( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです  第二部

第29章 禍福はあざなえる縄の如し






徐々に気温が下がり始める季節は晩秋。
ブーン達VIP高校バスケ部には悪夢が訪れていた。

場所はVIP市スポーツセンター。
バスケットボールの冬の祭典、ウィンターカップの出場校を決める予選大会が行われていた。
今行われているのは県予選の2回戦。

ブーン達VIP高校バスケ部ももちろん参加している。

ニー速工業をダブルスコアで下し、見事優勝を飾った。

ニー速工業は進学率が低く、部活動に参加している3年生は、就職を
基本的な進路としているために部活動には夏休みを過ぎても引退せずに残っている場合が多い。
しかし夏休みのニー速工業には八頭身がいなかった。

あぷー曰く、

(*ノωノ)「あぷー!!!あぷぷっ、あぷーーっ!!!!」

『八頭身先輩は自分のカッコよさを活かしてモデルになることを決めた。
 いずれは海外でのコレクションもでるとして活躍するつもりでいるらしいが、
 まずは手始めにファッション雑誌の読者モデルになることを決めたらしい。
 インターハイ予選が終わってからは毎日のようにお洒落をして繁華街を一日中
 歩き回っている』

と言う話だそうだ。







ブーン達も年頃の高校生であるため、ファッション雑誌などは立ち読みや定期購読など、
さまざまな手段を用いて目を通しているが、街角スナップですら八頭身の姿を
見たことは無い。
あんな特徴のある(悪い意味で)顔をしていて、あの身長ならば嫌でも目に付くはずであるが、
それが誰の記憶にも無いということは、八頭身の努力は実を結んでいないのだろう。


春のインターハイ予選では大奮迅を見せ、観客だけでなく記者たちまでも唸らすほどの
実力を見せ付けたVIP高校はたちどころにその名を広めた。
実際、県大会の序盤戦にも拘らず、観客席にはさまざまなチームからの偵察や
尋常で無いほどの数の記者達が訪れている。
インターハイ予選から数ヶ月がたった今ならば、元々2年生中心のVIP高校が、

ラウンジ学園にも全く引けを取らない、あわよくばこの2校を食って全国大会出場を
果たすかもしれない。

VIP高校にはそんな期待がかけられていたことだろう。




VIP高校は対戦相手である無名校―初出所で1回戦をギリギリで勝ち上がってきたような
お世辞にも強いとは言えないチーム―に、第3クォーターの時点で20点差近くリードを
奪われていた。
コートに出ているメンバーはC、D、F、G、I。ドクオ、ブーン、モナー、ジョルジュ、トラオ…だ。
コートに出ていないスターティングメンバー、イヨウの姿はベンチにも無い。
一体何があったと言うのだろうか。

時は夏休みにまでさかのぼる。
・・・・・・
・・・・
・・・
・・




―――――――――――――――

―体育館―

('A`)「コラいちねーーん!!!足が止まってるぞ!!!疲れたからって下向くな!!」
一年A「す…すみませ…ん…」
一年B「うぷっ…やべっ…」
一年C「す…すんません、少し休ませてください…」
(;-__-)「ぜー…ぜーっ……」
(・▽・;)「き……き…つい…」

( ^ω^)「キツかったら無理せずに休むお!!!まだ初日なんだからゆっくり慣れればいいお!!」
(=゚ω゚)ノ「ったく、根性無い奴ばっかだヨウ…去年とほとんど同じメニューだってのにヨウ…」
( ´∀`)「まぁ仕方ないと思うモナよ…大目に見てあげようモナ」
( ゚∀゚)「おっぱぁぁぁい!!!!」

夏休みに入ってすぐ、VIP高校バスケ部は夏合宿を行っていた。
体育館内は、ひょっとしたら体感温度が40度に達しているのではないか、と思わせるほどに
暑かった。一年生の大半は初日のフットワークで脱落。
嘔吐するものや脱水症状を起こしかけるものなど、最後まで参加していられる部員は

