ツンが僕の前から姿を消して、数日が経つ。
正確な日数は分からない。一種の錯乱状態にあったと言ってもいい。

あまりにも突然だった。
別れの言葉すら残さず消え去った。

嵐のような彼女は、もう僕の隣にはいない。


( ^ω^)「……本当は喜ぶべき、かお?」


自分に問いかける呟き。

そもそも、出会いすら唐突なものだった。
無理矢理に付いてきたと言っても、過言ではないはずだ。

しかし、認めなくてはならない事実がある。

それは、僕が彼女と過ごす日々を楽しんでいたということ。
短い期間であったとはいえ、長年連れ添った仲のように触れ合えていたのは間違いない。

だから本当ならもう一度彼女に会って、話がしたい。
ここ暫く彼女を探して歩き回ったのも、僕自身が望んで行ったことだ。





( ^ω^)「でも、もうタイムリミットだお」

今度は、自分に言い聞かせる呟き。

やらなければならない事がある。
僕の旅の目的、ここVIPに来たのだってその為だ。

これ以上、回り道をしている暇はない。
例え、それがどんなに苦しい決断だったとしても。

彼女に対する、未だ説明のつかない謎の想いは、心の奥底にある扉の向こうへ仕舞っておく。
いつかまた、その扉を開ける日が来るのだと信じて。


(;^ω^)「おっ!」


と、考えていた時に揺らめく体。

気持の整理に耽っていたせいか、どうやら現実を疎かにしていたらしい。
曲がり角で何者かにぶつかった勢いで僕はよろめき、仕舞いには尻もちまでついてしまった。

よっぽど気を抜いていたのか、それとも足腰が弱いのか……どうか前者であって欲しい。





「大丈夫か?」

(;^ω^)「あ、すいませんお……」

差し伸べられる手。
その手に引かれ、僕は立ち上がるように促される。

礼と謝罪を返そうと顔を上げ、ぶつかった男の人相を見たとき、僕は思わず目を丸くした。


( ´_ゝ`)「余所見し過ぎるのも良くないぞ、青年」


新調されたばかりと思える黒のスーツ、皺一つない襟元を覗かせる白のワイシャツ。
光の照り返しの強い革靴、ノーネクタイ……丁度、先日見たマフィアとは正反対の格好の男がそこにいた。

ただ、それは色合いが真逆というわけで、彼もその類の仕事をしている人間に違いない。
よく見れば彼の背後に、まるっきり同じ服装に身を包んだ男がもう一人。仲間なのだろう。

