(,,゚Д゚)「なぁ、お前は死にたいか、それとも死にたくないか」
(;^ω^)「そりゃあ死にたくないに決まってるじゃないかお」
(,,゚Д゚)「いや、そういうのってーのは、中々分かったもんじゃねぇ。
犯罪者の中には死にたがりの奴もいるからよ、誰かに殺して欲しいから暴れるってな」
FOXのギコという男は、友人にジョークでも振る舞うかのように語る。
今という状況を、心から楽しんでいるのだろう。
(,,゚Д゚)「だけどよ、俺はそういう奴らを殺しても全然楽しかねぇ」
やっぱりな、生きてぇって願いを踏みにじってこそ、殺るってのは面白いと思うんだ」
(*゚ー゚)「すいませんね、ギコって奴は悪趣味なもんで」
(,,゚Д゚)「だからよ、お前がそう言ってくれて、俺は非常に嬉しい」
ギコは天井に向かって発砲した。
ダブルアクションのリボルバーからは計六発の弾丸が発射され、同数のクレーターを造り上げる。
(,,゚Д゚)「これは祝砲だ、お前と俺との出会いを神に感謝しよう」
硝煙を息で吹き飛ばし、笑った。
(*゚ー゚)「ギコ……これ弁償だよ、どうすんだよ、ここ結構人気の店なんだぞ」
(,,゚Д゚)「あー? 知ったこっちゃねぇよ、経費で落としておけ」
(*゚ー゚)「また出たよ……尻拭いするのはいっつも僕だ……」
この二人がコンビでいる事にはあまり納得がいかないが、きっと恐らく、僕とツンの関係に近いのだろう。
認めたくないが、先ほどから、ツンが興奮しきれない様子で息を荒げていることに気付いていた。
(,,゚Д゚)「幸い、店の客はいなくなっちまったみてぇだ。
たっぷり暴れたって誰にも文句は言われねぇだろう」
ギコは席を離れ、ワタリカさんの傍へと歩み寄る。
(,,゚Д゚)「ナーベイン夫人、これからちょっくら五月蠅くなるが、我慢できるか?」
从'ー'从「大丈夫ですよ、耳栓を持ち歩いていますから」
(,,゚Д゚)「へっ、老人の準備の良さには感服しちまうね」
ギコの立ち位置は、丁度僕とツンの席の対面にあり、
しぃと呼ばれた女とワタリカさんの前で、彼が立ち塞がる構図になっていた。
(,,゚Д゚)「しぃ、お前も耳ぃ塞いでおけよ」
(*゚ー゚)「それやるんだ……ああ、余計に経費が嵩むよ……」
ギコが茶色の包みから何かを取り出そうとした時、
ξ゚听)ξ「させませんよ」
ツンが、動いた。
テーブルを蹴り上げ、前方に向かって吹っ飛ばす。
更に出来た隙を見逃さず、かかっていたテーブルクロスを引き抜き、ギコに向かって放り投げた。
しかし、視界が奪われていても尚、ギコは動作を続けていて、
ξ゚听)ξ「ふせてッ!!」
そして、僕は脊髄反射とも呼べる速度でその命令に従った。
今の状況を危機と認めた体が、速やかに行動を起こしてくれたのだ。
どどどどどどどどどどどどどどどどど。
ばばばばばばばばばばばばばばばばば。
規則的で、かつ乱雑な音が店内を貫いている。
僕の頭上を通り過ぎる物が弾丸であることを理解したとき、ここが地獄であることを知った。
どどどどどどどどどどどどどどどどど。
ばばばばばばばばばばばばばばばばば。
蜂の巣になるどころか、大穴を空けていくテーブルクロスの向こうに見えたものは、
満面の笑みで、軽機関銃を乱射するギコの姿。
どどどどどどどどどどどどどどどどど。
ばばばばばばばばばばばばばばばばば。
弾丸が獲物を探しているかの様にその高度を下げ、
僕の髪先をかすめるかという頃、ようやく弾雨は晴れたのだった。
第五話「殺人者達の思う天国と凡人達の思う地獄はどうにも同一らしい」
ξ゚听)ξ「逃げます、まともにやっても、アイツには敵いませんから」
機関銃の弾切れと共に、ツンは発煙筒を用いて煙幕を張る。
僕の恐怖に脅えた足は、中々云う事を聞こず、走り出せずにいたが、
ξ゚听)ξ「行きましょう」
