('A`) 「レイアップ外すんじゃねぇ!もっと走れ!」

(;^ω^)「は、把握だお!」

二人でパスを回しながら、コートを一周し、最後にシュートを放つ練習。
ツーメンと呼ばれているこの練習が、僕は苦手だった。

別に、走ること事態は嫌いではない。
ただ、パスをしながら走る、という行動がどうしても上手くいかないのだった。

('A`) 「声出せっ!貰う側が出すんだぞ!」

(;^ω^)「だおっ!」

特に、ドクオとのツーメンは地獄だった。
相手のスピードがかなり速い上、パスも鋭い。
キャッチだけでも大変なのに、それに加えてコチラも速いパスを出さなければいけないのだ。

(;^ω^)「はぁ……はぁ……」


それでも、僕はバスケットが好きだった。








  ( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第十一話 【信じるのは誰】 〜( ^ω^)視点〜










('A`) 「おし、ツーメンは終わりだ。残り時間は……5分か。
    各自でそれぞれシュート練習!この前言ったポジションを意識してくれ!」

ドクオが大きな声で叫んだ。
あれだけ走っておきながら、まだこれだけ大きな声を出している。
はっきり言って、僕とはレベルが違っていた。

( ^ω^)「センターだから、ゴール下かお」

ドクオの話によると、僕はセンターというポジションらしい。
本を読んで自分で調べてみたが、センターというポジションは、ゴール下での仕事がメインのようだった。

( ^ω^)(ゴール下でのシュートは、必ず決める!)

それは、本にも書いてあったし、ドクオからも重々言われていることだった。
ゴール下でシュートを放てるチャンスは少ないらしく、それは、大きなチャンスらしい。
『決めて当たり前のシュート』とさえ、言われている。

……だけど。


──ゴンッ

(;^ω^)「……」

僕は、それを決められないのだった。


(;^ω^)(何でいっつもいっつも入らないんだお)

シュートフォームは、ドクオに教えてもらった。
本も読んで、鏡でチェックしながら確認した。
フォームは、おかしくないハズだ。

(;^ω^)(フォームじゃないなら……)

手首の返し具合だろうか。
力を入れすぎているのか、抜きすぎているのか、それは分からない。
もう一度、確認しながらシュートを放った。

──ゴンッ

(;^ω^)「なんでだお!」

また、リングの手前に当たって跳ねた。
どうして、入らないのだろうか。


('A`) 「おし、終わりだ。整列ッ!」

(;><)「やっと終わったんです!」
  _
(;゚∀゚)「試合の発表があってから、練習が更にきつくなったな……」

確かに、練習量は格段に増えていた。
だけど、みんなが頑張っているなら、僕はそれ以上頑張らないといけないのだ。
  _
( ゚∀゚)「帰りにマックよって、シャキ氷くおーぜ!」

