第三部 三章 ラウンジVS今北(前編)
(■_■)(決勝リーグの初戦からラウンジとはな……まったく、ついていない)
ベンチからコートへと向かっていく自らのチームの5名のスターティングメンバーの背中を見ながら、
田守はそう考えた。初戦から王者ラウンジ学園との対戦。総当たり戦での決勝リーグでは初戦を勝利で
飾れるか否かによって、その後の試合に対するモチベーションが大きく変わってくるからである。もしも
ここでラウンジ学園に敗れたら…。続く阿凡高校戦、VIP高校戦にまで選手たちのメンタル面において影響が
及ぶ可能性がある。ゆえに…初戦は確実に勝利を飾れる相手と戦いたかった。
(■_■)(……なんてなw)
そんなこと気にも留めるはずがない。なぜなら…今回はクーがいる。そして…有能なルーキーも招き入れることができた。
/ ゚、。 /
鈴木ダイオード。全国ベスト4の中学校でレギュラーを張っていたインサイドプレーヤーだ。春休みから練習に参加させ、チームの
連携を可能な限り叩き込んだ。インサイドが弱点である今北にとって、今回のインサイド補強は絶対に不発にさせることのできない
策であるからだ。
だが、それだけに惜しい。初戦の相手がラウンジであるということが。
いずれはバレることだというのは承知しているが、できればギリギリまでダイオードの存在とその実力を隠しておきたかった。
しかしラウンジ相手にそんな悠長に構えているわけには行かない。ニュー速県下でナンバーワンと言っても過言では
なかった実力派のポイントガード・フサギコこそ引退していなくなったものの、未だに流石兄弟のインサイド・アウトサイドでの
連携は脅威だ。アウトサイドから攻められるのならばまだ止められる。だが、インサイドから攻められたら…?
センターのニダーを信用していないわけではない。むしろ、ニダーのインサイドでの働きは田守も十分に認めている。
だが、そのニダーをもってしても流石兄弟の連携によるインサイド攻めを止めるのは難しいのだ。
流石兄弟とはそれほどの存在なのだ。
(■_■)(――ならば)
そんな流石兄弟――いや、ラウンジ学園というチームに敬意を表し、思い切り叩きのめしてやろうじゃないか。
最初から最後まで泥臭く、それでいて最後は鮮やかに試合を締めくくってやろうじゃないか。
今北の決勝リーグ全勝という結末とともに。
( ´_ゝ`)(この俺がキャプテンとなって…もうこれが最後の公式戦、か)
インターハイ予選。
前身のキャプテンであるフサギコのいた頃は、全国大会でベスト8など輝かしい成績を残してきたラウンジ学園。
だが、流石兄弟と同年代の選手たちが高校バスケの世界に足を踏み入れてからは、ニュー速県のレベルは確実に
上がっていることだろう。それこそ、全国大会の2回戦や3回戦に匹敵するような内容の試合が繰り広げられたり、
全国の強豪とも十分に互角な戦いができるような選手が何人も見受けられたり…。
そんな流れに、自分たちは乗り切れていないのではないか、と兄者は随分前から懸念を抱いていた。
数十年前からしのぎを削り合ってきた今北に苦戦するのはまだわからなくもない。だが…VIP高校。
ただのいち公立高校にすぎないはずのチームに苦戦するようになった自分たちがいる。これは覆しようのない事実。
初めて対戦したときは圧勝だった。だが、その次は?