ともあれ、そんな人間が手を貸してくれたのだ。
驚くなという方が無理がある。





( ´_ゝ`)「これからは気をつけろよ」

(´<_` )「……いや、ちょっと待て」

男がそれだけ言って立ち去ろうとした時、背後の男が声を発した。
二人はまるっきり同じ顔立ちだった。やや二人目の男の方が落ち着きを感じさせてはいるが。


( ´_ゝ`)「どうしたオトリス、何か気になることでもあるのか」

(´<_` )「アニムル、こいつマッドボマーだ」

( ´_ゝ`)「……あ?」


前に立つ男が驚愕の色を見せた。

しかし、僕の方がずっと濃い色だった。
彼らの短い問答で、今の状況がどれほどの危機なのかを察していた。

僕をマッドボマーと勘違いしているのは、ユストピー兄弟の配下のマフィア達だ。
そして僕はそいつらを少なくとも四十には殺したことになっている。アジトごと。爆弾で。

さぞやお怒りに違いない。

更に問題はそれだけではない。 僕が思うに、彼等は……。





( ´_ゝ`)「そうか、こいつが俺らの家と兄弟とアジトをぶっ飛ばした……」

(´<_` )「写真でもそうだが、うむ、やはり凶悪犯罪者としての迫力はないな」

あってたまるかそんなもん。
とは返さず、僕はなるだけ腰を低くして、尋ねる。


(;^ω^)「あのー、つかぬ事をお聞き致しますが……」

( ´_ゝ`)「ん、何だ?」

(;^ω^)「もしかして、貴方達はかの有名なユストピー兄弟さんで……?」

( ´_ゝ`)「いかにも、俺が兄のアニムル=ジャイ=ユストピーで」

(´<_` )「俺が弟のオトリス=ジャイ=ユストピーだ」


……最悪だ。 これ以上ない程に最悪だ。
まだ隕石でも墜落してくれた方が良い。恐らく一瞬の内に死ねるだろうから。

などと現実逃避に耽る部分と、冷静に状況を打破しようと考える部分とで、僕の脳は二分されていた。
しかし冷静派の脳は、もはや機能停止寸前だった。

腰元のナイフ……無い、そういえば彼女に貸したまま。
逃げる……いや無理だ、何故かって僕の足は老婆の手先のように震えている。

脳に現れた第三の部分は、僕に、諦めては如何かと提案してきていた。





(´<_` )「とりあえず……」

( ´_ゝ`)「つらァかせや」


(;^ω^)「……はい」


言われるがままに付いていく僕。
というより、脇の下辺りで腕を組まれて連行されていく。どこぞの未確認生物か。

この先で待ち構えているものを想像したくない。
情けない話、こんな時こそ彼女に帰って来て欲しいと切に願ってしまう。


ああ、畜生、誰か助けてくれ。


僕の叫びが声になることはなく、心中で空しく響き続けていた。





ヒートが風邪をひいた。
結構な熱があるようで、俺は暫く宿に長期滞在することにした。


('A`)「大丈夫か? 何か食いたいものとかあるか?」

ノハ;ー凵[)「んーん、ないよ……でもね、一つだけ良い?」

('A`)「どうした、何でも言ってみろよ」

ノハ;ー凵[)「……ずっと、一緒にいてくれる?」

('A`)「当たり前だろ、お前が嫌って言っても俺はここにいるぞ」


即座に答えを返した。
病気の時は訳もなく不安になるものだから、少しでも和らげてやりたかった。

ノハ;ー凵[)「へへへ、ありがとう……」

ヒートは、はにかみながら礼を言ってきた。

『ずっと一緒にいる』なんて当然の事なのに、とも思った。
でも、俺は何も口にすることなく、ただヒートの頭を撫でてやった。





暫くすると、ヒートは浅い眠りについた。
傍から見て浅いと分かるのは、ヒートが熟睡すると寝言を言う癖があると知っていたからだ。
無音の時が流れる内は、一時も離れることなく見守っているつもりだった。


……ただ、やはり退屈は否めない。
起こしてはならないと、物音一つ立てるのも許されない気がしてくる。

全身の力を抜き、だらりと椅子にもたれかかる。
背もたれのてっぺんに頭を乗せると、自然と天井に目をやる形になる。
無機質な白……僅かに傷跡のようなものがあるが、だからといって意味がある訳でもない。

そんな白に、吸い込まれていく感覚。
世界が白一色になり、俺自身も白に溶けて混ざっていくかの様に……。
意識がはっきりしなくなってきた頃、一つの光景が見えた。


とある村の、小さな家の中。

とある兄妹が、二人、仲良く―――















  第十話「白の天井はスクリーンとなり夢はシネマとなって映し出される」













とても仲の良い兄妹だった。
いつも二人一緒で、第三者と遊んだ事はない。

まだ少年少女と呼ぶにも幼い、そんな年頃の二人。
兄妹にとっての世界とは、自分たちの暮らす家が全てだった。


「お兄ちゃんが守ってやるからな!」

「うん!」


全てとは言葉の通りで、何故なら兄妹は外に出たことが無かった。
両親と呼べる存在は、外出することを禁じていた。

兄妹は虐待にあっていた。

母は、既に育児に飽きていた。
兄弟が言葉を理解するようになった時からだろうか、愛情というものを失くしていた。
今の母にとっての子とは、ただただ邪魔な存在でしかなかった。

父は、そもそも子に興味がなかった。
一度たりとも子を抱いたことはなく、喋りかけたことすらなかった。

しかし、兄弟には、そんな両親の胸中など知る由もなく、虐待にあっているという自覚すらない。
兄妹は世界を知らない、故にこの虐待がある世界こそが、兄弟にとっての常識だったのだ。





しかし数年が経つと、兄はこの世界がおかしいのではないかと疑問を抱き始めた。
生物としての本能なのか、虐げられるだけの日常に不満が湧いてきたのだ。

だが、兄は両親に反抗できない理由があった。

他ならない妹の存在がそれにあたる。

幼いながらも確実に成長を続けるその脳は、冷静な分析を進めていた。
即ち、反抗したところで、大人の腕力には到底敵わないという事。
また、その先にあるのは、より酷さを増すばかりの虐待の日々だという事。


