('A`)「フサギコ!!」
ミ,,゚Д゚彡「ナイスパス!」
ツンデレを振り切ったフサギコにパスを出す。
そのまま地を蹴り、ジャンプシュートを放った。
――パシュッ
ミ,,゚Д゚彡「っし!」
フサギコのミドルシュートが決まる。
相手もこちらも、まだ一本のシュートも外してない状況だ。
('A`)(だけど……相手の武器がスリーじゃ追い付けない……)
必要なのは相手のスリーを止めるディフェンスだ。
つまり、ここからが本当の山場となる。
('A`)「止めるぞ!声出して行け!」
メンバーに叫ぶと、メンバーもそれに答えた。
それに続いて、つーがボールを運んでくる。
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第三話 【スクリーンを止めろ】
('A`)「ショボン!ジョルジュ!
オフェンスがスクリーンに行ったら教えてやれ」
スクリーンはディフェンスが気づいてしまえば、簡単に避ける事が出来る。
スクリーンに行った事を知らせれば、フサギコも注意を払えるのだ。
( ゚∀゚)「把握!」
(´・ω・`)「了解しました」
これでスクリーンについては大丈夫だろう。
だが、スリーを打てるのがツンデレだけとは限らない。
つーが簡単にパスを出せないよう、少し強めにディフェンスについた。
(*゚∀゚)「スクリーン封じねぇ……簡単に行くかな?」
ディフェンスで接近した俺に、つーがニヤリと笑う。
それに対して俺は無言のままディフェンスを続けた。
('A`)(格別ドリブルが凄いわけじゃない……抜かれる事はないな)
それはいいとして、だ。
(*'A`)(……何かいい匂いする……)
女子特有のあの優しい香り。
つーに密着したため、その匂いが一段と強くなった。
('A`)(……っと……気を抜くな)
自分に言い聞かせる。
スクリーン封じをしたのに、自分が抜かれては仕方ないのだ。
……その時だった。
「スクリーン!!!」
背後から声が聞こえる。
それに答える、フサギコの声も。
スクリーン封じはきちんと機能しているようだ。
(*゚∀゚)「ふふーん♪」
目の前にいるつーが、鼻で笑った。
やけに不気味に感じる、その笑い。
何かを思わせる、その笑い。
答えは、簡単だった。
(*゚∀゚)「ツンちゃん三本目、レッツゴー!!」
(;'A`)「………!!?」
つーが一瞬の隙をついて、パスを出す。
慌てて確認する、そのパスの方向。
(;'A`)(何で……!!?)
つーが出したパスの先。
ボールを受け取ったのは――――
ξ゚听)ξ「ナイスパスですッ!」
――――またしても、ツンデレだった。
(;'A`)「誰か、カb―――」
――――パシュッッ
ツンデレによる、三本目のスリーポイントシュート。
ディフェンスであるはずのフサギコは、いるべき場所、ツンデレの前にはいなかった。
振り向いて、フサギコの位置を確認する。
ツンデレから僅かに離れた、フリースローライン。
フサギコは、そこにいた。
('A`)「フサギコ……スクリーンの声聞こえただろ?いい加減に止めろよ……」
歩み寄りながらフサギコに言う。
すると、それに続いてショボンとジョルジュがやってきた。
( ゚∀゚)「全くだぜ……俺がせっかくスクリーン知らせたのに」
(´・ω・`)「僕がスクリーン知らせた時、返事したじゃないですか」
二人の言葉を聞いて、一つの疑問が生まれる。
それは仮定に代わり、フサギコの言葉によって確信になった。
ミ;,,゚Д゚彡「ごめん……。
ダブルスクリーン、避けきれなかった……」
('A`)「……ダブルスクリーンか……!」
普通、スクリーンは一人のディフェンスに一人のオフェンスが壁になる。
その場合、スクリーンの存在にさえ気付けば、簡単に避ける事が出来るのだ。
だが、今回フサギコがやられたのは、ダブルスクリーン。
つまり、一人のディフェンスに体して、二人のオフェンスが壁になるのだ。
この場合、たとえスクリーンに気付いたとしても、簡単には避けられない。
二人分避けて通るのだから、大幅にマークが遅れるのだ。
('A`)(それに、女子はシュートのスピードが速いからな……)
つまり、分かっていても、止められないのだ。
もちろん、スクリーンの対策は避けるだけではない。
スクリーンをかけた人間のディフェンス。
こいつが、フリーになったオフェンスを止めに行くという作戦だ。
('A`)(だけど……付け焼き刃で出来る事じゃない)
これを行うには、絶妙の連携と繰り返された練習が必要だ。
一回も練習していない俺達が、簡単に出来る訳がなかった。
スクリーンは、弱者チームから、それこそ全国大会でも使われている技だ。
極めれば極まるほど、それを止めるのは難しくなる。
('A`)(やっぱり、フサギコにどうにかしてもらうしか……)
考えた所で、これといった対策は思い浮かばない。
考えがまとまらない内に、オフェンスの態勢が整ってしまった。
('A`)(とりあえず、攻めるか……)
ディフェンスばかり考えて、オフェンスを疎かにしてはいけない。
一旦頭を切り替えて、ドリブルを付き始めた。
(*゚∀゚)「ディフェンスだよ!」
つーが腰を下げて、ディフェンスの構えをとる。
決して悪くはないディフェンスだ。
女子にしては、きちんと構えが出来ている。
だが、俺の相手には及ばない。
(*゚∀゚)「―――――ッッ!!」
右足に力を入れ、地を蹴る。
一瞬にしてつーの横に並び、次の瞬間にはつーを置き去りにした。
(*゚∀゚)「か、カバー!」
つーが叫ぶ。
その声を聞いて、センターのハインリッヒが俺のカバーにやってきた。
('A`)「……」
このまま突っ込めないと判断した俺は、一旦ドリブルを緩める。
从;゚∀从(シュート……?)
