( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第14章 背負ってきたもの





インターハイ出場をかけた決勝リーグ、2日目第2試合のVIP高校対ラウンジ学園。
序盤の均衡を打ち崩すかのように展開される1-3-1ゾーンにVIP高は大きくリードを
奪われる。対するVIP高はドクオに代わりヒッキーをコートへ。
しかしヒッキーにはラウンジ学園の手痛い洗礼が待ち構えており、池上のディフェンスに
動きをことごとく制限される。一方ベンチでは、ドクオがショボンの助言から自らの
展開するオフェンスが独り善がり的なものだったことを悟る。

猛烈な追い上げを見せる。25点あった点差をターンオーバーからの速攻の連発で
次々と埋めていく。ラウンジ学園のプレイヤー達はVIP高の爆発力に焦り、ターンオーバーを
連発。さらにそれを取り返すために単調なプレーを繰り返し、それがさらにミスを誘発する。
ミスがミスを呼ぶ悪循環で流れは大きくVIP高に傾く。
VIP高がわずか5分間で19得点、ラウンジ学園はその間なんとノーゴール。

試合は最終クォーターへ突入していく。






―ラウンジ学園ベンチ―

ラウンジ監督「…ったく…タイムアウト直後のプレーがどれだけ大切なのかは
       あれだけ言っただろうが…」
ミ,,゚Д゚彡「…すみません」
ラウンジ監督「1-3-1はおそらくもう奴らには通用しない。未完成だったとはいえ
       ここまで追い詰められることになるとはな」
(´_ゝ`)「しかし奴らは……!」
ラウンジ監督「言わずともわかっている。奴らは強い。だがうちのほうが強い。
       インターハイ前の準備運動にはちょうどいいじゃないか」
ミ,,゚Д゚彡「…プレスをかけよう」
ラウンジ監督「それがいいだろう。ハーフコートまで運ばれたら点を取られたと思え。
       多少飛び出しすぎても構わん、相手に弱気な所を見せるな」
ラウンジ一同「はいっ!」

―VIP高ベンチ―

(´・ω・`)「最高の追い上げだ。風は今僕らの背中を押している、流れは僕たちが握ってるよ」
('A`)「ここからは少しのミスが試合を決めると思おう。向こうも必死なんだ、後手に
   回ることを考えちゃいけない」
( ^ω^)「この流れなら勝てるお!」
(=゚ω゚)ノ「あと10分、頑張ろうヨウ!」
( ´∀`)「あと少しモナ!最後の最後まで集中していこうモナ!」
( ゚∀゚)「絶対勝とうぜ!」

('A`)「っしゃ、気合い入れていこう!VIP高ぉーーーーーーっ!ファイッ!」
VIP高一同「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」




歓声に埋もれた会場内でVIP高メンバーが床を踏みならす音が鮮明に聞こえた。

ミ,,゚Д゚彡「追撃を許すな!俺たちと奴らでは背負ってきたものの重みが違う!
     俺たちは絶対に勝つ!」
池上「ラウンジファイッ!」
ラウンジ一同「……………」
ミ,,゚Д゚彡「行くぞ!ラウンジファイッ!」
ラウンジ一同「っしゃぁっ!」
池上「あと10分…俺は頑張るぜ」

ラウンジ学園ボールで第4クォーターが始まる。25もの点差を1クォーターとかからぬ間に
一桁差にされ、その勢いは未だ失われてはいないだろう。第3クォーターでは完全に
自分を失ったフサギコだったが、今はなぜか冷静な気持ちでいることができた。
ドクオのプレッシャーが厳しくなってもそれは変わらず、逆に闘志のようなものが
沸き上がってくる。

背負ってきたものの重み。

そう口にしたことで、改めて自分が名門校ラウンジ学園のキャプテンであることの
自覚が深まる。ラウンジ学園の持つ歴史、停滞気味だったチームに現れた流石兄弟と
いう光…。このメンバーならば全国大会を制覇することも決して夢物語ではないはず。
それを活かしてやることこそがキャプテンであり、ポイントガードである自分の務め。
そう考えるとどんな状況でも乗り切ることが出来るような気がした。




――ダムッ…

('A`)「(くっそ、さっきみたいに焦れっつーのw)」
ミ,,゚Д゚彡「(焦る必要などない、勝っているのはこっちなんだからな…)」

フサギコはハイポストの兄者へパスを送る。
兄者はそのまま単独のポストプレーに持ち込み、ベビーフックでモナーから得点。


('A`)「(くっそ、こいつからのパスをどうにかできれば…!!)」

( ・∀・)「VIP高のインサイド陣は流石兄弟兄の対処に困ってるようだね」
( ><)「シュートもパスもあるからですか???」
( ・∀・)「うん、そうだね(珍しくまともな答えが…w)」

――キュキュキュキュ!!!

