( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第10章 ドクオの家庭事情
――キャプテンを決めようと思ってね…キャプテンを決めようと思ってね…
キャプテンを決めようと思ってね……
ショボンの言葉がブーンの脳内をリフレインしている。
( ^ω^)「(…キャプテンはきっと僕だおww)」
この自信がどこから出てくるのかは不明である。
(=゚ω゚)ノ「キャプテンにはドクオを推薦したいな」
( ^ω^)「おおおおおおお!?」
(=゚ω゚)ノ「ぬひゃっ!?なんだよおめー、いきなり変な声出しやがって!?」
( ´∀`)「キャプテンがやりたかったんじゃないかモナ?」
( ゚∀゚)「相棒としてならおkだがキャプテンとなるとな…」
ξ゚听)ξ「ブーンには無理だと思うわ」
(*゚ー゚)「えっと…ブーン君、ごめん!」
(´・ω・`)「僕もイヨウ君と同じ考えなんだ。皆はどう思う?」
(=゚ω゚)ノ「異議なしだヨウ」
( ´∀`)「いいと思うモナ」
( ゚∀゚)「俺はまだここのメンバーのことよく知らないから皆と同じ意見で」
ξ゚听)ξ「大賛成です」
(*゚ー゚)「えっと…私も賛成です…」
(;^ω^)「……」
(´・ω・`)「…ということだがどうだいドクオ君?
強制はしないが君が無理なようならブーン君に任せようと思うんだが?」
( ^ω^)「(ktkrktkrktkrwwwwwwwwwwww)」
('A`)「うーん…あんまり気乗りはしなかったけどブーンが
やるくらいなら俺がやりますよ」
( ^ω^)「ちょwwwwwww」
(=゚ω゚)ノ「(……半強制じゃないかwww)」
(´・ω・`)「どんな条件であれやるといった以上は最後までやり遂げて欲しい。
期待しているよ、VIP北中学元キャプテン」
('A`)「だからなんで知ってるんですかwwww」
ξ゚听)ξ「VIP北でレギュラーでキャプテンで…すごいわね、しぃ…」
(*゚ー゚)「うん…」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「じゃあ内藤君、副キャプテンでもやってみるかい?」
( ^ω^)「はいですお!」
(´・ω・`)「うっそ〜ん♪イヨウ君、お願いしていいかな?」
(#^ω^)「………」
(=゚ω゚)ノ「俺はいいですヨウ。正直あまりやる気が起きないんで
やりたいと思ってるやつにやらせてやればいいと思いますヨウ」
(´・ω・`)「ふむ…じゃあ、初期メンバーの2人にこの部活を任せる、と
いう事で皆いいかい??」
(=゚ω゚)ノ「おk」
( ´∀`)「おkですモナ」
( ゚∀゚)b「おk」
ξ゚听)ξ「うーん…まぁいい社会勉強になると思うしいいんじゃないですか?」
(*゚ー゚)「副キャプテンなら大丈夫じゃないですか?」
('A`)「しぃちゃんwwwwwwウケるwwww」
(´・ω・`)「それじゃあキャプテンはドクオ君、副キャプテンは内藤君で決まりだ。
僕がいない間よろしく頼むよ。」
('A`)「わかりました」
( ^ω^)「はいですお!」
(´・ω・`)「それじゃあ早速で悪いんだが…ドクオ君、ちょっといいかい?」
('A`)「?何ですか?」
(´・ω・`)「この紙に君の中学でやっていたフットワークを全部書き出して欲しい」
そういってショボンはA4サイズの用紙を一枚ドクオに渡した。
