( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです
第三部 6章 ラウンジVS今北(後編)
――ダムッ…
( ´_ゝ`)「7番がボール運びだと…?」
(´<_` )「確かに4番はだいぶ崩れてはいたが…」
(・(エ)・)「これは…『引きずり出した』ってことになるんでしょうか?
今まで7番がポイントガードに入っていたデータはないはずですクマー…」
武藤「それとも替わりがいなくて仕方なく…なのか?いずれにせよ様子を見るしかない…か」
( ・∀・)「ふーむ、久しぶりのセリフ」
( ><)「僕もなんです!」
从'ー'从「私もです〜」
( ・∀・)「さて…挨拶はさておき、だ」
( ><)「7番のクール君がポイントガードで出場したときのデータが見つからないんです!」
从'ー'从「どうやら初めての機会のようですね…『日本では』。」
( ・∀・)「渡辺、彼について何か知っているのかい?」
从'ー'从「噂程度ですぅ〜」
( ・∀・)「彼はアメリカでのプレー経験があるようだが?」
从'ー'从「はい〜、アメリカではそれなりにブイブイ言わしてたようですよ〜」
( ><)「ブイブイだなんて…ナウすぎるんです!」
( ・∀・)「黙ってろ産廃」
( ><)「…………」
バスケットボールの国、アメリカ。
高いスキルに加えて、天賦の才と言っても過言ではないほどの生まれついての身体能力を備える選手が多く育つ国だ。
そもそもアメリカにおいてバスケットボールというスポーツは子供達が気軽に楽しめるスポーツである。
街中のリングでは若者たちがバスケットボールを持って楽しそうに駆け回る。日本ではなかなかお目にかかれない光景が日常だ。
好きこそものの上手なれ、とでも言うべきか。
そもそもの環境が違うため、日本のそれと比べるのはいささかナンセンスであるが、プレイ人口、そしてボールと触れ合う時間が多いということは、
才能あるプレイヤーの現れる確率も高い。
それだけでなく、ひたすらに努力を重ねたことで(当然、才能ある者も人並みならぬ努力を重ねているのだが )、めきめきと
頭角を現してくる選手も少なくない。
そんな中で、クーは戦っていた。
彼の身長は低い。
日本にいても小さく見られることの多い彼がアメリカ人たちに混じってコートに立っている姿には、やはり違和感があるのかもしれない。
元々の身体能力の時点で、アメリカ人のそれには大きく劣っていた。
鍛えたところで、その伸びしろも彼らには到底及ばない。
しかしそれでもクーは己の体を限界まで鍛え抜いた。
当然、敵わなかった。
ルーズボールを奪い合う際に軽く接触しただけで何度も何度も吹き飛ばされた。
何度もコートにはいつくばった。
何度も、何度も、何度も、何度も。
その様から「雑巾がけ」と罵られようとも、彼は決して諦めなかった。
そして、考えた。
自分にしかできない――そんなプレイヤー像はないか。
ただひたすらに、考えた。
川 ゚ -゚)(負けるわけにはいかない)
川 ゚ -゚)(チームの勝利も必要だ。だが――)
川 ゚ -゚)(私自身の存在価値の証明のためにも、だ)
――ダムッ…
川 ゚ -゚)「ギコ、回すぞ。好きに攻めろ」
(,,゚Д゚)「おうっ!頼むぜ!」
(・(エ)・)「っし、ハンズアpp…」
――しゅっ
(・(エ)・)「…えっ?」
( ・∀・)「パス回しも何もなしでいきなりスリー…!?」
――ぱしゅんっ!
川 ゚ -゚)「ノーマークだったのでな、つい打ってしまった」
(;・(エ)・)(ノーマークって…!リングまで何mあると思ってるんだ…!?)
