オープンカフェで遅めの朝食を摂っていた。
シールの体もすっかり治り、もう一度マッドボマーを捕まえる為に動き出す。
街に蔓延る奇妙な噂を聞いたのは、そんな時だった。
(,,゚Д゚)「死体が蘇る……だと?」
(*゚ー゚)「オカルトチックだろ、ギコはこういうの苦手かい?」
なんでも、この街には不死身の人間がいるらしい。
ナイフで切られようと、銃で撃たれようと、爆弾で吹き飛ばされようと死なないとか。
非科学的な類のものを信じる性質ではないが、情報の出回り具合からいって、無視出来るレベルでもなかった。
(,,゚Д゚)「目撃証言があるのか」
(*゚ー゚)「裏の業界の人たち中心に結構、ね。
ちなみに私はお化けとか得意だぜ、はいはいプラズマプラズマ的なノリで」
軽口と男口調は相も変わらずだったが、一人称は『私』に切り替えられていた。
素のままで良いということを理解したのだろう。
少しずつ普通になってくれれば幸いだ。
……その日が訪れるのは果てしなく遠いように思えてしまうのだが。
(*゚ー゚)「それにさ……思い出さない?」
(,,゚Д゚)「何をだ?」
(*゚ー゚)「私も言ったじゃん、トラックに轢かれた不死の男について」
(,,゚Д゚)「……マッドボマーの連れの男か!」
(*゚ー゚)「当たり、不死について気になるなら、結局マッドボマーを捕まえないとね」
鼻歌交じりに悪戯めいた笑みを浮かべるシール。
成程、この話題を出したのは俺にマッドボマーを捕まえるやる気を出させようとした訳か。
……ということは、俺がマッドボマーに対しての興味を失くしてきているのはばれているのだろう。
二度の敗北のせいなのか、シールとの一件があったせいなのかは分からない。
いずれにせよ、昔のように凶悪犯罪者を殺したいという気持ちは湧いてこなかった。
近頃では、何故FOXになったんだっけと、年寄りめいた考えばかりが浮かんでしまう。
著しく欠けている意欲は、自分ではどうする事も出来なかった。
(,,゚Д゚)「面倒くさいなぁ」
(*゚ー゚)「面倒くさいって……職務怠慢は許さないぜ?」
「―――全くだな、お前はいつもそうだ、ふんぞり返って人に迷惑をかけて」
どこか懐かしく感じる声が、そんな悪態を突いてきた。
ややむっとして振り向くと、
/ ゚、。 /「私を見習いたまえ、いつだって冷静で、いつだって美しい。
もっとも、君が私のようになるなんて一生かかっても無理だろうがな、ふふふ」
(,,゚Д゚)「……ダイン」
(*゚ー゚)「ダインさん! お久しぶりです!」
その言葉の内容よりも人の心を苛立たせる、気障な振る舞いな男がいた。
皺一つ無い黒のスーツにきっちりと絞められたネクタイ、白手袋をつけて、胸ポケットにはハンケチーフ。
どこの執事かと尋ねたくなる衣服に、さらさらのブロンドヘアーと優男風味な顔立ちが驚くほどマッチしている。
容姿だけで言えば神様に贔屓されているのだろうが、俺はこの男の存在を認めたくない。
平たく言えば、大嫌いなやつだった。
/ ゚、。 /「やぁシール君、ダインこと、このダイン=クロシペンツァの名前を覚えてくれていたんだね!
僕は嬉しくて、なんだか小踊りすらしてしまいたくなったよ!」
(*゚ー゚)「忘れたくても忘れられるような人じゃありませんよ」
/ ゚、。 /「まぁね! この美貌と溢れ出るカリスマは一度見たら忘れられないだろうね!」
(,,゚Д゚)「……俺もお前のうざさは忘れたくても忘れられねぇよ」
/ ゚、。 /「何か言ったかい! ギリシア!」
(,,゚Д゚)「……別に」
このナルシシズムな所や、一々ポージングを決める所がむかついて仕方がない。
声がでかいのも気に喰わないし、その癖、女にもてるってのも気に喰わない。
ダインが髪を掻き上げる度に漂う薔薇の香りのせいで、
ありとあらゆる花が嫌いになったことを思い出し、胸糞が悪くなった。
(*゚ー゚)「……それにしてもダインさん、どうしてVIPに?」
/ ゚、。 /「ああ、それなんだけどね、ちょっとこれを見てくれよ」
(;*゚ー゚)「――ッ!!」
(,,゚Д゚)「……!」
ダインが見せた写真。
その中心にはマッドボマーの連れと思われる男の姿があった。
/ ゚、。 /「この街にいるって聞いたんだけどね……見かけてないかな?