('A`)「じゃあちょっと待っててください。すぐ書きますので」
数分後、ドクオがショボンに用紙を返す頃には
用紙は細かい字で片面が真っ黒になっていた。
(´・ω・`)「中学校としては多い方だね。これは毎日やっていたのかい?」
('A`)「はい、ランニングしてストレッチして…そのフットワークを
1時間半くらいで消化して、そこからボールを触る練習に入ってました。
新チームになったばかりの頃はフットワークにハンドリング練習、
ドリブル練習、あとツーメン…こればかりでした」
(´・ω・`)「ふむ。なかなかいいね。ありがとう。それじゃあ皆すまないが
いつものをやってほしい。僕はちょっと考えたいことがあるから
ここで失礼するよ。明日は一応1日体育館使えるようにしておくけど
練習は9時開始。遅れないように」
一同「はーい!」
( ゚∀゚)「いつものってなんですか?」
(´・ω・`)「シャトル150本、ダッシュ150本…を3セットだ」
( ゚∀゚)「わかりました!」
(´・ω・`)「おや?他のメンバーと反応が違ったぞ…?」
('A`)「うし、そんじゃあ始めようか!」
( ^ω^)「キャプテンっぽいおw」
('A`)「キャプテンだよw」
('A`)「じゃあみんな、VIP北でやってた掛け声をそのまま使うぞ。
かくかくしかじか…」
( ^ω^)「それかっこいいおw」
(=゚ω゚)ノ「おk」
( ´∀`)「何か緊張するモナ」
( ゚∀゚)「把握した」
('A`)「VIP高ぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!ファイッ」
ほか4名「オオオオオオオオオオオオオ!!!!」
――ドン!ドン!ドン!
ドクオを除いたメンバーは声を出すと同時に右足で床をテンポよく、3度踏み鳴らした。
そして数時間後……
(;^ω^)「はふー、はふー、慣れてきたとは言っても終わった直後はやっぱきついお」
('A`)「でも大分ましになってきたんじゃないか?お前初日には
『鞄が鉄の塊のように感じるお』とか泣き言言ってたくらいだしw」
( ^ω^)「ちょwwww」
(;´∀`)「はーーー…疲れたモナ…」
(=゚ω゚)ノ「しかしなんだかんだ言ってモナーは結構走れるみたいだなヨウ」
ξ゚听)ξ「ハイお疲れー。タオルね。しっかり汗拭いて風邪ひかないようにしてね。
使い終わったタオルはあそこの洗濯機に自分で入れておいてね。臭いから」
(*゚ー゚)「あと飲み物だよ」
( ゚∀゚)「よっしゃー!んじゃあみんなさっさと着替えてバッシュを買いに行こうぜ!!!」
( ^ω^)「初日なのにぴんぴんしてるお……w」
('A`)「まああいつ化け物だしw」
――帰り道
ξ゚听)ξ「あら?どうしたの?男5人で練り歩いて?むさくるしいわね」
(;^ω^)「……」
('A`)「今からジョルジュのバッシュを皆で選んでやるんだ」
(*゚ー゚)「そっかぁ。じゃあきょうはこっちでバイバイしなきゃだね。みんなバイバイ!
明日は9時開始だから遅れないようにね!」
ξ゚听)ξ「ばいばーい」
( ^ω^)「ばいばいだお」
('A`)「また明日ー」
( ´∀`)「さよーならー」
(=゚ω゚)ノ「んじゃなぁ」
( ゚∀゚)「とっとと去りやがれ貧乳娘!!」
ξ#)ξ「………」
――デュクシデュクシデュクシデュクシデュクシ!!!!!!!!!
