( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第17章 激戦の幕開け





目覚まし時計「じりりりりんぐ…じりりりりんぐ…」

――ばちんっ!

目覚まし時計「…………」
( ^ω-)「んおぉーっ…緊張してあんまり眠れなかったおwww今日はあんまり
    天気いくないお。雨降るかもしれないから折り畳み傘持ってくお」
( ^ω^)「朝飯食べるお。ハムッ!ハフハフッ!ハムッ!」
母「きめぇwww」
( ^ω^)「ちょwww行ってきますおー!」

⊂二二二( ^ω^)二二⊃「(今日勝ったら全国だおwww絶対勝つおwww)」

('A`)「カーチャンごちそうさま。行ってくるよ」
J('ー`)し「頑張ってきてねドクちゃん。カーチャン応援してるからね」
('A`)「ありがとう。行ってきまーす!」
J('ー`)し「お父さん、見てますか?ドクちゃんはもうすぐ全国大会に行こうとしていますよ。
     うん、もちろん信じてますよ。さて、私もそろそろ…」






(=゚ω゚)ノ「んじゃ行ってくるヨウ」
執事「お気を付けて。心の底より応援しております」
(=゚ω゚)ノ「おうヨウ」

――ガチャリ

イヨウが扉に手を掛けるか否かの瞬間に扉が開いた。
その向こうにいたのは、イヨウの父だった。

(=゚ω゚)ノ「………」
父「待ちなさい、イヨウ」

父の脇を無言で通り抜けようとしたイヨウに、父は声をかける。
イヨウは「なんだヨウ」と一言、面倒くさそうに応える。

(=゚ω゚)ノ「海外帰りなんだろうヨウ?疲れてるならさっさと寝ればいいヨウ」
父「まぁ…そうなんだがな…その…なんだ」
(=゚ω゚)ノ「何か用かヨウ?急いでるんだヨウ、もう行くヨウ」
父「ま…まぁ、あれだ。どうせやるなら勝って来い。それで全国でも1番になってきなさい。
  私からはそれだけだ」
(=゚ω゚)ノ「……へっw言われなくてもそのつもりだヨウw」
父「…そうか。なら、いい」

――バタン…

父「大きくなったな…イヨウ…」
執事「だんな様、直接言って差し上げなければ意味はございませんよ?」
父「ふふ…そうだな…」





( ´∀`)「行ってきますモナー!!!」
J ´∀`し「行ってらっしゃい。あらあら、いつにも増してたくさん食べたわね…」

( ゚∀゚)「ふぅー…全国か…いまいち実感わかねぇな……」

――ざわざわざわざわ……

インターハイ出場を決める決勝リーグ最終日。
第1試合のラウンジ学園対阿凡高校の試合が今終わろうとしていた。

(´<_`)「フサギコ先輩!!」
(´_ゝ`)「ラスト3秒です!スリーいっちゃって下さい!」
ミ,,゚Д゚彡「っしゃ!!」

――キュッ…

池上「(さぁ…首を洗って待っていろ、インターハイ!!)」
ミ,,゚Д゚彡「っしゃぁ!」

――シュッ……

フサギコがスリーポイントを放つと同時に試合終了を告げるブザーが鳴り響く。
ブザーが鳴り止むのとちょうど同じ頃、フサギコのシュートはリングを貫いた。

審判「試合終了!!スコア通り、138-34で紫!!」

         「「ありがとうございました!!」」




ミ,,゚Д゚彡「よーし!やったぞみんな!全勝で全国だ!!」
(´_ゝ`)「この勢いでインハイでも暴れまくってやりましょう!!」
(´<_`)「よーし、祝勝会しますかww」
池上「(なかなか上手く溶け込めないぜ)」

( ・∀・)「ラウンジ学園3勝、阿凡高校3敗…か。これでますます次の試合に期待できるよ」
( ><)「勝たなくちゃインターハイに行けないなんて最高のシチュエーションなんです!!」
( ・∀・)「今北FギコとVIPCドクオには中学時代に県大会の決勝で争った過去があるようだしね。
    内容まではわからないが…とにかく楽しみだ」
・・・・・
・・・・
・・・
・・