シール君の能力は、一度目にした者全てを覚えているんだろう?」
(*゚ー゚)「はい……でも、その、この人は見たことないですね」
/ ゚、。 /「本当に?」
(*゚ー゚)「はい」
ダインは息がかかる程の距離にまでシールに近付き、その瞳を覗きこんでいた。
まるで、心の奥底の真実を見極めようとでも言うかのように。
/ ゚、。 /「……ふむ、なら仕方がない、自分で探すとしよう」
そう言ってダインが諦めた時、シールが心底ほっとした表情を浮かべていたのは俺は見た。
それは、どちらかというと、近すぎた距離に緊張していたからのように思えた。
(,,゚Д゚)「その男に何かあるのか?」
/ ゚、。 /「残念だが、何も話す事は出来ないよ。
というより、知っていてもギリシアに言う気はないよ」
(,,゚Д゚)「…………」
/ ゚、。 /「だって、僕はギリシアが大嫌いだからね!」
うるせぇ、俺だってお前が嫌いだよ馬鹿野郎。
言いたいだけ言って、ダインは高笑いしながら去っていった。
その後を追いかけるようにカフェ内の女性客が眺めていた。 全くもって理解出来ない。
(*゚ー゚)「賑やかな人だよなぁ」
(,,゚Д゚)「五月蠅いだけだ」
(*゚ー゚)「私は結構好きなんだけどな……。
ギコに会うまで、FOXでまともに話してくれたの、ダインさんくらいだったし」
(,,゚Д゚)「女なら誰でも良かったんじゃないか」
しかし、根は悪い奴じゃないのは確かだ。
現に今、俺達の分まで会計を済ませていたのには流石だと言わざるを得ない。
気障であることに変わりはないが。
(*゚ー゚)「にしても、見ただろ?」
(,,゚Д゚)「ああ、何故あいつがあの男の行方を追っているんだ?」
(*゚ー゚)「分からない……それに、問題はその後だ」
少し興奮気味でシールは言葉を紡ぐ。
(*゚ー゚)「ギコとダインさん、FOXでは署長に次いで権力を持つ二人。
なのに、ダインさんはギコの情報の提示を求める言葉を拒絶した……これはおかしい」
(,,゚Д゚)「ダインは何だかんだで真面目だし、公私混同は避けるだろうな。
つまり、俺たちより上、署長直々の暗躍命令っていう訳だ」
(*゚ー゚)「こそこそとやる仕事を、態々ダインさんにやらせる……よっぽど大きな事件なんだ」
(,,゚Д゚)「それこそ、不死なんつーもんが関わるくらいに……ってか?」
二人で顔を見合わせる。
そして、俺は思わず吹き出してしまった。
(*゚ー゚)「なんで笑うのさ!」
(,,゚Д゚)「だってよ、不死だぜ不死?
ギャグにしちゃ立派だが、何をこんな真面目に」
(*゚ー゚)「だって、私見たもん!」
(,,゚Д゚)「だから、見間違いって言っただろ?」
シールは不貞腐れてしまったみたいだが、俺の意見は変わらない。
自分で見ないまでには、そんなものを信じる気分には全くならなかった。
(,,゚Д゚)「それより、酒飲みに行こーぜ!
ダインの顔見たせいで、何かもう飲まねぇとやってらんねぇよ!」
(;*゚ー゚)「だ、駄目だよ、今は仕事中だぜ!?」
(,,゚Д゚)「硬い事言うなよ、ほれほれ行くぞ。
俺はFOXである前に俺だからな、誰にも文句は言わせねぇ」
(;*゚ー゚)「その台詞前に言った時は格好良かったのに!?
