( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第29章 VSニー速工業



大会2日目。VIP高対ニー速工業の試合は本日の3試合目に組まれている。
ブーン達は9時の開場の時間に会場へ到着した。

(;^ω^)「(あんな化け物じみた人に勝てるのかお…?正直不安で仕方がないお…)」
('A`;)「(中学の頃はあんなヤバいやつ見たことなかったからな…対策の
     たてようがないぞ…)」
(;´∀`)「(ディフェンスはマンツーしかやってないから僕か長岡君のどっちかが
      八頭身をマークしなきゃいけないモナか…)」
( ゜∀゜)「(俺がマークすることになったらどうするか…止めれる自信は正直ないけど
     自分の力を試してみたいぞ)」

ブーン達の心の中で、ニー速工業は正直当たりたくない相手であった。
いくら初戦で大勝したからと言ってもいざ実際に当たるとなると急に不安が
わいてくるのだ。こういう時、時間というのは普段よりも早く進んでいるように
感じられるものだ。気付いた頃には第2試合が始まっていた。


('A`)「っしゃ!アップするぞ!みんな立て立てー」

ドクオは自らの不安を紛らわすかのよう振る舞う。キャプテンとして他のメンバーを
奮い立たせることで自らの士気をも高めようとしたのだが、不安というものは伝染する。
他のメンバーもドクオの言葉から滲み出る不安を感じ取り、なかなか盛り上がれずにいた。
その時口を開いたのはツンだった。

ξ゜凵K)ξ「いつまでウジウジしてんのよこの馬鹿共!」
( ^ω^)「ツン…?」
ξ゜凵K)ξ「私たちまだ1年なのよ!?初の公式戦を、1年だけで迎えるのよ!?
      みんな不安に決まってるじゃない!相手は確かに格上かもしれないけど
      それがどうしたの!?」
('A`)「ツン…」
ξ゜凵K)ξ「こっちが格下だろうとなんだろうと勝ちゃいいじゃないの!それにブーン!
      インターハイには…もっともっと強いチームしか行けないのよ!?
      こんなとこで立ち止まってて何が変わるっていうの!?」
( ^ω^)「ツン…そうだお…県ベスト8相手くらいでビビってちゃインターハイなんて
    行けるわけないお…」
('A`)「うちが…インターハイ…?」
(=゜ω゜)ノ「面白そーじゃないかヨウ。乗った!インターハイまで無敗伝説で行くヨウ!!」
('A`)「っしゃ、みんな!ニー速ぶっ潰すぞ〜!!」
一同「おっしゃあぁぁぁ!!!」

彼らの声に、迷いはなかった。


 ・
 ・
 ・
第2試合が終わり、アップを始める。アップをしているときも不安がわいてくるような
ことはなかった。

('A`)「集合!!」

試合開始3分前。ギャラリー席には昨日の一戦を見た者、噂を聞き興味本位で
やってきた者で溢れていた。

(´・ω・`)「どうやら注目の一戦と思われてるようだね。大会大本命と
       無名校の試合…勝つのはどっちなんだろうね?」
(*^ω^)「未来の全国NO.1の無名校ですお!」
一同「そのとーり!!!!」
(´・ω・`)「よし、その意気だ。それからジョルジュ君、ごにょごにょごにょ…」
(;゜∀゜)「…マジですか」
(´・ω・`)「不安かい?」
( ゜∀゜)「とんでもないです!願ってもない機会ですよ!!」
(´・ω・`)「よし、任せたよ。それじゃあみんな、ガツンと行っておいで」


審判「VIP高校対ニー速工業の試合を始めます!両校のスターティングメンバーは
   コート中央へ!」

両チームのスターティングメンバーが整列する。その瞬間ギャラリー席から
どよめきが起こる。

八頭身がスタートからコートに立っている。

('A`)「(この試合は本気ってわけか…ありがてぇ…)」

ξ゜凵K)ξ「今まで遅刻して途中出場だった八頭身がスタート…」
(´・ω・`)「うちを本気でかからなければいけない相手だと思ってくれたようだね。
       光栄なことだよ」

(*´Д`)「(名前も知らないあの子に1秒でも長くこの俺のバスケットを……!!)」

そうでもなかった。


(*゜ー゜)「!!!!」
ξ゜凵K)ξ「……しぃ、どうしたの?」
(;゜ー゜)「目が合った…」
ξ゜凵K)ξ「まさか………」
(*´Д`)「幼女ハァハァハァハァハァハァ…!!」
ξ゜凵K)ξ「(しぃ、絶体絶命〜…っと。あはは…)」

