( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第22章 叶えたい想い





インターハイ出場をかけた決勝リーグ最終日最終戦、VIP高校対今北産業大学附属今北高校。
両校共に負ければ後がなく、インターハイに出場するためにはどちらかが
必ず犠牲にならなければならない。
始動からわずか1年でニュー速県のダークホースとなったVIPと虎視眈々と王座奪還を
目論んでいた今北高校。互いに譲れぬ気持ちとプライドがコート上で激突する。

第2クォーター終盤から波に乗り始めたギコはドクオさえも翻弄する。
点差が広がり始め、それが決定的なものになろうとしていた。
後がないVIP高校はブーンの脚力に全てを託す。
キレや体格を活かし直線的なプレーを得意とするギコと脅威な脚力でそれに迫るブーン。
優位に立ったのはブーンだった。
ギコを完全に上回るスピードでことごとくギコのドライブをことごとく不発にさせる。







チームの得点の半分以上をギコに頼っていた今北の得点は凍結。
ブーンがギコから連続でターンオーバーを奪い点差は10点に。
今北のオフェンスはギコがパスを捌きだしたことで何とか機能し始めるが
ギコの得点を止めているという事がVIP高校にとって大きなアドバンテージに。
拮抗した展開が続くが、残り1分でVIP高校が
オールコートでディフェンスに当たる。ここで連続ポイントに成功し点差が6点に縮まった。

しかしVIP高校が流れを掴みかけた所で第3クォーターは終了。
インターバル中、今北の田守監督はさまざまな考えを巡らす。
残り10分、わずか6点の点差を守りきるには序盤で徹底的に叩いて戦意喪失させる。
そのあと点差を安全圏まで広げて逃げ切ればいい。
そのために田守は第4クォーター開始と同時にプレスをかける事を決める。

そして運命を決める10分間が始まった…。




(=゚ω゚)ノ「(やっぱりそう来るかヨウ…)」 

VIP高校ボールで始まる最終クォーター。ハーフコートからイヨウが審判からボールを
受け取りドクオにボールを入れようとする。
しかし、審判がイヨウにボールを渡した瞬間に今北の選手達のプレッシャーが厳しくなる。
無論、ドクオにもである。

( ,,゚Д゚)「悪ぃな!!このまま引き下がるわけにはいかねぇんだ!!」
('A`)「それはこっちも……同じだっての!!」

細かいフェイクを何度も駆使してギコを振り切ろうとするドクオ。
ギコはその素早い動きに次第についていけなくなり、イヨウは5秒ギリギリで
ドクオにパスを出す事に成功した。

('A`)「(相変わらず…細かい動きへの対応は苦手みたいじゃんか…)」
(#,,゚Д゚)「(ちぃっ…)」

( ,,゚Д゚)「ディフェンスだゴルァ!!プレッシャー厳しく!!」
('A`)「っしゃ一本!ここできっちりとって流れつかもうぜ!」
VIP高一同「そぉい!」




( ,,゚Д゚)「(んな簡単にやらせっかよゴルァ!)」

厳しさを増すギコのディフェンス。
ギコの手が一瞬ボールに触れ、ドクオはファンブルしかけるが辛うじて持ちこたえる。

('A`;)「(あぶねーwwくっそ、マジめんどくせーディフェンスだな…)」

ドクオはこれ以上ボールを持ち続けることを危険だと判断し、パスを回す。
ブーンにもイヨウにも、激しいプレッシャーがかけられた。

(=゚ω゚)ノ「(判断は正確にしないと……)」
( ^ω^)「(間違いなくとられちゃうお…!)」

攻めきれぬままパスを回し続ける状況が続き、ショットクロックが残り10秒を指した。

('A`)「ブーン!モナーで勝負だ!」
( ^ω^)「合点承知だお」

ブーンはドクオから回されたパスをキャッチしてすぐに逆サイドから
ローポストに向かって走り込んできているモナーへパスを送る。
モナーは走りながらパスを受け、ローポストでニダーと1対1になる。
インサイドならば完全にVIP高校のメンバーが勝っている。
そんなVIP高校がボールをインサイドに集めるのは至極当然のことだろう。
田守もベンチで「やられた」と言わんばかりに表情を歪める。

('A`)9m「モナー、勝負だっ!」




(;´∀`)「(うぅ…これは絶対落とせないモナ…!)」

「必ず決めなければならない」という気持ちがかえってプレッシャーになる。
勝てる確率が高い勝負でも人間というものはこういうときには
余計な事ばかり考えてしまうものだ。
なんとしてでもシュートを外したくないモナーは少しでも近くから
シュートを打てるようにするためにパワードリブルでニダーを押し込む。
ニダーが既にコースに入りきっているにも拘らず、パワードリブルを
続けることが強引なプレーであることに、その時のモナーは気付けなかった。

