)「煩い。俺はこれで腹を切るんだ」
(#'A`)「そんな小さなナイフじゃ、まともに腹なんか切れるわけねぇだろうが!!!」
俺が怒鳴りつけた瞬間。
世界が、バラバラと拡散した。
バラバラと拡散した世界が再び、どうにか、寄せ集まったそれは、どこかの交差点の形をしていた。
白と灰色の単調なコントラスト。周りには無機質なビルが立ち並んでおり、人影も、車もない。
交差点の歩行者用の信号機は、消えている赤いランプの上で、赤いランプが光っていた。
赤いランプの上に光る赤いランプ。永遠に止まれの赤。
奴は、道路を隔てた向こう側で、ほんの小さなカッターナイフを持って、立ち尽くしている。
その視線は、しんしんと輝き続ける赤いランプに注がれている。
帽子を被った紳士の赤。
俺は、両手にチェーンソーを抱えていた。
あんな華奢な刃物で詫びようなんて、許すものか。
俺の大切な友人を殺したんだ。
俺の本当の友人を殺したんだ。
俺が仇を取らなければ。
けたたましいエンジンを轟かせて、俺は吼える。
許してはいけない。
(#'A`)「っあ゛ぁあああああ!!」
俺は帽子を被った紳士の制止をまるで無視して走り出す。
奴を切り付ける。まずは首からだ。何せ面積が小さい。このエンジンの力を借りた刃物でならば簡単に切り取れるはずだ。奴の頭を。
奴は、俺の方を見ていない。
先ほどから、時折上下光る場所が入れ替わる赤い信号機を見つめ続けている。
(#'A`)「死ねぇ!!」
その時、俺はまばゆいばかりの、黄金色の光に包まれた。
そしてその身に四肢が弾け飛ばんばかりの衝撃を受ける。
続いて、聞こえたのはブレーキ音。
そのままアスファルトに無残に叩きつけられた俺の手には、もうチェーンソーは握られていない。
( ФωФ)「もう、やめましょう、ドクオさん」
先ほど、俺を無様に弾き飛ばした車から男が降りる。
(,,゚Д゚)「ゴルァ……」
奴は、相変わらず交差点の前でぼんやりと永遠に変わることのない赤信号を見つめている。
車から降りた男、彼は、いつかうちに訪ねて来て、一緒にクー様と三人でネズミーランドへ行ったこともある、ロマネスクだ。
( ФωФ)「ギコ……さんですね」
(,,゚Д゚)「俺は、このナイフで腹を切るんだゴラァ」
( ФωФ)「そんな、小さなカッターじゃ腹は切れませんよ。ほら、よく見て下さい。そのカッター、刃がないじゃないですか」
(,,゚Д゚)「ゴルァ……?」
奴は自分のカッターに視線を落とす。
確かにそのカッターには、刃が存在しなかった。
そして道路に叩きつけられた俺は、周りにチェーンソーが落ちていないか確かめる。
しかしチェーンソーはどこにも見当たらない。
この空間には、包丁も、チェーンソーもカッターの刃もない。
( ФωФ)「私の大切な同僚であり、友人でもあった、内藤ホライゾンの話をしましょう」
彼がそう言った瞬間。
また世界がぽろぽろと零れ落ちる。
気がついたらそこは、一面にシロツメクサが咲き乱れる、美しい野原だった。
( ФωФ)「私と彼は、お仕えする家のお嬢さん付きであり、
家庭に恵まれない境遇であった、と言う共通点を持っておりましたので、極めて近しい間柄でした」
真っ青な空の下で、ロマネスクが浪々と語り始める。
奴は地面に座り込んで俯いているので、彼の話を聞いているかはわからない。
俺はそんな奴の隣に座って、ロマネスクの話に耳を傾けている。
( ФωФ)「しかし、私と彼には、決定的に違う点が御座いました。
それは、彼が自分の主人の娘である、ツンお嬢様に思慕を募らせていたという点です」
('A`)「………」
じわり、と胸に痛みが広がる。
俺は、この痛みの正体を知っている。
( ФωФ)「それは同い年の男女が幼い頃から共に生活していた以上、ごく自然な感情であったと思います。
しかし、我々にとってツンお嬢様は恩ある主人の娘。そのような邪まな感情を持つなど許されるものでは御座いません」
( ФωФ)「私以上に、ブーンは真面目な人間でした。真面目に仕事をして、真面目にツンお嬢様を好いておりました。
そして彼はついに、ツンお嬢様から離れるために屋敷を出る選択を取りました」
(,,゚Д゚)「………」
( ФωФ)「その後の彼は、おそらくあなた達の方がご存知でしょう。
