('A`) 「よし」
靴紐をギュッと結んで、立ち上がった。
トントンと靴を慣らして、ボールを掴む。
('A`) 「おい、練習始めるぞ」
( ^ω^)「把握だお!」
一足先にシュート練習をしていた内藤が返事をする。
それに続いて、まだ靴紐を結んでいるビロードが返事をした。
( ><)「準備おっけーなんです!」
体育館に向って、一列に整列する。
今にあいさつをしようと、口を開けた時だった。
_
( ゚∀゚)「悪いwwww遅れちまったwwwwwww」
('A`) (うぜぇ……)
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第八話【初めての仲間】
ジョルジュを待ち、それから気を取り直してあいさつをする。
たった4人だけの声は、隣で練習している女子バスケット部の声に潰されたが、
それでも、小さな体育館には響いていた。
('A`) 「今日は最初にパス練習からして・・・・・・ちょっと、新しい練習もしたいと思う」
(*^ω^)「おっ!どんな練習だお!?」
('A`) 「2対2、って奴だ」
( ><)「wktkなんです!!」
それぞれが感想を述べようとするのを制して、パス練習に取り掛かる。
2人組みを作り、その相手に延々とパスを続ける練習だ。
──バチンッ
(;^ω^)「おっ!」
俺とパス相手の内藤がボールを零す。
随分とゆっくり投げているつもりだが、やはり初心者には取りづらいのだろう。
('A`) 「できるだけ胸に近づけて取れ。最後まで目を離すなよ」
(;^ω^)「把握だお!」
内藤に指示を出しながら、横をチラリと見る。
ビロードとジョルジュが、何やら会話をしながらパスをしていた。
_
( ゚∀゚)「昔の俺はなぁ、パス練習をしたことがないんだぜ!」
( ><)「なんでなんですか!」
_
( ゚∀゚)「ボール貰ったら100%突っ込んでたからよwwwww」
(*><)「格好いいんです!男の憧れなんです!」
( ><)「僕は逆に、パス練習しかしてませんでした……」
_
( ゚∀゚)「もったいねぇー」
そんな会話をしながらパス練習をする二人。
正直言って、集中力が無いのが見て分かる。
だが、細かいところまでチマチマ言ってしまっては、仲間は着いてこない。
人数が少ない今こそ、仲間が大事なのだ。
('A`) 「ほらよ」
──ピュッ!
手首の力を使いながら、内藤にパスを出す。
風を切る音が聞こえて、それは内藤の手元に届いた。
(;^ω^)「どーしてそんなに早いパスが出せるんだお……?」
('A`) 「やっぱ反復しかないだろうな。良かったことに、お前には悪い癖がついていないし」
最初から、ガチガチにフォームを固めさせておいたのは正解だった。
悪い癖がついていない内藤は、これからも成長できるだろう。
( ^ω^)「反復反復…・・」
ブツブツと呟く内藤。
こいつの方は、心配なさそうだが……。
_
( ゚∀゚)「そこで俺は言ってやったんだ。『お前はもう抜かれている』」
(*><)「かっこよすぎるんです!!!!さすがエースジョルジュ先輩なんです!」
('A`) (コッチがちょっと心配だな……)
まだ部活は始まったばかりだ。
今のうちから厳しい態度を取ってしまっては、本当に辞めてしまうかもしれない。
それだけは避けたいと思い、俺は目をそらした。
('A`) 「おし、2対2するぞ」
_
( ゚∀゚)「ッシャ!チーム組むぞチーム!!」
現状では、俺とジョルジュだけがまともにプレーできるであろう人間だ。
俺とジョルジュを分け、残り二人を分けるとすると……。
('A`) 「俺と内藤、ジョルジュとビロードでチームを組んでくれ」
(*^ω^)「おっおっ!よろしくだお!」
_
( ゚∀゚)「行くぜ!ビロード!」
( ><)「もちろんなんです!」
('A`) 「それじゃ、内藤のためにも、簡単に2対2のルールを説明するぞ」
('A`) 「まずは、2チームがそれぞれオフェンスとディフェンスに分かれるんだ。
それぞれマンツー(一人が一人に付く)でディフェンスをする」
('A`) 「基本的には普通のルールと変わんねーな。
ドリブルで抜くもよし、その場でシュートもよし、パスもよしだ。
だが、今日はパス中心で頼む。まだドリブルの練習は本格的にはしてねーし」
( ^ω^)(パス中心……ドクオに迷惑かけないように頑張るお!)
