第9章 


改めまして、VIP高校のスモールフォワードを務めさせていただいております内藤と申します。
申し訳ありません、ただいま名刺をきらしておりまして。





――AM8:43 VIP高校体育館



<_プー゚)フ「………………」



呼吸はずいぶん落ち着いた。
汗はまだ流れるが、先ほどと比べれば幾分かましだ。



<_プー゚)フ「……………」



仰向けに寝そべりながら無言で体育館の天井を眺める。
やはり体育館の照明は直視するには眩しい。



<_プー゚)フ「はーぁ…っと」



己を引き戻すかのように敢えて大きくため息をつき、寝そべった状態から跳ね起きで立ち上がる。
近くに転がっていたボールを拾い上げ、ミドルレンジからひょい、とシュートを放った。



――がつっ



<_プー゚)フ「………ちぇ」


<_プー゚)フ「俺もそろそろ…行くか」




――――――――――――――



時は少々戻って、朝7時。



――ダムッ…ダダムッ



( ^ω^)「ほっ」



――ざしゅっ



( ^ω^)「ふんっ」



――ぱしゅっ



( ^ω^)「ふぅ」



( ^ω^)(いよいよ今日の午後は今北戦だお…)


( ^ω^)(万が一、ケガでもしたらいけないからってことで、ショボン先生とのワンオンワンは今日はなし)


( ^ω^)(できる限り体を休めてあげるように、とも言われたけど…)


(;^ω^)(体を動かさずにはいられないお…)


( ^ω^)(緊張…は、してるお、もちろん。だけどそれよりも…)



( ^ω^)(疼きが、抑えられないお)




――ガラガラ…



( ^ω^)「おっ…(ドクオかお?)」



しかし。



<_プー゚)フ「…おはよございまっす」



内藤の視線の先にいたのは、意外な人物だった。






( ^ω^)「……おはようだお」


<_プー゚)フ「…絶対にいると思いましたよ」


<_プー゚)フ「ショボン先生からもおとなしくしとけ、って言われてたのにw」


( ^ω^)「おっおwどうにも落ち着かんくていかんおww」


<_プー゚)フ「今日はとうとう今北戦っすもんねww」




( ^ω^)「エクスト」


<_プー゚)フ「はい?」


( ^ω^)「…僕に、何か言いたいことがあって来たんじゃないかお?」


<_プー゚)フ「…………」




――<_プー゚)フ『苦肉の策、っすか?』

――<_プー゚)フ「各選手一人ひとりの強さから見て、おそらく今北の方が格上――だから、
       『今北に勝つために』こうやって戦略を練っている…ってことっすか?」



( ^ω^)「さすがに気づかないわけがないお。君がショボン先生に噛み付くなんて。
       まだ出会って数ヶ月だけど、普段のエクストならそんなことしないお」


( ^ω^)「…不満なんだお?今北戦での作戦に、僕が選ばれたことが」


<_;プー゚)フ「……!」



( ^ω^)「エクストの気持ちはわかるお。僕より君の方がずっと上手いお。
       技術だけじゃない、経験的な面でも、きっと君は僕より遥かに優れてるお」


( ^ω^)「だけどだからこそ、なんだお」


( ^ω^)「君がスターティングで出ていくようなことがあれば、今北は必ず警戒してくるお。
       だから、僕なんだと思うんだお」




<_プー゚)フ「…本当は…作戦うんぬんじゃないっす」


( ^ω^)「お?」


<_プー゚)フ「嫌われるの承知で正直に言います。このチームで俺がスタメンの座を奪うのなら、
       それは内藤さん。あんたのとこだと思ってます」


( ^ω^)「…その通りだお」


<_プー゚)フ「俺は、自分のスキルに自信がある!それに多少なりとも、『勝てるバスケット』で
       戦い続けてきた経験だってある!」


<_プー゚)フ「そのチームで俺はエースだった!全中では二回戦で負けちまったけど…声をかけてくれた
       高校はいくつもあった!」


<_プー゚)フ「それでも俺はこのチームを選んだ!このチームで戦いたかったから!」


<_プー゚)フ「それなのに、出られない!いや、出られてはいるけどあんな出場の仕方、俺の思ってたのと違う!」


<_プー゚)フ「今回の作戦のことだってそうだ!俺だったらわざわざあんな苦肉の策で戦わなくても、渡り合える!」


<_プー゚)フ「俺だけに限った話じゃないです、それに野球でもサッカーでもなんでも!誰だってスタメンで出たい!
       自信があるならなおさらだ!それなのに…!」


