──6月
俺がこの学校に入学し、部活を作ってから早2ヶ月が過ぎていた。
5月に行われたパー速学園との試合以来、基本的な体つくりから始めているおかげで、
どのメンバーも、どことなく「バスケット」らしい動きになっていた。
('A`) 「よし。後はシューティングな」
( ^ω^)「だおだおー」
時刻は午前7時。
男子バスケットボール部は、朝練習を行うことにしていた。
朝はあまり動くことが出来ないので、基本的なシュート練習が中心となっている。
( ><)「……やってやるんです!」
ビロードは、俺が教えた『特訓』をあれから毎日続けていた。
まだまだ完成にはほど遠いが、ビロードの情熱を見ると、その日も近いように感じてしまう。
他のメンバーも、各々の弱点を克服するようにしていた。
ジョルジュはシュート、ショボンはオフェンス、ブーンは筋力アップ。
このチームは、日々成長していた。
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第19話【New】
('A`) 「あ−……授業かったりー」
(*^ω^)「ブーンはいつも寝てるから大丈夫だお!」
('A`) 「……」
階段を上りながらの内藤との会話。
一応学生である俺らには、勉学は義務である。
('A`) 「ま……しゃーねーか……」
教室に入ると、いつもよりも教室がざわめいていた。
特に、女子を中心としたメンバーが大声で話し合っていた。
「ねーねー!!ミサキが見たってよ!!」
「うっそぉーーー!?どんな感じの人!?カッコいい!?」
「それがぁ〜!めっっっっっっちゃイイ感じ〜〜〜〜!!!!」
「「「ひゃーーーーwwwwwww」」」
( ^ω^)「転入生が来るらしいお!」
内藤が俺に話しかけてくる。
女子の会話から言うと、そうであることが想像できた。
( ^ω^)「残念ながらウチのクラスじゃないらしいお……」
内藤が、手に入れた情報を俺に教えてくれる。
正直このクラスに仲の良い奴がいない俺にとっては、ありがたかった。
('A`) (この時期に転校か……)
親の転勤か何かのせいだろうか。
それとも……。
「おーい、席につけー」
担任が空気を読まずに教室に入ってきた。
こういう奴を何て言うんだっけ……何かクラス中ではやってたな……。
HYだっけ……忘れちまった。
「あー。みんなも知ってると思うが、8組に転入生が来ている。見かけたら声をかけてやれ」
「先生〜!名前は何て言うんですかー!?」
「ん、フサギコ君。ひろゆき高校からの転入だ」
「「ふさぎこクゥ〜ンwwwww」」
女子が騒ぎ始めている。
だが、それとは別の事で、俺は心中穏やかではなかった。
転入生の名前。それを、俺は知っている。
( ^ω^)「おっおっwwひろゆき高校と言えばバスケの名門だお!
ドクオが拒否ったwwwwwwwwww」
('A`) 「……黙れ」
( ^ω^)「照れるなおwwwww フサギコ君っていう人、バスケに興味があったらいいお〜」
('A`) 「……そいつ、ひろゆきのバスケ部だぜ」
(;^ω^)「ぶふぉおおお!」
内藤が汚らしくツバを飛ばす。
俺はそれを袖で拭きながら、話を続けた。
('A`) 「しかも、推薦も貰ってたはずだ。俺と一緒に中学の時の合宿に来てたし」
(;^ω^)「ひろゆき高校で、推薦……」
(*^ω^)「最強だお!絶対バスケ部に入ってもらうお!!!」
('A`) 「昼休み、会いに行ってみるか」
そこで話は一旦終わる。
授業がすぐに始まり、俺はそのことを深く考える余裕もなくなっていた。
昼休み、8組の教室にやってきた俺と内藤は愕然とした。
あまりに多すぎる人の群れ。
その内の8割が女子という、このパラダイス。
(;'A`) 「……すげぇな」
(;^ω^)「どんだけぇ〜……だお」
その人の群れの中心は、やはりフサギコ。
ここからでは姿が見えないが、女子の話す内容からしてそうだと判断した。
('A`) 「ちと潜ってみるか」
そういって俺は、その女子の群れを掻き分けて進んでいく。
その後ろに、巨漢の内藤がついてきていた。
