( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第38章 VIP's shackle
(;^ω^)「(ど…どういうことだお…?)」
('A`)「ブーンどうした?早く来いよ!」
( ^ω^)「お…おっ!テラゴメス!」
―VIP高ベンチ―
(=゚ω゚)ノ「はぁっ…はぁっ…あの5番のディフェンス…相当なもんだヨウ…!」
(´・ω・`)「やはりイヨウ君へのアウトサイド対策は的確だね。
イヨウ君、無理な動きは禁物だ。おそらく5番の方が動きが上だ。さらに
こちらに余分な動きを強いて無駄なスタミナ消費を誘っている」
( ´∀`)「ディフェンスのスペシャリストってとこモナか…」
( ゚∀゚)「動きが衰える気配がないもんな…」
('A`)「俺らがボックス相手にどこまでやれるか、ですね」
(´・ω・`)「そうだ。ラウンジの5番に『6番のマークを外してカバーに行かざるを得ない』と思わせる状況に
持ち込むんだ。内藤君、モナー君、ジョルジュ君がボックスから得点を
とることが必要になってくる」
( ^ω^)「(そういえば僕まだ1点もとってないお…)」
('A`)「1クォーターくらい点とれなかったからって凹むなよ、ブーン。調子の悪いときは
誰にだってある。そんな時はディフェンス頑張ってそこからリズムを取り戻せばいい」
( ^ω^)「おっ…把握だお」
(´・ω・`)「その通りだ。君の得点からペースをつかめることを期待しているよ、内藤君」
( ^ω^)「は…把握ですお」
―ラウンジ学園ベンチ―
監督「どうだ?1クォーターでどれくらいつかめた?」
ミ,,゚Д゚彡「6番のアウトサイド要警戒、ですね。これは池上のおかげで解決ですが」
(´_ゝ`)「あとは8番のジャンプ力、ですかね」
(´<_`)「8番は兄者に任せてよいでしょう」
(´_ゝ`)b「おk」
監督「うん。じゃあ6番は池上、4番はフサギコ、8番は兄者に任せよう。他に気になった
やつはいたか?」
(´<_`)「全く見当たりませんね」
監督「正解だ。フサギコ、気付いたとは思うが向こうは4番、6番以外は技術と呼べるものは
無いに等しい」
ミ,,゚Д゚彡「そうですね。そしてその6番すら4番のパスがなければ二流の動きしか
できていません」
(´_ゝ`)「要するにフサギコ先輩が4番を抑えればオールオーケーなわけだな?」
(´<_`)「勝手に要するな、と言いたいとこだがその通りだな」
ミ,,゚Д゚彡「よし、6番は池上が、4番はボックスを組みながら俺が抑える」
池上「任せろ」
試合前のデータを一切与えられないということは相手のデータを試合しながら得るしかない。
これから先、データと異なる試合運びをしてくるチームと当たった時に柔軟な対応を
可能にしておきたい、というのがラウンジ学園の監督の考えであった。
監督「(パソコンを出せばたいてい兄者が食い付いてブラクラ踏むからな)」
ラウンジ学園の監督の頭の中ではパソコンを出せば兄者が壊すことを初めから
想定していたのだ。そしてこの策士ぶりがラウンジの戦法に現れていた。
『データのラウンジ』。ラウンジ学園は陰でこう呼ばれている。相手の選手のデータを
可能な限り集め、分析。総合的に見て相手にもっともハマるオフェンス・ディフェンスを
実行する。今日のラウンジ学園が判断したのはボックスワンで得点源のイヨウを抑え、かつ
チームの中心のドクオも抑えようとするものだった。そしてオフェンスでは…
監督「ところで『穴』は見つかったか?」
ミ,,゚Д゚彡「もちろん。弟者中心で攻めます」
監督「うむ。上出来だ」
――ビーーーーーーッ!
審判「インターバル終了!第2クォーターを開始します!」
('A`)「っし、行くか」
ミ,,゚Д゚彡「さぁ、行こう」
――ダムッ…ダムッ…
('A`)「(抜かせねぇぞ…あ、スリーも警戒しなくちゃあ、パスもだ…うー、マンドクセ)」
ミ,,゚Д゚彡「弟者!」
('A`;)「(やべっ…!てか上からパス出されたら身長差のせいで届かねぇっての…!!)」
――ビッ…ばしっ
(´<_`)「あいよ!」
( ^ω^)「(どう来るお!?)」
(´<_`)「止めてみたまえニコニコ君!!」
(#^ω^)「…………」
――ダムッ!