審判「試合中のコールはVIPを白、ニー速を黒とします!互いに礼!!」

   「「「お願いします!!」」」


VIP高校
Cドクオ      167cm55kg PG
D内藤ホライゾン  173cm57kg SF
Eイヨウ      165cm55kg SG
Fモナー      189cm93kg C
Gジョルジュ長岡  177cm80kg PF

ニー速工業高校
C八頭身      213cm101kg C
D名無し            PG
E名無し            PF
F名無し            SF
H名無し            SG

センターサークルに八頭身とジョルジュが入る。


( ´Д`)「ギタギタにしてやるよ屑どもが」
( ゜∀゜)「上等!試合後には泣かせてやるよデカブツ!」

ボールが投げられた。勝ったのは八頭身。ニー速Dにボールが渡った。

( ゜∀゜)「くっそ…」
('A`)「ディフェンスだ!!マンツーな!マッチアップは作戦通りだ!!」
( ゜∀゜)「おっしゃ!!!任せろ!4番おkだ!!!」

ジョルジュのマッチアップは八頭身。モナーがE。他のメンバーはそれぞれ
同ポジションの選手へとつく。この作戦にギャラリー席はまたもやざわめきに包まれる。


「おいおいマジかよ…VIPのセンターは7番じゃないのか!?」
「8番は確かにガタイがいいけど…タッパが違いすぎるぞ…」


(#´Д`)「調子に乗るなよ屑が!!ボールよこせ!吹っ飛ばしてやるよ!!」
ニー速D「っしゃ、八頭身!!」

――ビッ…ばしっ
八頭身が右ハイポストでパスを受ける。
八頭身はパワードリブルで強引にゴール下へ入ろうとする。

(#゜∀゜)「(んぐおおぉぉぉぉ……!!!重ぇ…)」
( ´Д`)「おら、どうした、屑?押されてっぞ、コラ」
('A`)「ジョルジュ!!手は使わずに踏ん張れ!!」
( ゜∀゜)「はあk…うおおっ!?」

ゴール下まで入り込んだ八頭身がジャンプした。

( ゜∀゜)「くそっ…」
('A`)「ジョルジュ、手ぇ出すな!!」
(;゜∀゜)「くっ…」
(*´Д`)「イヤッホオオオォォォオォォォウ!!!!」
――ガコンッ!!!


八頭身は両手でボールを力の限りリングに叩き込む。リングを通過して床で跳ねたボールは
ギャラリー席まで飛んでいった。

(;゜∀゜)「…………」
( ´Д`)9m「オラ、どうした、チビマッチョ君?今日は俺がディフェンスついてやるよwww光栄に思えwww
     ほらほら、完封してやるよwwwサーセンwwwww」
(#゜∀゜)「上ッ等…!!」
('A`)「ジョルジュ!!熱くなりすぎるな、攻めるぞ!!」
( ゜∀゜)「っしゃぁぁ!!」

――ダムッ…ダムッ…

('A`)「(速攻は無理か…そりゃそーか、こいつら八頭身がシュート打つ前にディフェンスに
   戻ってやがるからな…)」
('A`)「っしゃ、一本!行くぞ!!ブーン!!」

――ビッ…ばしっ
ブーンが左45度でボールを受ける。


( ^ω^)「モナー!!」

――ビッ…ばしっ
ブーンはすかさず左ハイポストのモナーにパスを入れ、パスランする。

ニー速F「(しまった、裏取られちまった…まぁいっか、八頭身いるし)」
( ´Д`)「(デブが中に入って来たニヤケ面にパスだろ!!見え見えなんだよ屑!!)」
( ´∀`)「イヨウ君!!」

――ビュッ!!
ジョルジュのスクリーンを受けてノーマークでコーナーへ向かうイヨウへモナーが
勢いよくパスを出す。
――ばしっ

(=゜ω゜)ノ「ナイスパス!!」
(;´Д`)「外だと!?」

――シュッ…

(=゜ω゜)9m「もらったヨウ!!」

――パシュン!!