<_プー゚)フ「自分の方が上手いんじゃないか、って思うような先輩がスタメンで出てるなんて…納得できなっすよ!
        俺にだってプライドはある!!」



( ^ω^)「言いたいことは、わかったお。っていうか…わかってたお」


( ^ω^)「だけど、一個だけ言わせてほしいお」


( ^ω^)「君はいま…『自分なら今北相手でも渡り合える』、そう言ったおね?」


( ^ω^)「高校バスケをなめちゃいけないお」


<_プー゚)フ「なっ!?あんたそのレベルでよくそんなこと…!!」


( ^ω^)「選手としてのレベルは関係ないお。僕は君よりも長く高校バスケの世界にいるお。
       だから、わかるんだお。そういう驕りは、きっとチームにとって命取りになるお」


<_フー )フ「!!!!」


<_フー )フ「…内藤さん。」


<_プー゚)フ「俺と、ワンオンワンしてくださいよ」


<_プー゚)フ「現実、教えてあげますから」


( ^ω^)「……わかったお」



――ダムッ…



<_プー゚)フ「内藤さんの先攻でいいっす」


( ^ω^)「おk」



――きゅ…



( ^ω^)(…とは言っても試合前にケガなんてしようものなら……)



――キュキュキュキュ!



(;^ω^)(んおっ!こいつ…!)



<_#プー゚)フギリ…



( ^ω^)(本気の本気…ってことかお!)




( ^ω^)(余計なことなんか(大事なことだけど)…考えてる場合じゃないお!)



( ^ω^)「エクスト!僕も…君と同じ考えだお!だけど……僕にだってプライドはあるお!」


<_プー゚)フ「じゃあプライドとプライドのぶつかり合いってことっすね!俺は本気でいきますから!」


(#^ω^)「……僕も…本気だおっ!」



――ダムッ!












<_;プー゚)フ「ハァッ、ハァッ」


(;^ω^)ぶん「ゼッ……ハァッ…」


<_;プー゚)フ「……俺の…負けっすね…」


<_プー゚)フ「この一週間で……そんなに上手くなってたなんてズルいっすよ…」



<_フー )フ「………すんません、会場、先に行っててください。ボールはどうせ教頭が運ぶんですし」


( ^ω^)「エクスト…」


<_プー゚)フ「内藤さん、敗者にかける言葉はないんすよ」


<_フー )フ「ちょっとだけ、考え事したいんです…すんません」


( ^ω^)「…わかったお。居眠りして遅刻するなおw」


<_プー゚)フ「大丈夫っすw」





( ^ω^)「エクスト」


( ^ω^)「僕は、君の気持ちも背負って試合に臨むお。今日は絶対にハードな試合になる。だから君の力が絶対必要になるお。
       そのときは、手を貸してほしいお」


<_プー゚)フ「…それは、勝者としての言葉っすか?」


( ^ω^)b「頼りない先輩として、そして、チームメイトとして、だお」


<_プー゚)フ「…っす」


( ^ω^)「じゃあ、先に会場に向かってるお」


<_プー゚)フ「はい。あっ……内藤さん!」


( ^ω^)「お?」


<_;プー゚)フ「生意気なこと言って…失礼なこともたくさん言って!ほんとにすみませんでした!」


d( ^ω^)b「大丈夫、気にしてないお」


( ^ω^)「んじゃ、あとで、だお」




――ガラガラ……ガタンッ



エクストはふぅ、と溜息をつき、コートに寝転がった。



<_プー;)フ「ちっくしょーーーーーー!」


<_プー;)フ「ちくしょう…」


<_プー゚)フ「ちくしょう…かなわねえや、くそっ」





――――――――――



――ニュー速市立スポーツセンター



「「「ざわ…ざわ…」」」



試合開始まではまだしばらく時間がある。
にもかかわらず、観客席は多くの者で埋まりかけていた。



( ><)「すごい人なんです!」


从'ー'从「全国大会でもないのに…でも確かにニュー速県はバスケがアツいですもんねえ。
     他県と比べても、心なしかメディアの扱いが大きいような気がします」


( ・∀・)「まったくだ。こんなふうに、どこの県もバスケットにもっと目をやってほしいものだね。
      そしてもっとバスケットにふれあえる環境が整えばよいのだけれど…」