ほんの少し、ハインの体が浮いた。
俺のシュートを警戒して、上体を起こしたのだ。
その開いたスペースを、俺は逃さない。
――ダムッ!
一度緩めたドリブルをかなり鋭くする。
同時に出した右足。
ハインリッヒの横を。そして次の瞬間には、左足を前に。
('A`)(抜けた!)
センターのハインリッヒを抜いたため、俺の前にディフェンスはいなくなる。
後は簡単に、レイアップを決めるだけだった。
――パシュッ
点を決める事は出来たが、スコアは9―6。
お互い外していないのに、既にこの点差だ。
どうにかして相手のスリーを止める必要があった。
(;'A`)(来やがった……!)
対策が出来ていない内に、つーがボールを運んでくる。
その表情は、憎らしい笑顔に満ちていた。
(*゚∀゚)「ど―?スクリーン攻略は思いついた〜?」
問いには答えず、ただボールに集中する。
相手がパスを出す前に、ここで終わらせようとしたのだ。
だが、抜く気のないつーのドリブルは中々カット出来ない。
常にボールを守る態勢なので、触れることすら出来ないのだ。
「「スクリーン!!!」」
背後から、2つの声が重なって聞こえた。
またしても、ダブルスクリーンだ。
(;'A`)「フサギコッ!」
つーをお構い無しに、後ろを見る。
フサギコの横に、腕を下で組んだクーとペニサス。
そして、そのクーとペニサスの横をすれすれで通るツンデレ。
慌ててフサギコが追いかけるが、クーの体に阻まれ、数瞬の遅れを取る。
ようやくツンデレの前に辿り着いた時には、
既にツンデレはシュートモーションに入っていた。
ミ;,,゚Д゚彡「くぅッッ!」
両手で放るそのフォームは、通常のソレよりもかなり速い。
フサギコが必死に手を伸ばすが届かず、またしてもスリーが放られた。
――――パシュッ
ツンデレから放たれたボールは、そのまま音を立ててリングを潜る。
四本中四本、かなりの高確率だ。
('A`)(……)
あのツンデレを止めなければ、はっきり言って勝機はない。
だが、相手のスクリーンは攻略出来ない。
万事休すとなる、一歩手前だ。
('A`)(だけどな……)
先ほど、後ろを向いてまで確認したこと。
それを確かめることが出来た。
俺の考え通りなら……
('A`)(見付けたぜ……スクリーン対策!)
すぐに審判にタイムアウトを要請する。
審判が笛を吹き、一分間のタイムアウトが設けられた。
('A`)「聞いてくれ」
メンバーをベンチに集めて、俺の考えを話始める。
('A`)「分かってると思うが……女子のスリーは正直脅威だ」
('A`)「これを止めなきゃ、話にならねぇ」
全員が頷く。
分かっているのだ、本能的にも。
('A`)「相手のスクリーン……俺達の連携で崩せるほど甘くはない」
('A`)「付け焼き刃のコンビプレーより、個人の力で止める方が得策だ」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(´・ω・`)「僕かドクオ君が、ツンデレに……?」
('A`)「いや……そうじゃない」
('A`)「出番だ、ビロード」
(;><)「!?」
('A`)「お前がツンデレを止めるんだ」
突然の俺の言葉に、ビロードは首を横に降る。
(;><)「無理無理カタツムリなんです!
フサギコ君でも止められない相手を僕がなんて……」
('A`)「ビロード、良いこと教えてやる」
ビロードの言葉を遮る。
そして、代わりの言葉を発した。
('A`)「バスケットには、小さい奴しか出来ない仕事もあるんだぜ」
第三話 終
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