「ラウンジ学園のゾーンプレス!!」
「意地でも点差を縮めさせないつもりだ!!」

('A`)「(1-2-1-1か…)」




相手がゾーンプレスを用いてきた時のタブーは、ボールマンがサイドライン側に
行く事である。サイドラインに行動を制限され、パスコースもドリブルコースも
減ってしまうからだ。そしてディフェンスはオフェンスをサイドライン側に誘導する
ようなディフェンスを行う。中央へのコースを完全にふさぎ、サイドライン沿いの
コースを空ける。オフェンスをそこに誘い込み、オフェンスがサイドライン沿いに
動いた所でもう一人がヘルプディフェンスに入りボールマンにダブルチーム、他のメンバーは
苦し紛れに出されるパスに備えて各々のポジションを取る。しかしその努力も
ドリブラーが中央へ切り込む、もしくはパスが中央へ通れば水の泡となる。
一旦中央へボールが渡ってしまえばオフェンス側はノーマークの味方へ次々と
パスをつなげればよいからだ。

('A`)「(…ってのがセオリー。こいつらも中央を警戒してきてるはずだ。
    ここはあえてサイドラインを抜く!)」
池上「おっと行かせない」

池上はドクオのサイドライン沿いのドライブを正面に入って止める。
池上が中央へのコースを空けて守りに来たため中央へのコースが一瞬開いたが
瞬時にフサギコがカバーに来たためにそのスペースは埋められてしまった。

('A`;)「(なんでわかったんだ!?)」
ミ,,゚Д゚彡「短い付き合いだがお前の性格は充分わかったからな」
池上「負けず嫌いで強情…!残念だったな」

ドクオはフサギコと池上のダブルチームのプレッシャーにたまらずドリブルを
止めてしまう。パスコースを完全に塞ぐためにフサギコと池上はドクオに詰め寄り
さらに厳しくプレッシャーをかける。




池上「残念だったな」

池上がドクオのボールをはたく。ルーズボールは宙を舞う。ルーズボールにはフサギコが
飛びついてラウンジボール。フサギコは迷うことなくドリブルでゴール下へ向かう。

(=゚ω゚)ノ「やっろぉ…!!(行かせんヨウ!!)」
ミ,,゚Д゚彡「(いいぞ、かかって来い6番!!)」

フサギコはカバーに来たイヨウをレッグスルー一発でかわし、レイアップを沈める。

(=゚ω゚)ノ「は…はえぇヨウ…」

「ラウンジの連チャンで10点差!!」
「おいおいさっきの勢いはどこ行ったんだVIP高ー!?」
「ここまで来て負けるんじゃねぇぞ!!頑張れ!!」

('A`)「(くっそ、1-3-1よりもこっちのほうがずっと攻めにくいじゃねぇか…!!)」

――ザシュッ

「またラウンジの4番だぁーー!!」
「3連チャン!!」

――ビーーーーーーーーーッ!!

オフィシャル「タイムアウト、白!!」




勢いに乗って終えた第3クォーター。それまでの流れで一気に追い上げられると思っていた
第4クォーター。試合時間残り数分に訪れるであろう、緊迫した勝負所のために
とっておきたかったタイムアウトの一つ(最終クォーターはタイムアウト2回、それ以外は1回。
延長クォーターも第4クォーターの一部として扱う)をVIP高は使ってしまった。

