( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第13章 ディフェンス
( ;ω;)「(うー…また恥かくことになるお…)」
ブーンは入学してから今日までドクオから1本のシュートすら
決めることができずにいた。
( ^ω^)「(悪く考えるのはやめだお!『ぽじてぶしんきんぐ』だお!)」
( ^ω^)「(ドクオ、受けてみるお!)」
――クイッ
ブーンは左にフェイクを入れた瞬間右にドライブした。
――ダムッ!
ブーンのドライブはこれまでより、少し鋭くなっていた。
ショボンのメニューで存分に走り込んだことに加え、毎朝のドクオとイヨウの
アドバイスの賜物だった。
('A`;)「(こいつ…ドライブ鋭くなっt…!?)」
(=゚ω゚)ノ「(お!いい感じだヨウ)」
――キュキュキュッ!!
ドクオは猛烈なスピードのスライドステップでブーンの正面に回り込んだ。
(;゚ω゚)ノ「(うひょーwwwすげぇヨウwww)」
('A`;)「(あっぶね…)」
(;^ω^)「(ちくしょうだお…)」
(´・ω・`)「よし、ストップ。ドクオ君ナイスディフェンス。内藤君も
前よりいいドライブできるようになってるよ。じゃあ攻守交替!
その前にドクオ君ちょっとちょっと…」
ショボンはドクオを呼び付けなにやら耳打ちした。
(´・ω・`)「…や ら な い か ?(ボソッ」
('A`)「だが断る(ボソッ」
(´・ω・`)「うん、冗談なんだ、すまない」
Σ('A`;)「(ホントかよ…)」
(´・ω・`)「実はね、ボソボソボソ…」
('A`)b「…わかりました」
――ダムッ
ドクオはフェイクなしで左サイドへドライブ。ブーンはさっきの
ディフェンスフットワークの練習どおりにドクオの動きに反応し、
スライドステップをする。
( ^ω^)「(お?なんだかドクオのスピードがゆっくりに感じるお…?)」
(*^ω^)「(きっと僕のスピードが進化したんだお!)」
――ダムッ
ドクオはディフェンスのブーンを引きずったままゴール下へ。
(※『引きずる』というのはディフェンスがただオフェンスについていくだけの
ような状態のことで、ディフェンスがオフェンスに引きずられているように
見えることから使われる、プチバスケ用語。)
そしてドクオは左のローポストの少し中に入ったあたりでブーンに背中を向けて
ドリブルを止めた。
(*^ω^)「(やっとちゃんと止めれたお!)」
( ^ω^)「プレッシャーかけるお!おー!おーおーおー!」
(=゚ω゚)ノ「(うるせぇwwwwww)」
不意にドクオが体を反転させた。フロントターンだ。シュートモーションに入った。
ジャンプシュートだ。
( ^ω^)「シュートチェーーック!だお!」
ブーンは跳んだ。ブーンだけ跳んだ。ドクオはシュートフォームを途中で止めたまま
動いていない。ポンプフェイクだった。ブーンが最高点に達し、落下を始めた瞬間に
ドクオはトラベリングにならないよう、軸足(1歩目に着いた足)を固定したまま足を
クロスさせ、ブーンとの位置を若干ずらし、ジャンプ。上昇するドクオと落下する
ブーンは空中のある一点でぶつかる。
その瞬間ドクオはシュートを放ち、そして沈めた。
(´・ω・`)「バスケットカウント…内藤君、今のは試合でもっともやってはいけないプレーだ。」
( ;ω;)「…はいですお…」
(´・ω・`)「みんないいかい?ディフェンスをする上でやってはいけないこと…
それはむやみやたらと跳ぶことだ。シュートをチェックするときにも
確実に仕留める自信がなければ、跳んではいけない。ただシュートコースを妨害するだけにとどめる。
バスケットカウントというプレーは相手を最も盛り上がらせ、こちらの士気を下げる。
いいことが一つもないんだ」
( ´∀`)「特に僕や長岡君のようにインサイドを行動の核とするプレーヤーにとっては…
ですよねモナ?」
(´・ω・`)「その通り」
( ゚∀゚)「なんでですか?」
(´・ω・`)「バスケットは何をしたら退場になるかわかるかい?」
( ゚∀゚)「あ…確か5ファウル…?」
(´・ω・`)「そうだ。『ファウルは3つになればヤバい』というのは結構有名だろう?」
( ゚∀゚)「退場へのリーチとなる4ファウルを恐れてしまって満足な動きができないんですよね?」
(´・ω・`)「そういうことだ。さらに僕達は今5人しかいない。1人でもファウルアウトの
危機に陥ることはチーム全体の歯車を狂わせることになるんだ」
('A`)「相手にインサイドプレーヤーの替えがいない状態でインサイドプレーヤーが3ファウルになると、
敵さんは面白いくらいインサイドにボールを集めてくるからな」
(´・ω・`)「うん。そういうことだ。まぁ跳ばないようにすることこれから練習して
身につければいい」
(´・ω・`)「そして…だ。僕は今『ディフェンスがやってはいけないこと』について
話した。じゃあ『ディフェンスがやるべきこと』はなんだろう?