そう言って、ツンは僕の手を引いてくれた。
不思議と強張る体に自由が戻り、零視界の中で、僕は彼女だけを頼りにする。
「はっ、逃がすか」
しかし、白煙の中から聞こえたギコの声はそれを許してはいなかった。
鉄の塊が落ちる音は、身軽にする為、機関銃を放り捨てたのだろう。
―――来る、今にもこの煙の向こうから、ギコが僕の命を奪いにやってくる。
僕はツンの手を握ったまま我武者羅に走るしかなかった。
店を出る頃、既に僕の息は荒げていて、それは疲労のせいではなかった。
(;^ω^)「どこに行く気なんだお!」
ξ゚听)ξ「とりあえず、ついてきてください」
店外には、先ほどのパニック時に飛び出したであろう客が蔓延っていた。
僕たちを確認して、警戒している様子を見せたが、生憎そんなことに構っている暇はない。
(;^ω^)「すいませんお、ちょっと通りますお」
僕をマッドボマーだと勘違いしている客達は、
恐れを成したのか、時間をかけることもなく、逃走通路は形成された。
今は、ツンが何かしらの目的を持って走っているのだと、信じるしかなかった。
ギコから完璧に逃げきることなど、恐らく出来はしない。
「どけッ、糞共!! 殺されてぇのか!!」
その証拠に、背後から聞こえる罵声が止むことはない。
振り切れるか、ではなく、どう立ち向かうかを選択するべきなのだ。
だが、それでもツンは僕の手を引き続ける。
大通りに出ても、振り向きもせず、ただ只管に。
その手の温もりだけが心の寄り場であることは確かだった。
それを離せば、きっと、僕は、糸の切れた人形のように崩れ落ちてしまう。
ギコという男に狂気を感じた時から、ツンという媒介を通さなければ、恐怖に立ち向かう事は出来なくなっていた。
ξ゚听)ξ「早いですね、このままだと追いつかれます」
(;^ω^)「じゃ、じゃあどうするんだお!」
ξ゚听)ξ「………頑張りましょう」
(;^ω^)「解決策でも何でもねーじゃねぇかお!!」
だというのに、ツンは冷静を通り越して無感情なのである。
別の類の狂気に、一抹の不安を覚えずにはいられなかった。
「待ちやがれッ!!」
振り向く余裕はない。
しかし、確実に近付いてきている。
言葉の音量が大きくなるのは、それを示している。
一人で全力疾走する男と、手を繋いで走る僕らとでは、当然の結果だ。
唯でさえ脚力で劣るだろうというのに、ハンディまで背負っているのだから。
ξ゚听)ξ「あっ、前方注意です」
( ^ω^)「えっ!?」
ξ゚听)ξ「でも、あれ使えますね……行きますよ!」
ツンの言う前方には、白スーツの男が僕らを待ち構えているようだった。
こんな時にマフィアだなんて、運が無い。
しかし―――行くって……え?
ξ゚听)ξ「腰元にタックル!」
訳は分からなくとも、僕はツンに従う他なかった。
体勢を低くしたまま走り続け、下腹部辺りに体を激突させる。
肺から息を噴出し、苦しむマフィアに対し、更に、
ξ゚听)ξ「そのまま空いている方の手で掴んで―――」
襟元に手を掛け、腕に力を込め、持ち上げ、
腰を捻り、方向を九十度回転させて―――
ξ#゚听)ξ「投げるッ!!」
ぶん投げる。
ようやく視界に捉えたギコの姿は、
やはり、すぐ後ろにまで迫っていたが、そこに向かって人間砲弾が放たれた。
―――しかし、
(#,,゚Д゚)「舐めるなッ!!」
ギコは、ソレを、踵落としによって撃墜した。
唖然としてしまった。
起死回生とも思えた行動を、あっさりと防がれた。
今度こそ絶体絶命だと思った時、奇跡は起きた。
(;,,゚Д゚)「なっ、こいつッ!! 放しやがれ!!」
なんと、タックルをくらい、投げ飛ばされ、
踵落としによって地面に叩き落とされた悲惨なマフィアが、ギコの足を掴んでいたのだ。
その眼には明らかに怨念の色が浮かんでいたが、
