('A`)「ブーン!もういっちょ行くぞ!」

俺が叫ぶと同時に、ブーンがゴール下で張る。
対するディフェンスは、女子のハインリッヒ。
ブーンの技術不足も、圧倒的な身長差により無効となっていた。

( ^ω^)「オッケーだお!」

完全に、ブーンが面を取った。
その瞬間を見逃さずに、俺はブーンへとパスを出す。

それを受け取ったブーンが、すかさずターン。
そのままジャンプし、あっさりとゴール下を決める。
ディフェンスは、ただそれを見ることしか出来ない。

('A`)(あんだけ身長差があると、やっぱり攻めやすいな……)








  ( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第5話 【俺たちの実力 前編】









現在、第3クォーターの途中。
得点は、22-42と大きく差が出来ていた。
もちろん、男子側の勝利である。

('A`)「ビロード!行ったぞ!」

( ><)「はいなんです!」

ツンデレのスリーポイントをビロードが綺麗に止めてくれている。
それにより、相手の得点は半分程度に抑えることが出来ていた。

ξ;゚听)ξ 「くっ……先輩! ……あっ!」

──バシィ!

ツンデレが無理やりに出したパスを、ショボンがカットする。
既に走り出していた俺に、パスが来る。
流れるような速攻だった。


('A`)「ナイス、ショボン!」

(´・ω・`) 「ナイッシューです」

試合の流れは、完全にこちら側だった。
流れが傾いているという事は、それだけでかなり士気が上がる。
自分たちも、自然と声が出るようになっていた。


審判「女子チーム、タイムアウトです!」


流石に、流れに危機感を覚えたのだろうか。
ようやく女子がタイムアウトを取った。
自分たちもすぐにベンチに戻り、新たな指示を出す。


('A`)「たぶん、女子は次はブーンを止めに来るはずだ。
    いくらなんでもブーンに決められすぎだからな……」

(*^ω^)「おっおっ」

('A`)「オールコートで当たって来るか……それか、ゾーンディフェンスで来るはずだ」

「一人が一人を守る」マンツーディフェンスに対して、
ゾーンディフェンスは、「一人が一つの場所を守る」ディフェンスだ。
各々が決められた場所を責任を持って守るやり方。

これをされてしまっては、今までのようにブーン一人では攻められなくなる。

('A`)「そこでだ。
    次からは、俺とジョルジュを中心に攻める」

( ゚∀゚)「ようやく出番かぃ!」

('A`)「二人で中に切り込みまくって、相手のゾーンを乱すんだ。
    誰か一人でも混乱すれば、ゾーンには隙が出来る」


審判の笛が鳴り響く。
女子ボールからで、試合が再開された。

川 ゚ -゚)「……ッ!」

ジョルジュのマークであるクーが、鋭いドライブをする。
あっさりと抜かれたジョルジュの一歩前で、
綺麗にジャンプシュートを決めてきた。

(#゚∀゚)「こんにゃろ……」

('A`)「ドンマイ。オフェンスで取り返せ」

( ゚∀゚)「あたぼーよぅ!」




('A`)(……来たか)

予想通り、女子チームはゾーンディフェンスをしてきた。
2-3ゾーンという、基本的な隊形。
これなら、簡単に崩すことが出来る。

('A`)「ジョルジュ!」

( ゚∀゚)「おうッ!」

俺がパスを出すと同時に、ジョルジュは体を半回転させる。
ターンかと勘違いしたディフェンスは、そのジョルジュを追おうと足をばたつかせる。

だが、ジョルジュのそれはフェイク。
次の二歩目で体を戻し、パスを受け取ると同時に足を大きく踏み出した。

川;゚ -゚)「くっ──!」




ジョルジュが抜いた所で、すぐにカバーがやってきた。
ここまでは予想通り。ゾーンならではだ。

( ^ω^)「コッチだお!」

( ゚∀゚)「なーいす!」

誰かがカバーに行くと言う事は、誰かがフリーになるということ。
ジョルジュに二人ついた分、ブーンのディフェンスがいなくなったのだ。

無難にパスを出し、それを落ち着いて決める。
点差は、またしても広がった。

('A`)「よっしゃ!もう一本!止めるぞ!」

( ^ω^)( ><)( ゚∀゚)(´・ω・`) 「おお!!」

───……・・・
──…・・・
─・・・
・・



・・・
………
…………

審判「34-68!男子チームの勝ちです!」

最後の笛と同時に、全員が頭を下げる。
「ありがとうございました」の掛け声と共に、俺たちの顔は笑顔になった。

(*^ω^)「おっおー!!勝ったお!」

( ゚∀゚)「ダブルスコアだぜ!ダブルスコアwwwwwwwww」

(*><)「ぼくもがんばったんです!」

相手はたかが、女子だろう。とも思ったが、
このチームとしては初の勝利ということになる。
喜びすぎるのも、悪くないことだ。



('A`)(ようやく、一勝……か)