―VIP高ベンチ―

(´・ω・`)「さぁ。とうとうやってきたよ、インターハイ出場をかけたこの1戦!
      勝てば天国負ければ地獄。最高の状況じゃないかい?」
('A`)「よくいってくれますよホントにwwwぶっちゃけめっちゃ緊張してます」
( ^ω^)「こんな状況で緊張するなって方が無理だおww」
(=゚ω゚)ノ「緊張と同時に…ワクワクしてるヨウ。たった1年ちょいでここまで来れた自分達の
    力が今こそ発揮される時だと思うからヨウ」
( ´∀`)「勝ってみんなで……全国モナ!!」
( ゚∀゚)「俺、今…バスケ部入ってホントによかったって思ってるぞ」
ξ゚ー゚)ξ「みんなで力を合わせて……絶対に勝とう!!」
(*゚ー゚)「頑張って!!私達には応援することしか出来ないけど…それでも!私たちは私たちに
    出来ることをするよ!」
(-__-)「先輩たち…頼みます!!」
(・▽・)「絶対に…インターハイへ!!」




―今北産業大学付属今北高校ベンチ―

(■_■)「よし、準備はいいか?お前ら」
( ,,゚Д゚)「はいゴルァ」
<ヽ`∀´>「バッチリニダよ」
(■_■)「勝負所での大爆発、期待しているぞギコ。ニダーも他のメンバーも、
    ギコがノってきたら全力でサポートに回れ」
今北一同「うっす!!!」


('A`)「っしゃぁ!気合入れていこう!!絶対にインターハイだ!」
VIP高一同「おう!!」
('A`)「VIP高ぉーーーーーーっファイッ!!」
VIP高一同「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

――ダンッ!ダンッ!ダンッ!

――ビーーーーーーーーッ!!!

審判「これより今北産業大学付属今北高校対VIP高校の試合を行います!両校の
   スターティングメンバーはコート中央へ!!」

( ・∀・)「始まるね……」

審判「試合中のコールは今北を水色、VIPを白とします!互いに礼!!」
           
            「「お願いします!!!」」




VIP高校
Cドクオ     169cm56kg PG
D内藤ホライゾン 174cm58kg SF
Eイヨウ     165cm55kg SG
Fモナー     191cm91kg C
Gジョルジュ長岡 178cm77kg PF

今北産業大学付属今北高校
C名無し      SG
D名無し      SF
E名無し      PF
Fギコ  175cm63kg PG
Lニダー 187cm78kg C

――キュキュ…

今北からはLニダーが、VIP高からはGジョルジュが、それぞれジャンプボールのために
センターサークルへ入る。

<ヽ`∀´>「新参にインターハイは譲らないニダよ」
( ゚∀゚)「黙れやチョン。勝つのは俺らだ!」

( ,,゚Д゚)「『あの時』つけれなかった決着を今つけてやるぞゴルァ」
('A`)「へっ、頑張りすぎてミスるんじゃねぇぞ、こっちが恥ずかしいからな」




審判がボールを投げ上げる。ジャンプボールで試合が始まる。勝ったのはジョルジュ。
ドクオへボールを弾くが、ギコは素早くドクオの前に回り込む。
ギコの体格に押され、ドクオはギコに易々とボールを与えてしまった。
素早くディフェンスに戻るブーンたち。
今北のセットオフェンスから試合が始まることとなった。

――ダムッ…

( ,,゚Д゚)「………」
('A`)「………」

『あの試合』からもう2年近く経つのか。

ドクオはギコのディフェンスにつきながらそんなことを考えていた。
あの頃のギコは荒削りで、狡猾で…それでいて何か光るものを感じさせるプレーヤーだった。
そんなギコと、およそ2年の歳月を経てドクオはコート上で再開した。
…お互いに、それぞれが持ち得る技術と精神を磨き上げて。

――ダムッ!

突然だった。ドライブの素振りを全く見せず、パスを回そうとするフリをしている状態からの
ギコのドライブ。ほんのわずかにタイミングの遅れたドクオの体は、わずかな隙間に
自らの体をねじ込んでくるかのようなギコのドライブに弾き飛ばされる。




('A`;)「(重い…!フサギコよりも!)カバーっ!」
( ´∀`)「任せるモナ!」

自分がカバーに出れば自分のマッチアップがノーマークになる。
そうすればギコはきっと自分のマッチアップにパスを出す。
そこを狙って自分がパスをとろう。とれなくてもジョルジュがカバーに来てくれているはずだ。

モナーはそう考えてカバーに入った。パスカットを読んでのカバーだったため、ほんの
わずかだが隙が生まれた。ギコはそれを見逃さなかった。

( ,,゚Д゚)「ゴルァぁ!」
(;´∀`)「(っな!?強引に突っ込んできたモナ!?)」

――バスッ
――うおぉぉぉぉ!いいぞいいぞギコちゃん!いいぞいいぞギコちゃん!
  先制!先制!先制今北うおぉぉぉぉ!

