( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第12章 againB





インターハイ出場をかけた決勝リーグ2日目第2試合、ラウンジ学園対VIP高校。
初日で両校とも1勝を記録しており、この試合に勝った方がインターハイ出場を
ほぼ確実なものにする重要な試合である。VIP高はブーンの活躍でリズムを作り始め、
イヨウがディフェンスのスペシャリスト池上のディフェンスからスリーポイントを決め、
ドクオの個人技が決まり…流れを手繰り寄せつつあった。
そして流れが悪く、思い通りの試合展開を行えないラウンジ学園は切り札の


――ダムッ…

('A`)「(ゾーン中央の兄者の足を潰すためにパスを回しまくる…と。けどゾーン内で
   回さなきゃ3人がかりで来ないからな…少し不安だがやるしかないな)」

――ダムッ!!

ドクオはトップの池上を抜き去る。これはわざと抜かせて後ろからも潰しに来る
罠だ、今北対ラウンジを観戦していたVIP高のメンバーはそれをわかっていた。
潰される前にパスを出さなければならないということも。







――キュキュキュキュ!!!!

('A`)「……!!!(こいつらこんなに速かったのか!?)」

観戦していた時よりもはるかにヘルプディフェンスのスピードが速い。
見るのとやるのは違う、よく言われるがまさしくそれだろう。
ドクオは観戦していた時のスピードと現在体感しているスピードとのギャップに一瞬
戸惑った。その一瞬が命取り、と言わんばかりに池上は後ろからスティールを狙う。

――バチッ

('A`)「(やべ…)」
池上「へいへーーーい☆ノーマークだぜ、速攻☆」
ミ,,゚Д゚彡「っしゃ、行け!!…って池上かよ。よし、一本行こう!」 
池上「(俺…嫌われてんのかな…なぁ、とし子…)」

フサギコは前線を走る池上へのパスを断固拒否。速攻のチャンスを自ら潰し、セットオフェンス
へと移行する。




ミ,,゚Д゚彡「(3点ビハインド…か)」
ミ,,゚Д゚彡「兄者!」

――ビッ…

('A`)「(くそ…このパスをどうにかできれば有利なのに…!!)」

ラウンジ学園のセンター兄者は高い得点能力を持つ。そしてそれを警戒してきた
ディフェンスの穴をつくようにインサイドから次々と味方へパスを捌く。
センターのパス能力の高さはセンターの得点力、すなわち相手に与える脅威の大きさに
比例していると言っていいだろう。
兄者はシュート力とパス力の両方を兼ね備えている。その兄者にパスが渡るということは、VIP高が
ラウンジ学園にインサイドから四方八方への展開を許しているということになる。
兄者へのパスを封じることができればラウンジ学園の攻撃は威力が落ちるのだが、如何せん
ドクオとフサギコには身長差がありすぎるため、どうにも出来ないというのが現状であった。

――ばしっ

(´_ゝ`)「ナイスパスです!!」
ハイポストでパスを受けた兄者はパワードリブルでインサイドへ。モナーを1、2歩
押し込んだところでターンし、跳び上がる。





( ´∀`)「(今度は普通のジャンプシュートモナか…!けど充分反応できるモナ!)」

VIP高のメンバーは兄者が完全にシュートを打つと思った。完全にセンターで勝負する
ことのできるタイミングであったし、兄者の腕はシュートを放とうと腕が伸び始めていた
からだ。

('A`)「全員スクリーンアウトだ!リバウンd…」

ドクオの一声で全員がそれぞれのマークマンにスクリーンアウトを試みる。
しかし、弟者はブーンのスクリーンアウトを突如後ろに下がってかわす。そして弟者は
アウトサイドへ向かった。
弟者がスリーポイントライン外まで走り、体をゴールへ向けた瞬間だった。
兄者は手首を180度ひねり、リングへ向いていたボールハンドの手のひらを後ろへ向ける。
そのまま手首のスナップだけで勢いよく後ろへノールックパスを出す。