(*^ω^)「おっおっwwwナイッシューだおww」
(=゜ω゜)ノ「ガンガン行くヨウ!見てやがれデカブツ!!」
(#´Д`)「なめやがってドチビが…」

ニー速のオフェンス。八頭身はもう一度右ハイポストでポジションをとる。

( ´Д`)「よこせ!!」
ニー速D「お…おう!行け、八頭身!!」
( ´Д`)「お前みたいな屑にはこれで充分だ!!」

八頭身はその場でセットシュート(ジャンプしないシュート)を放とうと
シュート体勢に入る。

(*´Д`)「ごめんよチビマッチョ君www君じゃ届かないよねwwwサーセンwww」
(#゜∀゜)「うらぁぁぁぁぁあぁぁぁぁああぁ!!!!!!!!」

――バコッ!!!

Σ(´Д` )「っな……!!!」

八頭身の余裕満点のセットシュートをジョルジュが渾身のブロック。会場中がざわめく。


「お…おい、見たか今の8番のジャンプ…」
「軽く1mは跳んでたぞ…8番を4番につけたのはこれを見越してのことだったのか…」
「ニー速の4番も余裕ぶっこいてる場合じゃないだろ…」

ドクオがルーズボールを拾い、ブーンとイヨウが両翼を走る。

('A`)「ブーン、行けっ!!」

――ビュッ…ばしっ

( ^ω^)「おっ!!!」

――ザシュッ

速攻が決まる。5-2でVIP高リード。

( ゜∀゜)9m「っしゃああぁあぁぁ!!見たかコラ!!!!」
(#´Д`)「…………………」
('A`)「(八頭身のシュートさえ止めることが出来れば速攻が出せる。
    その調子で頼むぞ、ジョルジュ!!)」
(#´Д`)「おい!はやくよこせ!!ローポストだ!!」
ニー速H「お…おう!!」


――ビッ…ばしっ
ローポストの八頭身にボールが入る。
――ダムッ…

( ´Д`)「オラァ!!!」

――ダムッ!!
八頭身は強引にゴール下へ入ってくる。ジョルジュも必死で体に力を込めるが止められない。

( ゜∀゜)「っぐ………!!」

(*´Д`)「イィィヤッホォォォオオオォォォウッ!!!!!!」

――ガコンっ!!!
八頭身の2本目のダンクが炸裂する。

( ´∀`)「長岡君、八頭身のことは初めからわかってたことだから気にしなくていいモナ。
     それよりもカバーが必要だと思ったら遠慮なく呼ぶモナ」
( ゜∀゜)「おk!一人じゃあんなの止められないもんな!熱くなって忘れちまってたよ、悪い!」
('A`)「おk!気を取り直して1本行こう!!」


――ダムッ…ダムッ…

( ^ω^)「(インサイドは八頭身がいるから攻めるのは厳しいお…だったら外から…)」

――キュキュッ!!
ブーンはミドルレンジから一旦Vカットをしてスリーポイントライン外に戻る。
ニー速Fがそれについていこうと、一歩踏み出した瞬間に素早く方向転換して再びゴールへ向かう。
振り切った。ノーマーク。

ニー速F「(なんだこいつは!?瞬発力…いや、かなりのキレだ!!)」
('A`)「(GJ!!!!)ブーン!!!」

――ビュッ…ばしっ
ブーンはミドルレンジでパスを受ける。ノーマーク。

( ^ω^)「(練習の成果を見せてやるお!!)」

――シュッ…
ブーンがジャンプシュートを放つ。その瞬間インサイドから何かが飛び出してきた。


(*´Д`)「イイィィィヤッホオオォォォォォォォウ!!!!!!」
( ^ω^)「おっ!?」

八頭身だ。ブーンが『飛び出してきた』と感じたものの正体は八頭身の尋常でない長さの腕。
八頭身は自らのディフェンスポジションから1,2歩しか動いていなかった。

――バコォッ!!!
ボールはニー速Fがキャッチ。前線をニー速Dが独走する。

('A`)「くっ…(こいつら、結構速いぞ…)」

――ザシュッ
ニー速の速攻が決まる。
5-6でニー速がリード。

(=゜ω゜)ノ「(おいおい、この前のメンバーより格段に上手いじゃないかヨウ…
     なんでこの間は出てなかったんだヨウ…)」


ニー速工業は八頭身オンリーのチームである。故に監督も腕がいいわけではない。
ニー速工業の監督は年功序列を重視する人間だったために現在出場している
メンバーには3年生がいる間ほぼ出番がなかったのだ。ただし、ニー速工業の
監督にとって八頭身だけは特別だったようで、八頭身には入部した時から試合に
出る機会が与えられていた。

( ゜∀゜)「(八頭身以外のメンバーはめちゃくちゃ上手いって訳ではなさそうなんだけどな…
     俺から見てもうちのメンバーの方が上手いし…だけど八頭身に確実にパスを
     入れてくることはかなり厄介だぞ…)」