( ^ω^)「把握だお!」
('A`) 「それじゃ、俺がビロードに。内藤はジョルジュについてくれ。
ポジション的にはこれしかない。頑張れよ」
_
( ゚∀゚)「よし、俺らのオフェンスからだな!」
ガードであるビロードがボールを持った。
俺はその前に立ち、ディフェンスの構えを取る。
('A`) 「よし、始めてくれ」
( ><)「ジョルジュさん!」
開始の合図と共に、ビロードはジョルジュにパスを出す。
スリーポイントラインでパスを受けたジョルジュは、そのまますぐにドリブルの体制に入った。
('A`) 「内藤!ドライブ来るぞ!」
( ^ω^)「来いお!!」
内藤が腰を落す。
だが、その瞬間には、既にジョルジュの姿は無かった。
(;^ω^)「おおっ!?」
_
( ゚∀゚)「っしゃ!!」
ゴール下まで潜り込んだジョルジュ。
そして、お決まりのレイアップ。
──ゴンッ
_
( ゚∀゚)「だーーー!!また外したかぁぁ!!」
ジョルジュのシュート下手は、相当なものだった。
今までの練習の中で、コイツがまともにシュートを決めたところは見たことが無い。
(;^ω^)「おー……危なかったお」
('A`) 「今のはディフェンスの構えになるのが遅かったぞ。
ボールが着てから構えるんじゃなくて、ボールを取らせないくらいのつもりでディフェンスするんだ」
( ^ω^)「ボールを取らせないつもり?」
('A`) 「パスを簡単に出させないって事だ。出来るだけオフェンスに密着して、相手のパスコースを消すんだ。
……って言っても、お前にはまだ早いか……」
( ^ω^)「やるお!頑張るお!」
('A`) 「……っし!もう一回ディフェンス行くぞ!」
( ><)「もう一回、お願いします!ジョルジュさん!」
ビロードがもう一度ジョルジュにパスを出した。
それを受け取るジョルジュ。
('A`) (……もう一回抜いてくるだろうな)
ジョルジュが内藤を抜くことを予測して、俺はゴール下への移動を始めた。
そして、その予想は見事に当たることとなる。
_
( ゚∀゚)「あーばよ!」
ジョルジュが内藤を抜き去る。
だが、その後ろには、俺がここぞとばかりに待機していた。
_
(;゚∀゚)「げ……!」
('A`) 「隙だらけだっての」
──パンッッ!
俺の右手が、ジョルジュのドリブルをカットした。
('A`) 「今のは『抜いた』と思った心の隙だな。
気をつけてくださいよ」
_
( ゚∀゚)「わーりわり。今のはちょっと油断しただけだっつーの」
('A`) 「……それじゃ、次は俺等のオフェンスだな」
俺がガードで、内藤をゴール下に配置する。
内藤とジョルジュの身長差は一目瞭然。
練習の意味も込めて、俺は内藤にパスを出した。
(;^ω^)「おっ……(ここで貰っても何すればいいのか分からんお・・・・・・)」
内藤がボールを手にした位置は、ゴールから2、3歩離れた位置。
本当のセンターならば、ここからでもパワー勝負ができるのだが、内藤はまだそれを知らない。
('A`) (だが……そこで出来るのは、それだけじゃない!)
('A`) 「……」
ふと、目線を右下にやる。
( ><)「!」
それに、ピクリと反応するビロード。
この一瞬に、隙が出来た。
('A`) 「───ッ!」
身体を低くして、相手の左側を抜ける。
右にばかり気を向けていたビロードは、その動きに反応できない。
('A`) 「よしっ、ここでパスだ!」
完全にビロードを振り切ったところで、内藤に叫んだ。
慌ててボールを俺に放る。
少しだけスピードが遅いが、コントロールは抜群だ。
完全にフリーでボールを手にした俺。
その場で空中に飛び、シュートを放った。
──パスッ!
(*^ω^)「ナイッシューだお!」
('A`) 「いや、お前もよく反応できてたぜ」
内藤にはまだ、ジョルジュを超えてシュートを打つことは出来ないだろう。
いくら身長があったとしても、技術が圧倒的に足りないのだ。
だが、相手をひきつけることや、パスは出せる。
これだけでかいとパスも入れやすいし、色々と便利なものだ。
( ><)「……悔しいんです!」
('A`) 「今のは簡単にフェイクに引っかかりすぎだ。相手の目ばかり見ていると、
今みたいなフェイクに掛かりやすくなる。できるだけ、腰元を見るんだ」
_
( ゚∀゚)「なぁ、今のって、俺がお前をブロックしに行っちゃダメなのか?」
('A`) 「そしたら内藤が完全にフリーになりますからね。
カバーがまだ足りないので」
_
( ゚∀゚)「なる」
なんだかんだ言っても、みんなバスケが好きなんだ。
負けたら悔しいし、もっと上手くなりたいと思う。
そうやって、成長して、強くなって。
試合に勝てるようになるんだ。
_
( ゚∀゚)「っしゃー!もう一本オフェンスこいやー!!」
( ><)「なんです!」
('A`) 「……よし、行くぜ!内藤!」
( ^ω^)「だお!」
第八話 終
34 名前: ◆PL34tlmoTI :2007/09/18(火) 22:31:24.46 ID:1ClrgCFd0
今回の用語解説
・ガード
バスケットのポジションの一つ。
パス回しやボール運び、時にはスリーポイントシュートも放つ。
ゲーム内のキャプテンと言ってもいいポジンション。
今回は、ドクオとビロードがそれに属している。
・マンツー
一人のディフェンスが一人のオフェンスにつく、ディフェンスのやり方。
最も一般的で、多くのチームに使われている。
・ドライブ
ドリブルで相手を抜き去ること。また、抜こうとすること。
鋭いドライブは、かなりの脅威になる。
・インターフェアは
ボールがリングより上にある時、人間がボードやリングを触ること。
これした場合、相手チームのボールになって再スタート。
他にも分からない言葉、表現があったらどうぞ。
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