ξ;゚听)ξ「遠っ…」
(*゚ー゚)「しかもあの高い軌道なのにノータッチで…」
('A`)「イヨウ…お前があの距離でシュートしたとしたら…?」
(=゚ω゚)ノ「…3本中、1本入ればいい方だと思うヨウ…」
( ^ω^)(僕からしたらそれでも十分すごいお…)
( ・∀・)「…NBAではスリーポイントラインは日本よりも遠い」
( ><)「クール君の決めた位置はスリーポイントラインよりも2mくらい離れてたんです!」
从'ー'从「それが彼の見つけた、彼なりの戦い方なんでしょうかねぇ〜?」
( ´_ゝ`)(なんつーめちゃくちゃな…。しかしこれはやけくそのポジションチェンジなのか…それとも勝算があって…?)
(´<_` )(タイムアウトもとらずに…か。時計が止まらなかったのはこちらとしてもありがたい。
流れを切らずに済んだんだからな)
( ´_ゝ`)(うむ。だが……嫌な予感がする)
(´<_` )(同感だ。逆にこちらがタイムアウトを取る必要があるのではないか?兄者よ)
( ´_ゝ`)(…様子を見るしかないだろう…)
(´<_` )(…だな)
( ・∀・)「ラウンジ学園の1-3-1ゾーンは、選手各々の間隔が広いね」
( ><)「見たらわかるんです」
从'ー'从「黙ってろ殺すぞ」
( ><)「…」
( ・∀・)「おそらくだが、アウトサイドへの対応をより柔軟に行うためだ。無論、選手間の間隔を広げるということは
一人一人の守るべきエリアも広くなる。そしてヘルプディフェンスに駆け付けるための距離も大きくなる」
从'ー'从「しかしラウンジ学園の選手たちのディフェンス力・判断力ならば間隔を広げて守ることができる…と?」
( ・∀・)「理解が早くて助かるね。そういうことだろう。あ、ビロードくん!」
( *><)「はっ……はいなんです!」
( ・∀・)「コーヒー買ってきておいてくれない?僕と渡辺のぶん」
( ><)「……(ここまで扱いひどかったっけ…)」
かわって、ラウンジ学園の攻撃。
ポイントガードへと移ったクーであるが、クマーとクーでは約30cmものミスマッチがあるため、クマーのディフェンスにはギコがつく。
川 ゚ -゚)(あれくらいのサイズのガードなら向こうにはごまんといたから問題ないんだがなあ…まあ、いい)
――ダムッ…
(・(エ)・)(僕たちの1-3-1はアウトサイドからの攻撃も封じ込めるためのディフェンスだったはず…
スリーにも対応できるように、通常のものよりだいぶ広く間隔をとってある…)
(・(エ)・)(それでも対応しきれない距離から放たれるシュート…一体どうすれば?)
――キュキュキュッ!
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ´∀`)「さっきよりディフェンスが激しくなってきてるモナ!」
_
( ゚∀゚)「あの野郎、エンジンかかってきやがったか!?」
(・(エ)・)「くそっ…!」
――ばちっ
川 ゚ -゚)「どこを見ている、こっちだ」
(;・(エ)・)(7番…いつの間に!?)
(,,゚Д゚)「ナイスだ、クー!速攻だ、走れぇっ!!」
ギコとクーの二人による速攻。
クマーは必死にくらいつく。
川 ゚ -゚)「ギコ!」
――びっ…ばしっ
クーからギコへのショートパス。
(・(エ)・)「ちっ…」
クマーがギコへ対応するために体を反転させようとしたその瞬間に、
(,,゚Д゚)「クー!」
――びっ…ばしっ
ギコからクーへのリターンショートパス。
そしてクーはスリーポイントライン上で急ストップ。
(・(エ)・)(速攻でスリー…!?)
(・(エ)・)(いや!こいつならやりかねないクマー!…それともそう思わせておいて4番をゴール下に走らせてくるのか!?)