……ちょ、あっ…ああーー……!!」
無理矢理シールを引き摺っていく。
近くに人気の酒場があるらしい、とりあえずそこへ行くとしよう。
第一五話「現実のしがらみから逃れる最も楽な方法は酒に溺れることであるが、
その方法が堕落していると知っているため、多くの者は拒絶する」
( ´_ゝ`)「また、なのか?」
(´<_` )「ああ、今度は東地区の女子供、会わせて7人だ」
( ´_ゝ`)「ふむ……何か他に情報は掴めなかったのか?」
(´<_` )「赤のネクタイをつけた、白スーツの男たちが攫って行くのを見た。
という情報があったらしいが……」
( ´_ゝ`)「詳しく聞きたいとこだが、問題でもあったのか?」
(´<_` )「……その情報を垂れこんだ奴が、翌日行方不明になりやがった」
( ´_ゝ`)「……ちっ、しかしまぁ、逆に確証がとれたと考えるか……」
近頃、VIPの街では行方不明者が多発している。
女子供が狙われることが多いせいか、外を出歩く人の数も減る一方だ。
酒場やカジノといった店の経営も携わっている身としては、迷惑な話だった。
( ´_ゝ`)「というより赤ネクタイっていうとアレか、例の?」
(´<_` )「アーラシのとこのレッドチームか?
都市伝説みたいなものだぞ、本当に存在するかは分からん」
アラマキファミリーで長い時間を過ごした俺達でも見たことのない、レッドチーム。
それは暗にレッドチームなど存在しないのと語っているように思える。
しかし、つい先日目にしてしまった不死の男。
以来、どんなに小さな可能性であろうとも、完全に零でない限り疑うようになった。
これを慎重になったと言うべきか、臆病になったと言うべきか、俺自身では判断できない。
サスガファミリーの代表でいる限りは、慎重すぎるくらいが丁度いいと思いこむしかなかった。
(´<_` )「それと、もう一つ」
( ´_ゝ`)「なんだ?」
(´<_` )「サスガの中にアーラシと通じてる奴がいるらしい」
( ´_ゝ`)「……そうか」
呟くように言うと、オトリスの顔も暗く沈む。
きっと、俺自身も同じく落胆に満ちた表情を浮かべているのだろう。
裏切りを危惧していなかった訳ではない。
むしろ、急過ぎた独立についていけない者がいるのは、ほぼ間違いないと思っていた。
それでもやはり、辛いものは辛い。
家族の様に信頼し合える中でありたいという願いを虚仮にされた気分になってしまう。
また、気持ちの面を除いても、迅速に対処しなければならない問題だった。
( ´_ゝ`)「なかなか簡単にいくものではないな」
(´<_` )「軌道にのるまでの辛抱だろう?」
( ´_ゝ`)「組のこともそうだが……他に悩みの種が多すぎる」
(´<_` )「なに、案外問題って言うのは一つに絞られていくものさ」
( ´_ゝ`)「ほう、つまり?」
(´<_` )「例えば……そうだな」
オトリスは人差し指でこめかみ辺りを何度か小突きながら、言った。
(´<_` )「誘拐を行っているのはアーラシファミリーのレッドチーム。
うちの裏切り者もそれに関わっていて、更には不死の存在、ひいてはフッサールまでもが同様に。
全てを解決するには、アラマキをこの街から堕とさなければならない……」
全てを言い終えると、人差し指の動作も止まる。
代わりに、天井を仰いでいた筈の視線が真っ直ぐ俺へと向けられていた。
(´<_` )「なんて、な」
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「…………」
幾許かの静寂。
互いの顔をにらめっこの様に見合った、後。
( ´_ゝ`)「くっ……くくく……」
(´<_` )「ふっ……ははは……」
( ´_ゝ`)「あははははははははははは!!」
(´<_` )「あははははははははははは!!」
盛大に笑った。
片手は顔を覆い、もう一方では腹を抱える。
部屋中に響き渡る笑い声は、あまりに大きく、我ながら不気味にさえ思えた。
( ´_ゝ`)「面白いシナリオだな、全てが繋がるとは」
(´<_` )「だろう、おまけに難易度もそこそこにあって退屈はしない」
( ´_ゝ`)「面白すぎてだ」
(´<_` )「……ああ」
( ´_ゝ`)「これ以上笑えないくらい、だな」
(´<_` )「これ以上笑えないくらい、だな」
( ´_ゝ`)「……さて、となると、もう一度ブーン=マストレイに会いたいな」
(´<_` ) 「生存すらも不明だがな」
( ´_ゝ`)「しかし、マス=ワカッテも行方不明となると、ブーンが生存している方が考えられる」
(´<_` ) 「まぁ確かに……だがマッドボマーと一緒にいるんだ、目立つような行動はしないだろう。
そこらをちょっと探せば見つかるようには思えないが」
( ´_ゝ`)「あそこで只管待つ、それでいい」
(´<_` ) 「うげっ、まじか……」
( ´_ゝ`)「マジです、超本気です」