なんとか試合を制したものの、結果は一桁差。しかも、終盤に一気に点差を詰められながらもなんとか必死に逃げ切った、と
いったもので、間違ってもいいと内容とは言えない試合だった。そのときはまだフサギコもいたにもかかわらず、だ。
自分たちの実力が停滞していたにしろ、弱体化してしまっていたにしろ、VIP高校の成長に自分たちは追いつけていなかった
というのが事実なのだ。
フサギコや池上といった全盛期のチームの主力が抜けたことは、ラウンジ学園にとっては大きな打撃であった。オフェンスの要と
ディフェンスの要が同時にチームから消えてしまったからだ。
その後キャプテンを任された兄者は、しばらくの間苦悩に満ちた日々を送った。
どうすればチームを強くできるか。ひたすらにそれだけを悩んだ。
そして、なんとか彼なりの結論にたどり着くことができた。
フサギコや池上に頼るということや、彼らの幻を追い続けるということからいい加減卒業しなければならない、と。
( ´_ゝ`)(ラウンジはラウンジ、俺は俺。チームの伝統?そんなの関係ねぇ)
(#´_ゝ`)「そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!」
(´く_` )「はい」
( ´_ゝ`)/「おっぱっぴー」
(´く_` )「これから試合だというのに何を難しそうな顔をしてるんだ?兄者よ」
(;´_ゝ`)「むっ…?俺は別に何も考えてなどいないぞ?」
(´く_` )「俺には嘘はつけないぞ。おおかた、キャプテンになったばかりの頃と同じことを考えていたんだろう」
( ´_ゝ`)「うっ…」
(´く_` )「伊達に18年間も兄者と双子やってないさ」
( ´_ゝ`)「まぁ要するにだ」
(´く_` )「勝手に要するな。まぁいい。言ってみろ兄者」
( ´_ゝ`)「キャプテン俺。=俺の好きにやらせろ」
(´く_` )「おk」
( ´_ゝ`)「全員で……ラウンジ学園で勝つ。監督もプレーヤーもベンチもマネージャーもベンチ入りできなかった二階席の奴らも、
全員で勝つんだ」
(´く_` )「なかなか高い理想を掲げるじゃないか」
( ´_ゝ`)「理想を求めなければ夢は叶わないさ」
(´く_` )「いいこと言うじゃないか」
( ´_ゝ`)「お前の兄だしな」
(´く_`( ´_ゝ`)「「やっぱり……」」
「流石ですクマー、先輩方は」
(#´_ゝ`)「んなっ…誰だ!?俺たちのキメ台詞にかぶせてきた奴は!?」
(´く_` )「なんだ、クマーじゃないか」
(・(エ)・)「審判も対戦相手もずっとこっち見ながら待ってますクマー。早く行きましょうクマー」
( ´_ゝ`)「…ふふっ、そうだな」
審判「え…えー…よろしいでしょうか。それでは試合を始めたいと思います」
審判「試合中のコールは今北を白、ラウンジを紫をします。互いに礼!」
「「お願いしまっす!!!!!!」」
今北産業大学附属今北高校
Cギコ 175cm63kg PG
Dニダー 187cm78kg C
Fクー 159cm52kg SG
G名無し SF
M鈴木ダイオード 194cm85kg C
ラウンジ学園
C兄者 193cm84kg C
D弟者 183cm73kg SF
E名無し PF
H武藤 SG
Lクマー 186cm72kg PG
両チームのジャンパーがそれぞれセンターサークル内へと足を踏み入れる。そしてジャンパー以外のプレーヤーは
センターサークル周辺で各々のポジションを取る。ラウンジからはC兄者、そして……今北からはM鈴木ダイオードが
センターサークル内へと入った。
――試合の始まる少し前
( ^ω^)「あの14番……誰だお?ラウンジの13番も…。あんな選手いたかお?」
ξ゚听)ξ「どっちも随分と身長が高いわね……今までにはいなかったはずよ。新しい部員かしらね?」
(*゚ー゚)「んーと…大会プログラムには二人とも一年生って書いてあるよ」
('A`;)「あんなでっけぇ一年…?」
( ゚∀゚)「ウホッ」
(;´∀`)「な…なんかめちゃくちゃうまそうモナよ」
(=゚ω゚)ノ「あの今北でスタート張れる一年なんだヨウ。実力は確かなはずだヨウ」
<_;プー゚)フ「……!!」
( ^ω^)「お?エクスト、どうしたお?」
<_;プー゚)フ「あ…あいつは…」
('A`)「知り合い……か?」
<_;プー゚)フ「去年の全中でベスト4に入ったチームのレギュラーセンターっすよ!」
ξ;゚听)ξ「ぜ…全中…!?」
(;=゚ω゚)ノ「マジかヨウ……」
<_プー゚)フ「結局3決で負けちまったんで全国4位っすけど…あいつは上手いっすよ」
(;´∀`)「ななななな…なんかあの14番がめちゃくちゃ上手そうに見えてきたモナ」
( ゚∀゚)「バッカ!全中ベスト4なんだから上手いに決まってんだろwww」
<_プー゚)フ「うちのチームは全中では結局鈴木ダイオードのチームと戦う前に負けちまったんで直接手合わせしたわけでは
ないっすけど…やつの実力は保障するっす。しっかり観ておくべきっすよ」
(-_-)「…ん?」
(・▽・)「エクストってもしかして……」
<_プー゚)フ「あ、言ってませんでしたっけ?俺、中学んとき全中出てるっすよ」
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
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/ ヽ、_/)ノ ≦ ヽ‐'´ `‐、
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ ≦ ヽ
i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ ≦ , ,ヘ 、 i
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、 │
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/ ! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
/`゙i u ´ ヽ ! !{ ,! ` ( } ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ !
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i、 \:::::::::::::::..、 ~" / ヽ.___,./ //ヽ、 ー
('A`)「…道理で上手いわけか」
( ^ω^)「いまさらながらようやく納得がいったおww」
( ゚∀゚)「ラウンジの13番の方も全中経験者なのか?」
<_プー゚)フ「いえ…たぶん、違うと思うっすよ」
(=゚ω゚)ノ「……っと、始まるヨウ!!」
イヨウの一声で皆、がばりと視線をエクストからコートへと移した。一瞬で興味の対象を変更されたエクストは
若干寂しそうな表情を浮かべたが、気のせいだろう。
( ´_ゝ`)「お手柔らかに頼むよ、期待の新人君」
/ ゚、。 /「勝負とは非情なものです」
( ´_ゝ`)「言うねぇ」
/ ゚、。 /「仮に手を抜いて負けたとして、それほど馬鹿らしいことがありますか?」
( ´_ゝ`)「うむ、間違いないな」
両チームのジャンパーがセンターサークル内でポジションを取ったことを確認した審判がボールを投げ上げ、試合が始まった。
( ´_ゝ`)「ふっっ!!」
/ ゚、。; /「…っ!?」
ジャンプボールを制したのは兄者。左側へポジションを取っている弟者に向けてボールを弾く。が、それを完全に
読みきっていた男がいた。
――バチッ!
川 ゚ -゚)「甘い」
(;´_ゝ`)「…くそっ!」
(´く_` )「兄者、ディフェンス!すぐ戻れ!」
( ´_ゝ`)b「お…おうっ」
/ ゚、。 /(見かけによらずなかなか跳ぶな、この4番…。弱体化しつつあるとはいえ、王者の称号は
伊達じゃないってことか)
川 ゚ -゚)(速攻は…今なら行けるな)
武藤「行かせるかっ!!!」
川 ゚ -゚)「む」
ボールを奪って着地した瞬間のクーのディフェンスについたのは、ラウンジ学園H武藤。
フワッとした「リーゼント風」の髪型がレトロとモダンの融合を果たし、アバンギャルドな様相を醸し出している。
川 ゚ -゚)(…別に、最初から飛ばしていく必要もないか)
川 ゚ -゚)(この試合は萌え…燃える展開になればいいのだが)
(,,゚Д゚)「クー、こっちだ」
川 ゚ -゚)「ん。ああ、任せたぞ」
セットオフェンスを選択したクーは、ボールをギコへと預け自らのポジションへと入る。
(,,゚Д゚)「っしゃぁ!一本行くぞゴルァ!」
ダイオードの加入により、今北の戦法で大きく変わった部分がある。それは、ニダーとダイオードによるツーセンター。
インサイドのメンツを充実させるだけでなく、いっそのこと攻撃のバリエーションも増やしてしまおう、という田守の
「欲張りプラン」だ。
――ダムッ…
(,,゚Д゚)(だが…まだ使わねぇ。今のラウンジがそれに見合うチームかどうか見極めたい)
県内でも屈指のプレーヤーであるフサギコが抜け、県内でも屈指の空気である池上が抜け、それでもラウンジ学園には
王者の誇りと、それに見合う実力ががあるのか。それをじっくり見極めながら試合をするのも面白そうだ、とギコは思った。
おちゃらけた考えではなく、純粋に今のラウンジ学園の力を測りたい、そう思っていた。これまでのラウンジ学園と今の
ラウンジ学園を比較するための最も簡単な方法は、去年と同様に攻める。ただそれだけだ。
それだけで、昨年と今回のラウンジ学園の実力の違いを測ることができる、とギコは確信していた。
昨年もポイントガードとしてラウンジ学園というチームの全貌を直に見ながら戦っていたギコにとってはおそらく容易いこと
なのだろう。
(,,゚Д゚)(それと…この一年坊の品定め、だな)
クーからボールを受け取った瞬間に自分のディフェンスについてきたこの13番。重心の位置、体の前傾…。
基本姿勢だけでなく、距離感やディレクションも絶妙だ。おそらくはそれなりにレベルの高い場所でバスケットを
してきたのだろう。
(,,゚Д゚)(だが、お前について来れるか!?)