( ゚∀゚)「ガハッ……見えなかったぜ…音速の…拳…」
( ^ω^)「早く行くおwVIPスポーツ行くの久し振りだからwktkだお」
――VIPスポーツ
( ゚∀゚)「へぇ〜けっこうでかい店なんだな」
(=゚ω゚)ノ「この辺じゃ一番でかいスポーツショップなんだヨウ」
( ゚∀゚)「じゃあはやくバッシュのあるとこに連れてってくれ!」
( ^ω^)「この辺がバスケ用品コーナーだお!」
( ゚∀゚)「お!これがバッシュか!?すげぇな!いっぱいあるぜ!かっこいいなぁ…
でも結構値段高いんだな…知らなかったぜ」
(=゚ω゚)ノ「俺は断然AND1オヌヌメだヨウ」
( ^ω^)「ナイキだお!」
('A`)「アシックスじゃね?」
( ´∀`)「僕はミズノがいいと思うモナ」
( ゚∀゚)「いっぺんに言うなよ!!俺は聖徳太子じゃねぇぞww」
( ゚∀゚)「お、これかっこいいな、はいてみよう。
お、これもいいな、次はこれにしよう」
(=゚ω゚)ノ「ジョルジュは体格的に多分インサイドを任されることになるから
ハイカットのものを選ぶといいと思うヨウ。インサイドは相手と
足が絡みやすく捻挫しやすいからなヨウ」
( ゚∀゚)「把握した。サンキュー!」
ジョルジュが色々とバッシュを物色している間、
ブーンたちは各々が思い思いに店内を見ていた。
( ´∀`)「(減量サプリメント…欲しいけど高いモナ…)」
(=゚ω゚)ノ「(お、新しいレプリカジャージ発売したみたいだな。今度買いに来よう)」
ドクオはバッシュコーナーにいた。
('A`)「……」
( ^ω^)「ドクオもバッシュ見てるのかお?」
('A`)「うおっ!びっくりした…後ろから突然現れるなよwww」
( ^ω^)「おーwこれこの間晴れバスで特集してたバッシュだお!」
('A`)「(聞いてねぇしw)そうなのか?どこが違うのかさっぱりだな…」
( ^ω^)「このカカトのエアーが…うんちくうんちく…」
('A`)「(…欝になってきたw)」
( ^ω^)「そういえばドクオはバッシュかえないのかお?」
('A`)「へ?」
( ^ω^)「ドクオのバッシュ、大分ボロボロだし、型も結構古いやつじゃないかお?」
('A`)「うーん…まぁ…そうだな」
( ^ω^)「ドクオはいつも足首のサポーターしてるからケガしてるんだお?
あんまりボロボロのバッシュだと足にも悪いお?」
('A`)「…………」
( ^ω^)「………お?」
('A`)「俺はしばらくこれで大丈夫だよ」
(?^ω^)「…お?把握だお…」
( ゚∀゚)「おーいみんな!決めたぞ!これにする」
( ^ω^)「どれにしたお?ナイキかお?」
( ゚∀゚)「レーボク?にしたぞ!はいて色々動いてみたけどこれが一番しっくりきた!」
( ^ω^)「それはリーボックって読むんだおwww」
( ゚∀゚)「お?そうなのか。サンキュー!」
ジョルジュの会計が済み、ブーンたち家に帰るために雑談しながら歩いていた。
小さな交差点でブーンとドクオ、モナーとイヨウとジョルジュに分かれた。
( ^ω^)「また明日だおー」
('A`)「じゃあなー」
( ´∀`)「また明日モナ」
(=゚ω゚)ノ「寝坊すんなヨウ」
( ゚∀゚)「今日はサンキュー!また明日な」
・
・
・
('A`)「ほいじゃ、また明日な」
( ^ω^)「ドクオ、明日は何時頃学校行くお?」
('A`)「んー…一応明日は8時くらいには行くつもりだな」
( ^ω^)「わかったお!じゃあ僕もそれくらいに行くお!おやすみだお!」
('A`)「おう、おやすみ」
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――ドクオ宅
('A`)「ただいまー」
J('ー`)し「おかえり、ドクちゃん。今日はちょっと遅かったみたいだけど
何かあったの?」
('A`)「あ、ごめん。今日は部活の皆とVIPスポーツ行ってたんだ」
J('ー`)し「そうかい…ばっしゅ…見てたのかい?」