「……お兄ちゃんが、いつかきっと幸せにしてあげるからな」

「んー? ……えと、分かった!」


今は我慢だと、強く心に誓った

母はこの頃から暴力を振るうようになったが、耐え忍び、また、妹を庇い続けた。
その行動は、兄の理性を保つという面でも役立っていた。
妹を守るという事で、自分の存在価値を見出していたと言ってもいいだろう。





とある日のこと、物置の奥の奥、荷物をどかすと窓があることに気づいた。
そこから差し込む光、兄妹の胸が高鳴った。

両親は、自分たちが部屋に籠っていると思っている。
玄関からならまだしも、ここからなら外に出れるかもしれない。

そう考える一方で、リスクの高さが恐怖となる。
もしばれてしまったなら、躾の域を優に超えた、暴力が待っているだろう。
背中を伝う冷や汗、呼吸が乱れ、心臓の鼓動は先以上の乱れを見せる。

ただ、それでも。


「……行こうか」

「……行こう!」


知りたかった、外の世界を。

初めて外に出た兄弟にとって、世界はあまりにも広く、眩暈すらした。
窓越しでなく、初めて直に浴びる日光。
全身が焦がれる感覚。 ちくちくと刺すような痛みさえ覚える。
風に髪の毛が靡く妹の姿が幻想的で、楽しそうに走り抜ける笑顔が眩しくて。

世界は、こんなにも美しいものだったのかと、思い知った。





外の世界で、兄妹は一組の少年少女と出会った。
彼らが言うには、村にはあまり子供がいないので、二人で遊ぶのが殆どだと。

そのせいもあってか、兄妹と少年少女はすぐに親しくなった。
特に少女は兄を甚く気に入ったらしく、別れの時になると泣き喚く程だった。


「……僕たちは、また来るよ、必ず」

「必ずだよ!」


だから、兄妹は約束した。

家から抜け出すのは日課となった。

母が一人になろうとする時間を見計らい、物置から外へ。
そして少年少女と遊び、日が落ちるよりもずっと早く家に戻る。

やはり自由は少なかったが、兄妹は幸せだった。
こんなにも楽しい毎日が訪れるなんて、自分たちには有り得ない事だと思っていた。
ずっとずっと、こんな風に世界が続いていけばいいなと願っていた。





それから、どれくらいの時が過ぎただろうか。
兄妹が大人へとなりかかる、そんな時だっただろうか。

いつものように、物置から外へと抜けだそうとしていた。
既に慣れきったこのささやかな脱走劇。 鼻歌交じりだった。


しかし不意に、背後から靴音、そして扉の開く音。


ああ、まさか、そんな、と声に漏らしていた。
乱れた呼吸の音が物置に響く、心拍音は鼓膜を直接叩くかのよう。
ゆっくりと振り返った先には妹が、そしてその更に背後には鬼の形相を浮かべた母がいた。

衝撃。

脚を振り上げた状態の母を見て、ようやく自分が蹴られたのだと理解した。
妹が心配して駆け寄ってくる、追う形で母も同時に襲い来る。

振り上げられた右腕、その矛先は妹へと向かっていた。




ごつ。

側頭骨が鈍い音を響かせ、妹の顔が兄の目前から姿を消す。
女性の腕力とはいえ、妹の小柄な身体は、動作もなく吹き飛ばされていた。

鬼は、次の獲物として兄を見定めた。
言葉になっていない、甲高い悲鳴のような声を発しながら近づいてきていた。
血走った目、食いしばった唇からは血が垂れている。


怖かった。

怖くて、怖くて、逃げ出したくて。

でも、震えた足は言う事を聞いてくれなくて……。


そして、全てを諦めた。
抵抗せず、為すがままに殴られるのが得策だと判断した。

眠りにつくように現実から目を逸らそうと思った。
だが、兄が目を閉じる寸前、其の瞳はあるものを捉えた。

頭部から血を流す、妹の姿。





殴られた拍子に、偶然頭を荷物の角に打ちつけてしまったのだろう。
脈々と流れ出る血液、ぴくりとも動かない妹の体。


兄を、妹が死ぬという畏れが襲った。


それは、決してあってはならない事だった。


「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ
  ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
  あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああああああ
  アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアア!!」