――ダムッ!!
(・(エ)・)「!!!!?」
突然だった。ギコを追うことも忘れ、思わず抜かれた方向に目をやる。
(;・(エ)・)「…………!!」
わかっていたつもりだった。
今大会の今北のこれまでの試合を、撮影されてあるビデオを観ながら自分なりに研究し、ギコという選手がいかほどの
実力を持っているのか、ということを。
そして、いくら自分が一年生とは言えど、強豪を相手にしても互角に戦えると思っていた。
これまでの試合でも自分の実力は十分に通用していたし、そして何より王者ラウンジ学園に入学てから1ヶ月足らずで
スターティングメンバーの座を獲得したということが、クマーにとって誇りであり、同時に大きな自信となっていた。
(・(エ)・)(それを……!たった1プレーで……!)
あっさりとねじ伏せられた。まるでそこには何も存在しないと言わんばかりに、ギコはクマーの自信を打ち砕いた。
(,,゚Д゚)「っしゃあ!」
クマーをワンドリブルでかわしたギコはさらにドライブを加速。ミドルレンジでノーマークとなっていたにもかかわらず、
強引にペイントエリア内へ突入する。その理由はただ一つ。‘これまでの今北の攻め方’を展開するためだ。
今のラウンジの実力を測る、そのために。
(,,゚Д゚)「…っ!」
――ズダッ
ハイポストとミドルポストの中間あたりの地点でギコはストップ。そのままドライブ時の慣性により前へ向けられたベクトルを、
勢いを殺すようにして膝を曲げ、下へと向ける。その一連の動作には無駄がなく、速い。
ラウンジE「先制点はやらん!」
(,,゚Д゚)(まぁ…いつも通りの反応かゴルァ)
(,,゚Д゚)「ニダーっ!」
――ビッ…
ギコのヘルプに来るラウンジE。それによってノーマークとなったニダーはすかさずゴール下へ。ギコはそれを見逃さず、
シュート体勢から瞬間的にパス体勢へ移り、ゴール下のニダーへとパスを送る。
――ばしっ
パスは容易に通り、ニダーはそのパスをキャッチ。そのままターンしてシュート体勢へ。ラウンジ学園の誰もが先制点を覚悟した。
――ただ一人を除いて。
(#´_ゝ`)「そうはいかんざき!」
キャプテン、兄者。去年も嫌というほど味わい、苦しめられたこのプレー。
( ´_ゝ`)(去年と同じやり方で勝てると思うなよ!俺たちはそこまで愚かではない!)
ちなみにこのとき、ラウンジ学園のメンバーは兄者がリカバーに出た時点で既に全員がディフェンスのローテーションを
それぞれずらし、今北側のパスコースを全て消していた。
それを知ってか知らずか、ニダーはインサイドでの兄者との1on1を選択する。
――ダムッ!
小さなシュートフェイクからのパワードリブル。しかしそのパワードリブルはこれまでとは違い、ニダーから見て斜め前方へ
跳びながらのものであった。ニダーはそのまま空中で体を横に90度ほどひねり、着地する。
(;´_ゝ`)「こいつっ…!」
そのジャンプは、ニダーがゴールと兄者の間に着地できるよう行われた。そして着地したときには背中が兄者へと
向けられているため、彼の体は自然とゴールに向けられる。結果、ニダーとゴールの間を阻むものは何もなくなる。
――バスッ
彼は迷わずジャンプシュートを放つ。ボールは一旦バックボードに当たってから綺麗にネットを通過した。
<ヽ`∀´>「ナイスパスだったニダよ、ギコ!!」
――うぉぉぉぉぉっ!いいぞいいぞニダー!いいぞいいぞニダー!いいぞっ!いいぞっ!いいぞ今北先取点!うぉぉぉぉぉっ!