( ><)「行くんです!ケータイクーポン使うんです!」

('A`) 「……」

ジョルジュさんとビロードの会話。
ドクオは、その会話には参加していない。
大体、練習後の部室はこんな感じだった。

ドクオが、誰かと遊びに行ったことなど、見たことが無い。


  _
( ゚∀゚)「おい、ブーンはどーする?」

(;^ω^)「あー……。今日は遠慮しときますお」

( ><)「お金なら貸すんです!」

( ^ω^)「放課後の居残り課題があるんだお。悪いけど、先に帰っててくれお」
  _
( ゚∀゚)「お前って馬鹿なんだなー」

部室に笑い声が響く。
確かに、僕は頭はよくないんだけれど。

( ><)「それじゃ、お疲れ様でしたー」
  _
( ゚∀゚)「またなー」

部室から一足先に出て行く二人。
残されたのは、僕とショボンとドクオの三人だけ。

(´・ω・`) 「それじゃ、僕も」

それだけ言って、出て行くショボン。
ついに、二人だけになった。



('A`) 「……お前、居残り課題なんてあったっけ?」

( ^ω^)「ないお」

('A`) 「付き合いが嫌だったとか?」

( ^ω^)「それもないお。ジョルジュさんやビロードは大好きだお」

('A`) 「……女か!」

( ^ω^)「それがないっていうのは、ドクオが一番分かってるハズだお」

もう一度訪れる静寂。
そうしている間にも、ドクオは着替えを終わっていた。

('A`) 「ま、あんまし深くは追求しねーけど。
    あんまり無理して、体壊すなよ」

ドクオは気付いているようだ。
それでいて、僕のことを心配してくれているようでもあった。



('A`) 「それじゃ、明日」

また一人、部室から人が消えた。
残された僕はただ一人、練習着のまま部室の椅子に座っている。

( ^ω^)「本……」

鞄の中から、一冊の本を取り出す。
『初心者のバスケット』と書かれた、ガイドブックだ。

( ^ω^)「おー……。軸足をきちんとつけておかないと、トラベリングになるのかおー」

本をじっくり読んでいく。
今の自分には、知識と実力の二つが必要なのだ。

( ^ω^)「だお・・・・・」


一人だけの部室。
時間は過ぎていく。



・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・

「きをつけー礼!」

「「「ありがとうございましたー!!」」」

部室の外。
つまりは、体育館の中から声が聞こえた。
女子バスケ部の練習が、終わったのだ。

( ^ω^)「おっおっ!待ちくたびれたお!」

本を鞄の中に直して、体育館へと出る。
わいわいと話しながら、女子は更衣室へと消えていった。

時計は、夜の7時30分を示している。
この時間帯からは、もう、どこの部活も使用しないのだ。

そして、僕の自主練習が始まる。


ボールを手に持って、力を入れた。
このブツブツの感触。いつまででも飽きない感触だ。

ダムダムとドリブルをついて、ゴール下まで歩いていった。
今日こそ、ここでのシュートをマスターしてやる。


ξ゚听)ξ 「……あら?」

僕がシュートを打とうとしたとき、背後から声が聞こえた。
急いで振り返る。
女子バスケット部の一年生だった。

( ^ω^)「おっおっ。この前道を教えてくれた人だお!」

ξ゚听)ξ 「ツンデレよ」

( ^ω^)「ツンデレさんだお!」

ξ゚听)ξ 「……内藤君、だったっけ?」



(*^ω^)「名前覚えててくれたのかお!?」

ξ゚听)ξ 「だって、5人しかいないし……」

ツンデレさんの手には、バスケットボールが握られている。
さっき練習が終わったというのに、今から自主練習をするつもりなのだろうか。

何も言わずに向こうを向いて、僕とは別のリングにシュートを放つツンデレさん。
場所は、スリーポイントラインの外。

──スパッ!

(*^ω^)「おおー!!」

綺麗な音を立てて、ボールはネットを潜った。
金色のツインテールの髪が上下に揺れている。
ふと、自分が目を奪われていることに気がついた。

(*^ω^)(ツンデレさん可愛いお・・・・・・)



だが、いつまでも見つめているわけにはいかない。
僕はツンデレさんから目を離し、リングを向く。
手を伸ばせば、届きそうなネット。
だけど、このリングが、今の僕にとっては遠すぎる。

──ゴンッ

またもや、リングの手前に当たった。
力が弱すぎるのかと思って、今度は強く打つが、結果は同じだった。

(;^ω^)(距離が近すぎるのかお?)

一歩だけ離れて、シュートを打つ。
だが、結果はまたまた同じだった。

(;^ω^)(まだ……まだまだだお!)