( ><)「あっ、出てきたんです!」


( ・∀・)「共に一勝を挙げたもの同士…勝った方がインターハイ出場をほぼ確実にする」


从'ー'从「胸熱」


( ><)「ジュンジュワー(笑)」


( ・∀・)「死ね」从'ー'从



('A`)「ランシュー!」



(,,゚Д゚)「タップ!いくぞゴルァ!」



(;^ω^)(もう呑まれそうだお…このふいんき(ryに…)


(=゚ω゚)ノ(絶対…勝つ。クーにも、負けねえヨウ)


( ゚∀゚)(あのノッポ…要注意だ。大丈夫、大丈夫だ…)


( ´∀`)(ニダー君…僕に止められるかなモナ…)


(-_-)(いつ出番があるかわからない…気を引き締めて…ああでも緊張がやばい…!)


(・▽・)(最近の僕のモブキャラ具合ったらないよね)


<_プー゚)フ(…………)






('A`)(お、5分前か)


('A`)「っし、シューティングだ!」


('A`)「ブーン、わかってるとは思うが…」ボソボソ


( ^ω^)「大丈夫、ミドル中心でシューティングしとくお」ボソボソ


( ^ω^)(ここでスリーの練習してたら作戦を隠してた意味がなくなっちゃうお)









('A`)(3分前……)


('A`)「っしゃ、集合!!」


VIP一同「おおっ!」



――だだだだだ…きゅきゅっ


('A`)「お願いします!」


VIP一同「お願いします!!」


(´・ω・`)「うん、ではファーストアタックについて注意点をひとつだけ」


('A`)「激しく喜んだり、オーバーなリアクションを取らないように、でしょ?先生」


(´゚ω゚`)「……」


('A`;)(やべ、またセリフ取っちまった)





(´・ω・`)「まあ、その通り。あまり喜びすぎても相手に『マグレなんじゃね?』と思われてしまっては
      作戦の意味がないからね。スタメンだけじゃなくて…」


('A`)「ベンチのメンバーにもちゃんと伝えてありますよ、淡々と褒めておいてくれ、って」


(´゚ω゚`)「……そうかい、仕事が早くて助かるよ」


('A`;)(しまった、セリフだけじゃなくて仕事まで取っちまった…)


(´・ω・`)「まあとにかく。」


(´・ω・`)「気楽に行こう。そうすれば結果は自ずとついてくる。さあ、いっておいで」




(■_■)「やることはいつもと変わらん。だが、最初の一本だけは気をつけろよ」


(■_■)「正直、ダイオードでもジャンプボールに勝てるかわからん。無論、向こうも8番が
     ジャンプに勝つことを前提として速攻を仕掛けてくるはずだ」


(,,゚Д゚)「6番の外角は頼むぞ、クー」


川 ゚ -゚)「任せておけ。簡単にはパスは通させない」


川 ゚ -゚)「それよりもギコ、おまえの方が重要だ。楽に4番にボールを持たせるなよ。速攻の起点は間違いなくあいつだ」


(,,゚Д゚)「任せとけ」






('A`)「っしゃみんな、円陣組もう」



('A`)「行くぞインターハイ!VIP高ぉーーーーーーっファイッ!」


VIP一同「おおおおおぉぉぉぉおおおっ!!」



――ダンッ!ダンッ!ダンッ!