ジョルジュ君わかるかい?」
( ゚∀゚)「んー…やっぱりシュートをブロックすることですかね?
相手もショックでしょうし。あ、いや、パスカットかな…?」
(´・ω・`)「残念だがはずれだ。ディフェンスに最も求められるもの…それは相手に
『シュートを打たせない』ことだ。ブロックショットやスティールは相手が
焦った状態でパスやシュートをした結果生まれる場合が多いが。
それに相手にシュートを打たせないと、当然だが相手のシュートの数が減り、
こちらのシュートの数が増える。すると相手はずっと攻められているような
錯覚に陥り、さらにミスを誘発しやすく出来る」
( ^ω^)「でもショボン先生、やっぱりブロックやスティールの方が相手は精神的に
ガックリくると思いますお。実力の差を見せ付けられたような感じで…」
(´・ω・`)「何度も続いたら確かにそうだろうね。でも数回ならば『ドンマイ』や
『落ち着いていこう』と周りが声をかけることで立ち直れる。
所詮は個人レベルでのミスであるからね」
(;゚∀゚)「だんだん難しくなってきたな…」
(´・ω・`)「しかし、24秒ルールで守り切った場合はどうだろう?」
(=゚ω゚)ノ「『チーム全員での攻撃を抑えられた』…と思うヨウ」
(´・ω・`)「そう。1人や2人が原因のミスよりも5人全員が原因のミスの方が
1度だけでも深層心理にずっしり来る。励まし合ったところで
傷の舐め合いになるだけだからね」
( ´∀`)「そしてそれを実現するには5人全員でのチームディフェンスが必要…」
(´・ω・`)「そう。たとえ自分が抜かれたとしても味方がそれをカバーしてくれる…
と味方を信頼することが大切だ。単なる依存とはまた違うところが難しい」
( ^ω^)「味方が抜かれても他のメンバーのカバーで結果的に
24秒を守りきれればいいってことですかお?」
(´・ω・`)「そういうことになるね。しかしそのチームディフェンスの実現には
常にコート全体を把握できる安定した精神状態、それを切らすことなく
動き続けられる体力に脚力、そして精神力が必要だ」
(=゚ω゚)ノ「初めに走るメニューが多かったのはチームディフェンスの基礎を
作るためだったんですかヨウ?」
(´・ω・`)「察しがいいね、その通りだ。さて、一通り話したところで
ディフェンスについてはだいたいわかってもらえたと思う。
最後にまとめると、容易にジャンプをしない、24秒を守り切る。
こんなところかな。5人でのディフェンスについてはまたいずれ話そう」
( ^ω^)「把握だお!今までの『ディフェンスは派手なプレーで仕留める理論』が
根底から覆されたけどなんだか清々しい気分だお!」
( ゚∀゚)「バスケットはディフェンスが大事なのか…」
(=゚ω゚)ノ「地味なプレーなんて性に合わなさそうだヨウwww」
(;´∀`)「カバーディフェンスは大変だモナ…」
(´・ω・`)「じゃあちょっと2組に分かれよう。ジョルジュ君とモナー君は
ポストでの1on1を通じてポストでの守り方を覚えてもらう。
それにシュートも打てるようになってほしいしね。こっちは僕が
見るからそっちはドクオ君に任せるよ」
('A`)「わかりました」
一同はショボン、ジョルジュ、モナー組とドクオ、ブーン、イヨウ組に分かれ、
それぞれのディフェンス練習をした。
('A`)「ブーン、スライドの足運びをもっと速く!相手についてくだけじゃ
止めたことにはならない!常に相手よりも速いスピードで動いて常に先手を取るんだ!
