( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第39章 gloomy days




――ちーんぽーんかーんとーん…

担任「はいみんなおはよう。出席とるよー〇〇君…はい、いるねー□□君…
   はい、いるねー△△さん…はい、いるねー……」

('A`)「(だりぃ…)」
担任「ドクオ君、はい、いるねー内藤君…ありゃりゃ、いないねー。風邪かな?
   寒いからねー。みんなも気を付けるんだよー。※※君…」
('A`)「…………」

ドクオは振り向いて自分の後ろの席を見る。

―――――――

『ドクオ!おいすーだおwww』
『ドクオ!また勉強やばくなってきたおwwwテラヤバスwww』

『なぁブーン、何書いてるんだ?』
『これは僕の信念だおwww』
『へぇー、大きく出たじゃん』
『毎日目の届くところに書いておくことが大事なんだおwww』

―――――――

('A`)「………」

『VIP高インターハイ制覇だお!』


ブーンの机に書かれたその言葉は今のドクオには重すぎた。

('A`)「(全国はラウンジより強いってのが当たり前なんだよな…)」

阿凡高校を下し、県ベスト8の実力は証明した。いずれはニー速工業も倒すつもりだった。
しかし冷静に考えてみればニー速工業すらベスト8なのだ。
県ベスト8の壁を超えたと思った瞬間に突如立ち塞がる新たな壁。
しかしそれは前者のものとは比較にならないほどに高く、大きいものだった。

―ブーン宅―

母「ホライゾン!いつまで寝てるの!もう2限始まってるわよ!」
( ^ω^)「…体調悪いお。休むお」
母「何言ってるの!昨日はあんなに元気だったじゃないの!ほらさっさと起きなさい!」
(;^ω^)「体調悪いったら体調悪いんだお!風邪ひいたんだお!ほっといてくれお!!」
母「……………」

――バタン

(;^ω^)「(学校サボっちゃったお…)」
携帯電話「I wanna be a VIP STAR君がずっと夢中なそれーなんーてえろーげ…」
( ^ω^)「(携帯鳴ってるお。ウザイお。寝るお)」
 ・
 ・
 ・
 ・
( ^ω-)。゜「んおぉぉぉ…寝すぎで体が重いお…今何時かお…?」

部屋の時計は午後9時を指していた。なるほどほとんど一日中眠っていれば体も重いだろう。
心なしか、下半身に違和感すら感じる。


( ^ω^)「(そういえば朝携帯が鳴ってたのはなんだったんだお?)」

――バチン

ブーンが携帯電話を開くとメールが7通届いていた。

( ^ω^)「ショボン先生からだお。着信は1時間前…」

『やあ。風邪ひいてしまったと聞いたよ。大丈夫かい?風邪はネギを尻の穴につっこむと
 治るそうだよ。先程お邪魔して突っ込んでおいた。早く治すんだよ』

(;^ω^)「ネギ……?」

ブーンは恐る恐る尻へ手を当てる。

( ゚ω゚)「アッー!ネギ!」

そこには確かにネギが刺さっていた。ブーンはネギを抜いて再び携帯電話に目をやる。

( ^ω^)「(ジョルジュからだお)」

――ピッ

『ブーン、ハヤクカゼナオレヨ!』

(;^ω^)「(全部カタカナだお…文法もおかしいお…)」


――ピッ…

( ^ω^)「(モナーからだお)」

『ブーン君、風邪は大丈夫モナか?部屋は暖かくしなきゃダメモナよ。まだまだ寒い
 季節が続くから気を付けて欲しいモナ』

( ´ω`)「(モナーはいつも優しいお…)」

――ピッ…

( ^ω^)「(ツンからだお)」

『カゼひいたって聞いたわよ。バカはカゼひかないはずなのにおかしいわよね。
 どうでもいいけどさっさと治しなさいよ!別にあんたの顔が見れなくてさびしいとか
 そういうわけじゃねーぞ糞野郎!』

(;^ω^)「(…………)」

――ピッ…

( ^ω^)「(イヨウからだお…)」

『風邪は大丈夫かヨウ?早くよくなってくれヨウ(=゚ω゚)ノ』



( ^ω^)「(…みんな優しいお…こっちはしぃからだお)」
――ピッ…

『風邪は大丈夫(・∨・?)辛かったらすぐ相談してねo(TдT≡TдT)o必要なものが
 あったら届けるからいつでも言ってね(o^ー')bお大事にねL(o^□^v)e』

(;^ω^)「(顔文字多いお…)」

――ピッ…

( ^ω^)「(ドクオからだお…時間からして朝携帯が鳴ってたのはドクオからだったのかお)」

『早く風邪治せよ。頑張ろうな(^O^)』

( ω)「……」

ブーンは1通もメールを返さなかった。返せなかった。なぜみんな昨日の試合のことに
ふれないのだろう。昨日の敗因は間違いなく自分なんだ。弟者から1点もとれなかった
自分の責任なんだ。気を遣っているつもりなのだろうか。そんなものただみじめになるだけだ。
いっそ思い切り責め立ててくれようものなら少しは楽になれるのに……。

( ω)「…明日も学校休むお」


―VIP公園―

――ダダダダダダダッ!!ザザザッ!