全員がリズムよく床を踏み鳴らす。
その一体感は、とっくに強豪校のそれであった。








(;^ω^)(どんどん緊張が…)


('A`)「ブーン」


( ^ω^)「お?」


('A`)「『何があっても最終的には俺がパスを出す』。だから、安心して打てよな、スリー」


( ^ω^)「わかったお(どういうことだお…?)」



ξ゚听)ξ「ブーンバカアホハゲ童貞短小クソカス」


( ^ω^)「はい」


ξ*-听)ξ「…がんばんなさいよっ!」


(*^ω^)「おっおっwww」



(,,゚Д゚)「いいか絶対に油断すんな。確実に掴むぞ」


(#,,゚Д゚)「いくぞ今北ぁぁーーーーっファイッ!」


今北一同「おおおおおおおおおおおっ!!」



審判「両チーム、コート中央へ!」


審判「これより、今北産業大学附属今北高校 対、VIP高校の試合を行います!」


(,,゚Д゚)(あ、今日は噛まずに言えてる)


審判「試合中のコールは今北(ry を白、VIP高校を緑とします!互いに礼!」


川 ゚ -゚)(む、正式名称を言うのが面倒だから略してくれたな)


審判(勘弁してよ言いづらいんだってばこの学校名…)




VIP高校

Cドクオ     170cm55kg PG
D内藤ホライゾン 175cm58kg SF
Eイヨウ     166cm54kg SG
Fモナー     193cm94kg C
Gジョルジュ長岡 181cm82kg PF
  
今北産業大学附属今北高校

Cギコ  175cm63kg PG
Dニダー 187cm78kg C
Fクー  159cm52kg SG
G名無し       SF
M鈴木ダイオード 194cm85kg C






(;^ω^) 平常心!



(=゚ω゚)ノ「イヨウ、久しぶりだな」


川 ゚ -゚)「ずいぶんと雰囲気が変わったじゃないか」


(=゚ω゚)ノ「おめーは相変わらずハルヒコスが似合ってるヨウ」


川 ゚ -゚)「以前より強くなったか?楽しませてくれよ」


(=゚ω゚)ノ「またずいぶん上から来るじゃねーかヨウ。見てな!」




<ヽ`∀´>「今回のウリのマッチアップはお前ニダ。あの筋肉達磨はダイオードに任せるニダ。あー今回は楽できそうニダwwww」


( ´∀`)「口臭ぇモナ」


<#ヽ゚∀゚>「ファビョーン!?」



( ゚∀゚)ノ「よっ」


/ ゚、。 /「…どうも」ペコリ

  _
( ゚∀゚)「ラウンジ戦、観てたぜ。すげーなおまえ」


/ ゚、。 /「…それがわかっていて、ぜそんなに楽しそうなんです?」

  _
( ゚∀゚)「決まってんだろ」



審判がセンターサークルへ入る。ボールを右手に持ち、腰を沈める。
ボールが、トスされた。

  _
( ゚∀゚)「ワクワクしてんだよ!純粋にな!」



両選手が跳び上がる。



/ ゚、。;/(!?)

  _
(#゚∀゚)「おらあああああっ!」




( ・∀・)(VIPGジョルジュ長岡、181cm…今北M鈴木ダイオード、194cm…この身長差でジャンプボールを制する…!?)


从'ー'从(なんて馬鹿げた身体能力…!)



(,,゚Д゚)(問題ねえ!監督の読み通りっちゃ読み通りだから特に慌てることもない)


(,,゚Д゚)(いつも通りドクオに渡して攻めんだろーがっ)


(,,゚Д゚)(ジャンプで負けようが、タップされたボールを獲得した方が有利なんだ)


(,,゚Д゚)(そしてボールがタップされる方向はほとんどわかってる、悪いがいただくぜ!)




  _
( ゚∀゚)(ばーか)


  _
( ゚∀゚)「モナーーーーーッ!」



――びしっ



(,,゚Д゚)(!?)


(,,゚Д゚)「ちっ、ニダーそっちだ取れぇっ!」



(´∀` )ゞ∀´> 「むぐ…」


(,,゚Д゚)(センターサークル付近でポストアップのスタンス…いや、スクリーンアウトか!?
     完全にポジションを取られてる…あれじゃニダーは一歩も動けねえ!)


――ばしっ



( ´∀`)「キャッチだ。とうっ」



川 ゚ -゚)(なるほど、考えたな。4番にボールをタップすることを我々が読んでいる、と考えた上での7番か)


川 ゚ -゚)(だがこの7番はどう考えてもボール運びや速攻を演出できるような選手ではない。
     結局7番にワンクッションさせてから4番に…)



――ダムッ!