( ,,゚Д゚)「ちっ…手ぇ当たってたじゃねぇかゴルァ…」
(;´∀`)「(今のは笛吹かれても文句はいえないとこだったモナ…助かったモナ)」

――ダムッ…

('A`)「っし、一本行こうか!」
VIP高一同「おうっ!」

およそ2年ぶりの再戦。『あの試合』と同じく、今日もこの男と全国大会出場を争って
戦っている…。バスケットの神がいるとするならば、この境遇に感謝したい。
ギコはそんなことを考えていた。




( ,,゚Д゚)「(っと…考え事してる場合じゃなかったぞゴルァ。こいつはそういうところを
      容赦なく突いてくるからなゴルァ)」
('A`)「(勝負だ、ギコ!)」

――ダムッ!

( ,,゚Д゚)「くっ…!(速ぇぞゴルァ!)」
('A`)「ジョルジュ!」

ドクオからインサイドのジョルジュへ矢のようなパスが通る。
パスを受けたジョルジュはパワードリブルで相手を押し込み、ターン1回で
軽々とかわす。リングへノーマークで向かうジョルジュはそのまま跳んだ。

――ガコンッ!

「うぉぉっ、いきなりダンク!?」
「マジかよ!?あの身長で!?」
「すげぇ!かっこいいぞ8番!」

('A`)b「ナイスダンク、ジョルジュ!」
(*゚∀゚)「へへへ、サンキュー!(……?全然たいしたことねーじゃん)」

――ダムッ!

「今北の7番だ!」
「また4番を抜いてゴール下まで!?」
「すげぇ!上手いぞあいつ!」




('A`;)「ちぃっ……!」
( ,,゚Д゚)「(ディフェンスが甘ぇぞゴルァ!)」
( ゚∀゚)「(そう簡単には…)」
(#゚∀゚)「うたせねぇぞオラァ!」

再びゴール下へ向かってきたギコがシュートに跳ぶ。ジョルジュはそれを塞ぐべく
ブロックに跳ぶ。ジャンプ力はまさに月とスッポン。
空高く輝き、下界を見下ろす月はジョルジュ、その月を見上げ、うらやむ亀はギコの姿を
表しているのだろうか。空中での高さの差は歴然だった。
ギコの数十cm上空でブロックに備えたジョルジュはターンオーバーを確信した。

( ,,゚Д゚)「(ふん…たいしたジャンプだなゴルァ。だが空中ではスキだらけだなゴルァ)」

ギコは空中で体をひねり、ボールの位置を移動させながらジョルジュの体の横へ
自らの体をねじ込む。そしてそのまま空中で姿勢を変え、レイアップを放つ。

(;゚∀゚)「(げっ…)」




――ポスッ…

「う…上手ぇ!」
「ダブルクラッチ……!!」

( ゚∀゚)「くっそ…みんな悪い!」
('A`)「気にするな!抜かれた俺が悪い!気持ち切り替えて一本だ!」

――ダムッ…

('A`)「(確かにギコは相当…いや、とんでもなく上手くなってる。あのフサギコが
    苦戦したわけだ…)」

――ダムッ…

('A`)「(けど…ここで俺がこいつとの勝負にこだわったりしたら…間違いなく試合は崩れる)」

――ダムッ…

('A`)「(だから俺は…惑わされずに最後まで俺のプレーをする!)」
( ,,゚Д゚)「(……来るか…?)」
('A`)「ブーン!」
( ,,゚Д゚)「(くっ…パスかゴルァ!?)」

トップのドクオから右45度のブーンへパスが通る。ブーンはパスをキャッチした瞬間に
素早くディフェンスの横へ踏み込みドライブする。




今北D「(っな…速っ…!?)」

('A`)「(最近はそればっか練習してたもんな。いい感じだブーン!)」

ディフェンスを振り切ったブーンはそのまま真っすぐ進み、ローポスト付近で止まる。

<ヽ`∀´>「(うたせんニダ)」
( ^ω^)「モナー!」

カバーに出てきたニダーの足元で跳ねるように狙ってバウンズパスを出すブーン。
ボールはローポストのやや内側でノーマークになっているモナーの手に。
モナーはそのままターンしてゴール下シュートを決める。