僕とツンは心の奥底で『ナイスガッツ!』と彼に向って称賛の言葉を送っていた。
少しの猶予を稼げたところで、僕らは尚も逃げ続ける。
心とは裏腹に、体の限界が近付いていた。
心拍音はバスドラムの音色を響かせ、呼吸すらままならない。
いっそ、このまま倒れてしまいたい、死んでしまった方がましなのではないか。
ξ゚听)ξ「……あ、ここです、行きましょう」
そう思っていた矢先の事だったので、
ツンが道を曲がろうとした時、僕は思わず転げそうになってしまった。
それでも案外無事だった僕の瞳に映ったものは、切れかけの電灯でようやく照らされた細道である。
(;^ω^)「こ、ここは……?」
ξ゚听)ξ「良いから、私から離れないで歩いてください」
ツンはそのまま僕を促し、奥へ奥へと突き進む。
しかし、その先にあったものとは……ああ、なんということだ。
無情に立ち塞がるコンクリートは、行き止まりを示しているのだ。
(;^ω^)「い、行き止まりじゃないかお……!!」
ξ゚听)ξ「そうですね、壁ですもんね」
(;^ω^)「ど、どうするんだお!! 早く逃げないと!!」
ξ゚听)ξ「どうするも何も……」
(,,゚Д゚)「―――死ぬしか、ねぇんじゃねぇか?」
遅かった。
曲がり角の入口付近で、ギコは悠然と佇んでいたのだ。
リロードされたであろうリボルバーがその手に握られている。
僕らに逃げ道はなく、完全に追い詰められてしまった。
ギコは、銃を構えたままゆっくりと歩み出す。
(,,゚Д゚)「残念だったな、行き止まりとは災難だった」
FOXの死後逮捕については聞いたことがあった。
死体となった犯罪者は二十日間拘留された後、焼却され、
多くの先人達の眠る墓地、いや、ゴミ捨て場に近い場所に放棄されるのだという。
不死の体があろうとも、誰とも分からない骨に混ざれば、口付けを受けることは出来ないだろう。
ギコに捕まるということは、僕にとって、本当の終わりを迎える事になるのだ。
(;^ω^)「ぼ、僕はマッドボマーじゃないお!!」
(,,゚Д゚)「お前はうちの奴を爆破して負傷させただろう?
……それでも、しらばっくれるつもりなのか?」
(;^ω^)「そ、それは……」
ここで、ツンがマッドボマーだと宣言すれば、見逃してもらえるかもしれない。
そんな考えは浮かんだ。
だが、僕の頭は、何故かそれを拒絶した。
(,,゚Д゚)「大丈夫だ、安心しろ、死ぬ時は一瞬だ。
何も怖がるこたぁねぇ、ゆっくり寝れると考えればいいさ」
ギコの歩みは止まらない。
僕の脳天に直接銃を当て、引き金を引くつもりなのだろうか。
腰元のナイフに手をかける。
ツンが敵わないといった相手をどうにか出来るとは思わないが、最後に足掻く位はしても良い筈だ。
あと一歩、
もう一歩踏み出せば、僕も踏み込んでやる。
ところが、いくら待ってもその時が訪れることは、なかった。
僕のスタートの合図を示すギコの足が踏み出されることは、なかったのだ。
地面に吸いついてしまったかのように、ぴったりとその場に固定されていた。
(,,゚Д゚)「……そうか、そういうことだったか……成程、どうりで……」
(;^ω^)「な、何なんだお……」
(,,゚Д゚)「……ツンとかいったか、お前が本当のマッドボマーだったんだな」
ξ゚听)ξ「ご名当です、気付くのがちょっと遅すぎましたね」
そして、ギコは突如、真実を見抜いて見せたのだ。
理解出来ないことが多すぎた。
しかし、混乱するばかりの僕を余所に、二人の会話は続いていた。
(,,゚Д゚)「お前が異質な存在であることには気付いていたんだがな。
ふむ、どうやら相棒の情報を信じ過ぎてしまったらしい」
ξ゚听)ξ「シール=リアですね、知っていますよ。
当然、貴方のこともです、ギリシア=コクーンステイツ。