カバーをアテにしちゃダメだ。まずは自分で止める意識を持たなきゃ」
( ^ω^)「わかったお!(ディフェンスフットワークを鍛えなくちゃいけないお!)」
('A`)「イヨウ!神経を集中させて、相手が1歩目を踏み出した瞬間に動いて
相手の行きたいコースを塞ぐんだ!そのタイミングだと多分ファウルになる」
(=゚ω゚)ノ「わかったヨウ!(神経削るヨウww)」
(´・ω・`)「ペイントエリア(台形の中)はほぼ場所をとったもの勝ちだからね、
特にローポストはゴールに近いぶん、得点につなげやすい。
パワーで押し込むだけでなく体を上手く滑り込ませる方法なども
工夫するといいよ」
( ゚∀゚)「はい!」
( ´∀`)「わかりましたモナ!」
――キュキュキュっ!
('A`)「お、いいぞブーン!そのディフェンスだ!今のはいい反応だったぞ!!」
(=゚ω゚)ノ「着々とフットワークの効果が出てきてるようだヨウ」
(;^ω^)「でもこれ足にくるお…細かい間隔で足を強く、素早く動かさなきゃ
いけないから足が痛いお…」
('A`)「それも慣れだな」
(=゚ω゚)ノ「お、そういやヨウ、ディフェンスにつく時は相手のヘソを見るといいヨウ」
( ^ω^)「ヘソ…」
('A`)「目や上半身ばかりを見てるとフェイクにかかりやすいからな。
ヘソのあたりならそこまでフェイクの影響は受けないのか…」
(=゚ω゚)ノ「なかなか使えるヨウ?ただし、ヘソだけ見るんじゃなく、視野全体で
相手をとらえながら見るんだヨウ」
('A`)「ああ、今度試してみる」
・
・
・
(´・ω・`)「(13時半か…)よし、今日はあがろう。14時からバレー部の練習が
あるからはやめに体育館出るようにね」
( ^ω^)「わかりましたお!」
('A`)「おし、VIP高ぉ〜〜〜〜〜〜〜っ!ファイッ!」
一同「おおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
――ダン!ダン!ダン!
テンポよく踏み鳴らされた床の発した音は、心地よい疲労の
体に染み込んでいくかのようだった。
('A`)「集合!」
――ダダダダ…キュキュッ!
部員はショボンのそばに集まった。
('A`)「ありがとうございました!」
一同「ありがとうございました!」
(´・ω・`)「うん、お疲れさま。体はしっかりほぐしておくように。
明日は体育館がバド部の大会で使えないようだからオフにしよう。
今まで休みなしだったからね。羽をのばして、
また月曜日からから頑張ろう」
(=゚ω゚)ノ「おつかれさんでしたー」
( ´∀`)「お疲れさまでしたモナ」
( ゚∀゚)「お疲れさまでした!」
('A`)「お疲れっすー」
( ^ω^)「お疲れさまでしたお」
ξ゚听)ξ「お疲れさまー」
(*゚ー゚)「お疲れさまです」
ショボンは理解した。『荒巻流籠球理論』は始めのシャトルとダッシュで
基礎体力の強化を図ると同時に選手がこれを乗り越えることができるかどうかを
秤にかけていた、いわば門番のような役目をしていたのだ。
(´・ω・`)「(実際に今日の練習も見ていて充分きつかいものだったからなぁ…
たいしたものだよ)」
(*´・ω・)「〜♪〜〜♪〜♪」
ショボンは嬉しそうな表情で鼻歌を歌い始めた。
(´・ω・`)「(荒巻先生…僕はやってみせます)」
(´・ω・`)「…そろそろ試合見学でもさせてあげるかな。地区予選は確か…」
その頃ブーン達はさいぜりアッー!で楽しい一時を過ごし、疲れを癒していた。
――一人を除いて。
(;^ω^)「ねぇみんな、真面目な話があるお。聞いてほしいお。
財布が本当にやばいんだお。せめてドリンクバー代だけでも…」
ξ゚听)ξ「うっさいわね!キャプテンの誕生日祝いなんだから
副キャプテンが払うのは当然でしょ!?」
(;^ω^)「お…理不尽だお…」
( ^ω^)「(ドリンクバーではタバスコとケチャップドリンク作られるし
支払いは僕だし…)」
( ;ω;)「…厄日だお…」
先は、まだまだ長い。
第13章 完
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