挟みながらギリギリで乗り切っていた。




一年A「(この人たちなんでこんなに平気でいられるんだよ…)」
一年B「(悔しいけどレベルが違う……)」
一年C「(くそぉ……)」

('A`)「次っ!1対1のディフェンス練習行くぞー」
一同「把握した!!!」

ブーン達の汗は尋常でない。Tシャツが最早その役割を果たしていないほどだ。
そして容赦なく体力を奪っていく暑さと地獄のメニューにも、2年生の動きは
ほとんど衰えない。

そして練習が終わった後も……

( ^ω^)「ハフッ!ハムハムッ!ハフッ!」
('A`)「うおおぉぉぉぉぉ!!!」
(=゚ω゚)ノ「がつがつがつがつがつ…」
( ´∀`)「フードファイトだモナー!!!!!」
( ゚∀゚)「今年は負けねぇぞ。モナー!!!危ないから良い子は真似するなよ!!!」

一年A「く…食えるわけねぇだろ…」
一年B「なんであのハードな練習の後にカレーなんだよ…」
一年C「おえ…胃が重い……」
(-__-)「(今日の夕飯はポカリとウィダーインゼリーだけでいいや…)」
(・▽・;)「サラダで限界……」

( ^ω^)「一年生、もっと食べるお!!せっかくツンとしぃちゃんが作ってくれたんだお!!」
('A`)「食わなきゃおっきくなれないし力つかないぞー」
(=゚ω゚)ノ「がつがつ…その通り…がつがつ」
(*´∀`)「こんなっ!!!風にっ!!食べつくすモナ!!!」
(;゚∀゚)「ま…負けた…」




ξ゚听)ξ「モナー君ほど食べろとは言わないけど最低限の量は胃に入れておかないと
     最終日まで体もたないわよー?」
(*゚ー゚)「そうだよー。頑張れっ」

食事の後、軽くシューティングをしてブーン達は銭湯に向かう。


( ^ω^)「みんなチンポ見せるお!!!」
一年A「は…はぁ!?」
一年B「変態だこの人www」
(・▽・;)「やっべ、つかまtt…ちょ、ブーン先輩やめt……」
( ^ω^)「………」
(・▽・)「………?」
(#^ω^)「トラオなんて大っ嫌いだおっっ!!!!」
(・▽・;)「……?」
( ^ω^)「次はヒッキーだお!!!逃げても無駄だおーーー!!!」
(-__-)「ぎゃあぁぁぁ!!!チンポハンターが来るー!!!」

全員のイチモツをチェックし終えたブーンはなぜか非常に不機嫌だった。
一年生達は何が何だかわからない様子だったが、数秒後その疑念は晴れる事となった。

('A`)「あー、こいつな、包茎だからムケチンに対して異常なコンプレックス持ってbだよ。
   ほれ」

ぺろーん……

ドクオはブーンの背後からブーンの腰巻きタオルを取り去った。
そこにはあら不思議、鞘に包まれたまま、選ばれ者に抜かれる事を待ちわびている勇者の剣が……。

「「包茎だーーーーーーwwwwww」」




(=゚ω゚)ノ「まだムけてなかったのかヨウwww」
( ´∀`)「これは手術しかないかもわからんねwww」
( ゚∀゚)「手術がいやなら自分で切るって言う手もあるぜ?」

(-__-)「み…見事……」
(・▽・)「なんか…申し訳ない気になってきたな…」

ブーンは包茎カミングアウトのあと、なぜか吹っ切れたような表情でイチモツを
ぶらんぶらん…させるほど大きく無いのでぷらんぷらんさせながら石鹸をパック代わりに
石鹸ホッケーを開始した。
プレーできる条件は、他の利用客が居ない場合に限られるがなかなかに楽しいスポーツである。
桶で石鹸を打ち合うこのスポーツは時間を忘れてしまうほどに楽しめる。

そして石鹸ホッケーがひと段落着いたらもちろん隣を覗く。
ツンとしぃの会話がわずかに聞こえてくるが、ブーン達は全員が仕切り壁に張り付いて
聞き耳を立てている。あぁ悲しきかな童貞の性。