知っていたからこそ、周到な準備をなせたし、突然の襲撃にも対応できた」
(,,゚Д゚)「けけけ、情報が漏れちまうからよ、正義の味方ってのは大変だよな」
既に勝負を終え、互いを健闘し合っているに見えた。
ただ、僕にはこの状況は未だ理解出来ないままで、それは表情に出ていたのだろう。
(,,゚Д゚)「お前、何が何やらって感じだな」
(;^ω^)「え! ま、まぁそりゃあ……」
(,,゚Д゚)「俺はよ、どうやら踏んじまったらしくてな、動けないんだわ」
( ^ω^)「踏んだって、何を……?」
(,,゚Д゚)「地雷だ、地雷」
犬の糞でも踏んだというくらいに気軽に言うものだから、
僕は答えを聞いても、それが真実だと中々受け止めきれなかった。
(,,゚Д゚)「罠の心配をしてなかった訳じゃあ、ないんだがな。
マッドボマーだと思ってた奴があまりにも情けない顔してるからよ……油断しちまった」
ξ゚听)ξ「ギリシア=コクーンステイツともあろう人が油断だなんて、ブーンの不甲斐なさは才能ですね。
土の地面と、わざわざ行き止まりで待ち構えてるっていう、ヒントはあったのに」
(,,゚Д゚)「確かに確かに、全くもってその通りだ」
和やかに、それでいて狂気染みた会話を続ける二人。
ただ一つ分かることといえば、敵対する彼らが、僕の情けなさに関して意気投合したということだった。
(,,゚Д゚)「……で、どうする、俺を殺すか?」
ξ゚听)ξ「撃とうにも、貴方が共倒れを狙おうとするのは分かってますからね
私も死にたがりじゃありませんから、ここは放置しておくことにします」
(,,゚Д゚)「そうか、うーん、やっぱりお前は殺したかった」
ξ゚听)ξ「奇遇ですね、私も貴方を殺したいです」
裏社会には、こんな奴らしかいないんだろうか。
どいつもこいつも頭のネジが、三桁単位で外れてやがる。
ξ゚听)ξ「じゃあ、私はこれで」
(,,゚Д゚)「待て、お前の名前を聞いておきたい」
ξ゚听)ξ「……私の名前はツン=デレイド=クヴァニルです」
(,,゚Д゚)「よし、覚えたぞ、ツン=デレイド=クヴァニル。
俺の名前はギリシア=コクーンステイツだが、この街にいる限りはギコと呼んでくれ。
そして、今度会うときは、小細工なしで殺り合おうじゃないか」
ξ゚听)ξ「どうでしょうね、私は勝てば官軍なタイプですから」
(,,゚Д゚)「そうか、実は俺も本来そういうタイプさ」
随分と趣味の合う二人は、物騒な約束を別れの挨拶代わりにしていた。
僕は、取り残されぬようツンの背中を追う形でその場を後にした。
暫く、街を並んで歩いた。
さっきまでの騒がしさが嘘のようで、僕らの間を沈黙が包んでいた。
ξ゚听)ξ「よくよく考えたら、帰るふりして爆弾投げ込めば、殺せましたよね」
そして、それを破ったのはツンだった。
それも、思わず引いてしまうくらい残虐な言葉で。
( ^ω^)「……そういえば、いつの間に罠なんて仕掛けてたんだお?」
ξ゚听)ξ「昼間、ブーンが死んで、生き返らせる前に仕込んでおきました。
敵を騙すには味方からって言いますしね……
ブーンが死ぬ前と死ぬ後のタイムラグに気付かなかったのは、笑いそうで危なかったです」
(;^ω^)「ああ、そう……」
ξ゚听)ξ「FOXの奴らが私を追っかけてるって情報は仕入れてましたしね。
最近はちょっと表に出過ぎてるんで、こういう事もやらなきゃマズイんだろうなーって」
確かに、今までマッドボマーに関しての情報はまるで無かった。
しかしここ最近のツンの動く様を見ると、そこまで身を隠す事に気を掛けているとは思えない。
それは、きっと、今までもこうだった訳ではなく―――
( ^ω^)「……僕のせい、かお?」
ξ゚听)ξ「え?」
( ^ω^)「僕のせいで、ツンの正体が表に出てしまいそうになってるんだお?