―VIP高ベンチ―

(´・ω・`)「どうしたんだい、さっきまでの勢いは?足が止まってしまっているよ。
      積極的に相手の裏を取っていこう」
VIP高一同「はい!」
('A`;)「(けどここまで破壊力のあるプレスとは…どうする…)」 
(;^ω^)「(はわわ、何も役に立ってないお…w)」
(=゚ω゚)ノ「(うむむむ…だヨウ)」
( ´∀`)「長岡君、プレスはセンターやパワーフォワードがボールを繋ぐことも大事モナ。
     タイミングを見てセンターラインあたりに飛び出してみると良いと思うモナ」
( ゚∀゚)「難しそうだががんがって見るぞ!」

―ラウンジ学園ベンチ― 

ラウンジ学園監督「うむ。よしよし、それでいいんだ」
ミ,,゚Д゚彡「勝負所を見極めてのゾーンプレスに、向こうは全く対処できてない!
     わかるだろう、これが地力の差なんだ!このまま20点突き放すぞ!!」 
(´_ゝ`)「は…はい!」
(´<_`)「わかりました!!」
池上「俺とフサギコと弟者の3人を突破することなど不可能だということを
  奴らにわからせてやろうか」
ミ,,゚Д゚彡「池上の言うとおり、さぁ行くぞ!!」
池上「(やっとかまってもらえた…)」

――ビーーーーーッ!!!




第4クォーター残り8分。運命を決める8分間だ。追撃を許さない王者のプライドか、
なんとしてでも一矢報いたい挑戦者の意地か、その両方がコート上で激しく激突する。

――ダムッ

「4番が抜いたぁーーっ!!!」
「もうプレス攻略しちまったのか!!?」

ミ,,゚Д゚彡「(この短時間でもう慣れてしまったとでも言うのか…!?)」
('A`)「(あいにくだがプレス対策は中学の時に腐るほど叩き込まれたからな!それに
    対応できる体力さえあれば後はそれを応用するだけ…!)」
('A`)「モナーーーーっ!!」

プレスを中央突破し、生まれた隙からゴール下へ向かうモナーへロングパスが通った。

( ´∀`)「ナイスモナ、ドクオ君!」
( ´∀`)「(絶対に…負けたくないモナ!!)」

――バスッ

「す…すげぇパスだったぞ今!?」
「まるでイチローの送球のようだぜwwww」
「まだまだ互角!頑張れVIP高ーっ!!」




その後も一進一退の展開が続く。さて、どこかで聞いたフレーズではないだろうか。
そう、昨日のラウンジ学園対今北産業付属今北高校の試合の終盤の内容である。
ラウンジ学園のゾーンプレス。ボールを止めれば強いが、一旦抜けられてしまえば
VIP高に速攻を決められる。速攻を止めたとしても-3-1ゾーンから得点されてしまう。
ラウンジ学園は突き放す決定打を、VIP高は一気に追い詰める決定打をそれぞれ持たぬまま
時間だけが空しく過ぎてゆく。…縮まらぬ得点差と共に。
ラウンジ学園76-68VIP高。それがこの試合の最終スコアだった。

( ・∀・)「インターハイへはとりあえずラウンジ学園が最初に勝ち名乗りをあげた…か」
( ><)「最終日に…1勝1敗同士のVIP対今北なんです!」
( ・∀・)「どちらもラウンジ学園に食らいつくだけの実力は持っている…ははは、編集長の
    言ったとおりだね。どちらが勝つか全く想像がつかない」
( ><)「けど今北はインサイドが弱いんです!VIPはインサイドが強いし周りも強いんです!
      今日の爆発力は凄かったんです!!!」
( ・∀・)「おっ…ビロード君成長したじゃないか!感心したよ」
( <●><●>) 「わかってます。すべてわかってます」
( ・∀・)「しかし…まだ若いね」
( <●><●>) 「…………?」
( ・∀・)「今北Fギコ。彼が『キレた』時の爆発力はVIP高5人すら凌駕するかもしれない」
( ><)「そ…それは少し言いすぎだと思うんです!」
( ・∀・)「もちろん1試合通してというわけじゃない。ギコが爆発している時に限って、ということさ.
    ラウンジ学園も止められなかったことから見ても…ね。たった1人の手によるプレーでも
    そういった局所的なプレーが試合を決める。バスケットとはそういうスポーツなのさ」
( ><)「もっともっと勉強するんです!!」
( ・∀・)「決戦は来週の土曜…か。ふふっ…決勝リーグでここまでwktkするなんて
    何年ぶりかな…」

第14章 完



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