彼は私にとって家族でもあり、友人でもあり、共に人生を生き抜いた戦友でもありました。
その彼を不当に殺された私は、非常に……怒りを覚えます」
(,,゚Д゚)「だから……俺……腹」
( ФωФ)「黙りなさい」
俯いたまま、小さな声でぶつぶつと何かを言おうとした奴をロマネスクが跳ね除ける。
その声は酷く理性的だった。
(,,゚Д゚)「………」
(;'A`)「………」
俺は、顔が熱くなるのを感じた。
これは、奴に対する怒りじゃない。
本当の、怒りを前にした、羞恥心だ。
( ФωФ)「ドクオさん。有難う御座いました」
(;'A`)「え!?お、おおおお俺は何も……」
( ФωФ)「いえ。あなたがギコさんに怒ってくれたから、私は、こんなに冷静でいられました」
(;'A`)「あ、あ、あ……」
違う。違う。俺が怒ったのは、ブーンのためじゃない。
俺とブーンは、同じアパートで、時折安酒を買ってどちらかの部屋で飲む程度の関係で、
元々使用人をしていた事も、ツンさんの事も、何も聞いた事がなかった。
( ФωФ)「ええ、ですが、もう終わりにしようと思います」
(,,゚Д゚)「終わり……だと?」
( ФωФ)「はい。ギコさん」
シロツメクサの原っぱに、風が吹いた。
白い花々は、それぞれ重そうに頭を揺らす。
( ФωФ)「杉浦ロマネスクは、あなたを、許しましょう」
空が、翳った。
いや、違う。抜けるように青かった空が急速に色を変える。
数秒もしないうちに、原っぱは真っ赤な夕焼けの色に支配された。
シロツメクサの花もひとつ残らず真紅に染まる。
それが俺には、奴の、臓物の色に見えた。
(,,;Д;)「うぁ……うぁああああああああああああ!!!」
( ФωФ)「ドクオさん。あなたもです。もう、終わりにしましょう。
ギコさんは反省をしています。例え法的に罰せられる事がなくても、彼の罪に対して、これからは時間が何よりの罰になるでしょう。
我々がこれ以上彼に固執するのは、おそらく死んだ人間も、良しとしない事と思います」
ギコは、ロマネスクの服の袖にすがり付いて、尚も涙を流す。
(,,;Д;)「俺……あいつに礼を言うんだ。保険証、ありがとうって……、そんで、そんで謝るんだ。腹切って詫びるんだ。
何度だって殴られてやるんだ。あいつの気の済むまで……。あいつが……あいつは……いい奴、だったのに……。
なのに俺……あんたが来た時、白切っって……あれ、チャンスだったのに……詫びるチャンスだったのに……」
( ФωФ)「もう、良いですよ。もう良いです」
(;'A`)「ブーン……」
ごめん。
ごめんごめんごめん。
本当の事を言うよ。
お前の人生も知らずに、
お前の心も知らずに、
夢の中で、ツンさんのいるお前に
酷く、酷く酷く嫉妬していた。
俺はその罪悪感を、ここで、ギコに当たる事で、誤魔化そうとしたんだ。
お前のためじゃない。
俺のための、怒りだったんだ。
お前はいつでも、夢の中でさえ、
俺に、あんなに親しげに話しかけてくれる、
良い友で居てくれたのに。
(;A;)「う………」
( ФωФ)「………」
( ФωФ)「私の友人の、内藤ホライゾンの話を聞いていただいて、有難う御座いました」
( ФωФ)「私は彼がただ、安らかであることを祈ります」
夕暮れが、緩やかな時間を作っている。
そう言えばブーンがいつか、
夕日を、とても好きだと言っていた気がする。
( ・∀・)「あ、起きたー」
('A`)「………?」
( ・∀・)「やーごめんねー。加減したつもりだったんだけど、結構がっつり入っちゃったみたいでー。
まさか気失うとは思ってなかったから俺びっくりしちゃったー」
('A`)「俺……、気失って……今?」
( ・∀・)「うん。およそ5時間程。ごめん。腹減ったからピザ取っちゃったよー。ほら、君の分はそこに」
俺はずきずきと痛む顎を押さえながらむくりと起き上がる。
どうやら、一応、万年床に移動させてくれたらしい、体にかけられた布団がずり落ちる。
コタツの上には、食べかけのピザに、ハイン様やらラマたんやらが、突き刺さっていた。
(;'A`)「俺の嫁がぁ!!」
( ・∀・)「え?間違ってた?実は俺こう言う人形って前から何に使うか不思議でね。
この際と思って、ググってみたら、「おかず」って言う意見があったから、思い切って盛り付けてみたんだよ!