今北に対する対策を練ってきたのであろうラウンジから鮮やかに先制点を奪う今北。そのプレーに応援席も序盤から
大盛り上がりを見せる。
(・▽・)「…上手いですね…」
(´・ω・`)「体をひねりながら跳んで着地地点をずらす…。彼自身の体をとても上手く使っているね」
( ゚∀゚)「あんのチョン……!やるじゃねぇかよ…」
('A`)「ジャンプしながらの移動中に下手に手を出せばファウルになるしな…。あの野郎、考えやがったな」
( ^ω^)「それ以前に…。ニダーのインサイドプレーはあそこまで力強かったかお?今のワンプレーだけじゃ
なんとも言えないかもだけどお」
(´・ω・`)「そこが問題だね。見たところ、新メンバー14番の加入は本来は今北の弱点だったインサイドを強化するため。
仮にそれに合わせてニダー自身のインサイドプレーも強化してあるとしたら…厄介なことになりそうだ」
('A`)「インサイドでの強力な連携…ですね」
(´・ω・`)「ああ。そうだ。とにかく、じっくり観ておくしかないね」
(´く_` )「ど…ドンマイだ兄者!気にす…」
( ´_ゝ`)「すまん!気持ち切り替えるぞ!一本行こうか!」
(´く_` )「むっ!?ナイスポジティブ!」
/ ゚、。 /(今のディフェンス…決められたとは言え見事なタイミングのカバーだった。ギコさん、気付いてるかい?
甘く見てると……食われますよ)
(,,゚Д゚)「っしゃ、ディフェンスはハーフのマンツーだ!行くぞゴルァ!」
(・(エ)・)(認めなくちゃいけないクマー。この男の実力。そして…自分よりも格上だという事実を)
クマーに挑戦者としての自覚が芽生える。
そしてそれと同時に、クマーは入部時に最初に兄者が口にした言葉を思い出した。
―――――――
( ´_ゝ`)「このチームのキャプテンの流石兄者だ。新入生諸君、よろしく頼む」
( ´_ゝ`)「この際だからはっきり言っておこう。俺にはキャプテンとしての自信はない」
(・(エ)・)(おいおい…大丈夫かクマー、こんな頼りないのがキャプテンで…)
( ´_ゝ`)「前チームのキャプテンは本当に偉大な人だった。プレーだけじゃない。キャプテンとしてみんなを率いていく統率性、
そして彼自身の人間性…その他諸々全ての点において、だ」
( ´_ゝ`)「俺はどうしても、敵わないとわかっていながらも自分を彼と比べてしまう。そしていつも自己嫌悪に陥る。
あそこまで王者という肩書きがふさわしい人から、この王者ラウンジを任せられたことに不安を感じている」
( ´_ゝ`)「だが、このチームのみんなは励ましてくれた。『肩書きなんて気にするな』……と」
( ´_ゝ`)「それだけで純粋に嬉しかった。心強かった。そして頑張ろうと思えた。」
( ´_ゝ`)「さて、前置きが長くなってしまったが……新入生諸君らにこのチームの方針を伝えたい」
『王者たる者、常に挑戦者であれ』
by( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)「この方針が気に食わない者も当然いるだろう。だが、わかって欲しい。今のニュー速県のベスト4からの戦いにおいては
肩書きなど何の意味も持たない。実力のみがものを言う世界なんだ。」
( ´_ゝ`)「王者という肩書きに縛られたり、慢心を抱くことなく、いかなる試合においても、一つ一つの練習メニューにおいても。
……常に挑戦するつもりで全力で取り組んでいこう。そして最後は……」
――――――
(・(エ)・)(『みんなの力で全国に行った』……そう胸を張って言えるようなチームになろう……か、クマー)
(・(エ)・)(ようやく意味がわかったクマー、兄者キャプテン)
今北産大附今北 2-0 ラウンジ学園
試合はまだ、始まったばかりだ。
第三章 おしまい
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