( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです 第5章 晴れ時々バスケットボール
――帰り道
ドクオ、しぃ、そしてイヨウと別れたブーンとツンは
静かな夜道を無言で歩いていた。
( ^ω^)「ツン、聞きたいことがあるお」
ξ゚听)ξ「なによ、急に…くだらないことなら……」
ツンはそう言いながらブーンの方を見る。ブーンの目は
いつになく真剣だった。
ξ゚听)ξ「…どうしたの?」
ブーンが真剣であることを知りツンも真剣になる。
( ^ω^)「僕は…僕はどうすればあんな風に上手くなれるかお?
そもそも僕は上手くなれるのかお?」
ブーンの口から紡がれたのは心底からの弱音、不安だった。
あれだけレベルの高い戦いを間近で見たことを考えれば当然の反応だろう。
ξ゚听)ξ「………」
( ;ω;)「あの2人を見てるとなんだか才能の差を思い知らされたような
気がして…自分の才能のなさに腹が立ってくるお…」
ξ )ξ「ブーン…」
( ;ω; )「僕は高校に入ってたくさん練習したら上手くなれると
思ってたお。でもドクオやイヨウみたいになるのは
きっと無理なんだお…ヘタなのに続ける意味はあるのかお…?」
ξ )ξ「ブーンは…あの2人が天才だとでも思ってるの?」
( ^ω^)「…どういうことだお?あれだけ上手いんだし天才って
言ってもおかしくは…」
ξ#)ξ「あっきれた…だからあなたはダメなのよ」
(;^ω^)「な…なんだおその言い方は!?ひどいお!」
ξ゚听)ξ「ドクオやイヨウが才能だけであんなに上手いシュートや
ドリブルができるって…本気で思ってる?」
( ω)「……」
ブーンの沈黙は肯定を意味していた。
ξ゚听)ξ「それじゃああなたにバスケをやる資格はないわ」
そう言い放つとツンは自分の家に向かった。
( ;ω;)「なんなんだお…僕はどうすればいいんだお…」
重い足取りで帰宅したブーンは夕食を食べる気になれず、
自分の部屋に向かった。
机の上に封筒が置いてある。
ブーンが最近定期購読を始めた雑誌、『晴れ時々バスケットボール』だった。
ブーンはページをパラパラとめくり始めた。
( ^ω^)「(今月は…『インターハイ出場校予想特集!!〜注目校最新情報〜』
…かお…)」
そこには聞き慣れた学校名があった。
『ニュー速県の優勝候補!昨年全国ベスト8の
ラウンジ学園の新戦力に迫る!!』
( ^ω^)「(ラウンジ学園…)」
ページをめくるとそこには2人の1年生の写真と
インタビュー記事があった。記事によると、兄弟の名前は流石兄弟と言い、
中学時代から国内随一との呼び声も高いコンビプレーを得意とする
双子の兄弟だそうだ。
( ^ω^)「(まだ高校入ったばっかなのにもう雑誌に載るなんて…
やっぱり才能のある人は違うお…)」
ブーンは何気なくインタビューを読み始めた。
『( ・∀・)「お二人のコンビプレーには芸術性すら感じられますが
やはり双子という特殊な状況が生み出した才能とも
言うべきものなのでしょうか?」
(´_ゝ`)「才能ですか?」
(´<_`)「それは違いますね」
( ・∀・)「…と言いますと…?」
(´_ゝ`)「俺と弟者は生まれたときからほとんどの時間を
コートの上で過ごしてきました」
(´<_`)「いつのまにか知らないうちに兄者のしたいことが
頭に流れ込んでくるかのようにわかるようになったのですよ」
(´_ゝ`)「右に同じですね」
(;・∀・)「右にあるのは壁ですね」
(´_ゝ`)b「じゃあ左で」
(´<_`)「そういうことです。兄者に出したパスの数なんて、
もう数えるのも欝になるような回数でしょうね(笑)」
(´_ゝ`)「ある日弟者とのコンビプレーが夢に出てきたことが
あったのですがその次の日からでしたね、誰も俺たちを
止められなくなったのは」
( ・∀・)「大きく出ましたね。つまり無意識の条件下でも体が思い出す
ほどに何度も反復して体に刷り込んだ…と?」
(´<_`)「そういうことですね。夢に兄者が出てくるなんて
夢精もので大変でしたよ(照)」
( ・∀・)「なるほど、バスケットがハビット(習慣)・スポーツと
呼ばれる典型的な事例ですね」
(´_ゝ`)「そうです。血の滲むような、気が遠くなるような反復練習を
経て今の俺たちがあるのですよ」
( ・∀・)「まさに努力の結晶…ですね」
(´<_`)「そういうことです。努力を怠っている人ほど
『才能』という言葉を使って逃げようとしがちですしね。
才能なんてものは努力の過程での副産物でしかないと思いますよ」
(´_ゝ`)「全国に出てくるチームは俺たちよりももっともっと
練習しているはずです。もっと練習して高校バスケに馴染み、
全国に出場しても恥ずかしくないようにしなくては」
(´<_`)「そういうことです。そうは言ってもやっぱり…」
( ・∀・)「??」
(´_ゝ`)「流石だよな俺ら」
(;・∀・)「……」』
――努力を怠っている人ほど『才能』という言葉を
使って逃げようとしがち――
ブーンの頭の中でこの言葉が何度も反芻されていた。
( ^ω^)「…………」
――バチンっ!カコカコカコカコカコ……
ブーンはおもむろに携帯電話を開きメールを打ち始めた。
携帯電話「I wanna be a VIP STAR 君がずっと…」
ξ゚听)ξ「メール…誰だろう?…ブーン??」
『ツン、さっきはありがとうだお!僕は努力してなかったんだお!
明日から朝練するからおやすみだお!( ^ω^)』
ξ゚ー゚)ξ「………」
――カコカコカコカコ………
『応援してる。頑張って』
ξ゚ー゚)ξ「送信…と」
2分後
ξ゚听)ξ「………」
――カコカコカコカコカコ!!!!
ツンは再び携帯電話を開きものすごい勢いでメールを打ち始めた。
『べ……別にあんたに期待してるとかそういうわけじゃないんだからね!!
あんたはヘタクソだから誰よりも練習しなきゃいけないってことを
言いたかっただけなんだからね!!!』
ξ゚听)ξ「ふぅ…送信。っと」
第5章 完
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