( ´_ゝ`)「クマーっ!上だーーっ!」
(・(エ)・)「えっ…(4番と逆サイド…?)」
――びっ
上空へ放られるボール。
その方向は、ギコとは逆サイド。
その視線の先には――
川 ゚ -゚)「珍しくいい仕事をしたじゃないか――
――ばしっ
川 ゚ ー゚) ――エラ張りっ!」
<ヽ`∀´>「その呼び方は人権侵害ニダッ!!!」
――ガコンッ!
<_プー゚)フ「うほーっ!アリウープ…」
_
(;゚∀゚)「ちょっと待てよ、あのキムチ野郎!いつの間にダンクできるように…」
(;^ω^)「しかも踏み切り位置がかなり遠かったお…」
(=゚ω゚)ノ「兄者があんな易々とやられるなんて…」
(´・ω・`)「あの二人の脚力に匹敵するダッシュ…かなりのものだね。それに加えてミドルポスト付近から踏み切ってのダンク…
どうやら随分と体を改造してきたようだね…じゅるり」
ξ゚听)ξ「えっ」
(*゚ー゚)「えっ」
(´・ω・`)「えっ」
――ダムッ…
(・(エ)・)「すみませんクマー!一本!クマー!」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
――キュキュキュキュ!
再度、ギコの激しいディフェンスがクマーを襲う。
(・(エ)・)「何度もーー!」
合わせて、左腕でのキープドリブルでボールを守るクマー。
同時に、右側の腕の手の平をギコの背中へと伸ばす。
そして、自分の体を巻き込ませながら右足をギコの背面に入れ、そのまま右腕で背中も抑えて動きを封じる。
(#・(エ)・)「やられてられっか!クマー!」
――ダムッ!
(,,゚Д゚)「うおっ…!?カバーーーッ!」
/ ゚、。 /(うまい…!!)
(,,゚Д゚)(…!くそ、なんて兄弟だ…今の一瞬でもうスクリーンをかけ合ってフリーになってやがる…!)
<ヽ`∀´>「そう何度も何度もやられないニダ!!」
ニダーがすぐさまスイッチ…というよりは、流石兄弟のピックアンドロールに対応できるような位置にディフェンスポジションをとる。
咄嗟に出たプレーだったが…
(・(エ)・)(くそっ…あの韓国人のせいで流石先輩たちに捌けないクマー…あの位置じゃどっちに出しても取られる…。
絶妙なポジショニング!この韓国人、かなりのプレイヤーだクマー…!)
――今北ベンチ――
「うおおぉっ!ナイスディフェンスだぜニダー!」
(■_■)(あれは多分マグレだ…)
(・(エ)・)(くそっ…自分で行くしかないクマー!)
――きゅきゅっ
ハイポスト付近でステップを踏む。
(・(エ)・)(幸いそんなに距離があるわけでもないクマー。
フェイドアウェイ気味のシュートで、あわよくば後ろから僕を追って来る4番のファウルを誘う!)
――ずだっ
(,,゚Д゚)(フェイドアウェイか…!くそっ、この位置じゃ無理矢理チェック行ったらファウルになっちまう!)
( ´_ゝ`)(´<_` )「いけっ!」
――しゅっ…
(・(エ)・)(いけっ…)
その瞬間、クマーの視界にぬっ、と何かが現れる。
/ ゚、。 /「甘いっ!!」
――ばちぃっ!
<_;プー゚)フ「鈴木ダイオードっ…!」
(;><)「フェイドアウェイをブロック…!?」
从'ー'从「ブロックを避けるために後ろに跳んで放つシュートなのに…」
( ・∀・)「後ろへのジャンプが少しだけ甘かったかもしれない。それにしてもあれに届くなんて…」
ダイオードにブロックされ、力無く空中に舞い上がるボール。それに食らいつくために、ダイオードは再度跳ぶ。
(#´_ゝ`)「渡すかっ!ちゅーーーーー!のーーーーーーっ!!!」
――がしぃっ!