弟者は左45度のスリーポイントライン外からドライブをかける。
――キュキュキュッ!
( ^ω^)「(抜かせないお……おぉっ!?)」
ブーンは必死に弟者の前に回り込む。しかし弟者はブーンが前に回り込むか否かの瞬間に
急ストップからのジャンプシュートを放つ。ブーンは前に回り込むことで精一杯で
反応できない。
――バシュッ
――ウォォォォォォ!いいぞいぞ弟者!いいぞいぞ弟者!もう一本!ウォォォォォォ!
( ^ω^)「お………」
(´<_`)「どうしたニコニコ君?コンビプレーしかないとでも思ったのか?」
(;^ω^)「………」
(´<_`)「(コンビプレーだけに依存することがどれだけ愚かなことか今北との試合で実感したからな…)」
総合力では間違いなく今北よりもラウンジ学園の方が上だ。しかし、兄者が負傷退場してからの
弟者には全くと言って良いほどに見せ場がなかった。その結果が格下であろう今北への
惨敗であった。コンビの一角を崩されただけで何も出来なくなえるようなプレーヤーは
この先必要ない、ということを身を持って体感した弟者はあれから徹底的に1対1の練習を積んできたのだ。
(´<_`)「(フサギコ先輩にずっと付き合ってもらったんだ。その辺のやつには負けねぇぞ)」
('A`)「おk、気にするな!!11点ビハインド、1本ずつキッチリ返していこう!!」
一同「把握!!」
――キュキュ!!キュキュキュ!!
(=゚ω゚)ノ「くっ…!!(振り切れねぇヨウ…!!)」
池上「ボールは持たせん!!」
('A`;)「(やっぱりイヨウには入らないか…!!)」
('A`)「(俺から切り崩すか…?でもこの包囲網をどうやって…)」
( ^ω^)「ドクオ、くれお!!」
('A`)「っしゃ、頼むぞブーン!!」
――ビッ…ばしっ
(´<_`)「さぁ俺を抜けるかニコニコ君?仮に抜けたとしても
どんどんカバーが来るがな」
( ^ω^)「(抜いてやるお!!思い知らせてやるお!!)」
――ダムッ…
( ^ω^)「(よし、抜いt…)」
――バシッ!!
( ゚ω゚)「おぉっ!?」
(´_ゝ`)「ナイススティールだ弟者!!」
ドライブを決めたブーンが持っているはずのボールが何故かブーンの前にいる兄者の手に。
ブーンはボールが弟者によって後ろからはたかれたということを理解するのに少し時間がかかった。
(´_ゝ`)「さぁ弟者、速攻だ!」
――ビュッ…ばしっ
兄者からロングパスが出る。弟者はそれをキャッチし速攻へ向かう。が、ブーンが追いついて
1次速攻は止めた。
( ^ω^)「見たかお!!」
(´<_`)「……」
――ビッ…
( ゚ω゚)「(逆サイド!?)」
――ばしっ
ミ,,゚Д゚彡「ナイスだ弟者!!」
――ザシュッ
弟者は逆サイドを走っていたフサギコへパスを出す。ドクオが必死に追いかけるが僅かに届かなかった。
(´<_`)「逆サイドへの警戒を怠りすぎだぞニコニコ君」
(#^ω^)「だ…黙るお!!」
('A`)「ブーン、熱くなるな!!一本!落ち着いていくぞ!!」
――ダムッ…
(´<_`)「どうしたニコニコ君?もっと積極的にボールをもらいに行ったらどうなんだ?」
――キュ…
( ^ω^)「………」
(´<_`)「君じゃ無理か。一つ教えてあげよう。点の取れないフォワードに価値はない」
(;^ω^)「…………!!」
――キュキュ…
(´<_`)「身長があるわけでもない、ディフェンスに秀でているわけでもない、パワーがあるわけでもない、
アシストが上手いわけでも、アウトサイドシュートが入るわけでもない」
(;^ω^)「………」
(´<_`)「なかなか良いチームなのにな。もったいないことをしている」
( ^ω^)「何が言いたいんだお」
(´<_`)「君みたいに何も出来ない半端者は必要ないって事さ。さっきも言ったろう?