「……ったらまたちょっと……きくなったんじゃな…?」
「ちょっ…!!!ちょっとツンちゃんやめ……もう〜…」
「よいではないかよいではないか……」

( ^ω^)「もう我慢できないお……凸するお!!!」
('A`)「おいおい無茶言うなよブーン…この壁結構高いぞ?それにタイルの壁だから
   手足を引っ掛ける場所も無いし…」
( ^ω^)「問題ない、お。僕はエロが絡むとIQが500になるんだお」




ブーンはそう言って風呂桶やプラスチック製の座椅子をいくつも使って階段状のものを
作り始めた。
壁に近づくにつれて積み上げられた風呂桶や座椅子の数が多くなっていく。
壁から数m離れた所まで風呂桶や座椅子を並べ続けた結果、女湯を覗くための栄光の階段が
出来上がった。
ブーンは一歩一歩それを登ってゆく。
下にいるドクオたちは自然とブーンを見上げる形となる。
ブーンの股間で揺れる包茎チンチンに、血液がたまって膨張しているのを見ると
なんともいえない複雑な気分となった。

そしてブーンは一歩一歩着実に登っていった…天国へ続く階段を……。
そしてブーンはたどり着いた。
仕切り壁は20cmほどの厚さだったようで、仕切り壁の一番上には壁の暑さと同じだけの幅の
足場(本来足場として使うものではないが)があった。ブーンはあろうことかそこによじ登り、
立ち上がった。

( ^ω^)「おっおっwwwwいい眺め……」

ブーンがそれを言い終わるか言い終わらないかのうちに…悪魔が降臨した。

ξ#゚听)ξ「死にさらせぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

ツンはいつの間に用意していたのか、蛇口から最大温度の熱湯を貯めておいた風呂桶を
遠心力を利用してハンマー投げのように向かってブーンに投擲した。
熱湯で満たされた風呂桶は女手で振り回し、さらに投げ飛ばすにはなかなかの重さを持つ…
が、ツンにはそんな常識は通用しなかった。
風呂桶はブーンに直撃し、「あちゃちゃちゃちゃ!!!」という悲鳴とともになにかが
崩れ落ちる音、そして何かが勢いよくよくそうに落下したであろう音が聞こえた。




風呂桶が直撃したブーンはバランスを崩し、階段が崩れ落ちるのと同時にブーンも
落下を始めた。
しかし奇跡的にもブーンは深さのある立ち風呂の浴槽へと落ちたので
幸い怪我はなかったようだった。

色々なことがあって、みんなで笑って……去年よりも充実した合宿だった。
禍福はあざなえる縄の如し。幸福と不幸は交互に訪れるのだ。
ドクオの母の死は不幸な出来事だったが…今こうして皆で笑っていられる事が幸福なんだ…。

ブーンはそう信じてやまなかった。
合宿を終えて、県内公立高校大会で優勝した時も、みんなで大騒ぎした。
幸せだった。この時間がずっと続けばいいと思った。
しかし……

県内公立高校大会が終わった翌日だった。
練習はオフとなり、いつも騒がしい体育館からは物音一つしなかった。
ショボンは暑い中休日にも拘らず学校へ訪れた。
用務員へ結果報告をするためだ。
職員室の扉を開けると冷房の効いた涼しい空気が頬を撫でる。

(´・ω・`)「(生徒の教室にはクーラー無いんだよなぁ…公立って可哀相)」

そんなことを考えながらショボンは自分のデスクへと向かった。
すると保健室の女医がショボンのもとへ封筒を持ってぱたぱたと寄ってきた。





(´・ω・`)「あ、おはようございます」
保健室の先生「おはようございます。あの、これ…」

保健室の先生はショボンに封筒を手渡した。

(´・ω・`)「…?なんです?これ」
保健室の先生「あの。バスケ部の部員の子の…ちょっと背が低くてくせっ毛の子が
       ショボン先生に渡してくれって…朝早くに」

今は8時だ。それよりも早い時間にイヨウがなんの用だったのだろうか。
ショボンは封を開き、その瞬間に自分の目を疑った。



封筒の中に入っていたのはイヨウの退部届けだった。

―――――――――――――――

審判「試合終了!!!86-59で赤!!!」



VIP高校、ウィンターカップ県予選2回戦敗退……


第29章 完



前のページへ] 戻る [次のページへ