( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第18章 make a chance





インターハイ出場をかけた決勝リーグ最終日。
ラウンジ学園が3勝を記録し、全勝で1位通過したため、残る一つの枠を共に1勝1敗が
記録されているVIP高校と今北産業大学付属今北高校で争うこととなった。
試合は序盤から両チームの特徴がはっきりと分かれる展開に。
VIP高はドクオのパスで今北の弱点であるインサイドを中心に攻め、対する今北は
ギコの粘り強いプレーからのシュートでそれぞれのチームの得点を動かす。
一進一退、かつハイテンポな展開が続き、25-26で今北が1点をリードした状態で
第1クォーターが終了した。

―VIP高ベンチ―

(´・ω・`)「よしよし、よく離されずにくらいついたね。ただ少し展開が
      早くなりすぎているよ。このまま向こうのペースに乗せられてはいけない。
      次のクォーターは…得点、失点を共に15点前後に落とそう」
('A`)「確かに少し熱くなりすぎたかもしれませんね」
(*^ω^)「焦らしプレイで行くってことだおwww」
(=゚ω゚)ノ「合ってるよーな違ってるよーな…www」
(*´∀`)「まぁ焦らすのは得意だし大丈夫モナよwww」
(*゚∀゚)「こんのドSがwww」
(´・ω・`)「(緊張で動きが鈍ることを心配していたんだが…たいした子たちだ)」






―今北産業大学付属今北高校ベンチ―

(■_■)「思ったより突き放せないな…ラウンジが本気になる気持ちも…
    わからなくはない」
( ,,゚Д゚)「(ドクオ…変わってねぇなゴルァ…)」
(■_■)「相手はおそらく攻撃の起点をインサイドに持ってくるだろう。
    うちのインサイドが弱いからだがそれは仕方がない。インサイドでの失点は
    ある程度覚悟しろ」
<ヽ`∀´>「(ウリが弱いって言いたいニダかwww)」
(■_■)「その代わりに、インサイドからアウトサイドへ捌かれるパスにはしっかり
     反応しろ。特にあの6番。あいつだけは絶対にノせるな」
今北一同「うっす!」


――ビーーーーーッ!

審判「インターバル終了です!第2クォーターを開始します!」




今北ボールで第2クォーターが始まる。ギコがトップ付近でリズムを整える。
ドクオがドライブを警戒する中、ギコはドクオの頭上からゴール下のニダーに向かって
パスを出す。しかし距離が離れていたため、モナーがニダーの前に回り込み、パスを
インターセプトするのには十分な時間があった。

( ´∀`)「とったモナ!速攻モナ!」
('A`)「よっしゃ、ナイスだモナー!イヨウ、ブーン!速攻だ!」
( ^ω^)=゚ω゚)ノ「把握した!」

「VIP高の速攻だ!」
「は…はえぇ!」
「6番も速いが5番はそれ以上に速ぇ!」
「あの走り方キメェwww」
「空でも飛ぶつもりかあいつwww」

(;,,゚Д゚)「(……速ぇぞゴルァ!)」

――ザシュッ

('A`)b「ナイッシュ、ブーン!」
(*^ω^)「おっおっwww余裕のよっちゃんだおwww」
(=゚ω゚)ノ「キメェwww」
(;^ω^)「………」




<ヽ`∀´>「ギコ、『あいつ』のプレーに流されるなニダ。パスメインで攻めるのは
      ギコのプレーじゃないニダ」
( ,,゚Д゚)「…けっ、わかってるぞゴルァ」
<ヽ`∀´>「それならいいニダ。頼むニダよ」

――ダムッ…

( ,,゚Д゚)「(んなこと言ってもなぁ…こいつのディフェンスがどんどん攻めづらい
      ディフェンスに変わってきてるんだよゴルァ…)」

激しさを増すドクオのディフェンスから逃れようと、ギコはパスを回し始める。

('A`)「どーした、怖気づいたのか!?」
( ,,゚Д゚)「へっ、少しは黙ってろやゴルァ!」
('A`)「はいはいワロスワロス」

( ^ω^)「(いろんな意味でヒートアップしてるおwww)」
(=゚ω゚)ノ「(プレーに影響が出てないあたり、さすがだヨウwww)」

――ビーーーーーッ!