( ´∀`)「ブーン君、ナイスモナよ!」
( ^ω^)「ナイッシュだお、モナーwwwディフェンスだお!」
('A`)「いいぞ!ブーン、モナー!みんな、ディフェンス頑張って連続でとろうぜ!」
VIP高一同「っしゃあっ!」

――ダムッ…

( ,,゚Д゚)「(ちっ…さすがに何度も何度もラクに抜かせてくれるほど
      ヤワじゃねぇなゴルァ、こいつは…)」





ギコの動きに慣れたのか、ドクオのディフェンスは徐々に活気のあるものへと
変わってきていた。ギコはまたもやドライブを試みるが、ドクオは引きずられながらも
ギコには自由に攻めさせない。
ギコはドクオと共にペイントエリアへ。モナーがカバーに入り、ギコの進路を塞ぐ。
「止めた」と思った矢先にギコからローポストでノーマークのニダーへパスが出た。
ニダーはローポストからそのままジャンプシュートを放つ。ニダーのシュートは
一旦バックボードに当たったあとリングへ吸い込まれた。

<ヽ`∀´>「ナイスニダ、ギコ!」
('A`)「速攻っ!」
( ,,゚Д゚)「まずったゴルァ…!」
<#ヽ`∀´>「不意打ちとは汚いニダ……!」

今北の意表を突いたVIP高の速攻。今北の選手は誰も追い付けず、ドクオが一人で
ボールを運び、そのままレイアップを決めた。

( ・∀・)「序盤から極端なまです両チームの違いがはっきりと表れてきたね」
( ><)「わかんないんです!」
( ;・∀・)「(もう慣れたよ…)」
( ・∀・)「両チームのガード、ドクオとギコは180度異なるタイプのガード、ってことだよ」




自らがリーディングスコアラーとして次々と得点を重ねながら、相手の意識が
自分に向くことで生まれるスキを見つけ、そこへパスを捌くギコ。
対するはとにかくパスを回し、相手の意識がパスに向いたところで相手の意表を突いて
自ら得点するドクオ。
なるほど確かに真逆の性格のポイントガードである。
そしてそれはチームのプレースタイルにも反映されている。今北はギコ以外に
大量得点をするプレーヤーがいない。VIP高にはイヨウという強力なシューターをはじめ
さまざまなタレントが出揃っている。
それぞれのチームスタイルに適応したそれぞれのポイントガードが必要とされている。
本来ならば一人に得点を頼るようなチームには弱点が多い。八頭身のいたニー速工業などが
良い例だ。しかし、今北はギコの余りある個人能力とカリスマ性でそれをなんとか
維持させている。

( ・∀・)「…とまぁ、そんなわけで最近じゃいろんなタイプのポイントガードがいるわけさ。
    少し前までは『ポイントガードは裏方に撤するべき』みたいな風潮があったんだけどね」
( ><)「よくわかんないんです!」
( ・∀・)「ガード以外のスキルもおおいに必要とされる時代になったってことさ。
    そして2人ともその実力を備えている。上手く説明できないんだけど…
    どっちのガードもそれぞれのチームにおいて最も必要とされるガードがいるって
    ことさ」
( ><)「モララーさんもよくわかってないんです!」
( #・∀・)「何もわからないきみに説明するのが大変なだけだよ…」
( <●><●>) 「だからわかってます」




( ・∀・)「しかし今日はギコの調子がすこぶる良いね。結末が全く読めない…」
( ><)「もしかしたらギコ君は一人で50点取っちゃうかもしれないんです!」
( ・∀・)「このペースならそれも充分ありえるね…2年生なんて思えないよ」
( ><)「開始3分で10-10…ハイスコアな展開になりそうなんです!!」
( ・∀・)「ガードがどれだけ自分のチームに合ったオフェンスを展開できるかが鍵に
    なってくると思うよ。自分を見失った方が負ける」

モララーの予想通り、VIP高はドクオのパスから、今北はギコのドライブからそれぞれ
得点を伸ばしていく。第1クォーターを終えて25-26でVIP高1点ビハインド。
ギコはすでに26得点中12得点。第1クォーターからハイテンポな展開が続く試合に
会場内も次第にヒートアップしていった。

第17章 完



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