<;ヽ`∀´>「うぐぉ!?」


( ・∀・)「パワーステップでニダー君をかわした…!?」


从'ー'从「センターサークル付近でポストプレー…うまい!」


(=゚ω゚)ノ「よっしゃ!」



モナーがパワーステップでニダーをかわした瞬間にイヨウが右サイドライン沿いに駆け上がる。



(,,゚Д゚)「クー!6番走ったぞ!」


川 ゚ -゚)「わかっている!」




クーはモナー→イヨウのパスコースを消すためにイヨウを追う。
そしてギコはボールの出所となるであろうモナーを潰すべくモナーへとプレッシャーをかけに向かう。
しかしモナーはパワードリブルが終了する前に――つまり、着地する前にボールを手放す。



(,,゚Д゚)「えっ」



ギコの視線の先には。



('A`)



モナーによる手渡しパスとなったボールをキャッチするドクオの姿があった。



――ダムッ!



そのままモナーをスクリーンに使い、ドクオがドリブル突破。
幾重にも考え抜かれたこのプレーに、今北のメンバーはクーでさえも理解が遅れていた。

しかしそれもすぐに理解する。



('A`)「いけえっ!」



――びゅっ



ドクオの出したパスによって。




⊂二二二( ^ω^)二⊃ 「おおおっ!」









(,,゚Д゚)(くそ、5番か…!ってちょっと待て!)


(,,゚Д゚)「あのやろうどこに向かって走ってやがる!?そっちはスリーポイントライン…!」





――ばしっ



川 ゚ -゚)(5番はミドルレンジから仕掛ける選手であったはずだが)


<ヽ`∀´>(話が違うニダ!!!)


/ ゚、。 /(…………)




( ^ω^)(練習どおりに!やわらかく!ふわりと!)



――しゅっ








ξ゚听)ξ(よし!完璧よ!あとはシュートさえ入れば…お願い入って!)


('A`)(来い…)


(=゚ω゚)ノ(入れ入れ入れ)

  _
( ゚∀゚)(頼むっ…)


( ´∀`)(ブーン君…!)



( ^ω^)(入れおぉぉっ!)










――ぱしゅっ




「「「「「!!!!????」」」」」



( ^ω^)(よーーーーーーっsh…)



――(´・ω・`)『あまり喜びすぎても相手に「マグレなんじゃね?」と思われてしまっては作戦の意味がないからね』



( ^ω^)(…っと、危ない危ない)


('A`)「っし、ナイシュ」


(=゚ω゚)ノ「デイフェンス、いくヨウ」

  _
( ゚∀゚)「しまっていこーぜ」


( ´∀`)「さ、ディフェンス一本」


( ^ω^)(みんなも落ち着いてるお。こりゃ平気な顔して嘘つくタイプだおね)


(=゚ω゚)ノ「もしかして悪口言った?」


( ^ω^)「ううん、なんも」



( ・∀・)「…うまいプレーだった」


从'ー'从「4番のドクオくんに最初にボールを持たせると思いきや」


( ・∀・)「ところがどっこい、ボールは7番のモナー君へ」


从'ー'从「モナー君を経由して4番のドクオ君にパスを出すのかと思いきや」


( ・∀・)「ところがどっこい、ここでモナー君が攻め込もうとする。合わせて6番のイヨウ君も走り出す」


从'ー'从「するとモナー君→イヨウ君ラインでの速攻かと思わされる」


( ・∀・)「ところがどっこい、モナー君のパワーステップは囮。モナー君にデイフェンスをひきつけたところで
       やはりドクオ君がボールを持つ」


从'ー'从「そしていつもどおりのドクオ君→イヨウ君ラインでの速攻かと思いきや」


( ・∀・)「とk( ><)「ところがどっこい!シューターのイヨウ君は囮で点を取ったのは5番の内藤くん!
               しかも一切データにないスリーポイント!!!!すごすぎるんです!」


( ・∀・)「あのさ、殺すよほんとに」


(::::::)←わかんないです(肉塊)




( ・∀・)「しかし…イヨウ君を囮に使うのはともかく、内藤君がスリーとは…今北も相当面食らってるはずだ」


从'ー'从「しかし着目すべきは内藤くんのスリーよりも…」


( ・∀・)「ああ、他の4人の動きが素晴らしすぎる。まるで申し合わせたかのような…」


( ・∀・)(…まさか最初からこのパターンで攻めるつもりだった…?)