審判「ショットクロックバイオレーション!白ボール!」




ξ゚听)ξ「守り切った!」
(*゚ー゚)「みんな、ナイスディフェンス!」
(´・ω・`)「いい感じだ!」

('A`)「よっし、もう一本!こことれば大きいぞ!」
VIP高一同「っしゃぁ!」
( ,,゚Д゚)「ちぃっ……!」

('A`)「イヨウ、行けっ!!」
(=゚ω゚)ノ「っしゃ、いいパスだヨウ!!」

――パシュッ

「6番のスリーだ!!」
「ノーマークのシュートは確実に決めてくる!!」

(#,,゚Д゚)「(クソがぁ…っ!!)」

――ダムッ…

( ,,゚Д゚)「一本いくぞゴルァ!」
<ヽ`∀´>「(うちにはおまえの代わりはいないニダ。おまえが飲まれたらうちは
       負けるニダ。それを忘れるなニダ…)」




『あの試合』も今と同じだった。どれだけあがいてもドクオには勝てず、じわじわと
差を付けられていった。負けたくなかったからラフプレーに持ち込んでドクオを
負傷退場させた。そして勝った。だけど違った。
全国へ行って痛感した。それは勝ちではなかったのだ。
己に妥協した自分は、自分の体を壊してでも戦おうとしたドクオの足元にも
及ばない存在だったのだ。ドクオだけでなく、『あいつ』と戦ったときも痛感した。
全中で初めて出会った、『あいつ』に…。
ギコは悩んだ。

本当の勝ちとはなんだろう?自分の信じる勝ちというものの定義。一体それは?

相手をケガさせてでも試合に勝つのが勝ち?いや、違う。
チームの勝ちが自分の勝ち?それも違う。
そんなことを考えられるような性格ではないことは
自分が一番よくわかっている。じゃあ自分にとっての勝ちとは何だ?

( ,,゚Д゚)「(相手を俺のプレーでズタズタにする…それが俺にとっての勝ちだぞゴルァ!)」

――ダムッ!…キュッ

('A`)「(今度はミドルシュートか!そう何度もやらせねぇぞ!)」

ギコはワンドリブルから急ストップしてミドルシュートを放とうと跳ぶ。
ドクオがディフェンスについたままだが強引にシュートモーションに入る。




ドクオの腕がギコの腕に絡む。シュートフォームが崩れるが、ギコはその崩れた
フォームでシュートを放つ。審判の笛が鳴り響く。そしてギコのシュートは
リングの中で数度跳ねながらもネットを揺らす。

審判「ファウル、白4番!カウントワンスロー!」
('A`;;)「…マジかよっ……」

――ウォォォォォォォッ!バスカン!バスカン!バスカンギコちゃん!
  バスカン!バスカン!バスカンギコちゃん!ウォォォォォォォッ!

審判「ワンスロー!」
('A`)「へっ…力みすぎて外すなやギコちゃんよw」
( ,,゚Д゚)「(俺は俺の勝ちを貫く…歪んではいるだろうがそのほうが俺らしくて
      いいだろうよゴルァ)」

ギコがフリースローを放つ。正確にリングの真ん中を射抜き、ネットが
心地よい音をたてる。30-27。3点差。
第1クォーターと同じく、どちらもなかなか突き放すチャンスを見出せない。




('A`)「(くそっ…これじゃらちが明かねぇ…!!)」
( ,,゚Д゚)「(どんなに小くてもいい。何かきっかけがあれば…!!)」

両者共に決定的なプレーができず、時間と体力だけがだらだらと減ってゆく。
得点も第1クォーターの惰性のように積み重なってゆく。
ロースコアな展開を目指したいVIP高であったが、なんとしてでも突き放したい
という心の奥底の願望がそれを阻み、早いタイミングでのシュートになってしまう。
VIP高が2点リードで42-40となった第2クォーター残り1分30秒。試合が動いた。