(´<_` ) 「どうせ、飲みたいだけだろうが……」
( ´_ゝ`)「流石オトリス、俺の事なら何でもお見通しという訳だ。
それなら分かってくれるだろう?」
( ´_ゝ`)「嫌でもわかるさ、『俺が否定した所で考えを改める気はない』、そうだろ?」
( ´_ゝ`)「よく出来ました!」
マッドボマーと別れる際、とある酒場でもう一度会おうと伝えておいた。
不死についてもっと詳しい情報を得るのが目的だったが、更なる結果を期待出来そうだ。
また、マッドボマーの名を借りるという本来の目的も果たしておきたい。
あらゆる点から見て、ブーン=マストレイと会うことの利益は大きかった。
(´<_` )「一応言っておくが、俺は今日は飲まないからな」
( ´_ゝ`)「おいおいどうしてだよ、一人で飲んだってつまらな―――」
外に出る為、部屋の扉を開く。
言葉を遮ったのは、その先にいた人物の存在が故だった。
(;ФωФ)「おっおおう、どうしたのでありますか」
( ´_ゝ`)「どうしたもこうしたも……ちょっと出かけようと思ったんだが」
(;ФωФ)「そ、そうでありますか、情報収集の成果を伝えに来たのでありますが……それはまたに?」
( ´_ゝ`)「ん? ああどうするか……」
ロマネスク=ローレール。
巨大な体躯に釣り上がった目、あまり拘りの無さそうな服に無精髭。
危険性抜群といった風体のせいか人に恐がられ、この職に就くしか無かったらしい。
しかし反して性格は温厚、それどころか臆病で意気地無し。
今もおたおたしているのはきっと、急に開いた扉に驚いたからだろう。
悪い奴ではない。
むしろ、そのせいで恵まれた体を活かしきれていない程の奴だと記憶している。
( ´_ゝ`)「あ、そうだ、お前酒は好きか?」
( ФωФ)「お酒でありますか、好きではあるのですが……」
(´<_` )「この前、酔って店中の机と椅子を叩き割ったって聞いたな」
(;ФωФ)「……という訳でして、あまり飲まないようにしているのであります……」
( ´_ゝ`)「……むぅ」
少し想像してみた所、まるで凶暴な熊が暴れているかのような風景が浮かんだ。
( ´_ゝ`)「いや、大丈夫だ! 俺とオトリスなら止められる!!
という訳で飲みに行くぞ、ロマネスク!!」
(;ФωФ)「今からでありますか!?
アニムルさん、流石にそれは……仕事中でありますし」
(´<_` ) 「ロマネスクが暴れた所で俺は助けないからな。
元々、俺は酒場に行くのは反対なんだし」
( ´_ゝ`)「大丈夫だロマちゃん、俺とオトリスに出来ない事はない。
ていうか、確か「さん」付けは禁止した筈だよな、良くないなぁ、良くねぇよ!」
(;ФωФ)「ロマちゃん!?
ええと、そうはいいましても、やはり先輩には敬意を表したいというか……」
( ´_ゝ`)「あーあー、ロマちゃんとの距離がなんか悲しいなー、これは飲んで近付くしかないなー」
(;ФωФ)「そんな馬鹿な……」
(´<_` ) 「無視かよ、俺もそんな馬鹿なって言いたいよ」
( ´_ゝ`)「いいから行くぞ、こんな昼間っから酒……流石だよな俺ら!!」
(´<_` )(いつものことじゃねぇか……)
(;ФωФ)(ああ今も働いてる皆、ごめんなさい……)
( ´_ゝ`)「お前らも言えよ、流石だよな俺ら!!」
二人を半ば強引に言いくるめ、酒場へ向かった。
美味くて安い酒と言えば、やはりあそこしかない。
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「……あの」
(;^ω^)「なっ、なんだおっ!!」
ξ゚听)ξ「その警戒した感じ……止めません?」
(;^ω^)「絶対に!! 無理だおっ!!」
僕たちは、ツンが何らかの方法で入手した部屋に滞在している。
一つだけ変わって点があるのは、両者がそれぞれ部屋の対角に当たる場所にいるということだ。
もちろん、理由はツンが僕を殺そうとするから。
しかも暫く離れていたぶん溜まっていたらしく、そのペースも今までよりも桁はずれに早い。
その結果、僕は部屋の隅っこでガタガタ震え、手作りのバリケードに隠れるしかなかったのだ。
ξ゚听)ξ「殺していいって言ったくせに」
( ^ω^)「あれは言葉の綾というか……」
ξ゚听)ξ「愛してるって言ったじゃないですか!」
(;^ω^)「……いやまぁ、その場の勢いって怖いね」
ξ゚听)ξ「……ここからそっちに爆弾投げ込んでもいいんですけどね」
(;^ω^)「す、すまんおっ!! それだけは止めてっ!!」
つくづく相容れない存在なのだと僕は思った。
いや、もっと適した表現で言うのなら『思いたかった』だろう。
心のどこかでは、これも一つの愛の形であると認める異常な思考回路が出来上がりつつある。
おまけに日に日にそれは膨らんできている……最早自分自身が恐ろしかった。
ξ゚听)ξ「でも、これからどうするんです?