雄叫び。

声帯を破壊するかのような音が、喉から口から漏れ出していた。
人間としてではなく、生物としての本能が叫びを引き出している。
その迫力は、母の動きを躊躇わせるのには十分であった。





兄の突進は、母の下腹部に突き刺ささった。
そして、次の瞬間には母が崩れ落ちていた。


文字通り、兄は突き刺していた。


物置にあった少し錆び付いている包丁を。


いつの日か、妹とままごとに使った、思い出深い物だった。


二人の人間が倒れ込んでいる物置で、兄は立ち竦み、また様々な事を考える。
でも、疲れ切った体と心はそれを許さず、酷い眠気に襲われた。
妹の無事を確かめると、寝室に運び、ベッドに妹を横たわらせた。

そして同時に兄も眠りにつこうとした。
もう何もかも忘れて、何もかも放り出して、二人だけの世界に行こうとした。

窓を叩く音がした。

でも、やはり兄はそれを無視して、眠りについた。





それからの事はよく分からない。
曖昧な靄のかかった映像が延々と流れる。


多くの大人たちがやってきて、兄を連れ出した。

取り残される妹、必ず迎えにくると兄は言った。


父が消え去ったことで、母は怒り狂っていたと誰かに聞いた。

知らない、アレは死んだんだ、興味のない話だ。


長い、長い間ずっと、窮屈な場所に閉じ込められた。

檻? 牢屋? ここはどこ?


そして問いかける、君は一体だぁれ?


僕は……僕は一体誰なんだ?

観察者? 

いや、僕は君自身か?




僕は、僕は……?




……いや俺か?



俺は……?



……そうか、俺は―――




俺は、ヒート=サンライズの兄、ドクオ=サンライズだ。




長い時を経て、俺はようやく自由の身となった。
すっかり大人に成り果ててしまった俺と、そしてヒートと。


('A`)「行こう、もう俺達はどこにでも行けるから」

ノパ听)「うん、世界はこんなにも広いから」


俺達は旅に出た。
行く当てもなく、彷徨うように歩き始めた。

世界の全てを見て回るだなんて、大層な事は考えていない。
ただ、ヒートと共に知らない物を見て回ることが、大切だと思った。
目的も何もない、ヒートがいてくれさえすればそれで良い。


笑って、笑って、幸せを掴めればそれで良い。

あまりにも美しいこの世界だけど、もっともっと美しく感じられるように。





長い夢から俺を引き戻したのは、ヒートの呼びかける声だった。
首が痛い。 やはり椅子にもたれて寝るなんてするもんじゃない。


('A`)「どうした、ヒート?」

ノパ听)「あのね……手を握っていて欲しいんだ、お兄ちゃん」

('A`)「良いけどさ、お兄ちゃんは違うだろ?」

ノハ*゚听)「あ、うん、ありがとう、ドックン」

あの日、村を旅立ったあの日、俺はヒートの兄でいることを辞めた。
兄妹という、つまらない枠に当て嵌められるなんて勘弁だ。


俺はヒート=サンライズを愛している。

兄妹としてではなく、一人の女性として。


小さな頃に交わした愛の誓いは、今も尚、心の中に。




ブーンと別れてから数日が経つ。
正確な日数は覚えていない。一種の錯乱状態にあったと言ってもいい。

私は逃げだした。
重苦しい気持ちに追いつかれないように必死で。

楽しかった日々との、お別れ。


ξ゚听)ξ「……でも、これで良いんです」


自分に言い聞かせる呟き。

そもそも初めは良い玩具が手に入ったという感覚だった。
暇潰しに遊ぶ。 ただそれだけの存在のはずだ。

しかし、認めなくてはならない事実がある。

楽しかった。暇つぶしという域を超えていた。
今までの人生で、あんなにも心の底から楽しいと思える時間があっただろうか。
短い期間の付き合いだったが、彼と過ごす時間は、恐らく幸せと呼べるものだった。