夜のVIP公園からすさまじいドリブルの音が響き、同時に砂埃が巻き起こる。

――シュッ……ガツッ

(=゚ω゚)ノ「チッ…」

冬にも拘らずイヨウの体からは湯気が立ち上っている。随分と長い時間、体を
動かしているようだ。

('A`)「イヨウ?こんな時間に何やってんだ?」
(=゚ω゚)ノ「ドクオじゃねーかヨウ。人のこと言えねーじゃないかヨウ」
( ´∀`)「あれ、みんないるモナ」
( ゚∀゚)「うーす」

4人の間にしばらくの間沈黙が走る。

('A`)「…悔しいな…」
(=゚ω゚)ノ「だヨウ…俺があの5番に止められてなければ……」
('A`)「俺だって一緒さ。あの4番相手に何も出来なかった…」
( ´∀`)「二人は何も悪くないモナ…僕がリバウンドやディフェンスをちゃんと
     やれれば…」
( ゚∀゚)「みんなは悪くない。俺にもっと決定力があればディフェンスを引き付けられたのに…」
('A`)「…やめよう。下を向いてちゃダメだ。ブーンが言ってたろ?この負けから学ばなきゃ」
(=゚ω゚)ノ「そうだなヨウ。それにブーンはきっと俺たちの中の誰よりも…」
( ´∀`)「…………」
( ゚∀゚)「………」


( ´∀`)「ブーン君…明日は来るモナよね?ただの風邪モナよね?」
( ゚∀゚)「……?どういうことだ?」
('A`)「昨日の試合がブーンにとって相当なトラウマになってるかもしれないってことさ」
(=゚ω゚)ノ「昨日弟者に色々トラッシュトーク浴びせられてたみたいだしヨウ…その内容に
     よっては…」
('A`;)「考えたくもないが…最悪の事態もありうるかもしれない」
( ;∀;)「そんなのイヤモナ!ブーン君はうちに必要な存在モナよ!」
(;゚∀゚)「俺はあいつに誘われてバスケ部入ったんだぞ!そんな勝手なこと許さねぇ!」
('A`;)「俺だってそんなことにはしたくない。けどこれはきっとあいつの問題なんだ。
    俺たちには口出しできないと思う。下手な慰めは逆効果になる。きっとあいつ自身が
    気付くしかないんだ」
(=゚ω゚)ノ「そんな…!!俺らにも何かできることがあるはずだヨウ!」
('A`)「…俺たちにできるのはあいつを信じて待ってることくらいだよ」
(#゚ω゚)ノ「こんな時に何にもしてやれないのかヨウ、俺は…!!」
(;´∀`)「どうすればいいモナ……」
(;゚∀゚)「何か、何かあるはずだ…!!」
('A`)「(…おまえが作ったバスケ部なんだ…おまえがいなきゃ意味がないんだぞ、ブーン…)」
 ・
 ・
 ・


――カチカチカチ…チャラー、チャラララー♪

( ^ω^)「(昨日の夜、最初から始めたFF10だけどまだ3日も経ってないのにエボンジュ倒しちゃったお…)」

――ブチッ

( ^ω^)「(最強武器とかめんどいから今度はテイルズオブジアビスでもやるお)」

( ^ω^)「(お腹空いたお。確か冷蔵庫にコーラがあったお。棚にお菓子もあったお。
     持ってくるお)」

――ゴクゴク…ばりばり…

( ^ω^)「はふっはふはふむひゃむひゃ……」

――――――

『ちょwwwきめぇwww』
『きめぇwwwwww』
『テラキモスwww氏ねwww』
『きめぇwwwwwww』

――――――

( ´ω`)「一人って淋しいお……」
 ・
 ・
 ・
 ・


―部室―
――ガラガラガラ…

('A`)「おいっす」
(=゚ω゚)ノ「うぃーすだヨウ」
( ´∀`)「おはようモナ」
( ゚∀゚)「うっす」
(=゚ω゚)ノ「ドクオ、今日も…?」
('A`)「あぁ。もう5日目か…」
(;´∀`)「携帯もずっと電源切りっ放しみたいモナ…」
(;゚∀゚)「やっぱりブーンの家に行ってやった方が…」
('A`;)「……かもな…考えとくよ」

―ブーン宅―

――ピコピコピコ…

(;^ω^)「(この主人公髪切ってから考えがネガティブになりすぎだお)」

――ピコピコピコピコピコ

( ^ω^)「(けど自分の存在意義を見出すことができないとことか共感できるお……
     ってゲーム相手に何考えてるんだお!これじゃニートまっしぐらだお…)」


――ピコピコピコピコピコピコ

( ´ω`)「(…けど今ならニートの気持ちわかるかもしれないお…。何もかもが無駄に
      思えてくるお)」

――ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ

( ^ω^)「……欝だお…」

――バチン

ブーンは携帯電話を開く。いつのまにか充電が切れていたようだった。充電器に
つなぎ、電源を入れると携帯電話が何度も何度も震え出す。

( ゚ω゚)「お?お?なんだおこれは?なんでこんなにメールが…?」

メールの送り主を見て理解した。ドクオ、イヨウ、モナー、ジョルジュ、ツン、しぃ、ショボンから
毎日メールが届いていたのだ。

( ´ω`)「みんな……」

( ω)「(…僕は…僕はどうすればいいんだお…?)」

携帯電話「I wanna be a VIPSTAR…」

見計らったかのように携帯電話が鳴る。ツンからの電話だった。誰とも話す気になれない
ブーンだったがツンからの電話は反射的にとっていた。

(;^ω^)「(しまった、出ちゃったお…)」


ξ゚听)ξ『…ブーン?よかった、やっとつながった…今…時間ある?』
(;^ω^)「お…お?お?今はちょっと…」
ξ゚听)ξ『少し話がしたいから…VIP公園に来て。待ってるから』
(;^ω^)「ちょ…僕は行かな………切られちゃったお…」

心の奥では『このままではいけない』と思っているのだろう。ブーンはダウンジャケットを羽織り、
ジップを首元まで閉めて寝静まった自宅をこっそりと抜け出し、深夜の公園へ向かった。

第39章 完


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