<;;ヽ`∀´>「ニダっ!!」

なんとか踏張っていたニダーだったがディフェンスポジションに入っているにも
拘らず、インサイドへ侵入してこようとするモナーを止めきれず、
とうとうパワー負けして床に尻餅をつく。

その瞬間に審判の笛が鳴り響く。

審判「オフェンスファウル!白7番!」
Σ(;´∀`)「モナっ……!?」
<*ヽ`∀´>「やったニダwwwwww」




( ・∀・)「自分に自信のない選手にありがちなプレーだね…。
     土壇場で自信を失ってしまったのかな…」
( ><)「わかんないんです!」
( #・∀・)「(独り言だっての…いい加減うざいよ)」

( ´∀`)「み、みんなごめんモナ!」
('A`)「ドンマイ、気にするな!ディフェンスで取り返しゃイーブンだ。そうだろ?」
( ^ω^)「まだ第4クォーターも始まったばっかだお。ここで焦ったりしちゃダメだお」
(=゚ω゚)ノ「点差が6点だからヨウ、正確に行こうヨウ」
( ゚∀゚)「どんマーイケル!おっぱい」
( ´∀`)「…そうモナね。ディフェンス一本!頑張ろうモナ!」
VIP高一同「そいそいそぉぉい!」

( ^ω^)「決めさせんお!」
( ,,゚Д゚)「…またお前かゴルァ」

ギコは小さく舌打ちをする。
こいつがいなければもっと楽な展開で試合を運べたのに、と。
しかし、ブーンのディフェンスにいらつく一方で、もっと長い時間対決していたい。
自分の力で突破してやりたい…。
心の奥底ではそう願うギコがいることもまた事実であった。





( ^ω^)ノシ「おー!おーおーおー!おー!」

ブーンのディフェンスは未だギコから得点を奪われていない。
これは双方にとってまさに計算外――VIP高校にとってはいい意味で、だが――
であった。
得点量産機と化し、フサギコやドクオですら手を焼いたギコを、あのブーンが止めるなどと
誰が予想できただろうか。
点差は開いてはいるものの、流れはVIP高校にあるだろう――会場内の大半の人間は
そう思うだろう。
しかし、今北の本来の魅力は異常なまでの粘り強さ。
ギコはブーンを相手に、得点できないまでもしっかりとパスを捌く。
これはポイントガードに対するディフェンスに不慣れなブーンにとっては
仕方ないことだろう。そしてそのパスにしっかりと反応できる今北メンバー達。
ギコの影に霞んではいたが、もともと実力がある選手であるだけにギコの得点が
止まると彼らの得点が目立ち始める。

VIP高校はドクオの確実なボール運びで、今北の執念のプレスディフェンスを攻略する。
そしてボールをインサイドに集めて高確率で得点。
今北はギコからのパスで残りの4人がさまざまなパターンから得点を重ねる。
そのまま序盤と同じような展開が続き、時間だけが過ぎていく。

試合の展開を変えるべく、ショボンはタイムアウトをとった。





―VIP高校ベンチ―

(´・ω・`)「残り4分で6点差……このままじゃらちが明かない。わかるね?」
('A`)「もちろん。当たるんですよね?」
(´・ω・`)「そうだ。今度は1-2-1-1ゾーンプレス。辛いのは重々承知だ。だが…」
( ^ω^)「勝つため…ですお。僕たちは全然平気ですお」
(=゚ω゚)ノ「どっちにしろここでやらなきゃ次はないわけですからヨウ」
( ´∀`)「まだまだ大丈夫ですモナ」
( ゚∀゚)「全員で死ぬ覚悟は出来てます!!」

VIP高校一同「 そ れ は な い わ 」

―今北産業大学附属今北高校ベンチ―

(■_■)「この均衡を崩すにはどうにかして向こうのミスを誘発するしかない。こっちが
    これだけ当たっても揺るがないとは大したものだ…」
( ,,゚Д゚)「向こうも絶対当たってきますねゴルァ」
<ヽ`∀´>「1つ1つのプレーの精密さが要求されてくるニダよ」
(■_■)「そういうことだ…バイオレーションやターンオーバーが命取りになる。
    そういう4分間だという事をしっかりと自覚しろ」
今北一同「うっす!!」

それぞれが作戦を立て終わる頃、タイムアウト終了を告げるブザーが鳴った。

審判「タイムアウト終了です!!」





VIP高校ボールで試合が再開される。

一気に逆転できるはずだ。

ドクオはさまざまな考えを巡らせながら、コート上を見渡す。
やはりインサイドだろうか。
しかし度重なるインサイド攻めによりインサイドへのカバーの目が厳しくなっている。