('A`)「う…ううん、違うよ!友達のバッシュを皆で選んであげてたんだ!」
J('ー`)し「ごめんねドクちゃん…。カーチャンがもっと儲かるお仕事してたら
ばっしゅ買ってあげれるのに…」
('A`)「そんなの平気だよ!俺はカーチャンが従兄弟からもらってきてくれたバッシュで
十分だよ!まだ全然キレイなままだしもったいないしさ!」
…嘘だった。ドクオのバッシュはドクオの急激な動きについていけずに破れ、
小指が見え隠れしている状態だった。ドクオはそれを自分で無理矢理縫い付けて
応急処置をしていた。ドクオがそのバッシュをもらったのは中学入学時だった。
足の大きさが合わず、中に綿を詰め込んで何とかはけるようにした。
大きくなるにつれて中の綿を取り出し、今はちょうどぴったりのサイズだった。
J('ー`)し「今日はドクちゃんの誕生日だからご馳走作ったんだよ。」
('A`)「わぁー!オムライス!!ありがとうカーチャン!」
J('ー`)し「今日はたくさん作ったからいっぱい食べてね。
それじゃあカーチャンも、いただきます。」
('A`)「ガツガツガツ…」
J('ー`)し「おいしいか?」
('A`)「すごいおいしよ!もうお腹いっぱいだよ…ご馳走様!」
ドクオの家は母子家庭だった。ドクオの父はドクオが生まれてすぐに他界している。
健康が売りだったドクオの母はドクオが生まれてからずっと女手一つでパートをこなしながら
家計を切り盛りしドクオを育てた。
ドクオの家庭は貧しかったがだが、ドクオには不満は無かった。
バッシュを買うお金が無くても、オムライスすらろくに食べられない毎日でも
ドクオは暖かく接してくれる母と二人で健康に過ごしていることが嬉しかった。
中学の時友達に見せてもらった2ちゃんねるのフラッシュ。母親が病気の体で
身を削り働く…そんな内容のものを見てドクオは泣いたことがあった。
自分と境遇が似ていたからだ。しかし、ドクオの家庭は違った。
ドクオも母親も風邪一つひかず、健康な生活を送った。
高校も母に負担をかけないよう、中学時代にも猛勉強し、
奨学金団体から奨学金を受け取った。ドクオの夢はプロ契約をして
母親にうんとラクをさせてやることだった。
ドクオは、幸せだった。
J('ー`)し「さてさて…?」
('A`)「…?」
J('ー`)し「今日お誕生日のドクちゃんに、カーチャンはプレゼントを用意しています」
('A`)「え?なになに??」
J('ー`)し「ちょっと待っててね…」
母親は立ち上がり、古い黒電話のダイヤルを、何かメモを見ながら回した。
ピリリリリリ…ピリリリリリ…
('A`)「……?」
音はふすまで仕切られた向こう側のドクオの部屋から聞こえてくるようだった。
('A`*)「(もしかして…)」
ドクオは胸を躍らせてふすまを開ける。
そこには音の主があった。
携帯電話だった。
('A`)「カーチャン…これ…」
J('ー`)し「電器屋さんでお店の人に選んでもらったんだよ。うぃるこむっていう種類で
一番安いのしか買えなかったけど、許してね」
('A`)「でもカーチャン、携帯って通話料金すごく高いんだぜ?」
J('ー`)し「お店の人が、1ヶ月に決められた料金を払うだけでどれだけ話してもいい
って言ってたのよ。カーチャン機械わからないけど、
お店の人がやってくれたから大丈夫だよ」
ドクオはおもむろに番号をダイヤルし、通話ボタンを押した。
黒電話「ジリリリリリリリ!ジリリリリリリ!」
ドクオの家の黒電話が懐かしい音を奏でる。
J('ー`)し「あら?電話だわ…ちょっと待っててね、ドクちゃん。…もしもし?」
('A`)『もしもし?聞こえる?』
J('ー`)し「……!!」
母親は機械音痴ながらにドクオの行動を理解した。
J('ー`)し『ドクちゃん、聞こえてるよ。…誕生日、おめでとう』
第10章 完
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