君がこのチームの重荷になっているとね」
( ^ω^)「………」
('A`)「ブーン!!行ったぞ!」
( ^ω^)「お?…お!!」
――ダンッ……ピィッ!!
審判「アウトオブバウンズ!!白ボール!!」
ドクオがブーンに出したパスはブーンにキャッチされることなくコート外へ出る。
('A`)「どうした!?試合中だ!!よそ見なんてしてる場合じゃないだろ!?」
( ^ω^)「ご…ごめんだお。なんでもないお」
『何も出来ない半端者』。確かにそうかもしれない。ドクオはパスもドライブもディフェンスも
上手い。イヨウも相手がわざわざディフェンス専門の選手を出し、さらにボックスワンで
封じようとしてくるほどだ。モナーも、ジョルジュも、インサイドでのディフェンスの精度が
上がってきている。ジョルジュのジャンプシュートの確率も徐々にではあるが上がってきている。
じゃあ自分は何なんだろう?ドクオのように様々なスキルに長けているわけではない。
イヨウのようにアウトサイドからぽんぽんとシュートを決めることも、トリッキーなプレーで
相手を仰天させることは出来ない。モナーやジョルジュのように体格に恵まれているわけでもないので
体を活かしたプレーができるわけでもない。
自分がほかに誇れるものが一つだけあると思っていた。脚力だ。しかし絶対的な自信を持っていた
その脚すら弟者の前に力を発揮できずにいる。
前々から心の奥底に閉じ込めていた不安を弟者にズバリと指摘されたことで
ブーンの頭は混乱していた。
(;^ω^)「(僕は…このチームにとって一体なんなんだお…?)」
('A`)「ブーン、何ぼっとしてる!?ディフェンスだ!!」
(;^ω^)「(ただの数合わせかお…?もし誰か新しい人がうちに来たら僕はサヨナラなのかお…?)」
('A`)「ブーン!!!!」
(´<_`)「心ここにあらず、だなニコニコ君よ」
――シュッ……パシュッ!!
――ウオォォォォォォォ!!!!スリー!スリー!スリィィィィー!良いぞ良いぞ弟者!!もう一本!!
「スリーだ!!」
「あいつ…中でパス回すだけじゃなかったのか!?」
( ^ω^)「お……」
('A`)「ブーン、集中しろ!!今までの相手とは違うんだぞ!!」
( ^ω^)「は…把握だお……」
( ω)「(僕は……このチームに本当に必要とされてるのかお…?)」
弟者に深層心理を突かれ、精神的に精彩を欠くブーン。その歯車の乱れはチーム全体に広まる。
そして第4クォーターが始まって2分程たった頃……
――ビーーーーーーーーッ!!!
オフィシャル「メンバーチェンジ!!白!!4,5,7,9,10番アウト、6,8,11,12,13番インです!!」
「あらら…オールメンバーチェンジ…」
「この点差ならだいたいそうするだろ…」
「ラウンジの5番が出てきてからVIPの6番は結局最後までスリー打たせてもらえなかったな」
「結構面白いチームだと思ったんだけどな…この程度か」
「フォワードで点が取れないんだもんな。相手からしたら守りやすいんじゃないか?選択肢が一つ減るんだし」
・・・・
・・・
・・
・
――ビーーーーーーーーーーッ!!!
審判「試合終了!!スコア通り、112-39で白!!」
( ω)「………」
VIP高はこれまでに経験したことのないほどの低失点に抑え込まれた。
ドクオはフサギコに、イヨウは池上に、モナーもジョルジュも兄者を中心としたボックスに抑えられたからだ。
そして、唯一行動範囲の広かったはずのブーンは、弟者のディフェンスからは無得点、1試合通しても
僅か4点しか取ることができなかった。
全国レベルを、そして自らの無力を見せ付けられたブーンは負けを『悔しい』と感じることすら忘れ、
呆然とコートに立ち尽くしていた。
第38章 完
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