( ・∀・)(いや、まさかね。リスクが高すぎる)












ξ゚听)ξ「ショボン先生…!?いつの間にあんなオフェンスまで教えてたんですか!?みんな完璧じゃないですか!!」


(;´・ω・`)「…僕は何も教えていない」


ξ゚听)ξ「……え?」


(´・ω・`)「ドクオ君が、イヨウ君が、モナー君が、ジョルジュ君が。彼らみんなが、自分で考え出したんだ」



('A`)(ブーンにばっかり重荷を背負わせるわわけには、いかねーもんな)


(=゚ω゚)ノ(ブーンがショボン先生にしごかれてる間、俺たちだってぼーっとしてたわけじゃないヨウ!)

  _
( ゚∀゚)(VIP公園で毎晩あーでもないこーでもないと試行錯誤の日々!)


( ´∀`)(しかもこの試合一回こっきりじゃない、ファーストアタックで相手がどう対処しても柔軟に対応できる、
       一種のセットオフェンスだモナ!)






('A`)(このオフェンスは・・・誰か一人でもうまく機能できなかったら意味を成さない)


('A`)(ブーンが『必ずスリーポイントを決めなくてはいけない』なんて馬鹿でかいプレッシャーと戦ってるんだ)


('A`)(だから俺たちも、『誰か一人でも失敗したらオフェンスが失敗してしまう』というプレッシャーを背負ってこのワンプレーに
    臨んだ)


('A`)(自己満足なのかもしれない、だけど…俺たちは仲間なんだ!!)







<_;プー゚)フ(なんっつーオフェンスやりやがんだよ!もし誰か一人でも動きをミスってたら…1週間丸々練習してきた
        作戦が全部パーになるとこだったじゃねーか!)


<_プー゚)フ(いや…違うな)


<_プー゚)フ(これが、VIP高校というチームなんだ。俺が憧れてるチームなんだ)


<_プー゚)フ(仲間のためなら全力で体を張ったプレーをする、そういうチームなんだ)


<_プー゚)フ(内藤さんも、生半可な覚悟でやってたわけがねえ!一週間、わけわかんねーくらい重いプレッシャーに
       押し潰されそうになりながら……!)


<_プー゚)フ(なのに俺は内藤さんにあんなこと……)


<_プー゚)フ(マジでバカだ、俺……!)



――ダムッ…



(,,゚Д゚)「…一本だ」


川 ゚ -゚)「動揺しているのか?」


(,,゚Д゚)「…お前はどうなんだ」


川 ゚ -゚)「少なからず驚いている。データに一切ないどころか、データから予測することすら
     出来ないプレーだったからな」


川 ゚ -゚)「だが関係ない」


川 ゚ -゚)「常識的に考えろ。今までスリーを打たなかった…いや、打てなかった選手がこんな短期間で
     スリーをマスターできるわけがない」


川 ゚ -゚)「可能性としては、まったくのラッキーパンチ。もしくは…左コーナーからのシュートだけ習得してきた。
     そんなところではないか?」


(,,゚Д゚)「さすがだな。だが……」









( ^ω^)ドヤァ



(ll,, Д )(すんげぇドヤ顔なんですけどーーー!)


川; ゚ -゚)(あれは自信の表れなのか…?むぅ…)










( ^ω^)(平常心、平常心)


( ^ω^)(だけど…)


(^ω^ )チラリ



今北産大附今北 0-3 VIP高校



( ^ω^)( 大 成 功 !!!!)