('A`)「(…ということは…)」
('A`)「ジョルジュ、ハイポスト!!」

ジョルジュを左ハイポストへ上がらせてパスを出す。
今北の選手達はジョルジュのポストプレー、モナーとのハイローを警戒して中へ寄る。

('A`)「ジョルジュ、コーナーだっっ!!」
( ゚∀゚)「(…!!そういうことか!!)」

今北Cもジョルジュへややカバー気味のディフェンスにつく。
その隙にイヨウは左45度から左コーナーへ走っていたのだ。

( ゚∀゚)「イヨウ!!」
(=゚ω゚)ノ「っしゃ!!」
('A`)「(うちの本来の得点源は…こいつだぜ!!)」




弱点を何度も突かれればそこをどうにかしてカバーしてやろう、と考えるのが普通だろう。
特にモナー、ジョルジュのインサイドプレーは今北にとって厄介なものだったからだ。
しかしそれはイヨウをアウトサイドでノーマークにするという致命的なミスを起こす
要因ともなった。

イヨウのスリーポイントは美しいアーチを描き、リングへ吸い込まれていった。

('A`)「よーーっし!!!」
(=゚ω゚)ノ「よっしゃぁだヨウ!!!」

「6番のスリーキタ―――(゚∀゚)―――!!!!」
「3点差ぁ!!とうとうとらえたぞ!!」
「VIP高はここでゾーンプレスだ!!」

( ・∀・)「勝負所を的確に突いている…今北、絶体絶命だね」

今北C「くっ…ギコ、頼むぞ!!!」

ドクオとイヨウにダブルチームで挟まれながら、今北Cはギコへパスを出す。

( ,,゚Д゚)「あ…!!」
( ^ω^)「もらったおっ!!」

しかしそのパスはブーンが待ってました、と言わんばかりにインターセプト。
会場中が熱狂する。ハイポスト付近でブーンとギコの1on1。
決めれば1点差にまで詰め寄る事が出来る。




('A`)「ブーン、待て!!いったん戻せ!!」
( ^ω^)「…お!任せたお!」

スキルではおそらくギコのほうが上。
先刻の状況ならば、ブーンがスピードに乗った状態でボールを奪ったためブーンが
わずかにアドバンテージを得たかもしれない。しかし念には念を。
セットオフェンスに持ち込んで確実に決めようとしているのだろうか。

('A`)「よーし、一本…」
( ,,゚Д゚)「(はっ…致命的ミスだなゴルァ…お前は慎重になりすぎた)」

先を見越して慎重にプレーをする事は大切な事である。
しかし、勝敗を分ける勝負所では多少強引なプレーの方が、流れを
一気に呼び込む可能性があるのだ。

慎重になりすぎてビビった――ギコはドクオに対してそう思った。
この展開ならばまたセットオフェンスだろう。そう考え、ドクオのディフェンスに
つこうとしたとき、ギコはわずかに気を抜いた。
ドクオはその一瞬を見逃さなかった。




( ,,゚Д゚)「!?!?!?」

ドクオがスリーポイントライン上でシュートを構えている。
ギコは中学時代から今までドクオのスリーポイントなど一度も見たことが無かった。
パスかドライブオンリーのプレイヤーだと思っていた。
だからこそついさっき、ほんの少しだけディフェンスにつくことをサボった。
しかし、まるでその時をずっと待ち望んでいたかのように…
ドクオはスリーポイントを放った。

(■_■)「4番がスリー…!?」
<ヽ`∀´>「(んなバカな!打つとこ初めてみるニダよ…)」

('A`)「(みんなびっくりしただろうなぁ…けど…)」

パシュッ

ドクオが放ったスリーポイントはセットオフェンスのタイミングで考えれば
早すぎるものだった。おそらくセットオフェンスに移るそぶりを見せる事でギコが
油断するであろう事を見抜いていたのだろう。そしてその隙を突いて決定打を決めることも…
全て計算されたことだったのだろう。
ドクオがスリーポイントを打つわけがないと思っていたギコは見事に謀られたのだ。




「よ…4番がスリ――――!!!?」
「同点…同点だぁ―――!!!」

( ;・∀・)「こんな大切な場面でためらいもなく…!!!何て選手だ…!」
( ;><)「ヤバいんです!!めっちゃ興奮してるんです!!!」

(´・ω・`)「ドクオ君……!!」

('A`)「お前が変わったように…俺も変わったんだよ」
( ,,゚Д゚)「……!!!!」

ズバリと言い放つドクオ。
確かに、過去のドクオのプレーを常に頭の片隅に置き、それを基準に考えていたギコに
とって、今のスリーポイントは完全に負けを認めざるを得ない。

('A`)「(過去に縛られない…ブーン…サンキュ)」

そして同点においついたVIP高校はその後もいたちごっこの展開に。
こっちが決めればあっちも決める。こっちが守りきればあっちも守りきる…。

VIP高校82-82今北産大附今北

スコアは同点のまま、試合時間は残り1分を指していた。

第22章 完



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