私の怪我も大体良くなりましたし、いつまでもここでのんびりする気はないんでしょう?」
( ^ω^)「全然のんびりした気はしないけど……まぁともかく、そろそろ動きたいのは山々だお」
ξ゚听)ξ「何か問題があるとでも?」
( ^ω^)「……手掛かりが、今となってはこれっぽっちもない!!」
ξ゚听)ξ「わぁ、随分とハッキリ言い切りますね!!」
ワタリカさんが他国へ行ってしまった以上、お手上げに近いのが現状だ。
残された方法としては、虱潰しに探すというくらいしかない。
( ^ω^)「という訳で、どこから探せばいいのやら……」
ξ゚听)ξ「あ、そうだ、ユストピー兄弟からの伝言で、
色々と問題が片付いたら『オールデイ』っていう酒場に来いって言ってましたよ」
( ^ω^)「ユストピー兄弟が?」
ツンと再開する事が出来た今、彼らと接触するメリットはない。
と思ったが、ここらの情報を手に入れるならば、マフィアの類は実に心強いのではないだろうか。
現に、ワタリカさんが国を出た情報も彼らから得たものである。
気が早い判断かもしれないが、信頼出来る相手でもありそうだ。
( ^ω^)「会ってみる価値はある、かお?」
ξ゚听)ξ「……ていうかですね、いい加減ブーンの目的が知りたいです。
不死ってなんですか、何で不死になったんですか、この街に来た理由は?
私、よくよく考えるとブーンのこと何にも知らないじゃないですか」
( ^ω^)「……あれ、言ってなかったけ?
ξ゚听)ξ「言ってませんよ!」
少し機嫌を悪くした所を見ると、本気で気にかけているようだ。
確かに、言われてみればマッドボマーなんて呼ばれている彼女より、僕の方が謎が多い気がする。
……僕だったら、不死の人間なんて絶対に関わりたくない。
またしても、ツンが異常者であることに利点を見出してしまった。
( ^ω^)「あー、じゃあ今からユストピー兄弟に会いに『オールデイ』に行くお。
そこで多分説明することになるから……その時一緒に聞いてくれお」
ξ゚听)ξ「やだ」
(;^ω^)「へっ?」
ξ゚听)ξ「なんかそれ、私がついでみたいじゃないですか。
私の方がブーンと長く一緒にいるのに……ずるい!」
(;^ω^)「ずるいって……長い話になるから都合がいいんだお!」
ξ゚听)ξ「ずるいっ!!」
困った、こんなことでへそを曲げるとは思わなかった。
女っていうのは面倒くさい生き物……いや、これはツンならではだろうか。
まぁ嫉妬と考えれば可愛いものだ。
ξ゚听)ξ「何をにやついているんですか、気持ち悪い」
(;^ω^)「…………」
( ^ω^)「じゃあ、酒場の代金は僕が奢るから……」
ξ゚听)ξ「行きましょう、さぁ早く!」
( ^ω^)「…………」
どうやら、僕が何らかの条件を挙げるのを待っていたらしい。
こっちが本性か……女っていうのは恐ろしい生き物だ。
ξ゚听)ξ「ほら、何やってるんです、善は急げですよ!!」
( ^ω^)「僕にとっては善じゃないし、そもそもまだ真昼間だお」
ξ゚听)ξ「今から飲み続ければ万事オーケーです!」
(#^ω^)「ふざけんなおっ! 今から飲み続けたらどれだけの金がかかると―――」
言いながらツンに近付くと、腹部に灼熱の様な熱さが走る。
恐る恐る視線を移すと、脇腹にナイフが突き刺さっていた。
(; ω )「おっ、おまっ……」
ξ゚听)ξ「さぁて、レッツゴー!!」
こうして、僕は酒場へと連行されていく訳である。
血を垂れ流しながら。
早く酒場へ行かないと口付けしないと脅されながら。
昼下がりの酒場は当然人気が無い。
