「ビロードー、ご飯よー」
( ><)「……はぁ……」
「ビロードー!!」
( ><)「……はぁ……」
「ビロード!!!!」
(;><)「は、はいなんです!」
一階から母親の呼ぶ声が聞こえた。
僕は慌てて自分の部屋を出て、下の階に降りていく。
既に食卓には食事が並んでいて、椅子の一つに母親が座っていた。
「試合で疲れたんでしょ?今日は張り切ったんだから!」
( ><)「……いただきますなんです!」
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第十八話【STYLE】 〜( ><)〜
ご飯を箸で掴みながら、頭では別の事を考えていた。
もちろん、内容は今日の試合のことだった。
( ><)「……」
試合には負けたが、それに関してはあまり興味はない。
中学のときといい、試合に勝つということの方が珍しかったのだから。
考えていたのは、自分のことだった。
ドクオ君は、言わずもがなチームの主力だった。
ジョルジュ先輩だって何回も抜いたし、ショボンもカットを連発していた。
ブーンだって、ドクオ君との連携をやっていた。
( ><)(僕だけ何にも出来ていないんです……)
ガードとしての仕事も、実質ドクオ君がこなしてくれていた。
僕はただ、ボールを運んでいただけ。
はっきり言って、活躍した覚えはない。
自分が活躍できないということは分かっていた。
たいした特技もない。
少しだけ自信があったパスも、パー速のディフェンスには適わなかった。
( ><)(やっぱり、ぼくなんかじゃ……)
と、心の中で呟いて、慌てて取り消した。
『僕なんかじゃ』ということを言わないようにしようと、決めていたのだ。
ブーンに誘われて入ったバスケ部、もう、言い訳はしたくない。
( ><)(……僕だって!)
何か、出来ることがあるはずなんだ。
そうに決まっている。
よし、そうと決まれば、それが何かを考えるだけだ。
( ><)「ごちそうさまでした!!」
「あ、おかわりは〜!?」
母親の声を無視して部屋へ上がる。
ベッドに転がり込んで、バスケットの本を読み始めた。
( ><)「まずはチームに足りないものを考えるんです!」
まずは、オフェンスのことだ。
ドクオ君を中心とした攻めをしている。
( ><)「ドクオ君がスリーポイントを打てるし……
ドライブだって、ドクオ君とジョルジュ先輩がいるんです」
そう考えると、点を取る役は十分足りているようだ。
ポイントゲッターは、2人もいればいいだろう。
( ><)「僕の身長じゃ、ブーンみたいな事はできないんです!」
まぁ、ポジションが違うし、パワー勝負はしないでもいいだろう。
ならば、他に何がある。
( ><)「えっと、えっと……」
(;><)「何にも思い浮かばないんです……」
〜翌日/学校〜
( ><)(昨日、結局何も思い浮かばなかったんです……)
( ><)(僕がいなくても、このチームは上手く機能するんです……)
( ><)(むしろ僕がいない方が強いんですか!?)
( ><)(僕は……僕は……)
(;><)(やっぱり僕は必要ない人間なんです!!)
(;;><)「うわあああああ!!!」
(;^ω^)(ビロードが一人で悶絶してるお……)
('A`) 「……どうしたんだ?」
(;><)「ドクオ君!」
練習前、目の前に現われたドクオ君に抱きついた。
スグに蹴り飛ばされて、僕は離れてしまったのだが。
('A`) 「気持ち悪ぃな……どうしたんだよ」
(;><)「僕はチームに必要ない人間なんですか!?」
('A`) 「は?」
(;><)「僕は……このチームの役に立てていないんです!」
それだけ言うと、ドクオ君は固まった。
何か点を見つめるような目で、僕を眺めている。
しばらくたった後、ドクオ君は僕の肩に手を乗せた。
('A`) 「大体の事は分かった」
いつもどおりの顔。
やはり、あの頼もしい顔で、僕を見ている。
('A`) 「だけどな、お前にしか出来ないことだってあるんだぜ?」
( ><)「……?」
突然、何を言い出したのかと思う。
この低身長の僕にしか出来ないことなど、あるはずがない。
('A`) 「あ、信じてねぇ」
( ><)「ぼ、僕なんかに──」
そこで、口を止める。
あの言葉が出そうになった自分を、無理矢理抑える。
('A`) 「僕なんかに?」
( ><)「……教えてくだしあ!」
('A`) 「あ?」
( ><)「その、"僕にしか出来ないこと"教えてくだしあ!!」
そうだ。
何事も、信じることから始めるのだ。
自分も、仲間も。
('A`) 「……よし」
( ><)「……ごくり」
('A`) 「お前にしか出来ないこと、特訓するか」
( ><)「はいなんです!!」
第18話 終
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