('A`)「一本!落ち着いて行こうか!!」
一同「おう!!」
('A`)「(さて、どうするか…)」

ドクオはどう攻めるか迷っていた。インサイドでは八頭身が目を光らせているため
簡単には落とせない。ミドルレンジからの攻めも先ほどのブーンの場合のように、
リーチの長さを利用されてターンオーバーを誘発してしまう。かといってイヨウの
スリーポイントだけに得点を頼るわけにも行かない。初めの一本を容易に決められた
ことでイヨウへのマークが厳しくなっている。それを無理に振り切らせる動きをさせる
ことは必ずや終盤や勝負所でのガス欠を招くことになる。


('A`)「(やっぱセオリー通りパスランからノーマーク作って攻めるしかない…か)」
(=゜ω゜)ノ「(…そーだヨウ、あれやってみるヨウ)」
(=゜ω゜)ノ「ドクオ!!くれヨウ!!」
('A`)「お…おう!あまり動きすぎるなよ、ペース考えながらだ!」

――ビッ…

(=゜ω゜)ノ「任せとけヨウ!!」

――キュキュッ…ばしっ

イヨウはニー速Hを振り切りパスミートする。同時にモナーへアイコンタクトを送った。

ニー速H「(こいつみたいな低身長選手にはアウトサイドの攻めしかない!!どんな
       小細工をしてこようと俺がアウトサイドさえ守りきればあとは八頭身が…)」

――ダムッ!!

ニー速H「(しまった、抜かれた…ドライブ!?)」

イヨウはニー速Hを低いドリブルで抜き去り、八頭身に向かってドライブする。


( ´Д`)「(はぁ!?あなた馬鹿ですか!?何をしてこようと思いっきり
     ブロックしてやるよ!!パスも出させねぇ!!)」

――キュキュ!!
イヨウは八頭身にコースを塞がれ、八頭身に背を向けローポストでドリブルを止める。

(*´Д`)「ほらほら、どーちまちた?おチビちゃん!?成す術がなくなっちゃったかい?www
     サーセンwwww」

ドリブルを止めてしまったイヨウは八頭身のプレッシャーに押され、八頭身に背を向けたまま
ボールを守るように体を丸める。

(*´Д`)「ほらほらどーちた?パスも出させないよww勝負してきなよおチビちゃんwwww」
(=゜ω゜)ノ「ヤロ…なめんなヨウ!!」

イヨウは体を丸めた不利な状態から振り向きざまにジャンプシュートを放とうと跳んだ。

('A`)「オイ!イヨウ!!ムキになるな!!戻s…!!」
(*´Д`)「うっひょひょーーいwwww全力ブロッーーーークwwww
     くたばりなおチビちゃんwwwサーセ…ん!?」


空中でのイヨウはその手にボールを持っていなかった。そう、『手』には持っていなかった。
イヨウは八頭身からプレッシャーを受け、体を丸めた時にボールを両大腿に挟み込んでいた。
そしてボールを持たずにジャンプシュートを打つという見事な『演技』をやってのけたのだ。
空中で手を下ろし、大腿で挟んでいるボールを手に取り、跳び上がった八頭身の股の間を通し、
逆サイドへバウンドパスを出す。逆サイドのローポストからはモナーが相手を振りきり走り込んできていた。

( ´∀`)「ナイスパスモナ!!!」

――バスッ
モナーはノーマークでゴール下シュートを決める。
会場はイヨウのトリッキーなプレイに対する歓声と拍手に包まれた。

「お…おい、見たか今のパス…?」
「今の…シュートフェイク…か?ボールを足に挟んで…?」
「あのパスにあわせた7番もすげぇよ…」
「おい、こりゃもしかすると…」

(=゜ω゜)ノ「どーしたヨウ、デカブツ?おチビにはおチビなりのやり方があるんだヨウ?」
(#´Д`)「んの野郎………(何で逆サイドにパスが出てんだ…わけわかんねぇ…??)」


その後、VIP高はあえて八頭身の所からニー速を崩す作戦へとシフトし、八頭身のインサイドスコアリング
と同等に張り合っていった。そして…。

――ビーーーーーーーーーッ!!

審判「第2Q終了!!ハーフタイムに入ります!」

第2クォーターを終え、48-52。ハイスコアな試合展開ながら、VIP高は
4点ビハインドで第3クォーターを迎える。

第29章 完


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