( ゚ω゚)「(…まずいお!アウトサイドには弟者が…)」

弟者がアウトサイドへ走っていったのを感知していたブーンは急いで弟者を追う。
ドクオを初めとしたVIP高のメンバーは最初は兄者の行動に、わけがわからない、といった
様子だったが兄者がパスを出した先にアウトサイドでノーマークで走り込む弟者の姿と
それに必死にくらいつこうとするブーンの姿を見て、彼らの顔にも焦りの色が見えた。




(;^ω^)「(届いて…くれおーっ…!)」

ブーンはパスカットをするために必死に手を伸ばし、弟者に猛然と向かう。
しかしブーンの手はボールには数cm届かず、パスは弟者の手に。そして弟者は
闘牛士が荒ぶる牛をひらりとかわすかのように、直線的に向かってきたブーンを
横へのワンドリブルで悠々とかわす。そして弟者はノーマークでスリーポイントを放つ。

( ゚ω゚)「リ…リバウンドだおーっ!」

ブーンの叫びも虚しく、弟者のシュートはリングのど真ん中を貫き、ネットは軽快な
音をたてる。

「スリーで同点だ!」
「あっさり決めてくるなー…」
「てかあの双子やばくね?あんなパス普通出さないしあんなタイミングじゃ
普通とれねぇよ…」
「またラウンジの1-3-1ゾーンだ!」

('A`;)「っ…(くそっ…!)」




ゾーンディフェンスは本来ゴール下を固めるためのディフェンスである。
つまりディフェンス側はゴール下近辺にディフェンスポジションをとる。
通常のゾーンを相手にする場合はゴールから離れていて、ディフェンスが出てこないような
距離にある場所でポイントガードが攻め方を考え、組み立てる。しかしラウンジ学園の

ゾーンから飛び出してまでプレッシャーをかけに来る。
それが並レベルのプレーヤーならば充分対応できるだろう。しかし今ドクオに
プレッシャーをかけにきているのはディフェンスのスペシャリスト、池上。
ドクオはスティールされないようにボールを守ることに精一杯で、冷静な判断が
できずにいた。

('A`;)「くそっ…イヨウっ!」

池上のプレッシャーから逃れるために苦し紛れにパスを出す。
パスカット。
ターンオーバー。
カウンター。
速攻。
連発。
第2クォーター残り5分。ついさっきまで5点差で勝っていたのがいつの間にか7点差を
追う展開となっていた。
まさに形勢逆転。
ショボンは流れの悪さを断ち切るべくタイムアウトをとった。




―VIP高ベンチ―

('A`;)「(くそっ…どうすれば…!)」
(´・ω・`)「ヒッキー君、準備はできてるね?」
(-__-)「え?は…はぁ…」
(´・ω・`)「ドクオ君と交替だ」
( A )「…………」
(-__-;)「え…え?…」
( A )「ヒッキー悪い…頼むぞ…」
(-__-)「…はい!」

―ラウンジ学園ベンチ―

ラウンジ監督「ふむ。やはりディフェンスを変えたらこうなるか…」
ミ,,゚Д゚彡「あのディフェンスにハマって抜け出せる連中なんてそうそういませんよ」
(´_ゝ`)「消耗がヤバいのが欠点ですがねwww」
(´<_`)「まぁこの時間帯ならラストまでもつでしょう。それまでに
     何点差ついているかわかりませんがね」

――ビーーーーーッ!