女子相手にだが、勝ちは勝ちだ。
これが、このVIP高校男子バスケ部の初勝利。
悪くはない。

( ^ω^)「てか僕たちって強いんじゃないかお?wwwww」

( ><)「そ、そんなに甘くはないかと……」

( ゚∀゚)「いや、俺たちは強い!
     なぜなら俺様がいるからだ!」

( ><)「バロッシュwwwwwwwwwwww」


……一部の人間は、浮かれすぎているようだが。



(*゚∀゚)「いやー……さすがドクオ君だね!」

片付けが終わった後、女子バスキャプテンの、つーさんが話しかけてきた。
面倒くさいと思ったが、流石に無視するわけにはいかず、適当に相槌を打つ。

(*゚∀゚)「あ、そうそう。明日はこの体育館使えないらしいよ」

('A`)「……まじですか」

(*゚∀゚)「バレーの公式戦だってさー。
     ほら、あいつら県大会出場してるし」

どうやら明日は、バレーの県大会らしい。
……そういえば、もうそういう時期でもあった。

('A`)(確か……)



(´・ω・`) 「バスケの県大会も、明日ですよ」

ショボンに聞いてみたところ、やはりそうだった。
明日は、インターハイ予選の県大会らしい。

(´・ω・`) 「明日、体育館も使えないんでしょう?
      なら、みんなで大会を見に行くのもどうです?」

('A`)「そうだな!って言いたいところだが……。
    夏休みはあんまり休み取れないだろうから、明日は休養日にする。
    大会みたい奴は、各自でってことにしよう」

夏休みは、地獄のような毎日にする予定だ。
最後の休みくらい、作ってやってもいいだろう。



( ^ω^)「ドクオー!大会一緒に見に行くおー!!」

どこから話を聞いていたのやら。
突然、ブーンが俺の横に現れた。

( ^ω^)「僕も強いチームの試合みたいお!一緒に行くお!」

('A`)「……だな。県大会って言えば、レベルもそこそこ高い。
    見ておいて損はないしな」

(´・ω・`) 「ならば、僕もご一緒させてもらっていいですか?
      ビデオを撮って、いろいろ研究したいですし」

( ^ω^)「もちろんだお!……あ!フサギコも行くかお?」

たまたま通りかかったフサギコに、ブーンが声をかける。
だが、フサギコは苦笑いを作って見せた。

ミ,,゚Д゚彡「行きたいけど……あいつらに会ったら気まずいしさ……ww」



( ^ω^)「……?」

流石のブーンは、それだけではよく意味がわからなかったらしい。
だが、俺には当然のごとく、フサギコの言いたいことがわかる。

('A`)(……ラウンジ学園、か……)

県内、いや、全国でも最強と謳われるラウンジ学園。
もちろん、この大会にも進出しているだろう。

元々フサギコは、そのチームの人間だ。
一度バスケをやめた人間を暖かく見守るほど、
ラウンジの連中はお人よしばかりではない。

('A`)「おっけ。それじゃ、俺とブーンとショボンな」

適当に時間を決め、待ち合わせの場所も決める。
明日また、ということで、その日は解散をした。


───。

太陽の熱により、アスファルトが湯気を発する。
視界が蜃気楼のように揺れる中、俺は……

(;'A`)「あぢぃ……」

街中を歩いていた。


(;'A`)「ぐっぞ……。暑すぎだろ常考……」

俺は元々、太陽の暑さが苦手だった。
バスケットはいつでも室内競技。
直射日光というのに、慣れていないのだ。

( ^ω^)ノシ「おそいおー!ドクオー!」

(´・ω・`) 「バスケのヒーローも、外じゃただの雑魚ですね」


(;'A`)「うるぜー……」

バテバテになりながらも、ブーン達についていく。
正直、いつ倒れてもおかしくない状況だ。

(´・ω・`) 「ほら、もうすぐですよ。中央体育館。
       あそこならクーラーもついてますし」

( ^ω^)「がんばるおー!」

クーラーが俺を待っている。
それだけを考えて、必死に足を進めていた。

後100m……
50m……
30m……
10m……

あと、1歩……!!


\(*'∀`)/「ひゃっほーーーーーーーい!!!」

体育館に入った瞬間、涼しい風が俺の体を包む。
思わず、両手を上げて走ってしまう。

\(*'∀`)/「涼しい!涼しい!
        文明ってスゲー!文明開化バンザイだぜ!!!」

流れていた汗も一気に引いていく。
凄い。人間の科学はここまで進んでいたのか。

\(*'∀`)/「テwwwwラwwwwwスwwwズwwwシwwwww」


(^ω^)「……」

(´・ω・`) 「……」





(*'∀`)「ほら、早く試合見に行こうぜ!」

後ろでのこのこと歩いているブーン達を呼ぶ。
二人の顔は、心なしか引いているようにも見えた。

(*'∀`)「元気ねーなー?
     やっぱり室内では俺が最強だぜwwwwwww」

早く試合を見よう、と思って走り出す。
もう一度、後ろの二人を見ようと思って、振り向いた瞬間だった。

──ドンッ!

余所見をして走っていたため、正面の人間にぶつかってしまった。
慌てて前を見て、謝罪をする。

(;'A`)「すんませ──」

だが、そこにいたのは。
俺が予想していなかった人物だった。




('A`)「───ッ」

ずいぶんと見ていない顔だった。
だが、いつでも脳裏に浮かぶ顔だった。

俺が、唯一心からライバルと思う男。
本気でも、勝てるかわからない相手。


中体連決勝、死力を尽くして闘った選手。


( ・∀・)「……」


モララーが、そこにいた。


第5話 終

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