と思いきや、ここ『オールデイ』には、その名前の通り昼から飲んだくれている輩がいる。
そのどれもが品が良いとはとても言えず、酒浸りの日々であるという事が容易に伺える。
しかし、店の内部は細部まで手が届いている程に清潔であり、綺麗に配備された客席は洒落た雰囲気に包まれている。
だからこそ、酒浸りの客で会ってもここでは面倒な真似は起こさない。
カウンター席の客を対応している店主の、殊勝な心がけの賜物だった。
そんな店の入り口付近、ばったり出くわした二組の男女。
(,,゚Д゚)「あれ、お前……」
(;^ω^)「ギ、ギリシア=コクーンステイツ……!?」
(;*゚ー゚)「うそっ!?」
ξ゚听)ξ「……わーお」
ブーン=マストレイ等と、ギリシア=コクーンステイツ等。
全く予想だにしない偶然に、全員が暫しの硬直を得るのも致し方ない事だった。
(;^ω^)「や、やる気かお!?」
(,,゚Д゚)「いや待て待て、今日はそんなつもりは毛頭ない
というか何故生きている、まさかお前は本当に……」
ξ゚听)ξ「て、言って不意打ちする作戦ですよ、先手必勝ですよ」
(;,,゚Д゚)「ちょっ、ちょっと待て!! 俺は本当に―――」
(*゚ー゚)「前に勝てば官軍なタイプって言ってたもんね、気を付けてっ!!」
(,,゚Д゚)「お前はどっちの味方だっ!!」
(;*゚ー゚)「あいたっ!!」
繰り出された拳骨がシールの脳天に直撃する。
ツンとブーンはギリシアの言葉を信じようか迷って戸惑っている。
この可笑しな空気が漂う空間に、更に足を踏み入れる者たちがいた。
( ´_ゝ`)「おいおいおい、一体どんな状況だぁ」
(´<_` )「FOXのとこの糞野郎さんじゃないっすか、こりゃどーも」
(;ФωФ)「ひ、ひいいい、もしかして泣く子も黙るギリシアでありますかぁ!?」
明らかな敵意を振りまくユストピー兄弟。
巨大な体を不釣り合いにぶるぶると震わせているロマネスク。
可笑しな空気は更なる変貌を遂げ、完全なカオスへと成り果てていた。
( ´_ゝ`)「一応言っておくが、ブーンは俺達の客だ、もちろんマッドボマーもな。
ちょっかい出そうって言うなら、このロマネスクが黙ってないぜ」
(;ФωФ)「ちょっ、何言ってるんですか!!」
(,,゚Д゚)「お前らこそ何だよ、俺達はブーン=マストレイに話があるんだ。
邪魔しようっていうんなら、しぃが黙っちゃいねぇぞ」
(;*゚ー゚)「ちょっ、今相手のペースに合わせたでしょ!?」
( ´_ゝ`)「ああん!?」
(,,゚Д゚)「ああん!?」
アニムル、ギリシアの両者は、互いに嫌悪感を放ちながら詰め寄る。
もう一歩というところで二人は同時に止まり、そして。
( ´_ゝ`)「うおらァッ!!」
(,,゚Д゚)「どおらァッ!!」
同時に踏み込み、思い切り右拳を繰り出した。
二人の右腕が交錯し、同時に互いの頬を貫いた時。
残された者たちは、全く同じ事を考えていた。
(´<_` )(どうしよう)
(;ФωФ)(どうするの?)
(;^ω^)(なんだこれ)
ξ゚听)ξ(お盛んですねぇ)
(;*゚ー゚)(ギリシアってば……)
『自分達はお酒を飲みに来ただけなのに』、と。
―――The story might continue
シール=リアはお酒には滅法弱い
ロマネスク=ローレールは喧嘩は強いが口喧嘩は弱い
ツン=デレイド=クヴァニルはカオスな空間に内心ワクワク
お疲れ様です。
ありがとうございます。
投下遅くてごめんなさい。
今日は終わりです。
それでは。
また。
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