でも、玩具は取り上げられた。
だから私は、別の玩具を探す、それしかない。





ξ゚听)ξ「本当にそれで良い……?」


今度は、自分に問いかける呟き。

私の人生を振り返ると、もう普通の幸せなんて望めない。
それ以前に、普通の幸せなんてものに興味がない、与えられた御馳走に手を伸ばすのは愚かなことだ。


私は掴み取る。

自分の力で幸せを手に入れる。


……今回はその力で負けた。
届かなかった、及ばなかった、だからもうあの玩具は別の人のものだ、

それでも納得しようとしない心は、胸の奥底にある扉の向こうで何かを叫んでいる。
しかし扉は開かれないまま、深い闇へと沈んでいった。





と、考えていた時だった。


ξ;><)ξ「うわっ、わわわっ!」


塞がれる視界と、体温が奪われる感覚。
混乱する脳が、何が起こっているかを判断するのには少々の時間を要した。

水だ。

ホースの先端部分から、私の顔面に向けて、絶え間なく水が吐き出されている。
この寒さの中で冷水。 瞬時に相手を殺してやろうと考えた。

手で顔を庇いながら、獲物の顔を見ようとした。
足元から順に上へ視線を上げていく。どうやら、かなり大柄の男のようだ。
その巨躯は憎たらしいほど上質な革製トレンチコートで包まれていて、余計に殺意が湧く。


だが、相手の顔を確認した時、濡れた体とは何ら関係の無い寒気が私を襲った。

男の口元に、嫌らしい笑みが浮かんだ。




(,,゚Д゚) 「よぉ、再会出来て嬉しいぜ」

(*゚ー゚)「近くの花屋でなっがいホース借りて来たんだ、ケチな店主でさ、苦労したんだぜ?」


ギリシア=コクーンステイツとシール=リアは嬉しそうに語っていた。
長年の友人に偶然出くわしたかのように、笑顔をその顔に張り付けて。


ξ゚听)ξ「寒いんですけど、酷くないですか?」

(,,゚Д゚) 「悪いな、だけどそれは体力を奪うって意味だけじゃないんだ」」

ξ゚听)ξ「……というと?」

(*゚ー゚)「マッドボマー製の爆弾の多くは、黒色火薬で作られていて耐水性に欠ける……。
    導火線だけは別だったみたいだけどね。
     駄目じゃん、ちゃんと全体に防水加工しておかないと」






ξ゚听)ξ「いやぁ好きなんですよね、弱点を残しておくのって」

(*゚ー゚)「へぇ?」


ξ*゚听)ξ「導火線についた火を必死に消そうと足掻く姿とかね、たまりませんよ。
      爆弾自体に手を出せばすぐに止められるのに! でも時間は無情に進みます、ちっちっちっちっ。

      焦って焦って、その内発狂しながら叫んで泣いて。
      あーあ残念、時間切れです、どっかーん!!……みたいな」
 
(*゚ー゚)「……ギコ並に悪趣味」

(,,゚Д゚) 「俺を引き合いにだすな」




ξ゚听)ξ「卑怯じゃないですか、十分悪趣味ですよ」

(,,゚Д゚) 「言っただろう、俺も勝てば官軍なタイプだってな」

ξ゚听)ξ「……ああ、今の今まで、その言葉忘れてましたよ。
      彼氏にしたらちょっとしつこそうですね、悪趣味ポイントプラスです」

(,,゚Д゚) 「ひっひっ、何とでも言え、そういう方がこの仕事には向いてる」


ξ゚听)ξ「相手にしたくないタイプです」

(,,゚Д゚) 「光栄だね」


爆弾は全滅。
罠をしかけた場所はここからじゃちょっと遠い。

銃は……確か弾切れ。
そういえばブーンと最後に出かけた時は買い出しに行こうとしたんだっけ。

まぁいい、死んだらそん時はそん時だ。





ξ゚听)ξ「じゃっ、手加減お願いしますね」


(,,゚Д゚) 「それは無理だろ、俺はお前に会えて興奮しっぱなしだからな」



誰か助けてだなんて、無様な言葉は漏らさない、考えない。


今までだって、危機は自分の力で乗り越えてきたのだから。


私は強いと、鼓舞するように心中で叫び続けた。




―――The story might continue




ドクオ=サンライズとヒート=サンライズは深く愛し合う。



お疲れ様です。
ありがとうございます。
もうダメ。
今日は終わりです。
それでは。
また




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