('A`)「……モララー」
( ・∀・)「……」
思わず、その名前を口にしてしまった。
あまりに久しい再会。
あまりに突然の再会。
( ・∀・)「……お前、まだどっかでバスケしてるらしいな」
俺より大きいからだのモララーが、俺に話しかける。
この近距離では、俺がモララーを見上げる形だ。
('A`)「……ああ」
( ・∀・)「バスケ止めるため、とか言って公立行ったんじゃねーの?」
相変わらず、口は少々悪い感じがする。
こいつの言葉は、いちいち棘がある。
( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第6話 【俺たちの実力 後編】
('A`)「いろいろ会ったんだよ」
( ・∀・)「ふん……。わざわざラウンジの特待を蹴って、公立でバスケか。
"あの時"とは、全然変わってるんじゃないのか?」
('A`)「人間、成長するもんだろ」
( ・∀・)「退化もするけどな」
やはり、こいつの言葉は癇に障る。
するとそこへ、連れの二人が追いついてきた。
( ^ω^)「おっおー?知り合いかおー?」
(´・ω・`) 「彼は……モララー……?」
(;^ω^)「え!?あのラウンジのモララー君?!
うおっ!本物だ!」
( ・∀・)「そいつらが噂の"新しい仲間たち"か」
('A`)「いちいちうっせーな。試合の応援行かなくていいのかよ」
( ・∀・)「ふん……。そういえば、お前のトコの学校。
フサギコも転校したんだっけな」
フサギコの名前が出て、ブーン達の感じが変わる。
先ほどまでの、おちゃらけた感じがなくなった。
( ・∀・)「アイツも一度バスケ止めるとか言ったくせに、
またバスケ始めたんだって?」
( ・∀・)「くく……。どうやらお前の学校は弱者の復活が流行りらしいな」
(#^ω^)「お前!もう一回言ってみろお!!」
突然、ブーンが前にのめりだす。
モララーを強くにらみつけ、言葉を放った。
(#^ω^)「ドクオやフサギコ君が弱者!?
ふざけんなお!二人とも超うまいお!」
( ・∀・)「くくく……。いいなぁ、お前らのチーム。
とっても素敵なチームメイトをお持ちで」
まだ怒りの収まらない様子のブーンを、ショボンが引き止める。
モララーの視線は、相変わらずブーンに向いたままだった。
( ・∀・)「お前、名前は?」
(#^ω^)「……内藤ホライゾンだお」
( ・∀・)「ホライゾン、いい事を教えてやるよ」
モララーの口が、明らかに笑いを含めたものになった。
( ・∀・)「お前らの"上手い"っていうのは、ただの傷の舐め合いなだけだ」
('A`)「……」
(#^ω^)「……」
(´・ω・`) 「……」
( ・∀・)「てめーらの"実力"が、試合見ればわかるだろうよ」
捨てるように吐き残し、モララーは歩き出す。
その方向は、試合会場へと向いていた。
( ・∀・)「ああ、ドクオ。最後に言い忘れてたけどよ」
一度だけ振り返って、モララーが俺に言う。
( ・∀・)「さっきのお前の言葉は間違いだ。
俺は"応援"じゃなくて、"選手"として行ってくるぜ」
タイミングよく会場のドアが開き、
モララーの姿はコートの中へと消えていった。
(#^ω^)「ああ!アイツ本当にムカツクお!!」
('A`)「しゃーねーさ。あいつは昔から口が悪いしな。
んな事より、早く二階に行って試合を見ようぜ」
(´・ω・`) 「そうですね」
階段を上り、二階の客席に向かう。
席はかなり埋まっており、席を探すだけでも一苦労だった。
(´・ω・`) 「次は……。運命でしょうか。
クビナガ高校対ラウンジ学園です」
('A`)「……」
クビナガ高校も、聞いたことのある名前だ。
キャプテンのシラネーヨを中心とした、大型チームの記憶がある。
('A`)「お……始まるぞ」
両チームのスタートメンバーがベンチから出てくる。
遠くてあまりよく見えないが、一つだけ確かなことがある。
(;^ω^)「モララー……スタメンだお……」
そう。モララーがスタートメンバーとして出場しているのだ。
この大会は、3年生も含む最後の大会。
その大事な試合、しかも、ラウンジ学園という強豪の中で。
モララーは、一年にしてレギュラーを獲得していたのだ。
('A`)「……」
ならば、見せてもらう。
お前の実力を。
俺たちの実力を。
両チームのセンターが、ジャンプの構えを取る。
流石に県大会ともなると、かなり大型だ。
特に、クビナガ高校のシラネーヨは半端でなくでかい。
ショボンの事前調査によると、2m8cmらしい。
(;^ω^)「2mとか……これで県大会かお……」
('A`)「まぁ、2mはそんなにたくさんはいないけどな。
全国には、もっとでかい奴もゴロゴロいるぜ」
審判が中央に立ち、ボールを真上に上げる。
ジャンプボールを制したのは、やはりシラネーヨだった。
( ´ー`)「おっしゃ!速攻ダーヨ!」
クビナガ高校のガードが、すぐさまボールを前に出した。
そこには、既に走り出していたクビナガ高校の選手。
だが──
──パシッ!
( ・∀・)「っし!カウンター!」
ボールを受け取ったのは、どこからか現れたモララーだった。
と思いきや、今度はそのボールを前に放り投げる。
今度こそ、ラウンジの選手が速攻をきめた。
「「「「うおおおおおおおおお!!!!!!」」」」
ラウンジの応援組がかなり盛り上がる。
ベンチに入れなかった人間だけで、ゆうに20人は超えているようだ。
(;^ω^)「すっげー迫力だお……」
(´・ω・`) 「試合の中で、先取点というのはやはり大きいですからね。
それも、カットからの速攻なら流れもつかめますし」
今度は、クビナガのオフェンスとなる。
5番の番号をつけたガードが、ボールを運んでいた。
それに対する、ラウンジのディフェンス。
何より驚くのは、その腰の低さ。
遠くからでも一目瞭然のその構え。
('A`)(さすが、きっちりと基本をやってくるな……)
どれだけ強豪といえども、ディフェンスは基礎の固まりだ。
どれだけ努力を重ねたかによって、ディフェンスは確実な物になっていく。
「シラネーヨ!」
ガードが、センターのシラネーヨにボールを投げた。
だが、それは明らかな暴投。
ボールの方向が高すぎるのだ。
(;^ω^)「お?」
だが、それは暴投ではなかった。
シラネーヨが腕を伸ばし、跳んだ時。
その高さは、想像を絶するものになった。
(;^ω^)「たっか……!!」
暴投とも思えるボールをキャッチし、着地するシラネーヨ。
その背中には、ラウンジのディフェンス。
( ´ー`)「うおおおおぉぉお!」
力強くドリブルをつくシラネーヨ。
ディフェンスも、それに対して腰をしっかりと落としていた。
( ´ー`)「うそダーヨ」
ディフェンスが腰を下ろした瞬間。
シラネーヨは不意に上体を起こす。
ボールを右手だけでもち、そのまま高く飛び上がった。
(´・ω・`) 「フックシュート……!」
ボールを片手でもち、体を壁にしてディフェンスを遠ざける。
まるで投げるようなこのフォームだが、れっきとしたシュートである。
──パシュッ!
ラウンジのディフェンスを乗り越え、シラネーヨがシュートを決める。
2−2、同点となった。
('A`)(……)
流石に、レベルが高い。
だが、それだけではない。
大事な何かを、俺はまだ見ることが出来ていなかった──。
第六話 終
[前のページへ] 戻る [次のページへ]