ゴール下から上がってきた兄者も全力でジャンプしてルーズボールにくらいつき、ダイオードと空中でぶつかり合う。
そして――
/;゚、。 /「むぅっ…おっ…」
(#´_ゝ`)「おらあああああぁぁぁっ!」
競り勝ったのは兄者だ。
しかし、強引にランニングジャンプを試みたことと、空中での競り合いに意識が向きすぎたこともあり、
兄者はバランスを崩し、そのままコートへ倒れ込む。その瞬間、倒れこみながらもクマーへのパスを送る。
(・(エ)・)「ナイスパスっ…」
(,,゚Д゚)「打たすかっ…!」
(・(エ)・)「かーらーのーナイスパスっ!」
――びゅっ
パスの先にはゴール下でちゃっかりノーマークになっていた弟者。
――ばしっ
(´<_` )「っしゃ、ナイsーー」
<ヽ`∀´>「打たせんニダっ!!!」
――バゴッ!
(´<_`;)「なん…だと…」
「い…今北のディフェンスがやべえーーーっ!」
「連続でブロックショットだ!」
「ルーズボールになるぞ!」
――バムッ…
ニダーのブロックしたボールはペイントエリアに落ち、クマーの近くでワンバウンド。
(・(エ)・)(このルーズをとってもう一本…オフェンスを組み立て直すクマー…)
(#,,゚Д゚)「おおおおおおっ!」
審判「ファウル!白4番、プッシング!」
(,,゚Д゚)「今のがファウル…!?」
(・(エ)・)(今の笛はラッキーだったクマー…)
(´・ω・`)「今北はずいぶんしっかりディフェンスをするようになってきたね。それだけじゃない…」
('A`)「ルーズボール争いみたいな細かいプレーにも全力だ……ですよね?先生」
(´・ω・`)「その通りだ。本当に強いチームというのは、いつ、いかなる場合であっても気を抜かない。
そしてーーチームの不調もコート内で立て直すことができる」
_
( ゚∀゚)「ギコとクーのポジションチェンジも、特に指示があったわけでもなさそうでしたしね」
ξ゚听)ξ「そういう意味では、今北はまた一つ壁を越えたってことになるわね…」
(=゚ω゚)ノ「ちょっと前までとは比べものになんねえヨウ…」
(*゚ー゚)「この試合を観て…なんとか突破口を見つけなきゃね…!」
――バスッ
( ´_ゝ`)「っし!」
――ウオオオォォォォォォ!いいぞいいぞ兄者!いいぞいいぞア・ニ・ジャ!
(´<_` )「流石だぜ兄者!gjだ!」
( ´_ゝ`)「おうっ!いいかお前ら!ここいらでばしっと止めるぞ!まだまだ全然ゾーンが機能してない!気合い入れていけよ!!」
ラウンジ一同「おおっ!」
――ダムッ…
川 ゚ -゚)(さて、状況を整理しよう)
川 ゚ -゚)(ゾーンの外から打てている今はいい。だが、攻めが単調になる前にいくつかのパターンで得点しておきたいところだ)
川 ゚ -゚)(守られたから新しい攻めに転じる――なんてのは結局、後手に回っているにすぎない。
相手が今の攻め方の対策を練ってくる前に、奴らを撹乱する必要がある)
川 ゚ -゚)(そうすれば、ゾーンは自ずと崩壊する)
/ ゚、。 /「クーさん!ハイポです!」
川 ゚ -゚)「ああ!ダイオードっ!」
――びゅっ…ばしっ
ハイポストにフラッシュしてきたダイオードへパスを通す。
ボールがインサイドに入ったからといって、一気に囲みにくる様子はない。
全員がボールサイドに軽く寄る程度だ。
ダイオードの視野に、パスランを仕掛けるクーの姿が映る。
/ ゚、。 /「クーさん!」
ダイオードからクーへ、手渡しのパスが渡る。
そして、一気にゴール下へ侵入する。
( ´_ゝ`)「ちっ…ヘルプ!!」
川 ゚ -゚)( 計 画 通 り ! )
6-2へつづく
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