──ダムッダムッ……
──バシィッ!
(;><)「あっ!」
(゜3゜)「カットォ!速攻走れ!!」
ハーフコートまでボール運んだビロードが気を抜いた瞬間、
あっという間に相手にカットされてしまった。
それを見たパー速メンバーはすぐさま駆け出し、速攻を繰り出す。
そのスピードは速く、かなり手馴れた物だった。
──パシュ
( ゚д゚ )「ナイッシュー!プギャー!」
『ビー!!』
体育館に響く、第一クォーター終了の笛。
ベンチに戻りながら、俺は点差を確認した。
(;'A`) (18 - 5 か……大分離れちまった)
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第十三話【THE HERO】
_
(#゚∀゚)「あーー!!はいらねぇぇぇぇぇ!!!」
ベンチに戻って最初に声を出したのはジョルジュだった。
それも仕方ないかもしれない。
ジョルジュが前半に打ったシュートの本数は7。
その内、リングを潜ったものはない。
('A`) 「……流石に、第一クォーターでこの点差はやばいな……」
(;^ω^)「コッチの5点も、全部ドクオしか決めてないお……」
内藤の言うとおり、VIPの得点源は俺しかいなかった。
最初は「様子見」などと言っていたが、流石にそうもいかなくなった結果である。
(´・ω・`) 「相手のオフェンスは、ほとんどが速攻……。
リバウンドからのあのスピードを、どうにかしないといけませんね」
('A`) 「……ああ。戻りを早くしないとな」
( ><)「リバウンドを取ったらいいんです!」
(;^ω^)「ご、ごめんだお……」
このクォーター、内藤は一本のリバウンドも取れなかった。
センターが完全に負けているという事は、チームの中心部が崩れているということだ。
('A`) (って言っても……この短時間にリバウンドが上手くなるわけでもねぇ)
初心者である内藤には、教えることがたくさんありすぎた。
言い訳になるかもしれないが、リバウンドを本格的に教える時間がなかったのだ。
( ^ω^)「次はちゃんとリバウンド取るお!」
_
( ゚∀゚)「頼んだぜ……マジで」
ジョルジュが疲れているような声を出す。
相手が速攻を出すという事は、自分達もそれに合わせて走らなければいけないという事だ。
それは、大幅に体力を消費する。
この時点で体力を消費してしまっては、後半必ず大きなダメージを受ける。
審判「第二クォーター始めます!コートに入って!」
審判が俺達に呼びかける。
既にパー速のチームはコートに入っていた。
('A`) 「……第二クォーターは、俺が攻める」
椅子から立ち上がりながら言った。
様子等と言っている場合ではない。
もう、動き出さなければいけないだろう。
( ><)「お願いしますんです!」
(´・ω・`) 「点をとる事が出来たら、自然と速攻も抑えられる。
よろしくお願いしますよ」
全員がコートに入った。
第二クォーターの初めは、VIPボールからのスタートだ。
ビロードから俺へとパスが渡り、試合が再開した。
( ゚д゚ )「ディフェンス!」
目の前に男が現われる。
視線を完全に俺に合わせ、低い姿勢をとっている。
パー速学園キャプテン、ミルナ。
('A`) (……)
ボールをゆっくり上下左右に動かした。
『俺はいつ動くか分からないぞ』というフェイク。
だが、相手もそれには揺さぶられない。
ならば、することはただ一つ。
( ゚д゚ )「ッッ!」
フェイクにかからないならば、速さで抜くのみだ。
右へと強いドリブルをつき、俺は足を出す。
そのドリブルに食らい着こうと、ミルナが正面に回りこんだ。
('A`)
一瞬だけ視線を左にやる。
ほんの一瞬だ。
普通の人なら、気付かない程度の動かし。
( ゚д゚ )「!」
だがしかし、この男はそれに反応した。
素早く俺の左側に回りこむ動作をする。
('A`) (さすが……だが、残念だったな)
──ダムッ!