( ^ω^)(先制点をスリーで決めることがこんなにも気持ちいいなんて知らなかったお。しかもノータッチ)


( ^ω^)(平常心!喜びを相手に気取られないように…)


( ^ω^)(だけど思わず顔が緩んじゃうんだお…)


( ^ω^)ドヤァ










(■_■)(マグレなのか狙ったのか…さっぱりわからない!何がどうなっているんだ…)


(■_■)チラッ




(´^ω^`)




(■_■;)(むむむむむ…わからんっ!)









「いけぇーVIP高!」

「いいぞー!やっちまえ!」


VIP高の鮮やかな先制点に会場は沸き立つ。
インターハイ出場がかかっていることもあり、VIP高校の生徒や教師も多く訪れており、
今北の応援団に劣らぬ人数がVIP高校を盛り上げる。


しかし…



川 ゚ -゚)「五月蝿(うるさ)い」



――ぱしゅっ



(;=゚ω゚)ノ「………!!!」


(;=゚ω゚)ノ(『五月蝿(うるさ)い』だなんて…そんなわざわざ厨二っぽくしなくても…)



「今北7番の超ロングシュート―――!」

「どんだけ遠くから打ってやがんだ!?」

「てかなんであれがリングまで届くんだ!?あんな馬鹿みたいに高い軌道なのに!」

「スリーをスリーでやり返すなんて…まだ始まったばっかなのにどんだけ強気なんだよ!?」






今北産大附今北 3-3 VIP高校



川 ゚ -゚)「同点だ」


(=゚ω゚)ノ「野郎……!」


('A`)「関係ねえ!一本行くぞ!」










――ダムッ…ダムッ…



(,,゚Д゚)「だから簡単に行かすかっての」


('A`)「俺も今は勝負する気はないぜ、っと」



――びゅっ…ばしっ



( ^ω^)「ナイスパスだお!」


(,,゚Д゚)(また5番が左コーナーに!?)



――きゅきゅっ



今北G「ボールおk!!」


今北G(さっきのスリーは確かにマグレかもしれない。だけど一本決められてしまっている以上、警戒はしておくべきだな)




(^ω^ ))クイッ


今北G(みg…?)


( ^ω^)「おっ!」



――ダムッ!



今北G(左!はや…!)



左コーナーでパスを受けたブーン。
そのまま左サイドへ…つまり、エンドライン側へ鋭いドライブを決める。

そのままクローズアップシュート(レイアップのステップで打つジャンプシュートのようなもの)のステップを踏む。
角度がない状態でのドライブなので、ボードとの角度を得るために軽く右前方に跳びながらシュートを放とうとするが…



/ ゚、。 /「やらせませんよ!」


/ ゚、。 /(ぎりぎり8番のマッチョにパスコースが残るようにヘルプに出てきた。8番へのパスを狙う!)


( ^ω^)「でかすぎだお!しかしミスマッチもなんのその!」


/ ゚、。;/「なっ…(そのまま来た!?味方が見えていないのか!?)」



――がしっ



(;^ω^)「んおっ!」


/ ゚、。 /「ちっ…!」



――ピィッ!



審判「ファウル!白14番!ツースロー!!」


(´・ω・`)「よしっ!」




(,,゚Д゚)「大丈夫か、ダイオード?」


/ ゚、。 /「大丈夫です、すみません…思ってたよりだいぶスピードがあったので」


(,,゚Д゚)(前からスピードのある奴だったが…もし本当にスリーをマスターしていたとしたら少々厄介だなゴルァ)



(■_■)(正直ノーマークだった5番が…さて、どうするか…)
 



VIP高の作戦は、当たりだったようだ。
これまでスピードのあるプレーで2点を中心に点を取ってきたブーンに、3点がある……、のかもしれない。
と思わせることには、とりあえず成功した。



若干の動揺を覚える今北メンバーをよそに、ブーンはフリースローをきっちり2本とも沈めた。



今北産大附今北 3-5 VIP高校



( ^ω^)(ショボン先生との特訓のおかげで…少なからず、勇気というか、積極性のようなものが
       身についたような気がするお)






( ^ω^)「どうも、現在チームの得点の10割を占めております、内藤です」キリッ



( ^ω^)「おっおっおっwwww」




('A`)「調子よすぎて逆に死亡フラグじゃね?」





( ;ω;)「やめてくれおーーーん!!!!!」






第9章   完








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