オフィシャル「タイムアウト終了です!」




「VIP高がメンバーチェンジしたぞ!」
「9番…去年はいなかったな…一年か?」
「4番と交替?何考えてるんだよ…」
「4番のいないVIP高なんか考えられないっつーの」

(-__-;)「(キンチョーするなぁ…)」
( ^ω^)「ヒッキー、頑張ろうだお!絶対逆転だお!」
(=゚ω゚)ノ「緊張するのはわかるけどヨウ、リラックスだヨウ。お前の実力は
     俺らが一番わかってるヨウ」
( ´∀`)「肩の力を抜かなきゃいいプレーできないモナよ。頼りにしてるモナ」
(*゚∀゚)「さぁ、俺にダンクを決めさせてくれwww」

(-__-*)「…頑張ります!」

――ダムッ…

(-__-)「ここ大事ですよ。一本!」
池上「(こんな大舞台に一年坊を投入だと…高校バスケの厳しさを教えてやろうか少年!)」

池上の激しいプレッシャーディフェンス。それはまるで全国レベルの世界へ足を踏み入れた
ヒッキーへの手痛い洗礼のようだった。




――バチッ

池上「とったぞ!速攻!」
(-__-;)「……っく!ディフェンス!(こ…こんなディフェンスかわせないよ!)」
ミ,,゚Д゚彡「池上!行くな、ストップ!」
池上「っしゃ!」
( ^ω^)「(…………)」

再びラウンジ学園の攻撃。フサギコがトップ付近で様子見といった具合にキープドリブルで
リズムを整えている。

(-__-;)「(マッチアップして痛感した…!!この人の上手さは普通じゃない…!!)」
ミ,,゚Д゚彡「(なかなか良い選手のようだが…4番には劣るな。何より体が細すぎる…
      少々酷だが俺たちも勝つためにここへ来た。容赦はしない)」

フサギコは持ち前のパワーを活かし、ヒッキーを抜きにかかる。

(-__-;;)「うわぁっ!?」

フサギコと体が軽く触れ合い、ヒッキーは豪快に床へ飛ばされた。

「笛は鳴らないぞ!ノーファウルだ!」
「体格差がありすぎだろ…」

スリーポイントライン上でフサギコはノーマーク。イヨウがカバーポジションに入る前に
フサギコはスリーポイントを放ち、沈める。




――ウォォォォォォォ!!フサギコ!!フサギコ!!このままぶっちぎれー!!

フサギコのスリーポイントが決まったことにより点差は10点差。二桁台へ。

(-__-;)「す…すみません…!!ぼ…僕…」
( ^ω^)「ドンマイだお!4番にやられちゃうのはある程度仕方ないお!!」
(=゚ω゚)ノ「ヒッキーにはヒッキーにやれることがあるはずだヨウ」
( ´∀`)「謝りたい気持ちはわかるけどその気持ちは君のパスで示して欲しいモナ」
( ゚∀゚)「今日は俺がまだ全然活躍してねぇぞ!ガンガン来ていいぞ!!」 
(-__-)「…はい!1本いきましょう!!」

('A`)「(くそぉ…歯が立たなかった…!!)」
(´・ω・`)「うつむいてはいけない。ベンチに居ても君は彼らと一緒に闘ってるんだ」
('A`)「はい…」
(´・ω・`)「…君を下げたのは彼らに気付いて欲しいからなんだ」
('A`)「……へ?」

――バチッ!

(-__-;)「…………!」
ミ,,゚Д゚彡「速攻!!!」

「またパスカットだ!!」
「3連続でラウンジのカウンター速攻だ!!」
「一気に16点差…!VIP高は4番を戻すべきだ!!」




(;^ω^)「(どうしてパスが通らないんだお…?)」
(;´∀`)「(いつもならもっとラクに…)」
(;゚∀゚)「(ボールkoneeeeeeeeee)」
(=゚ω゚)ノ「ヒッキー!悪いけどもうちょっとパス速く頼むヨウ!」
(-__-;)「は…はい!すみません!!」

(-__-)「(パスを速く出すんだ…!ドクオさんみたいに…!!…あっ!!)」

パスを速く出そうと焦れば焦るほど腕に余計な力が入ってしまう。
そしてこの大舞台でも極度の緊張。力がボールに全く上手く伝わらず
パスハ見当違いな方向へ。

(´<_`)「速攻!!」

「また決まったーーーー!!」
「ラウンジ強い!!4連続速攻!!!」

(-__-)「(どうしよう…ドクオさん、早く戻って来てください…)」

第12章 完



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