ξ゚听)ξ 「……」

──パスッ


(;^ω^)「だおだおー!!」

──ガコンッ



ξ゚听)ξ 「……」

──パスッ



(;^ω^)「入れおー!」

──ガコンッ



リングの音が、交互に響く。
時計は既に、8時を過ぎていた。


ξ゚听)ξ 「……ねぇ」

(;^ω^)「お?」

ツンさんが、突然話しかけて来る。
汗を拭きながら、返事を返した。

ξ゚听)ξ 「もうちょっと、高く飛んでみたらいいんじゃない?」

(;^ω^)「お・・・・・・?」

ツンデレさんが、僕の足元を指差す。

ξ゚听)ξ 「あんまりジャンプしてないでしょ。
       それだと、せっかくの身長が活かされないし、ボールもリング下に当たりやすくなるし……」

( ^ω^)「おっ!」




一度だけ屈伸をして、ボールを構える。
高く飛ぶ、高く飛ぶ……。

( ^ω^)「だおっ!」

高く飛ぶことを意識して、ボールを放った。
そして、聞こえてきたのは──

──パスッ

(*^ω^)「おおおおおおおおおお!!!!」

リングを潜る音。
ようやく、ようやく、ゴール下のシュートを沈めることが出来た。

ξ*゚听)ξ「すごいじゃない!おめでとう!」

ξ///)ξ「……っと。こ、こんなシュート、決めて当たり前なんだからね!」

だけど、その当たり前が。
当たり前が、僕にとっては、大きな壁だったのだ。

(*^ω^)「ツン!ありがとうだお!!」




言ってから、ふと口を押さえる。
何「ツン」だなんて、慣れ慣れしく話しているんだと。

ξ///)ξ「ツ、ツン?」

(;^ω^)「ごめんだおっ!つい口からポロリと……」

ξ*゚听)ξ 「う、ううん!全然大丈夫だよ!」

パッ、と表情が明るくなった。
金色の髪が目だって、その表情が輝いて見える。
心から、可愛いと思えた。

ξ*゚听)ξ 「え、えっと……内藤君」

( ^ω^)「ブーンだお!」

ξ*゚听)ξ 「え?」

( ^ω^)「僕もツンって呼ぶから、ツンも僕のことをブーンって呼ぶんだお!」




ξ///)ξ「な、何勘違いしてるの?バッカじゃない!?」

(;^ω^)「お?」

ξ///)ξ「私がくぁw背drftgyふじこl;p@:」「」

噛み噛みで、なんと言っているのか理解不能だ。
だけど、なんとなく意味は通じた。

(*^ω^)「それじゃ、この調子でまだまだ頑張るお!」

ξ゚听)ξ「ないと……ブーンは、まだ練習するの?」

(;^ω^)「ブーンは初心者だから、一杯練習しないと追いつけないんだお」

ξ゚听)ξ 「確かに、ドクオ君とかはずば抜けてるよね……全国一位レベルだし」

(;^ω^)「本当だお・・・・・・。今度の試合でも、みんなの足を引っ張らないようにと……」



ξ゚听)ξ 「……もうちょっと、自分を信じてもいいんじゃない?」

( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ 「ブーン、こんなに一杯練習してるし……。
       ちょっとアドバイスしただけで、シュートも入るようになった」

ξ゚ー゚)ξ 「もっと……自分、信じていいと思うよ」

(*^ω^)「……だお!!」

ξ///)ξ「で、でも下手糞なのは変わらないんだからね!
      調子に乗ったらすぐミスするんだから!」

(*^ω^)「大丈夫だお!僕には、たくさんの仲間がいるお!」

( ^ω^)「ドクオ、ジョルジュさん、ビロード、ショボン……そして、ツン。
      僕には仲間がいるから、僕だって頑張れるんだお!」

ξ*゚听)ξ 「……ブーン」



ボールを両手で掴んで、それを見つめる。

リングを見る。

シュートを放つ。

ネットを潜る音。

( ^ω^)「……試合は近いお!頑張るお!」

ξ゚听)ξ 「か、勝手に頑張りなさい!私だってシュート練習するんだから!」

( ^ω^)「だおだお!」


もう一度、ツンは後ろを向いた。
髪が揺れて、赤くなった耳が少しだけ見える。

少しだけ、幸せな気持ちになった。


第十一話 終


78 名前: ◆PL34tlmoTI :2007/09/21(金) 22:45:46.18 ID:14nQ+1wu0
〜用語〜

・ボール運び
自分達が責められる位置まで、ボールを運ぶこと。
オフェンスは陣形を組んでいることが多いので、そこまで運ぶ役。

・パワープレイ
力と力での勝負。
ゴール下での押し合いや、ぶつかり合いが含まれる。
ひ弱なセンターは、この時点でまけとなる。

・ミドルシュート
ゴール下でもなく、スリーポイントシュートでもないシュート。
ちょうど真ん中辺りからの位置。

・リバウンド
外れたシュートを取る行動。
これを取ることにより、オフェンスの回数が増え、攻めやすくなる。
高さと技術が必要な技。

・カバー
抜かれた選手を助ける。
抜いてきた選手を止めること。



前のページへ] 戻る [次のページへ