その視線の動きは、俺のフェイクだった。
相手の常人ならぬ動きを利用した、本当に小さなフェイク。
右のドリブルでミルナをかわし、そのまま抜き去る。
( ;゚д゚ )「(やられた……) カバー!!」
(・∀ ・)「おっけー」
ミルナの声に反応して、センターまたんきが俺の元に出てきた。
先ほどは、ここで内藤にパスを出した。
だが、それで外すという結果だったのだ。
('A`) (身長180……これなら大丈夫だな)
──キュキュッ!
(・∀ ・)「!?」
突然、俺は足を止める。
またんきとの微妙な距離を作って、俺はシュートフォームを作った。
(・∀ ・)(ストップシュートかよ……!!)
またんきが慌てて俺との距離を縮めてくる。
しかし、既に俺は飛び、ボールは空中に放たれていた。
──パスッ
('A`) 「っしゃぁぁ!」
(*^ω^)「ないっしゅーだお!」
メンバーが軽い褒め言葉を送る。
だが、速攻を防ぐためにも、すぐにディフェンスの位置へとついた。
それを見たパー速は、速攻は無理と判断したのだろう。
最初のごとく、ゆっくりとドリブルをつきながら、コッチに向っている。
(・∀ ・)「あの4番のストップシュート、半端なく早ぇぞ」
( ゚д゚ )「あぁ。ドライブの鋭さもかなりレベルが高い。
……要注意だな」
何やら会話をしながら、ミルナはボールを運んできた。
だが、おしゃべりタイムはそこまで。
ハーフコートに辿り着くやいなや、その目は鋭くなった。
('A`) (ドライブ……いや、スリーも気をつけないとな)
( ゚д゚ )(くそっ……抜けない)
(;゚д゚ )「プギャー!」
抜けないと判断したのだろう。
プギャーへとパスを出す。
それを受け取ったプギャーに、更なる声が響いた。
(・∀ ・)「コッチだ!」
( ^Д^)「またんき先輩!」
ミルナからプギャー。
プギャーからまたんきへとパスが渡った。
──ドンッ!
(;^ω^)「おおおおおおお!?」
またんきは、両手で激しいドリブルを一つつく。
完全に力負けした内藤は、またんきの思うままに押し込まれてしまった。
ゴール下まで距離を縮めたまたんきは、そのまま身体を反転させ、リング正面を向く。
そして、両手を高く上げて、単純なシュートを放った。
──パスッ
( ゚д゚ )「ナイスだまたんき!」
(・∀ ・)「おお!」
ディフェンスへと戻っていくパー速。
そして、汗をだらだらと流しながら俺の元に来る内藤。
(;^ω^)「すまんこ……」
('A`) 「しゃーねぇ!次はとめろよ!」
( ^ω^)「だお!」
次は俺達のオフェンスだ。
バスケットという競技は、オフェンスとディフェンスの繰り返しの競技。
頭の切り替えを早くしなければ、すぐに失敗をおかしてしまう。
('A`) (お……さっきよりディフェンスきつくなったな……)
( ゚д゚ )(今度は抜かせん……)
完全に俺に抜かせないつもりだ。
姿勢をかなり低くして、両手も綺麗に広げている。
ディフェンスの幅を広くすることで、俺の攻めを遅くするつもりだ。
('A`) 「……くそっ」
そう言って、俺はドリブルを止めボールを持つ。
パスを出そうかと、視線を動かした。
( ゚д゚ )(ふぅ……)
俺がドリブルを止めた事で、気を抜いたミルナ。
わずかだが、肩の力が抜けているのが分かった。
('A`) (バーロー)
(;゚д゚ )「!!」
パスを出そうと両手に持っていたボールをそのまま上に上げる。
そして、右手首を綺麗に返して、そこからシュートを放った。
──パシュッ!
自分が立っている位置を見る。
スリーポイントラインの外だ。
('A`) 「……最初のお返し」
(;゚д゚ )「……くそ」
今のシュートで、点差は10点になった。
まだまだ離れている。
出来れば、このクォーター内で同点にしたいところだ。
(゜3゜)「しょーがない!さぁ、オフェン──
──バシィィ!