今日のことだって、元はといえば僕と関わったせいで……」
ξ゚听)ξ「……もしかして、気にしてたりします?」
その質問を否定することは、やはり出来ない。
かと言って、肯定するのも、どこか女々しいのではないかと思ってしまうのだ。
ξ゚听)ξ「言っておきますけど、私は結構楽しんでますから心配とか良いですからね?」
( ^ω^)「……そうなのかお?」
ξ゚听)ξ「第一、いつまでも正体不明の爆弾魔っていうのも癪に思うんですよね〜。
ここは、いっそ、世紀の大犯罪者としてツン=デレイド=クヴァニルの名を世に広め……」
(;^ω^)「そ、それは止めた方が良いかと」
ツンはそう言ったが、今日だってギリギリだったに違いない。
彼女の本心は定かではないが、逆に気を遣われてしまったに違いない。
僕は僕自身の不甲斐なさを見つめ直す羽目になり、深いため息をついた。
(*゚ー゚)「やっと見つけた……って、こんな所で何してるんだ?」
シールがギリシアを発見したのは、それから少し経っての事である。
ギリシアが人目につかない場所に居たことだけではなく、シールの足の遅さが要因でもあった。
(,,゚Д゚)「こっちにくるなよ、ここいらには地雷が埋まってるらしいからな」
(*゚ー゚)「地雷……? うわ! 本当だ、凄い数!!」
本来、目を凝らした所で巧妙に埋められた地雷を確認は出来ない。
しかし、シールの類稀なる観察眼と知識は、それを可能としていた。
(,,゚Д゚)「そうか、お前には見えるのか。
なら、俺が踏んでるこれを解除することも出来るか?」
(*゚ー゚)「ああ、だからこんな所で突っ立ってるのか……。
出来ると思うけど、失敗しても謝らないぜ?」
(,,゚Д゚)「良いさ、解除失敗したとき、重傷を負うのはお前の方だろうしな」
シールはリュックから適当な工具を取り出し、地雷解除の作業に取り掛かる。
この様な事をするのは初体験であり、
口では一応の断りを入れてはいるが、実際失敗することはないだろうと、絶対の自信を持っていた。
(*゚ー゚)「……で、逃がしたんだ、マッドボマー」
(,,゚Д゚)「ああ、逃げられたな」
(*゚ー゚)「参考までに、どうやって逃がしたか教えてくれるか?」
まずは土を掘って、地雷型爆弾の全貌を明らかにする。
外部装甲を取り外し、分解を進め、信管を取り外す事を目指す。
(,,゚Д゚)「奴らをここに追い詰めたつもりだったが罠にかかってしまった。
逆に俺が地雷原に誘い込まれていて、この始末だ、迂闊だった。
女の方がマッドボマーだと気付けなかったのが、まずかったな」
(*゚ー゚)「あ、やっぱりそうだったんだ、店での反応からそうじゃないかなと思ったんだよね」
(,,゚Д゚)「なら言えよ」
(*゚ー゚)「ごめんごめん……で、地雷を踏んで動けなくなって逃がしたの?」
(,,゚Д゚)「ああ、奴らも共倒れは避けたかったらしい」
(*゚ー゚)「ふーん、そっかぁ……」
(* ー )「でも、それはおかしくないか?」
(* ー )「ギリシア=コクーンステイツ。
お前はFOXのはずだろ、なのに何故、自らの負傷を恐れたんだ?
FOXたるもの、例え頭一つになっても相手を噛み殺すくらいの心構えでいなければならないんじゃないのか?」
(* ー )「僕はお前の任務遂行力は認めてるんだ。
僕を失望させる様な真似はしないでもらえないかな?」
シールの雰囲気が豹変したことを、ギリシアは感じ取った。
表情は見えない。
地雷撤去作業を続ける彼女は、下を向き続けていた。
だが、それでも変化があるのは確かなことだった。
いつもの様な無邪気な表情が、その時消え去っていたハズだった。
(*゚ー゚)「……とはいえ、本当に共倒れにまで持ち込めたかは分からないしね。
結果的に無傷で生還出来た訳だし……この失敗は次に生かすってことで」
(,,゚Д゚)「……ああ、そうだな」
(*゚ー゚)「はい出来た、よし、さっさと次の作戦練りたいから帰ろうぜ!」
(,,゚Д゚)「助かった、礼を言う」
(*゚ー゚)「うわ、ギコがお礼とか……気持ち悪ー!」
ギリシア=コクーンステイツ。
FOX機関随一の能力を誇るものの、その性格故に人望には優れない。
そして、シール=リア。
圧倒的知識量を持ちながら、彼女もまた、隊員から敬遠されている。
その理由となる、任務に対する異常なまでの遂行欲求。
及び、何物をも犠牲に代えるも良しとする冷徹な闇を、ギリシアは見た。
―――The story might continue
ワタリカ=ナーベインは警察に保護されるまで紅茶を堪能する
ギリシア=コクーンステイツはシール=リアの瞳に漆黒を見る。
ブーン=マストレイは自らの力のなさを思い知る。
お疲れ様です。
ありがとうございます。
この話は苦労しました。
書き方も話も変えて、
ようやく乗り越えられました。
今日は終わりです。
それでは。
また。
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