――バシュッ

「今北の7番のスリ――――!!!」
「また今北の逆転だ!!」
「来るか、今北の爆発!?」

( ・∀・)「今ので22得点目…!!」
( ><)「すごいんです!ポイントガードなのにもう20点オーバーなんて
     ものすご――く優秀なんです!!」

('A`)「(くそっ…けどスリー単発なら大丈夫なはずだ。こっちも決めれば問題ない!!)」
('A`)「イヨウ!!」

ドクオから左45度のイヨウへパスが出る。イヨウはパスを受けた瞬間に体の後ろで
ドリブルを2回切り返し相手を揺さぶる。スキが出来た所で体の後ろにあったボールを
前に持ち出し、今北Cを抜きにかかる。しかしその瞬間に審判の笛が鳴った。

(=゚ω゚)ノ「………?」




審判「ダブルドリブル!!水色ボール!!」

――ウォォォォォォッ!!!!ラッキーラッキーラッキー今北!!ウォォォォォォォッ!!!

(=゚ω゚)ノ「なんでだヨウ?別に持ってなんか…!!」
('A`)「イヨウ、やめろ。審判は絶対だ」
(=゚ω゚)ノ「けど今のはヨウ…!!」
('A`)「上に行けば行くほど審判も厳しくなる。『歩いたかも』『ダブドリかも』『ファウルかも』…
   微妙なプレーは容赦なく笛を吹かれると思ったほうがいい。特にイヨウのドリブルは
   ストリート仕込みだから審判によってはダブドリに見えるんだ」
(=゚ω゚)ノ「おk。把握だヨウ。みんなごめんヨウ!ディフェンスいくヨウ!!」

――マイボール!マイボール!だっさいミスからマイボール!!ヒュゥゥゥーwwww

(#゚ω゚)ノ「やっろぉ…!!」
審判「応援席!相手をけなす様な応援は慎むように!!」

――サーセーン^^

( ,,゚Д゚)「うちのスタンドが申し訳ないことをしたなゴルァ」
(=゚ω゚)ノ「……別に…」

普段なら気にも留めない小さなミス。しかし得点が競っているこの場面で、この大舞台で、
大勢の人間の前で、見ず知らずの対戦相手、しかもベンチ入りすら出来ないような応援席の
人間にけなされたことは、これまで華やかな人生を歩んできたイヨウにとっては屈辱であった。




――バシュッ!!

('A`;;)「………!!!」
(;^ω^)「…………」
( ,,゚Д゚)「お…ようやくキたなゴルァ」
<ヽ`∀´>「それでこそギコニダwww」

「今北の7番、ターンオーバーから連続スリ―――!!!」
「一気に4点開いたぁ―――!!」

('A`#)「くっそ……!!」
( ^ω^)「ドクオ、焦っちゃダメだお。取られたら取り返せばいいだけだお」
('A`)「……そうだな。よし、一本!!」

第2クォーターも残り1分をきった。
ギコのスリーを何がなんでも防ぐべく、ドクオはギコへのフェイスガードを敢行する。
運動量の多いギコへのフェイスガードはかなりの負担であったがこれ以上点差を離される
わけにもいかず、苦渋の選択であった。ギコから1つのターンオーバーを奪い、速攻を展開する。
しかしその速攻はギコの素早い戻りに阻まれて不発。
そのままセットオフェンスへと移行し、ブーンのミドルシュートで得点。
VIP高はこれで2点ビハインドとなり、今北の攻撃を守っている所で第2クォーターの終了を告げる
ブザーが鳴る。46-48というハイスコアな試合展開は両チームのメンバーのスタミナを容赦なく削っていく。
第2クォーター終盤でギコをノせかけてしまったVIP高であったが、残り時間に救われる。
試合は折り返し地点へ入った。

第18章 完


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