(;゜3゜)「ほわっちゅ!?」
俺がボールをカットしたのだ。
ガードがボールを運んでいる時、俺はそっとミルナから離れて、こいつに回り込んでいた。
ハーフディフェンスと考えていた相手は、俺の存在にも全く気付かなかったらしい。
('A`) 「っしゃぁ!もう一本だ!」
(*^ω^)「だおだお!! (ドクオ、やっぱりすげーお!)」
相手がディフェンスに戻る前に、俺と内藤で速攻を決める。
点差は8点。大分追いついてきた。
('A`) 「もう一本狙ってやる……」
ミルナとプギャーがボールを運んでくる。
俺達は既にハーフコートに戻り、ディフェンスの形を取っていた。
( ゚д゚ )「……そういうことだ」
( ^Д^)「でも……俺の相手は?」
( ゚д゚ )「あいつは、シュートが入らない」
( ^Д^)「……分かりました」
また、何やら話をしているようだった。
作戦会議といったところだろうか。ミルナがプギャーの背中を叩いた。
( ゚д゚ )「よし、一本だ!」
ミルナが、直接またんきへとパスを出した。
また、内藤のところが狙われる。
(;^ω^)「くそ……」
またんきが、強いドリブルで内藤をゴールしたに押し込もうとした時。
一つの影が、またんきに近づく。
(´・ω・`) 「ほい、っとね」
(;・∀ ・)「うぉ!?」
ショボンがいち早く、内藤のカバーに来ていた。
またんきがドリブルをつくと同時に、そこに手を差し出し、ボールをカットしたのだ。
('A`) 「よっしゃ!ナイスカット!!」
ショボンが俺にボールを渡す。
この一本は、できる限り決めたい一本だ。
──だが、今回はそうもいかないらしい。
( ゚д゚ )「ディフェンス4番!」
( ^Д^)「オッケー!!」
(;'A`) 「二人……!?」
俺の前に、ディフェンスが二人。
先ほどのミルナと、ジョルジュについていたはずのプギャー。
(;'A`) 「ちっ……」
二人もいると、流石にボール運びは難しくなる。
一旦ビロードにボールをパスした。
ハーフコートまでビロードが運び、そしてオフェンスの陣形を作る。
(;'A`) (うぜぇ……)
二人のディフェンスが、俺の行く先を塞ぐ。
パスをもらおうにも、4本の手が俺を囲み、簡単には振り切れなかった。
(;'A`) (振り切れねぇ……)
(;><)(ドクオ君は使えないみたいなんです……)
ビロードはあたりを見回し、状況を確認した。
ドクオに二人が着き、ビロードにも一人。
またんきがゴール下にいるということは……。
( ><)(ジョルジュさんがノーマークなんです!!)
( ><)「ジョルジュさん!」
_
( ゚∀゚)「おう!」
ビロードからジョルジュへのパス。
ジョルジュの目の前に、ディフェンスは存在しない。
_
( ゚∀゚)(流石にディフェンスいなかったら決めれるっつーのwwwwwww)
ゴールに向ってドリブルで進む。
ゴール手前でスピードを落とし、ゆっくりとシュート体制に入った。
_
( ゚∀゚)(ゆっくり狙ってー……そーれ!)
しっかりと狙って、シュートを放つ。
(・∀ ・)「うぉぉぉぉ!!」
──バコォォ!!
_
( ゚∀゚)「Why!!?」
(・∀ ・)「そんだけシュートが遅けりゃ、ブロックできるっつーの!!」
ジョルジュのシュートを、力強く弾いたまたんき。
それはボードに当たり、俺達のゴールとは反対方向へと吹っ飛ぶ。
(゜3゜)「よし」
それをしっかりとキャッチする田中。
まずい……この展開は……!
( ^Д^)「ヘイッ!」
(;'A`) (またか……!!)
パー速学園、流れるような速攻が、もう一度決まった。
第二クォーター残り3分。
VIP 12 - パー速 22
第十三話 終
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35 名前: ◆PL34tlmoTI :2007/09/29(土) 22:15:19.41 ID:42mEdjZn0
〜用語〜
・クォーター
バレーボールで言うセット。
試合は4つのクォーターからなり、それぞれ第○クォーターという。
公式戦では、ひとクォーター10分だが、今回は練習試合ということで
8分の形式で行っている。
・ストップシュート
ドリブルを急に止め、その場からシュートを打つこと。
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