( ^ω^)(うはwwwおにゃのこのおっぱい当たったおwwwwww)
そして、ようやく中心に近づいた頃。
女子が円を描くようになって、一人の男子を質問攻めにしていた。
やはり、フサギコだ。
ミ,,゚Д゚彡「うん。この地元に住んでるんだけど、中学は私立だったんだ」
「そうなんだー!だから私見たことなかったんだー!」
ミ,,゚Д゚彡「あはは。これからよろし……ん?」
フサギコと目が合う。
楽しそうに女子とお話していたフサギコが、唐突に席を立った。
ミ,,゚Д゚彡「あ、ちょっとごめんね」
そう言って、俺の元に歩いてくる。
俺の目の前に来たところで、一つ疑問系で言った。
ミ,,゚Д゚彡「……ドクオ?」
('A`) 「うっす」
ミ,,゚Д゚彡「うわwwwドクオwwww こんなところで何してるんだよwwww」
('A`) 「うるせー。お前こそ同じだろうに」
ミ,,゚Д゚彡「まーね……。ってか、ここじゃ何だし、どっか行く?」
('A`) 「ここじゃ……流石にな」
俺がそう言うと、フサギコはまた女子の方へと歩いていった。
なにやら二言三言話し、笑顔で手を振る。
相変わらず、女慣れしている男だった。
ミ,,゚Д゚彡「どっか人通りが少ないとこ行こ〜」
('A`) 「……あー。おk」
俺とフサギコ、その後ろに内藤が並んで、8組を出る。
適当に校舎を歩いていって、人が少ない講義室に入っていった。
('A`) 「……にしても、すげー人気だな」
ミ,,゚Д゚彡「みんな物珍しげに来てるだけだよ。すぐに収まるって」
('A`) 「どうだか……」
適当に席に座り、内藤を見た。
目が合っただけで通じたらしく、内藤は自分の自己紹介を始める。
( ^ω^)「ドクオの友達のブーンだお!よろしくだお!」
ミ,,゚Д゚彡「フサギコです。よろしくねー」
このフサギコは、かなり人懐っこい性格だと記憶している。
あの1週間の「夏休みひろゆき高校推薦者合宿」でも、一番人を集めていた。
('A`) 「親の転勤か何かか?こんな6月に転校なんてよ」
ミ,,゚Д゚彡「え、あ〜……転勤じゃないかな……」
( ^ω^)「おっ!フサギコ君はバスケ部に入ってくれるかお?」
内藤が早速切り出した。
目がきらきらと輝いて、早く続きを聞きたがっている。
ミ,,゚Д゚彡「……俺、バスケはさ……ちょっと厳しいかも」
(;^ω^)「おっ?」
('A`) 「……」
ミ,,゚Д゚彡「ひろゆき高校にいた時、ひざ痛めちゃってさ。もう前みたいには速く動けないんだよ。
……んで、それが理由でひろゆきも辞めて」
ミ,,゚Д゚彡「俺特待だったから、授業料とか免除だったんだ。
でも、怪我して使えないって分かった途端、それもなくなってさ……。
ウチじゃ私立に通うなんて無理だから、公立に移った、ってわけ」
「笑っちゃうでしょ?w」と一言付け加えて、フサギコは俺の方を見た。
(;^ω^)「ひざって……もうバスケは出来ないのかお?」
ミ,,゚Д゚彡「そこまでは酷くないんだけどね。リハビリを長くやったら、バスケは出来るようになるってさ。
……もちろん、全力疾走とか、昔のようなプレーは出来ないんだけど」
('A`) 「……」
ミ,,゚Д゚彡「やっぱ、もうバスケは無理かなぁ。なんて思っちゃって」
( ^ω^)「……そんな事はないお!」
ミ,,゚Д゚彡「え?」
( ^ω^)「たとえ全力でバスケできなくても、バスケは出来るんだお!」
ミ,,゚Д゚彡「……」
( ^ω^)「一緒に、バスケやるお!バスケ部に入るお!!」
ミ,,゚Д゚彡「俺、まだ全然走れないし、迷惑だっていっぱい……」
( ^ω^)「でもそんなの関係ねぇ! お」
( ^ω^)「バスケやりたい気持ちはみんな一緒だお!
バスケは永久に不滅だお!」
ミ,,゚Д゚彡「……」
( ^ω^)「フサギコ君!!一緒にバスケ、やってくれるかお!?」
ミ,,゚Д゚彡「……ブーン君……!うん!」
('A`) 「……残念ながら、入部は認めねぇ」
第19話 終
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