あまり食欲を刺激される見目ではないけれど、中々カラフルで素敵じゃないかい?」
(;'A`)「ちょ!何してんだてめぇえええええ!」
( ・∀・)「あはははははははははははは!!料理!!!」
(;A;)「あぁああ!!こんなに汚れちゃって……。あぁ!しかも欠けてるし!待っててな!今お兄ちゃんがパテ盛り盛りして助けてあげるから……」
( ・∀・)「欠けたのは君が倒れた拍子に落ちた時だから俺の所為じゃないよー」
(;A;)「う…うぅ…」
( ・∀・)「うん。優しいなぁ俺。倒れた友人のために料理までしてやるなんて!」
(;A;)「あんた……マジ、なんなんすか……」
( ・∀・)「友達に決まってるじゃん」
(;A;)「だって……今日……俺の事追い出したじゃないですか。ケツ、蹴られたし、ジーンズ破れたし……」
( ・∀・)「だって仕事だし。大体ケツ蹴られてジーンズ破られたくらいでぐちゃぐちゃ言うなよ。
表から出されたんだろ?普段だったら裏口から引きずり出されて、フルボッコにされてるんだぜ?」
(;A;)「それに、ブーンの事……」
( ・∀・)「うん。殺しちゃってごめんね。」
(:A;)「あ、ああああぁぁぁあああ!!」
( ・∀・)「よしよし。泣くなよ。ジーンズは買ってやるよ。ヲタクはユニクロがいいんだろユニクロ。一緒に行こうぜ!」
(;A;)「あた、あ、頭撫でるなぁあー!」
( ・∀・)「お。コブになってる。倒れたときのだな。すげー。のび太君みたいだぜお前。」
(;A;)「痛い…痛いよぅ……」
( ・∀・)「人生っつーのはなぁ!痛いもんなんだよ若人!!」
(;'A`)「あ!ちょ!今何時ですか!?」
( ・∀・)「え…?午前1時25分」
(;'A`)「やべーラマたん始まってるよ!!」
( ・∀・)「え?何?断食?」
(;'A`)「て、テレビテレビ……リモコン!!」
慌ててテレビをつけると、幸いまだ『女子院生のラマダン』はOPの途中だった。
( ・∀・)「あ!あの女の子この人形と一緒じゃん」
(;'A`)「ちょっと黙ってて下さい!」
( ・∀・)「最近アニメって何か変な時間にやってるよねー早朝とか夜中とか」
ワカッテマスさんは、物語の後半から出てくるレギュラーの役だった。
俺は、ワカッテマスさんの声を聞いて、彼のあの言葉を思い出す。
『良い夢でしたよ。ご馳走様でした』
('A`)「………」
('A`)「あの、モララーさん」
( ・∀・)「ん?」
('A`)「夢の事、すいませんでした」
( ・∀・)「あぁ?謝るこっちゃねーだろ」
('A`)「え……?」
( ・∀・)「それなりに、楽しい夢だったさ」
('A`)「………」
ブーン。
お前は、どうだった?
少しでも、楽しい夢なら良かったんだが。
('A`)ドクオが夢を紡ぐようです 第七話 了
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